トップページばかり気にするWeb担当者に喝! サイト構築は「導線」と「動線」で考える
トップページを中心とした自社サイトだけにフォーカスする視野の狭いWeb担当者や業者に喝!
インターネット全体を意識しなければ、お客さまにサービスを提供することはできない。
「Webサイトを作ってください」とWeb担当者は言うけれど
Webサイトを構築するということは、単に自社サイトを構築するのではなく、インターネットという巨大なメディアの中に、お客さまに有効な情報やサービスを提供するということである。
つまり、お客さまが問題解決するために必要な情報(コンテンツ)を提供するということ。
極論すれば、企業サイトにトップページはいらないということになる(スーパーブランドやキャンペーンサイトなどの特殊なケースは除く)。
お客さまは、問題解決のためにコンテンツを検索する。それは、企業のWebサイトを探しているのではなく、ソリューション(コンテンツ)を探しているのだ。
大企業なのか、中小なのか、個人なのか、そんなことは最初の段階では、関係ない。
お客さま自身の問題が解決できるかどうかが、最大の問題になる。
当然のように、SEOの知識や興味のあるWeb担当者は増えてきている。しかし、それは手法の話である場合が多い。
ここで、理解してもらいたいのは、SEOの話ではなく、御社のWebサイト構築の話なのだ。
対策ではなく、有効に機能するように検索エンジンに「寄り添う」こと。
それを理解すれば、検索エンジンは意地悪な存在ではなく、御社のサービスを有効に機能させる存在に変化する。さらにそれは、必要なコンテンツを明確にし、ユーザーインターフェイスにもヒントを与えてくれる。
集客のためのいい案ないかな?Web担当者A
ユーザビリティがだめなんじゃないの!?Web担当者B
とりあえず、トップページだけ直してみますか?Web担当者C
何をやらなければならないかは、ログを見れば一目瞭然なのでは?
そもそも成し得なければならないことが理解できていないから、こんな話になるのでは?
集客施策ならいろいろありますよ!制作会社A
ユーザビリティテストをやってUIを改善しましょう!制作会社B
トップページをもっと整理しましょう!制作会社C
たしかに、間違ったことは言ってないが、それがどれほど役に立つのか?
Webサイトは、お客さまの問題解決ツールである。しかも検索エンジンがスタートラインになる。
もちろん、いまの時代、検索エンジンだけでなく、ソーシャルメディアも顧客とのコンタクトポイントとしては大切だ。だがこの記事では、お客さまの「ニーズ」が強く顕在化している検索エンジンへの対応に焦点を当てる。
コンバージョンには大きく分けて次の2つが存在する。
- 検索エンジンから自社サイトへのコンバージョン
- 自社サイト内のコンバージョン
この2つのコンバージョンは、検索エンジンでのお客さまの行動がキーになっているのだ。
検索エンジンに寄り添うことは、お客さまに寄り添うこと。
検索エンジンがしてくれることは、お客さまの気持ちや行動を明確に教えてくれる。
検索エンジンに寄り添っているかどうかを確認するうえで、まずチェックしてもらいたいのが「導線」と「動線」である。
「導線」と「動線」とは?
「導線」とは、検索エンジンから自社サイトのコンテンツへの移動のこと
「動線」とは、自社サイト内での移動のこと
導線は企業側から見れば、「集客」と置き換えることができるかもしれない。
また、動線は「コンバージョン」と呼ばれる指針ではかられることが多い。
どちらの「ドウセン」も検索エンジンでのお客さまの動きを想像するところから始まる。
導線についていえば、SEO、SEM、LP(ランディングページ)など、さまざまなキーワードで呼ばれ、その重要性は、誰もが認知しているだろう。一方、動線についても、UIやUXなどのキーワードで呼ばれ、その重要性は十分に認知されているはずだ。
しかし、この2つの「ドウセン」の肝になるのは、検索エンジンでのお客さまの行動を示すものなのだ。
導線と動線は、ワンストップ(一括)で対応させてください!
