初代編集長ブログ―安田英久

日本人のメディア利用行動がまるわかりになる調査の最新版――年代別にソーシャルもモバイルも

総務省「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」は、マーケティングに携わる人には必見の資料
Web担のなかの人

今日は、ソーシャルもモバイルもガラケーも、日本人のメディア利用行動が年代別にまるわかりになる調査「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の情報をお届けします。マーケティングに携わる人には必見の資料です。

総務省情報通信政策研究所が、「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」を5月19日に発表しました。

スマートフォンの普及などにより利用が進んでいるソーシャルメディアなどのインターネット上の新しいメディアと、テレビ、新聞といった従来型のメディアについて、利用時間の長さ・時間帯、利用者の割合、利用目的及び信頼度などを把握し、メディア間の関係を明らかにすることなどを目的とした調査です。

平成24年から継続的に実施されており、今回が3回目。

急激に変化している消費者のメディア接触行動を把握するのに、非常に価値がある調査ですので、すでにご覧の方も多いかと思いますが、ポイントをピックアップしてお届けします。

ガラケー利用者はいまだ33%


3-2 モバイル機器によるインターネット利用時間の増加
・モバイル機器からのインターネット平均利用時間は50.5分。平成24年比で34%増加。
・スマートフォン(スマホ)利用者に限ったスマホからのインターネット平均利用時間の増加(67.3分→68.8分→73.0分)よりも、モバイル機器全体からのインターネット平均利用時間の増加(37.6分→43.2分→50.5分)が大きい。フィーチャーフォンからスマホへの移行の進展が影響

スマホ全盛で全員がスマホを使っていると思いがちですが、ガラケー(フィーチャーフォン)の利用者は減少が激しいものの、いまだ33.4%います。

とはいうものの、過去3年のデータを並べて見ると減少の傾向が激しいのは間違いないですが。

ネット利用時間はすでにモバイルからが多数、休日は50代も

3-1 主な機器によるインターネット利用時間と行為者率②平成26年年代別
・10代及び20代のモバイル機器によるインターネットの平均利用時間は、全年代平均の2倍程度と著しく長い。
・パソコンによるインターネット利用の行為者率は、20~50代に着目すると、平日30%前後、休日は21.7%~28.6%。
・今回調査では、休日の10代タブレットネットの行為者率が10.0%、20代及び30代のテレビネット行為者率が2.3%及び2.1%と若干高い。

「モバイルファースト」「モバイルが重要」といいますが、インターネット利用時間をみると、まさにモバイル全盛だというのがわかります。

平日は10代~30代までモバイルによるネット利用がPCによるネット利用時間を大きく上回っています。休日ではさらに50代までモバイルのほうが長いですね。

10代と20代はメールよりもソーシャルを使う。40代もソーシャル利用が伸長


2-4 ソーシャルメディア利用とメール利用との比較(経年年代別)
・10代及び20代のソーシャルメディア利用の行為者平均時間が長く、行為者率も高い。(10代平日:117.4分、50.7% 20代平日:91.1分、56.3%)
・10~30代は、メール行為者率の下落傾向、ソーシャルメディア行為者率の上昇傾向が続き、メールからソーシャルメディアへコミュニケーション手段の移行が進展注。40代はソーシャルメディア行為者率が前年倍近くの26.7%に上昇

コミュニケーションメディアとしてソーシャルが伸びていますが、10代と20代は、すでにメールとソーシャルの利用時間が逆転しています。

ビジネス利用が関係しているのか、慣れの問題なのかはわかりませんが、30代以降はまだメールのほうが多いようです。ただし、40代のソーシャル利用が伸びているのは大きな変化ですね。

Twitterは10代と20代に強く、Facebookは20代に強い

5-1 主なソーシャルメディアの利用率①平成26年
・主なソーシャルメディア(LINE」「Facebook」「Twitter」「mixi」「Mobage」「GREE」「Google+」「YouTube」「ニコニコ動画」「Vineの10のサービス)を列挙し、それぞれ利用の有無を尋ねた。
・その結果について、それぞれのサービスの利用率並びに7つ(LINE」「Facebook」「Twitter」「mixi」「Mobage」「GREE」「Google+)のいずれかを利用する率、経年比較のため前述の7つからGoogle+を除いた6つのいずれかを利用する率※及び今回から調査対象とした動画を主としたサービスであるYouTube」「ニコニコ動画」「Vineの3つを含む10のいずれかを利用する率を算出。
・多くのサービスにて20代、特に20代女性の利用率が最も高い。

