SEO目的のリンク獲得を外注するほうがいい5つの理由(前編)
SEO会社にリンクビルディングを外注したことはあるだろうか? ある場合、結果に満足できただろうか?
正直に言うと、私の場合はひどかった。この体験を聞いてほしい。
SEMrushでマーケティングディレクターとして普通に9時から5時まで働いていたとき、会社はこの分野の大手リソースから獲得するリンクをさらに増やす方針を決定した。そこで、そうしたリンクの構築を支援してくれるSEO会社を雇うことになった。
そのSEO会社からは月額1万3000ドル(約143万円)という法外な料金を請求されたが、残念なことに、その高額な料金は品質に見合わなかった。信頼されている業界ブログでコンテンツを公開するどころか、有意義なコンテンツなど何ひとつ作成できなかった。
さらに悪いことに、このSEO会社を引き入れたのは私だという事実があった。
当然ながら、このSEO会社との協業はやめた。次は運が味方してくれるだろうと思い、別のSEO会社を試してみることにした。
結論を言うと、それは間違いだった。
2社目のSEO会社は、「3分の1ほどの料金で優れたリンクとすばらしい結果をもたらす最高品質のサービス」を約束していた。しかし結果は控えめに言っても期待外れだった。さまざまなサイトのさまざまなコンテンツからリンクが張られたが、リンク元ページの内容は究極のトイレ掃除ガイドやセックスの体位トップ10といった無関係ものだったのだ。
今となっては笑い話かもしれないが、当時はおもしろいとも思えなかった。このように、リンクビルディングのアウトソーシングを試みて2回も失敗した経験から、当時の私は次の2つのことを確信した:
- 高品質のリンク獲得は社内で行うべきである
- リンク獲得をアウトソーシングすることは、予算を無駄にするに等しい
しかし……正直に言うと、現在ではアウトソーシングに対する私の考えは変わっている。
アウトソーシングに関するこの2つの不運な経験を経て、私はSEMrushでの勤務からフリーランスになったのだが、仕事量が増え始めた頃、自らリンクビルディングエージェンシーのDigital Olympusを立ち上げた。そして、この分野での経験を積むにつれ、アウトソーシングの試みがなぜあれほど無残に失敗したのかがわかってきたのだ。
当時は、リンクビルディングのコツを知らなかった。「低品質なサイトからリンクが張られないように先を見越して厳しい要件を設定する」といったこともしていなかった。そのため、試行錯誤を繰り返すなかで、リンクビルディングをアウトソーシングすることのメリットとデメリットについて、いくつか独自の洞察を得ることができた。
この記事では、リンクビルディングのアウトソーシングに関する洞察を共有することで、各人にとって正しい選択肢が次のどちらなのかをより深く理解できるようにしたい:
- SEO会社に依頼するべきか
- リンクビルダーを社内(インハウス)で雇うべきか
そのために、この記事は次の2つの切り口で構成している:
リンクビルディングのアウトソーシングが適している場合
これは、リンクビルディングエージェンシーを経営している私の見解だ。
私たちのクライアントが仕事を依頼してくる理由の大半は、次のとおりだ:
自力で適切なリンクビルディングを処理する態勢を整えるだけの時間やリソースがないから。
ほとんどの場合、その時点で焦点は他のビジネス目標に移行しているが、それでもリンクの価値は理解しており、グーグルで上位に表示させようとしているページを複数もっている。
通常、理想的なクライアントは、次のような状態であり、
- リンクを通じてどの種のページを強化したいのかを自覚している
- SEOの仕組みを理解している
そのうえで多くの場合「SEOチームはあるものの、リンクビルディングに踏み出すリソースが足りない」ということで、優れたリンクの獲得を支援してくれる人を探している。
要するに、クライアントは専門家の知識や経験に対して対価を支払っているのだ。ただし、企業が社内で専門家を雇うのではなく、SEO会社にリンクビルディング業務をアウトソーシングする理由は他にもある。その理由を次の5つに整理してみた:
○リンクビルディングの外注化が適している理由①
経験豊富なリンクビルダーを雇うと費用がかかりすぎる
リンクビルディングをアウトソーシングする第1の理由は、採用コストにある。
リンクビルディングを行う人を自社で採用した場合、次のようなコストが社内で発生するという(Glassdoorのデータ):
- 初級レベルのリンクビルダーの平均給与は約3万~4万ドル(約330万~440万円)
- 非常に経験豊富な人が希望する推定年収は10万ドル(約1100万円)ほど
時給で言えば、最低でも13ドル(約1400円)ほど、より経験豊富なリンクビルディングの専門家は16ドル(約1800円)も要求する。
給料以外にも考慮すべき点がある。たとえば、次のようなものだ:
社内のリンクビルディングの専門家は、リンクビルディングに特化して開発されたコンテンツも必要とするため、これには別途予算が必要だ。
リンクビルディングで然るべき仕事をするには、被リンク分析ツールを利用する必要がある。そのコストはたとえば次のようなものだ:
- Ahrefs(月額99ドル)
- SEMrush(月額99ドル)
- Moz(月額99ドルから)
- Pitchbox(月額300ドルから)
こうしたツールの料金を支払うとなると、それだけで年間6000ドル(約66万円)ほどかかる。
つまり、社内でリンクビルダーを雇うとコストがかなりかかるということだ。しかも、社内のリンクビルダーとして探しているような人材が見つかるまでには長い時間がかかる可能性もある。
そこで、人材を探す間、リンクビルディング戦略に着手する際にSEO会社を試してみることもできる。
○リンクビルディングの外注化が適している理由②
すぐにリンクを獲得する必要がある
