インタビュー

Web接客を導入してCVRを130%に改善! 切り札は「ユーザー心理に応じたセグメント」だった

CVR改善の行き詰まりを打開したのは、「ユーザー心理に応じたWeb接客」だった。2か月でCVR 130%を達成した秘訣を、ウェルクスの室谷氏に聞いた。
ウェルクス マーケティング本部 人材事業部 事業部長代理 室谷良平氏
ウェルクス マーケティング本部 人材事業部 事業部長代理 室谷良平氏

「Web接客ツール」というと、ECサイトのイメージが強い人もいるだろう。しかし、Web接客ツールを転職サイトで活用して成果を出した事例もある。

福祉業界を事業領域として、「保育のお仕事」「栄養士のお仕事」「調理のお仕事」など、専門職種ごとの転職サイトを運営するウェルクス。同社の目的は、専門職の求人と求職者をWebサイトを通じてマッチングすることだ。

同社はLPOとEFOを中心とした改善施策に限界を感じて、Web接客ツール「f-tra CTA(エフトラCTA)」を導入したことにより、CVR(コンバージョン率)をたった2か月で130%に改善した。成功のポイントは「Web接客ツールでユーザーの訪問時の心理状態でセグメントを切る」という方策だった。ウェルクスのマーケティング担当者・室谷良平氏に話を聞いた。

LPOとEFOだけではCVR改善に行き詰まり。ほかにできることは?

ウェルクス 室谷良平氏

ウェルクスの事業の中心は、保育、介護、福祉領域を中心とした人材紹介、求人広告などの人材事業だ。職種ごとに特化型サイトを立ち上げて、求職者と事業所の募集・マッチングを行っている。専門職種ごとの転職紹介サイトだけでなく、それに付随するオウンドメディアもある。

たとえば「保育のお仕事」であれば、保育士や幼稚園教諭を対象にしたオウンドメディア「保育のお仕事レポート」がそれにあたる。同社が管理するのは、18サイト。同社のマーケティング本部は、システム管理、サイト制作、デザイナー、ライターまで所属しており、管理するサイトのコンテンツ、デザイン制作の大半をインハウスでスピーディーに行えるのが強みだ。

インハウスの最大の利点はスピード感。あるチームの成功例を「横展開させていくのが大好きな社風(室谷氏)」で、どんどん活用し社内ノウハウをためながら順調に展開してきたが、次第に行き詰まりを感じるようになってきたという。

当時「保育のお仕事」は、主にSEOと広告で集客をしており、検索1位も取って、トラフィックもだいぶ集まってきたなという段階でした。

新規登録のCVR改善を狙ってサイト改善も進めていましたが、その際に「LPO(ランディングページ最適化)とかEFO(エントリーフォーム最適化)以外で、さらにCVRを改善する余地はないのかな」と考えました。

というのも、LPO、EFOではごりごりPDCAを回していましたが、逆に「それ以外の動線は全然手をつけられていない」という気持ちがあったのです(室谷氏)

ただWeb接客ツールを入れただけでは成果が出なかった

室谷氏がWeb接客ツールの導入を検討するようになったのは、2015年。Web接客ツールとは主にECサイトで使われるマーケティングツールで、来訪者の行動や特徴をリアルタイムに記録・分析し、来訪者に最適な誘導を行うことで、購買率などを向上させるものだ。

現在では1つのジャンルとして定着しているが、2015年当時は黎明期だったこともあり、自社に最適なツールを探すだけでもなかなか大変だったという。

最初に導入したツールは、担当者によって効果にバラツキがありました。成果が出なかったケースを振り返ると、PDCAのシナリオ作りがまったくできておらず、担当者が「Web接客を活用してどのような施策をやったらいいかわからない」という状態でした。

そのツールは運用型のシステムだったこともあって、シナリオ設計そのものが難しいんです。LPOやEFOとは違ってサイトごとに施策を立案する難易度が高い取り組みでした。うまく活用できている担当者から社内ノウハウの共有も進めましたが、自身の担当サイトに当てはめてWeb接客のシナリオ設計を進める方法がわからない担当もいました。

サイト担当者は日々SEOやUI改善をし、コンテンツの制作もやっているので、効果が見えにくいWeb接客施策については、どうしても優先順位が下がります。PDCAサイクルも回し続けることができず、結果として成果が出せていない状態になっていたんです(室谷氏)

結局のところ、「高機能なツールを導入しても、担当者が適切な課題認識をし、具体的な施策を思いつけなければ成果につながらない」ことを実感したという。しかし室谷氏は「Web接客に関して、社内でのノウハウ共有やレクチャーにも限界がある」という懸念も感じていた。

「さらに高機能なツールであれば、担当者それぞれの活用にバラツキがあっても一定の効果が見込めるのではないか」と別のベンダーに相談したこともありました。しかし、結局はわれわれが課題を明確にできていなければ、ベンダーからも良い提案はもらえませんでした。

もちろんそれは当然だろうと思います。当時の私が探していたのは、枠組みから考えられるように、ツールを利用するうえで伴走してくれるパートナーでした(室谷氏)

ウェルクス 室谷良平氏

「ユーザーの訪問時の心理状態でセグメントを切る」とは?

