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コンバージョンレート最適化(CRO)で犯しがちな6つのミスとその対処法(後編)

「すでにうまくいっているページやキャンペーンの扱い」「戦術に基づいたCROと調査に基づいたCRO」「テストが失敗した場合」を解説。
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この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。CROで犯しがちな6つのミスのうち3つを紹介した前回に引き続き、後編となる今回は残る3つのミスについて見ていこう。→まず前編を読んでおく

CROで犯しがちな6つのミス(続き)

×④×すでにうまくいっているページやキャンペーンではテストを実施しない。

何かがうまくいっているからといって、そのまま放置しておけばよいというわけではない。たいていの場合、すでにうまくいっているマーケティング資産は、最適化することでより一層うまくいく可能性が非常に高い

HubSpotが実施している重要なCROの中には、すでにうまくいっていた資産を活用したものもある。2つの例を紹介しよう。

1つ目は、HubSpotのウェブ戦略チームでパム・ボーガンが実施した「ヒストリカルオプティマイゼーション」という名のプロジェクトだ。具体的には、古いブログ記事を更新したり再公開したりすることで、トラフィックとリードを増やした

とはいえ、古いブログ記事を何でもかんでも更新したわけではない。過去にトラフィックとリードの生成に大きな影響を与えた実績のあるブログ記事を更新したのだ。

パムがアトリビューション分析をしたところ、2つの驚くべき発見があった。

  • ブログの月間ビュー数の76%が、「古い」記事(つまり、前月以前に公開された記事)からもたらされていた。

  • ブログからの月間リード獲得数の92%も、「古い」記事からもたらされていた。

その理由は何だろうか。これらの記事は、検索におけるオーソリティが少しずつ向上し、グーグルなどの検索エンジンで順位を上げていたからだ。そして、大量のオーガニックトラフィックを毎月のように獲得していたのだ。

その後、バムはこのプロジェクトの目標を、次の2つに設定した。

  • トラフィックは多いがコンバージョンが少ないブログ記事のリードを増やす方法を見つけることと
  • コンバージョンが多い記事へのトラフィックを増やす方法を見つけること

以前からトラフィックとコンバージョンのパフォーマンスが高かった記事を最適化した結果、それらの記事が生み出す月間リード数は2倍以上に増えた。

ブログ記事「プレスリリースの書き方」
コンバージョンレート(プロジェクト実行前)
コンバージョンレート(プロジェクト実行後)

2つ目の例も紹介しよう。HubSpotのマーケティング買収チームに所属するニック・バラッソは、ブログからのリード獲得を数週間にわたってチェックした。その結果、次のようなことを発見した。

トラフィックのパフォーマンスがきわめて高いいくつかのブログ記事が、コンバージョンのパフォーマンスが特に低調なフォームにユーザーを誘導している。

トラフィックは多いのにコンバージョンに結びついていないこれら50本ほどの記事からのリード獲得コンバージョンを増やすため、ニックはテストを実施した

具体的には、これら記事コンテンツページに設置している主要なCTA(Call to Action:行動喚起)を差し替えたのだ。変更後のCTAは、その記事のトピックと密接に関連していて、送信率が非常に高いリード獲得フォーム(無料のテンプレートやクイズなど)のページにサイト訪問者を誘導するようにした。

1週間後、これらの記事は平均より100%多いリードを生成した。

結論はこうだ。最も労力を注ぎ込む必要があるマーケティング資産の最適化だけにフォーカスしてはならない。多くの場合、トラフィックやリード獲得ですでに高いパフォーマンスを上げているページを最適化すれば、容易に成果を得られることに気づくだろう。しかも、はるかに大きな成果が得られるのだ。

×⑤×調査ではなく、戦術に基いてCROテストを実施する。

CROはプロセスがすべてだ。各種の要素から主観や思い込みを排除し、マーケティングを最適化するための戦術だけに頼らないようにしよう。そうではなく、体系的なアプローチでCROに取り組むのだ。

