生田昌弘の「Web担当者に喝!」

無料のCMSなら、Web構築も安くて簡単にできると思うのは大間違い!

Webサイトの構築コストとは、CMSツールのコストとは無関係。どんなWebサイトを構築するか、ユーザーのニーズにどれだけ応えるかによって決まる
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無料のCMSツールを使えば、Webサイトの制作も安く簡単にできると考えるWeb担当者に喝!

ツールが安くて簡単だからといって、Webサイトの制作が安くなるわけではないし、お客さまにより良いサービスを提供できるわけではない。

「無料のCMSツールを利用して、早く安くWebサイト構築をお願いします」とWeb担当者は言うけれど

簡単に使えることが特徴のCMSツールを売り込むために、Webサイト制作も安く簡単にできるかのように説明するCMSベンダーの言葉をうのみにしてはいけない。

顧客のニーズに対して有効に機能するWebサイトは、そう簡単に作れるものではない。それは、どんなツールを使おうと、同じだ。

CMSツールの導入や学習の手間暇を考えると、構築から運用までの全体コストに占めるツールのコストは、決して大きくない。構築したい顧客体験を実現するための調査や設計にもコストはかかる。

無料のCMSツールなら、早く安くWebサイト構築できますよ!

このような訴求メッセージが、制作会社を非常に辛い状況に追いやっていることを理解していないのだろうか。

国内のCMSベンダーは、制作会社も兼ねているところが多い。にもかかわらず、自ら率先して、「ツール代が節約できる!」「HTMLを書かずに済む!」「制作が簡単になる!」と告知をしている。

これを紙媒体の制作に置き換えると、「印刷が安く簡単にできる」というような話だ。それももちろん意味はあるが、誌面の内容とは無関係、つまり本質的なWebサイト構築とは、まったく別の話である。

中身となるコンテンツを、誰にどのように提供するのかが、制作会社の腕の見せどころのはず。それなのに、制作会社自身が、制作の価値をおとしめてどうするのか。そもそも、この制作会社にとっては、HTMLの制作がWebサイト構築なのか。

無料のツールを使えば、全体のコストを安く抑えられますよね?
Web担当者A
誰でも使える無料ツールなのに、なぜこんなに開発費がかかるのですか?
Web担当者B
なんでバージョンアップやパッチ当てで追加のコストが発生するの?
Web担当者C

印刷の話をコンテンツ制作者にされても困る。

ツールは無料でも、コンテンツまで無料で作られるわけではない。お客さまに最適なWebサイトを構築するためのコストは、ツール以外にも必要なのだ。

さらに、ツールそのもののメンテナンスも必要だが、無料のツールは制作会社にその負担がかかりがちだ。無料のツールにプラグインを組み合わせて、無理して頑張っても、理解されない。セキュリティ上の不備があって困るのは、Web担当者やその企業である。

しかし、Web担当者がこんなことを言いたくなる原因は業者側にある。

誰でも簡単にWebサイト構築が可能です!
CMSベンダー
初心者でもテンプレートまで作れますよ!
CMS開発会社
運用の悩みが一発で解決します!
CMS販売代理店

このような、ツールの一面だけをとらえた言葉が、Web担当者の誤解を生むのだ。

CMSベンダーのみなさん。自分たちのツールを売りたいばかりに、Web構築の価値すらおとしめていることに気付いてほしい。

コンテンツの内容は?

誰に対して作るのか?

素材は誰が用意?

集客は?

これらを解決するのが制作会社であり、Webサイト構築だ。ブログツールレベルで、企業のWebサイトの問題を簡単安価に解決できるような告知はやめてくれ!