「社内でリンクビルダーを雇う」場合と「SEO会社に依頼する」場合の最大の違いは、リンク獲得にかかる時間だ。通常、SEO会社はすでに試行錯誤を重ねたリンクビルディング戦略をもっているが、社内のリンクビルダーはこれから策定する必要がある。
私が思うに、クライアントが他のリンクビルディングエージェンシーや当社を選ぶ最大の理由はこれだ。当社には確立されたリンクビルディングプロセスがあるが、それに加えて最も重要なことがある。それは、特定の業界やニッチ分野にまたがる有意義な関係をすでに築いていることだ。そのため、場合によっては数分もかからずにリンクを確保できる。
しかし、リンクビルディングを自力で行う場合は、すぐに結果が出ることを期待してはいけない。平均すると、毎月少なくとも10~20本のリンクを獲得できるようになるまでには3~4か月かかる。加えて、
- 適切かつ意味のある形で他のサイトとつながる方法を見つける
- アイデアの適切な売り込み方を学ぶ
といったことにも、時間がかかるかもしれない。
私のエージェンシーでも、新たなニッチ分野を開拓して、毎月それなりの数のリンクを獲得できるまでになることは、常に大きな問題だ。最初の数か月は2~4本しか獲得できず、これは確かにリンクフロー(リンクの出入り)として十分とは言えない。
○リンクビルディングの外注化が適している理由③
正しいリンクビルディングの方法についてチームを訓練するための支援を必要としている
知識や経験の交換も、リンクビルディングをアウトソーシングするもう1つの理由だ。私が一部の作業をアウトソーシングして、自分があまり自信のない分野に関して専門知識が豊富な人と緊密に連携している理由は、間違いなくこの点にある。
知識に対して金銭を支払うことは、時間がない場合は特にすばらしい資金の使い方だ。
たとえば、私は技術的なSEOを自力でできるようになるまでにどの程度の時間がかかるかを理解しているので、自分でやる代わりにだれかを雇って手伝ってもらいたいと思う。そして一緒に仕事をする間に自分の知識も高めたい。
まさにそうした理由から、私たちのチームには他のプロジェクトに取り組んでいる契約業者が数人いて、独自の戦略やアプローチを喜んで教えてくれる。これは新鮮な空気を吸い込むようなもので、そうした人たちの経験が、高品質なリンクを構築するうえで新たな視点を与えてくれる。
なお、社内でリンクビルダーを雇うことにした場合は、そのような契約業者との仕事の仕方について覚えるまでにかなりの時間がかかるかもしれない。しかしリンクビルディングエージェンシーなら、すでに業者との関係は確立されている。
「アウトソーシング=学習の機会」と考えてみよう。すでにリンクビルディングの経験がある人は、必ずしもSEO会社に教えを乞う必要はない。その代わり、SEO会社の戦略がうまくいっているのであれば、それに従えばいい。
私たちのクライアントのなかには、こうした論理に従い、私たちの指導を受けながら社内でリンクビルディングしているところもいくつかある。確かに、いつか私たちの力を借りずにリンクビルディングを始めてしまうかもしれないが、私たちがその道を切り開いたと考えるのは気分がいいものだ。
○リンクビルディングの外注化が適している理由④
自力で獲得するには何年もかかるリンクを求めている
繰り返すが、すべては「つながり」と「どれほどうまく関係を築けるか」にかかっている。パートナーとの緊密な関係がなければ、リンクビルディングの取り組みからすぐに結果を期待することはできない。
一般に、最高のリンクビルディングエージェンシーはすでにすばらしいパートナーネットワークを築いている。ただそれでも、次のことを再確認することは非常に重要だ:
- エージェンシーが自分のニッチ分野に対応しているか
- エージェンシーが意味のあるつながりを確保しているか
しかし、たとえ自分のニッチ分野での経験がないSEO会社でも諦めてはいけない。SEO会社にパートナーとの既存の関係やクチコミの力があれば、それによって思っているよりも早くネットワークを構築できるかもしれない。
とはいえ、経験豊富なSEO会社でも、新たな未開拓分野で人脈を築くにはいくらか時間がかかる。クライアントの業界での経験がない事実を相手に伝えるかどうかについて、私たちは常に高い透明性をもって対応しているが、中には喜んで待ってくれるクライアントもいる。
いずれにせよ、どういった分野の関係性が必要なのかは企業によって異なるため、誤解を避けるためにも、この問題については必ずエージェンシーに確認してほしい。
○リンクビルディングの外注化が適している理由⑤
現在のリンクビルディングの取り組みを拡大する必要がある
企業は、
- リンクビルディングが自社にとって優れた戦略になり得ること
を認識していても、
- 自らの業界やニッチ分野の特質をふまえて、どのようなアプローチを取るべきか
を十分に理解していないことがある。
そのような場合は、適切な切り口を選んで現在のリンクビルディングのニーズを客観的に見直せるよう、SEO会社が支援してくれる。
クライアントから支援を求められることになるもう1つの課題は、次のものだ:
- 問題のあるターゲットへのリンクビルディング
たとえば商業的なページなど、オーガニックな方法でリンクを構築するのは難しい場合がある。私は最近のブログ記事で「商業目的のページへのリンクビルディング」というテーマを取り上げ、その方法についていくつかの例を挙げて詳しく説明した。そうした情報を参考にすれば、難しいページへのリンク構築も進めやすくなるだろう。
しかし、一部のページへのリンク獲得に苦戦している人は、その作業をSEO会社にアウトソースできる。SEO会社は適切な方法でこれらの問題に対処し、解決してくれるだろう。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回は、「リンクビルディングのアウトソースが時間と資金の無駄になる」6つのケースについて説明する。→後編を読む
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