CROのプロセスは、必ず調査からスタートしてほしい。実際のところ、最も時間を費やすべき手順が調査なのだ。

その理由は何だろうか。調査と分析を行えば、問題点が明らかになる。そして、どこに問題があるのかを知らなければ、その問題を解決するための仮説を立てることはできない

先ほど、HubSpotで上位50記事のリードを1週間で2倍に増やしたテストについて話をした。だがニックは、トラフィックの多いブログ記事がパフォーマンスの低いおまけのページにユーザーを誘導できる可能性があることに、ある日突然気づいたわけではない。ブログからリードを獲得するための戦略について時間をかけて調査を行ったからこそ、その可能性を見つけたのだ。

調査の段階で見るべきデータについては、パディ・ムーガン氏がMozで優れた記事を書いている。たとえば、販売プロセスではどのようになるだろうか。ファネル全体を見直したことはあるだろうか。ムーガン氏は、

コンバージョンの落ち込みがよく見られる場所を突き止め、その理由を詳しく調査する

ことを勧めている。

以下は、本来あるべきCROプロセスをまとめたものだ(やや簡略化しすぎているかもしれない)

  • 手順1調査する。
  • 手順2仮説を立てて、検証する。
  • 手順3対照を作成し、具体的な対処方法を考える。
  • 手順4実験する。
  • 手順5実験データを分析する。
  • 手順6追跡実験を行う。

この手順を実行するにあたっては、次の要素を必ず書き留め、再現できるようにしておいてほしい。

  • 仮説
  • テストの方法
  • 成功の基準
  • 分析の方法

HubSpotのチームは、以下のテンプレートを利用している。これは、ブライアン・バルフォー氏がReforgeで公開している成長プログラムの内容に触発されて作ったものだ。「Googleスライド」で作られた編集可能なテンプレートもあるので、コピーしてカスタマイズしてほしい。

テスト名称
テスト責任者
仮説 どのような観測結果からその仮説が導かれたのですか?
テストの説明 仮説を検証するために実施できる最小限のテストはどのようなものですか?
成功判定の基準 「このテストが成功したならば、(指標)が(増加)しているでしょう。その理由は(理由)」
労力: 小中大
p値(成功): 小中大
メリット: 小中大
カテゴリ: 容易 困難 短期間 長期間
スケジュール 最初の結果が得られるのはいつごろですか?
学んだこと この実験から何を学びましたか? 仮説は立証されましたか?

プロセスの最後の手順である「追跡実験」を忘れないこと。次のテストのために何を改良ができるのか、またどのように改良できるのかを考えてほしい。

×⑥×テストが「失敗」したらあきらめる。

筆者が受けたCROのアドバイスで特に重要なものの1つは、「何かが壊れてしまうまで、テストが“失敗”することはない。望みどおりの結果が得られなくても、何かを学べるのだ」というものだ。

このアドバイスをくれたのは、HubSpotのグロースマーケターであり、CRO責任者兼コピーライターを務めるサム・ウッドだ。筆者があるランディングページのテストで数か月間失敗を続け、何度も「失敗」という言葉を口にしていたときに、サムはこのようにアドバイスしてくれた。

テストが「失敗」することはない
何かを壊してしまうのでなければ。
望みどおりの結果を得るか、
何かを学ぶかのどちらかだ。

サムが教えてくれたのは、CRO的な物の考え方をするうえで重要な要素だ。

最初のテストだけであきらめていはいけない(2回目のテストでも、3回目のテストでも同じだ)。あきらめるのではなく、すべてのテストを体系的かつ客観的に実行し、テストの結果はこうなるはずだといったような過去の前提や希望は脇に置いておこう

ピープ・ラジャ氏が述べているように、「本物のCRO担当者は考えを変えることを厭わない」のだ。予想どおりにいかなかったテストから学び、仮説に変更を加え、何度もテストを繰り返そう。

◇◇◇

読者のみなさんがこの記事のリストから刺激を受け、CROのスキルを高める取り組みをさらに進め、より体系的なアプローチで実験を行うようになれば嬉しい。

コンバージョンレートの最適化をマスターするには、難しい学習を経なければならず、近道は存在しない。だが、筆者が説明したミスを避けることで、かなりの時間(とお金)を節約できるはずだ。

CROで何かミスを犯したことがあるだろうか。このリストに追加した方がいいと思われるようなCROのミスの例をご存知だろうか。独自の実験例やアイデアがあれば、ぜひコメント欄に書き込んでほしい。

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