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どうしたらバナー広告の価値を上げられると思う? Googleの解は、外部データ連携のバナー自動生成だ

クリック率3倍・クーポン利用率1.5倍。天気・気温・場所などからバナーを自動生成

バナー広告はウザいもの、仕方ない

ニーズに応えるなら、検索連動型広告を使えばいい

バナー広告というものは、クリック率が1%未満が当たり前で、基本的に「ユーザーにとって邪魔なモノ」という認識ではないだろうか。

しかし、グーグルはそう考えてはいない。

後藤 果奈 氏
グーグル株式会社
ブランドソリューション営業本部
担当部長

マイクロモーメントをデータでとらえてバナー広告の価値を上げ、よりWebユーザーに喜ばれる仕組みを作り、提供を開始したのだ。

デモグラフィック情報に加えて、天気、場所、降水量、花粉飛散量、POSデータなどなど、オフラインのデータを自由に取り込み、インプレッションごとに最適なバナー広告を自動的に作って配信する仕組みだ。

クリエイティブのパーツを用意しておけば、各データ状況に対応するパーツをリアルタイムに組み合わせて、数万種類のバナー広告を自動生成するこの仕組み。名称は、「リアルタイム・データドリブン・クリエイティブ(RDC)」。

実は日本のグーグルが主導して開発したこの新しい広告ソリューション「RDC」について、立ち上げや提供開始に携わったグーグルの後藤果奈氏に聞いた。

日本マクドナルドで2万5000種類のバナーを自動生成、CTRは通常の3倍

―― 「リアルタイム・データドリブン・クリエイティブ(RDC)」がどんなサービスなのか、わかりやすく教えてください。

後藤氏ユーザーごとに最適なバナー広告を表示する」ことをさらに進めた仕組みです。天候や気温、さらには花粉飛散量などのオフラインデータも含めて分析し、よりユーザーに価値を提供する、つまり喜ばれるバナーを自動的に作ることを目的としています。

2015年夏ごろに日本マクドナルドさんがこの仕組みを使って実施したキャンペーンの紹介動画がわかりやすいので、そちらをご覧いただくのが良いと思います。2分弱の短いムービーですので、すぐに終わります。

こちらは、結果として、CTRは通常のバナー広告の3倍を記録しましたし、クーポンの利用率は通常時の1.5倍でした。

バナーのCTRは通常時の3倍
クーポン利用率も通常時の1.5倍

この日本マクドナルドさんのキャンペーンでは、バナー広告が表示されるたびに、そのとき・その場所・その人向けのおすすめ商品のバナー広告を瞬時に生成して配信しました。

具体的には、

  • 全国にあるマクドナルド店舗のPOSデータ
  • 天候や気温
  • そしてユーザーの場所と時刻

といった情報を組み合わせて利用しています。

「いつどこで何が売れるのか」「どの天候のときは何が売れるのか」をリアルタイムで分析し、2万5000種類のバナー広告をインプレッションごとに自動生成して配信しています。

たとえば、次のようなものですね。

  • 夏の暑い日にビーチにいる人には、コーラを訴求

  • 月曜日の朝にビジネスエリアにいる人には、コーヒーを訴求(気温が高ければアイスコーヒーを)

  • 雨が降り出した地域には、雨宿りに適したポテトやチキンナゲットを訴求

  • 各地域でよく売れている新商品は、話題になっているうちに、その地域の人に訴求(大阪と東京では売れる商品が異なるため)

  • 花火大会がある時期には、クリエイティブに花火を差し込む

  • 夏で非常に暑いときには、海水浴関連のクリエイティブを入れる

バナーの生成は、さまざまなクリエイティブの「パーツ」を用意しておき、それらを組み合わせることで実現しています。

ちなみに、広告をクリックした先で表示されるランディングページも、バナーのクリエイティブと連動した独自のものです。

―― 日本のグーグルで作ったソリューションだと聞きましたが。

後藤氏 前述の日本マクドナルドさんや某スポーツメーカーさんなどでのキャンペーンニーズのために、試行錯誤して組み合わせて作ったものです。

日本マクドナルドさんでは、セットメニューのサイドメニューとドリンクの選択肢が2015年に拡大されました。1000通り以上のハンバーガー、サイドメニューなどの組み合わせから選べるようになったのですが、お客さまによっては種類が多すぎて悩んでしまわないかと。そこで、「最適なおすすめを自動的に出せないか」と相談を受けました。

その結果、「さまざまなデータを組み合わせて、自動的にバナー広告を生成する」という仕組みが完成しました。

システムとしては、RTBの入札とバナー自動生成をリアルタイムで実現しています。

実際、他社さまのキャンペーンでも試してみたところ、やはり良い結果が出たこともあり、一般の広告主さま向けのサービスとして提供を開始した次第です。

―― CTRが3倍というのは、すごいですね。

後藤氏 そうですね。でもこれは、特別な比較をしたわけではありません。

これまで実施していた、たとえば新商品として月見バーガーが出たときのものなど、通常のバナーの平均と比べて3倍のクリック率だったのです。

ちなみにクーポンの利用率が1.5倍というのは、「バナークリック」→「キャンペーンページ」→「モバイルアプリ」と移動した人が、実際にクーポンをレジで提示した率のことです。前年の平均値と比べて1.5倍という成績でした。

広告は「最適なタイミングで」「最適なメッセージを」「最適なターゲットに」届けることが大切だと言われます。

RDCが実現しているのは、まさにそれです。

場所や天気などリアルタイムで変わる環境に応じて最適なクリエイティブをその場でお届けします。ですので、RDCによって生成されたバナー広告を目にするユーザーは、「広告ウザい!」ではなく、「おっ、いいかも!?」という印象になる可能性が高まるはずなのです。