(制作会社の心の叫び)

CMSとは概念であり、「運用ツール」はその一面

「CMS」(コンテンツ・マネジメント・システム)とは、ほとんどの場合、運用や運営を楽にするためのツールだと考えられている。しかし、実のところCMSとは概念であり、「運用ツール」という役割はその一面を表しているだけに過ぎない(この連載で何度も伝えてきたことだ)。

CMSという概念は、Webサイト構築を行ううえで必修の考え方だ。もちろん、この考えを導入することによって起こることの中に、「運用・運営が楽になる」というメリットがあることも否定はしない。

それを踏まえたうえで、CMSとは、ユーザーであるお客さまの問題解決のため、つまりサービス向上に利用されるべき概念であり、ツールでなければならない

たとえば、「商品情報や価格、その他のコンテンツをデータベースで一元管理し、お客さまのニーズに合わせてリアルタイムかつ動的にページを生成していく仕組みを作ることでサービス向上につなげる」といったようにだ。

これによって、お客さまは自身の問題をより早く、より正確に解決できる。満足体験を現実のものとするにはなくてはならないものである。CMSツールの導入が目的ではなく、この考え方こそがCMSなのだ。

異なるユーザーニーズに的確に応えるWebサイトで、さまざまなユーザーを問題解決に導き顧客満足度を向上する

CMSツール導入による運用・運営が楽になるという副次効果も、担当者がユーザー対応やより良い問題解決になるコンテンツの制作に時間を割けるようになるなら、そこで初めて「Webサイト構築に有効」だといえる。

戦略的なコンテンツの管理によって、ユーザーとの情報コミュニケーションを実現する。顧客に対し、すばやく、的確な情報提供ができるサポート体制も重要

CMSツールは“ただの箱”

CMSツールは、“ただの箱”である。

もちろん、安くて、使いやすいに越したことはない。ただしそれは、Webサイト構築とはまったく別の問題ということだ。

One to Oneをやりたい、お客さまへのサービスレベルを上げたい、そのためにはコンテンツの一元管理をしなければ、それが成し得られない。
だからCMSツールを利用して、お客さまへのサービス向上のためにコンテンツ管理の基盤を作ろう。

こんなことを考え、Webサイト構築にCMSツールを利用するならば、CMSツールは有効に機能するだろう。そうなれば、CMSツールに求められる機能も明確になるので、選定も楽だ。

CMSツールはただの箱。どんな箱が最適なのかは、箱の中に作り上げるWebサイトそのものを検討することで見えてくるのだ。

無料だからという理由で選定し、そのツールでできる範囲でやることを考えるのは、本末転倒というもの。まず、Webサイトを利用するお客さまに成し得るべきことがあり、そのために必要なツールを検討する。この原則を忘れてはならない。

CMSはどこへ行く?――制作会社への提言

制作者は、クライアントの要望に応えようと、無料のツールに大量のプラグインとカスタム開発で何とかしようと努力する。まじめな制作者であればあるほど、がんばってしまう。

そんな状況では、バージョンアップもパッチも怖くて当てられない。だからセキュリティなんて、言ってられなくなる。

クライアントからは、「素人でも作れるツールを使って、なぜこんなにコストがかかるのか?」と言われてしまう。

世の中のCMSプロジェクトの多くが、制作者が頑張れば頑張るほど、悪い方向に向かうといえる。

制作会社のみなさん。「安くて簡単!」と告知されているツールは、使わないようにしないか。

それよりも、クライアントのやりたいコトを実現できる最適なCMSツールを選択しようではないか。

無料のツールでも、有料のツールでも、クライアントが求めるWebサイト構築を実現するためには、全体で相応のコストがかかるはずだ。

ツールの費用だけを浮かすために無料のツールを採用して、必要な機能を追加で開発するくらいなら、最初からその機能を備えている有料ツールを使うほうが、結局のところ早いし安く済む

クライアントの要望に応じて、Webサイト構築のコストは決まる。

その要望に最適なツールを使うのが、一番コストパフォーマンスが高いことを、制作者は心しなければならない。

本日のまとめ

Webサイト構築は、お客さまへのサービス提供。

CMSツールは、Web構築を簡単にしてくれるわけではない!

Webサイト構築とは、単にCMSツールを適用することではない。

すべては、お客さまの問題解決のために!

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