「LINE」「Facebook」「Twitter」「mixi」「Mobage」「GREE」「Google+」「YouTube」「ニコニコ動画」「Vine」の利用率をみると、Twitterは10代と20代の利用率が高く、Facebookは20代の利用率が高いことがわかります。

Google+の利用率が全年代でそれなりにあるのが意外ですね。

女性10代~20代はソーシャル漬け、ソシャゲ好きは男性10代~20代、男性40代~50代はメール

2-1 インターネットの利用項目別の平均利用時間(平成26年年代別・男女別あり)
・ソーシャルメディアは、女性の方が平均利用時間が長くなっており(60代除く)、平均利用時間の長い若年層でその差が顕著。20代女性の平均利用時間は平日63.9分、休日69.6分と、20代男性の1.5倍。
・動画系サービス(VODを見る以外)及びオンラインゲーム・ソーシャルゲームの平均利用時間は男性の方が長い。 男性10代及び20代において、他の年代よりも平均利用時間が長くなっている。

ネットで何をしている時間が長いのかを調べた項目も、かなり興味深いです。

男性40代と50代では、平日のメールの利用時間が他と比べて非常に長いことがわかります。

女性10代と20代は、平日も休日もソーシャル漬けですね。利用時間の長さが顕著です。

男性10代と20代は、休日にソーシャル・動画・ソーシャルゲームをやりまくっていますね。これでは外に出て遊ぶ時間がありませんね。

10代と20代はテレビよりもネットの利用時間が長く、テレビを見ない人も3割弱?

1-1-1 主なメディアの利用時間②平成26年年代別
・テレビ(リアルタイム)視聴及び新聞閲読の年代別の平均時間及び行為者率は、平日休日ともに 概ね年代が上がるにつれ長く又は高くなっている。(前回平成25年以前の調査と同様の傾向)
・インターネットの年代別の平均利用時間及び行為者率は、20代を頂点に年代が上がるにつれ減少。(前回以前の調査と同様の傾向)

年代ごとのメディア(テレビ視聴・テレビ録画視聴・ネット・新聞)利用時間をみると、10代と20代ではネットの利用時間のほうが、テレビよりも長くなっています。

とはいうものの、それらの年代でもテレビの利用時間がネットと比べて極端に短いというわけではないのですが、テレビのリアルタイム視聴の行為者率が70%強だというのは、なかなか衝撃的です。

趣味・娯楽とニュースの情報はネットが優勢に

6-1 目的別の利用メディア
・概ねいずれの目的でも、20代がテレビを最も利用する率が低く、年代が上がるにつれてテレビを最も利用する率が高くなる。
・平成25年の結果と26年の結果とを比較すると、大まかな傾向は変わらないものの、テレビを最も利用する割合が減少傾向、 インターネットを最も利用する割合が増加傾向にある。 30代の「いち早く世の中のできごとや動きを知る」の最も利用するメディアでは、インターネットがテレビを逆転。

目的別にどのメディアを利用するかの調査では、「趣味・娯楽」やニュースの情報を得るのにネットを使う率が高くなっているいっぽう、「信頼できる情報」ではネットの比率が下がっているのがおもしろいところです。

ネットの情報は信頼性が低い(ただしニュースサイトは除く)

7-2-1 メディアの信頼度
※それぞれのメディアのうち、信頼できる情報がどの程度あると思うかの回答を「全部信頼できる」「大部分信頼できる」「半々くらい」「一部しか信頼できない」「まったく信頼できない」の5件法で求めた。集計にあたっては、「全部信頼できる」「大部分信頼できる」と回答したものを「信頼度」として合計。
・「信頼度」は全年代では新聞が一番高く、70.6%であり、テレビが67.3%と続く。インターネットは31.5%。 前回調査までと比較し、メディア間の傾向には大きな変化は見られない。
・普段新聞を読まない者も、新聞への信頼度が60%。利用の有無等にかかわらずメディアイメージとしての信頼度が高い可能性。

メディアの信頼度に関する調査では、過去3年間で大きな動きはなく、最新調査のデータでは新聞70.6%、テレビ67.3%、ネット31.5%。

ただし、別調査(7-2-2 テーマ別の各メディアの信頼度)にもあるように、ニュースサイトの信頼度は50%~70%と高いものの、ソーシャルメディアやブログ、動画サイトといったネットメディアの信頼性は15%~30%と低くなっています。

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