まるで、その人の横に商品の販売員さんがいて、その時にその方への一番のおすすめ商品をその場で考えて提示するような雰囲気ですからね。

まるで、その時その人に合わせて販売員さんが商品をおすすめするかのように

さらに言えば、グーグルがその重要度を強く訴えている「マイクロモーメント」をとらえる仕組みである点も重要です。

スマートフォンを利用しているユーザーが、たとえば「今日は暑いな」と思った瞬間や、「今日のランチ、どうしよう」と思った瞬間、そのタイミングでスマートフォンの画面を見ているときが、マイクロモーメントです。

そのマイクロモーメントに、場所と天候と気温と時間帯からその人の置かれている環境を推測し、最適なメッセージを届けるのがRDCなのです。

無料で、だれでも利用できるサービスとしてDoubleClickに実装

―― 一般向けのサービスとしてのRDCでは、具体的には、どんなデータをもとにバナーを自動生成できるのでしょうか。

後藤氏 RDCのサービス自体は、グーグルが提供している広告ソリューションの「DoubleClick」をベースにしています。

クリエイティブの自動作成に関わるトリガーは、大きく分けると3種類あります。

1つ目は、Googleが提供しているターゲティングメニューで、性別・年齢などの属性データや、興味関心といったオーディエンスデータ、さらには閲覧しているサイトのコンテンツ情報などといったものが使用可能です。

次に、RDCとして外部サービスのデータを利用した標準的な状況データをいくつか提供しています。天候や気温などをもとにした、「不快指数」「花粉飛散量」などの指標や、「洗濯」「ビール」などの商材向けの指標ですね。

さらに、外部データや広告主さまが保有しているデータを「Google Cloud Platform」に保存し、それを組み合わせて利用いただけます。つまり、CRMやPOSなどの自社データや、サードパーティのどんなデータでも利用できます。

  • Googleが提供するオーディエンスデータ
    • 性別
    • 年齢
    • 都道府県
    • インタレスト カテゴリ(興味・関心)
    • など
  • RDCが提供するインデックスの代表例
    
美容・身だしなみカテゴリ
 不快
 乾燥肌
 紫外線
ヘルスケアカテゴリ
 熱中症予防
 風邪引き
 花粉量
ライフスタイルカテゴリ
 洗濯
 星空
 天候
飲食カテゴリ
 ビール
 鍋もの
 アイスクリーム
  • その他のデータ(Google Cloud Platformに保存)
    • 自社データ
      • POS
      • 顧客行動
      • CRM
      • などなど何でも
    • サードパーティデータ
      • 気温
      • 天気
      • 降水量
      • 花粉飛散量
      • TV放送内容
      • などなど何でも

―― 自分でデータを用意しなくても、「紫外線」「花粉量」「天候」などのオフラインデータ指標を標準で提供しているのですね。

後藤氏 はい。気温や湿度といった標準的な天気情報は、外部のデータをグーグルとして契約し、すぐにご利用いただける形にしているものです。

―― 広告の配信先は?

後藤氏 自動生成したバナー広告は、グーグルが提供するDSPである「DoubleClick Bid Manager」(DBM)から配信できますので、DBMと接続している先に幅広く掲載できます。具体的には、Googleがリクルーティングをした広告ネットワーク在庫や、Ad Exchange経由で接続しているSSPさんですね。

RDCのサービス全体としては、次のようなコンポーネントを接続してバナー広告を自動生成する仕組みを構築しています。

  • ダイナミッククリエイティブの作成と管理を行う「DoubleClick Studio」
  • ダイナミッククリエイティブの広告配信を行う「DoubleClick Campaign Manager」
  • ユーザーの属性などを判別して広告の買い付けを行う「DoubleClick Bid Manager」
  • 社内データや外部データを保存して利用できるようにする「Google Cloud Platform」
  • RDC標準のデータとして提供する外部データ(グーグルが契約して利用)

―― 利用の条件や、利用料金は?

後藤氏 DoubleClick広告サービスのアカウントをお持ちの広告代理店を通じていただければ、どなたでもご利用いただけます

利用料金も、DoubleClickの通常の利用料金は発生しますが、RDCのための追加費用は一切いただきません。ただし、分析用のデータをGoogle Cloud Platformに保存しますので、そちらの利用料金は別途必要です。

そのほかにも、サードパーティのデータを利用される場合に、そちらの利用料が必要な場合もあります。

たとえば、天候データですと、OpenWeatherMapならば条件もございますが基本無料でお使いいただけます。ご使用になられる情報によっては有料のものもございますので、事前にご確認いただくことをおすすめします。

―― 日本マクドナルドさんの事例では、ランディングページもカスタマイズされていたようですが、これもRDCの機能でしょうか。

後藤氏 ランディングページをバナーのクリエイティブに合わせて変える仕組みは、残念ながらRDCの機能ではございません。

ただし、クリエイティブ生成パターンに応じてバナーのクリック先URLを変えることは可能ですので、サイト側で同じクリエイティブのパーツと条件で自動生成していただくことは可能です。

―― 天気連動のバナー切り替えなどはすでに他社サービスであるようですが。

後藤氏 RDCは、あらかじめ複数のバナーを用意しておくのではなく、さまざまなデータを取り込むことで、バナー広告のクリエイティブもリアルタイムに自動で生成することが特徴です。

また、あらゆるデータと組み合わせられることも特徴です。つまり、天候だけでなく、POSデータやCRMデータをデモグラフィックデータと組み合わせ、さらにはインタレスト カテゴリの情報からユーザーの趣味嗜好を判断するなども可能なのです。

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