サイト内検索のデータ分析から成果を伸ばした&問題を解決したケーススタディ2件(後編)
Googleアナリティクスでのサイト内検索の分析を解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、サイト内検索の分析からサイトの改善に至ったケーススタディ2件を見ていこう。→まず前編を読んでおく
サイト内検索のデータを利用してサイトを改善したケーススタディ2件 ―― サイト内検索をアクションにつなげる
前編で紹介したサイト内検索レポートだけでは抽象的過ぎるかもしれない。実際に適用された例を見るほうが理解しやすい場合もあるだろう。
そこで以下では、サイト内検索データを具体的にどう使って、意味を持つ行動へとつなげていくか、2件のケーススタディで紹介しよう。
- 検索されているけれどもコンテンツがないキーワードに対応したコンテンツを作って成果アップ
- 他メディアで実施しているキャンペーンのLPをわかりやすく示して迷子を解消
という、2つの事例だ。
ケーススタディ1 検索されているけれどもコンテンツがないキーワードに対応したコンテンツを作って成果アップ
サイト: ポップカルチャーのパブリッシャー(オンラインのみ)
マーケティングチャネル: SEO、ソーシャル、コンテンツ
問題点:
このサイトでは、ニッチ分野のポップカルチャーの有名人を話題にしたブログを毎日5~8件アップデートして、トラフィックを得ている。
11月にトラフィックが停滞し、その後に減少し始めた。
調査:
このサイトは、他サイトではほとんど取り上げられていないニッチ分野の有名人に関するコンテンツを作成することで成功している。それによって、SERPでも、熱心なソーシャルメディアファンの間でも、独占的な地位に立てた。
さらに詳しく調べると、ソーシャルトラフィックが確実に減少している一方で、オーガニック検索トラフィックは前月からほぼ変わっていないことがわかった。
徹底的なコンテンツ分析を行った結果、同じニッチ分野の有名人について作成されているコンテンツが増えていることが分かった。ソーシャルおよびオーガニックトラフィックが徐々に減少していたのは、これが原因だった。
このサイトはコンテンツの枯渇に苦しんでおり、ライターたちは同じトピックを何度も取り上げていた。
トラフィックを増やすには、ニッチ分野の新たな有名人を中心としたコンテンツを作成して、取り組みの幅を広げる必要があった。
対応策:
サイト内検索キーワードのレポート([行動]>[サイト内検索]>[サイト内検索キーワード])で、訪問者がサイト上で探している情報を調べた。
訪問者が探していたのに検索結果が表示されなかったコンテンツを確認した。
このリストをExcelに取り出し、レポートで見つかった検索キーワードに基づいてライターたちに新しいコンテンツを作成してもらった。
結果:
この戦略を開始すると、サイトに次のような驚くべき成果が現れた。
- トラフィックが前月比で201.05%増加
- ページビューが前月比で210.99%増加
- セッション時間が3.30%増加
- セッション時間が3.15%増加
- 直帰率が4.75%低下
まさに右肩上がりだ!
ケーススタディ2 他メディアで実施しているキャンペーンのLPをわかりやすく示して迷子を解消
サイト: オンライン旅行サイト
マーケティングチャネル: SEO、PPC、メール、ソーシャル、コンテンツ、ディスプレイ、テレビ、ラジオ、紙媒体
問題点:
クライアントのサイト上では、サイト内検索数が前月から大幅に急増したが、サイト内検索後の行動に関する指標がパッとしなかった。
検索ボリュームと検索率は、ともに前月の2倍近く(検索ボリュームは3万5457から6万5032件、検索率は4.37%から8.56%)になった。
調査:
詳しく調べると、サイトのトラフィックが前月比で4万件増加していた。セグメント化したところ、この増加はもっぱらオーガニック検索のトラフィックだった。
Googleアナリティクスの[ランディングページ]レポートの「自然検索トラフィック」セグメントで、トラフィックが増加したページを調べた。
([行動]>[サイトコンテンツ]>[ランディングページ]に「自然検索トラフィック」セグメントを適用)
すると、前月から増加したトラフィックは100%トップページに向かっていた。
これは異常だ。というのも、オーガニック検索トラフィックの80%は通常、トップページではなく、サイト内の深い階層に向かうからだ。
次に、Google Search Console(サーチ・コンソール、旧称:Googleウェブマスターツール)の検索アナリティクスレポートで、トラフィックの増加を招いているキーワードを調べた。
(Google Search Consoleのホームページ>[検索トラフィック]>[検索アナリティクス])
Google Search Consoleの分析では、増加の原因が、ブランド名を含むキーワードと「プレゼント」という言葉で構成されるクエリにあることが分かった。「クライアント名 プレゼント プロモーション」や「クライアント名 プレゼント」などといったキーワードだ。
対応策:
クライアントに調査結果を報告したところ、メールのリードを生み出すそうとして、プレゼントを前面に出した一連のオフライン広告を打っていた。
注: 大企業では、従業員、代理店、契約業者、コンサルタントを使って、複数の取り組みをさせていることが多い。取り組み間の連携が取れていない場合も珍しいことではない。
プレゼントに関する記述は、直接入力しない限り見つけにくいランディングページにあった(www.example.com/presentなど)。
クライアントに対し、トップページにCTA(Call to Action:行動喚起)を追加し、そこからプレゼントページにリンクするようアドバイスした。
結果:
- 検索を伴うセッションは10%近く減少
- 結果のページビュー数/検索は6. 45%増加
- 平均検索深度は9. 01%増加
- 最も重要なのは、ユーザーがプレゼントページを見つけられたことだ。メールのリードは245%増加した!
最後に
適切にマイニングすれば、サイト内検索のデータからは、ウェブコンテンツ、デザイン、検索エンジン最適化の取り組みを大幅に改善するために必要な情報が得られるだろう。
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