ツールを導入しただけではうまく活用できないことがわかり、次に取り組んだのが、ツールの提供だけでなく運用まで踏み込んでくれるベンダーを探すことだった。インハウスを強みとしてきた同社にとって「運用を外部に委託する」のは大きな決断だったが、それ以上に「外部の知見を通じてCVRの改善ノウハウを得なければ、これ以上の成長は難しい」ということを会社の上層部全体が認識していたことも大きかったという。そのため、外部コンサルとの協業もすんなり進んだ。

Web接客ツール「f-tra CTA」を提供するエフ・コードには、コンサルタントが運用を支援するカスタマーサクセス部がある。

室谷氏とエフ・コードのコンサルタントが協力してまず手をつけたのは、サイトのUU(ユニークユーザー)が多いページ。接触の多いところから変更していくのは常道だ。求人案件ページや、CVRの高い登録フォームから改善をスタートした。

ここでコンサルタントから提案されたのが、「ユーザーの訪問時の心理状態でセグメントを切る」という方法だった。たとえば次のような要素だ。

  • 新規訪問
  • 再訪問
  • 転職意欲がとても高い
  • 求人検索はするが転職意欲は低い

ユーザーの状況を想定し、Web接客ツールがそれぞれに合わせた提案を行うよう設計する。さらに訪問ページ種別による訴求を最適化するなど、コンサルタントからの提案は同社にとって「思ってもみなかった切り口」だったが、試してみた効果は予想以上のものだった。

セグメントの切り方と接客の例
  • 転職意欲が高く、閲覧ページが多い人
    →「お探しの求人は見つかりませんでしたか?」という案内や、転職サポートや人気求人ランキングページへ誘導する
  • 登録フォームで離脱する人
    →入力を補助するポップアップを出す
  • 転職意欲が低い人
    →転職マニュアルのページや、オウンドメディアのサイトへ誘導する

これらの施策を行って2か月で、CVRが130%になる改善が見られたという。

130%は「保育のお仕事」の新規会員登録数を、Web接客ツールを導入した前後2か月ずつを比較しての成果です。同時に進めていたLPOなどの改善実績も含んだものですが、それでもこの数字は大きな貢献度合いだと思っています。また、コンサルタントの方からのシナリオ設計に関するフレームワークといった知見のおかげで、各担当のWeb接客の活用力が上っている点も成果だと考えています(室谷氏)

「横展開大好き」な社風ゆえ、この結果について担当者同士で早速情報交換がされており、他サイトでもよい効果が表れているという。

Web接客ツールはオウンドメディアでも活用できる

転職サイトサイトの求人案件ページや登録フォームは、ある意味ECサイトでいうところの商品販売ページと同じといえる。こうしたページでWeb接客ツールが効果を発揮するのは、ある意味当然のことかもしれない。

室谷氏は、「今後はオウンドメディアでもWeb接客ツールを活用していく」と意欲を見せる。「転職意欲が低いユーザーをオウンドメディアに誘導する」という施策の効果があるなら、逆に「オウンドメディアで転職意欲が高まったユーザーを求人ページに誘導する」のも成り立つはずだ。

保育のお仕事」に対応するオウンドメディア「保育のお仕事レポート」の記事本数は400本を超える。「これまでインハウスで成功してきたコンテンツマーケティングの資産を、Web接客でも有効活用していきたい」と目論む。

新規顧客の集客は、検索エンジンと広告経由のほか、弊社ではオウンドメディアを持っているのが大きな強みです。ただ、肝心のオウンドメディアから求人ページへの動線が弱かった。その部分に「Web接客」を施すべく、シナリオを作成しているところです。トラフィックの多いオウンドメディアをからめた展開はさまざまな施策が考えられるので、非常に期待しています(室谷氏)

ウェルクス 室谷良平氏

オウンドメディアからの展開で期待できる効果として、「ミスマッチからの離職率の低減」が挙げられる。Web接客ツールを使ってオウンドメディアと求人情報の間の動線を活発にすることで、「求職者が真のニーズを発見したり、仕事や職場への理解を深めたりする一助となるような情報提供をしたい」という。

また、社会問題化している「潜在保育士へのアプローチ」も、Web接客ツールを活用することで、本人が納得して現場復帰への意欲を持つ助けになればいいとも考えているそうだ。

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