どちらか片方だけでは、有効な成果を出しにくいのです……。
(制作会社の心の叫び)
導線と動線の確認のポイントと改善施策
まず、自社サイトの導線と動線が現状どうなっているかを確認してほしい。
導線の確認のポイントと改善施策
導線は、以下を確認する。
- トップページへの訪問者数と離脱率=a
- トップページ以外への訪問者数と離脱率=b
a > b なら以下の仮説が成り立つ。
- 社名でしか集客できていない
- 社名を知っている人しか訪問していない
a < b なら以下の仮説が成り立つ。
- 商品名やソリューションで集客できている
- 社名が訴求できていない(リアルでの告知)
リファラーなどで再確認してほしいが、この数値が現状のWebサイトの導線を明確に表している。
改善する場合のポイントは、a > bの場合は、ユーザーが検索するであろうキーワードに対応したページを複数作る。
それを複数ページ取りまとめた、ソリューションのリストページを作る。
これを繰り返して、bの流入を増やすことで、改善することが望ましい。
「LPページのこと?」とピンときた方は、そのとおりだ。
「コンテンツSEOの施策?」と思われた方、それも正解だ。
会社名を知らないユーザーを「商品名」「ソリューション」「ユーザーニーズ」などで集客する。そういう導線を作ることが必要だということである。
また、aの離脱率が50%を超えている場合は、ユーザーのニーズを検討して、それに応じたわかりやすい入り口を設け、トップページ自体をシンプルにすることをお勧めしたい。
bの離脱が50%より多い場合は、コンテンツそのものを見直す必要がある。
ただし、「ソリューション」「ユーザーニーズ」のページは、対応できる提案が企業の持つサービスや商品に依存するので、そもそも離脱を削減することが難しい場合も多い。
動線の確認のポイントと改善施策
動線は、以下を確認する。
- トップページからコンテンツ(詳細ページなど)へのコンバージョン=A
- リストページからコンテンツ(詳細ページなど)へのコンバージョン=B
- コンテンツ(詳細ページなど)からコンテンツ(詳細ページなど)へのコンバージョン=C
- コンテンツ(詳細ページなど)から出口ページ(カート、お問い合わせ、地図、資料ダウンロードページなど)へのコンバージョン=D
また、動線に関して、コンバージョンの数値により、以下の順で改修を行う。
まず、 D のコンバージョンを上げる施策を行う。
- コンテンツ内容を改修する
- リンクボタンなどの位置、サイズ、色などを変更する
次に C のコンバージョンを上げる施策を行う。
- ページ下部に横渡のコンテンツリストを設ける
- パンくずナビを下部に設ける
- コンテンツの一覧を常に下部に設置する
- 類似コンテンツを下部に表示する
次に B のコンバージョンを上げる施策を行う。
- 一覧などのリスト以外に、ソリューション切りのリストを用意する
- お客さまの理解できる言葉でリストを作成する
- 写真などを利用したリストにする
最後にA のコンバージョンを上げる施策を行う。
- 訪問者のニーズに対応したコンテンツ領域にする
- お客さまに最適化されたレコメンドをする
これらの数値から生み出された仮説をもとに、検索エンジンでのお客さまの行動を想定して、導線と動線の改修を行う。これを繰り返すことで、検索エンジンと共にあるサイトに最適化されていくはずだ。
もちろん、コンテンツそのものが、お客さまに最適化されていることが必要なのは、言わずもがなである。
また、これまでこの連載で、何度もお話ししている「ユーザー体験シナリオ」も有効に活用してほしい(特に以下の記事が参考になる)。
- まっとうなWebサイトにはSEOなど不要! 検索エンジンよりもユーザーを思うべし(Web担当者Forum)
※ユーザー体験シナリオの概要を紹介 - コンテンツマーケティングはWebサイト制作の本質。小手先のSEOのように丸投げで済むと思うな!(Web担当者Forum)
※ユーザー体験シナリオを詳細に解説
本日のまとめ
自社サイトは「インターネット」の中のコンテンツであり、巨大な目次の中の1コンテンツに過ぎない。
だから「検索エンジンと共にあらんことを!」
それこそが、お客さまへの一番有効な対応なのだ。
すべては、お客さまの問題解決のために!
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