ソーシャルメディア白書2012 ハイライト

炎上リスクの高い行動が多いのはTwitterとmixi、ユーザーのリスク意識と行動を調査 | ソーシャルメディア白書2012 ハイライト #5

サービスによって投稿の公開範囲、リスクに対するユーザー意識に大きな違いがあることがわかりました
ソーシャルメディア白書2012 ハイライト

この記事では、一般消費者1万人と企業400社への調査データから、日本のソーシャルメディアの利用実態を明らかにした、書籍『ソーシャルメディア白書2012』のなかから、Web担の読者向けに注目データをピックアップし、全9回にわたってお届けします。

この記事で紹介しているデータのハイライト
  • 実名公開率の高いFacebookユーザー
  • 「投稿を全体に公開している」Twitterユーザーと
    クローズドなコミュニケーションを好むmixiユーザー
  • 「個人情報」や「誹謗中傷」に対する高いリスク意識
  • リスクの高い行動を取るユーザーが比較的多いTwitterとmixi

実名公開率の高いFacebookユーザー

各ソーシャルメディアサービスの実名・ニックネームの利用状況を調査するために行った、「あなたが利用しているソーシャルメディアでは、あなたの名前・ニックネームはどの様に公開していますか」という質問に対する回答結果をまとめたものが図1です。回答から、まずFacebookは「実名を公開している」ユーザー比率が64.8%と、他のサービスに比べて非常に高いことがわかります(他サービスではmixiの12.5%を除きすべて10%未満にとどまっていました)。なお、Facebookはユーザー登録を「実名」で行うことを規約で定めています。

6つの主要コミュニケーションサービス(Blog、Twitter、mixi、Facebook、GREE、mobage)の中では、mixiは「親しい友人にしかわからないニックネーム」を利用している比率が54.9%と高く、「実名を公開している」の12.5%を合わせると、67.4%のユーザーは親しい友達にとって認識可能な名前を利用しています(Facebookでは2つを合わせると81.4%)。それに対し、Blog、Twitter、GREE、mobageは「親しい友人にもわからないネット上のニックネーム(匿名)」のユーザーが過半数を占めていました(Blog:56.1%、Twitter:52.1%、GREE:64.2%、mobage:64.4%)。

前回の記事で解説した通り、Twitter、GREE、mobageにおいては「会ったことがない人」とネットでコミュニケーションを行う傾向が高いため、サービス上で利用している名前もネット専用のものを利用していると考えられます。

図1 主要コミュニケーションサービスにおける、実名・ニックネームの利用状況
図1 主要コミュニケーションサービスにおける、実名・ニックネームの利用状況
『ソーシャルメディア白書2012』(翔泳社)(c)2012 Tribal Media House, Inc. & Cross Marketing Inc.

「投稿を全体に公開している」Twitterユーザーと
クローズドなコミュニケーションを好むmixiユーザー

続いて、「あなたが利用している以下のソーシャルメディアでは、あなたの投稿はどの位の範囲に公開していますか。」という質問に対する回答をサービス別にまとめたものが図2です(ただし、Twitterについては「投稿内容を友達の友達まで公開する」ことができないため、該当選択肢についての回答率は0%となっています)。

図2の調査結果を見ると、サービスによって投稿の公開範囲設定状況が大きく異なることがわかります。mixi以外のサービスでは「投稿内容は全体に公開している」と回答したユーザーが最も高く、その中でもTwitterは77.8%と非常に多くのユーザーが投稿を全体に公開しています。

一方、mixiでは「投稿内容を全体に公開している」ユーザーは33.1%にとどまり、「投稿内容は友人まで公開している」ユーザーの割合が45.9%と最も高くなりました。さらに、19.3%のユーザーが公開範囲を友達の友達までに設定しており、親しい友達との“クローズド”なコミュニケーションを望むユーザーがmixiには多いことがうかがえます。

図2 主要ソーシャルメディアにおける投稿の公開範囲設定
図2 主要コミュニケーションサービスにおける投稿の公開範囲設定
『ソーシャルメディア白書2012』(翔泳社)(c)2012 Tribal Media House, Inc. & Cross Marketing Inc.

「個人情報」や「誹謗中傷」に対する高いリスク意識

「あなたは以下のソーシャルメディアを利用する際、気をつけていることはありますか?」という、リスクとなり得る投稿への意識を問う質問に対する回答結果をまとめたものが図3です。「自分の個人情報を投稿しない」「他人の個人情報を投稿しない」「誹謗中傷をしない」の3つに注意しているユーザーの割合が高いことがわかります。サービスによる違いはあるものの、約35%~55%のユーザーがこの3点について気をつけていると回答しました。また、6つの主要コミュニケーションサービスの中では、Blogユーザーのソーシャルメディア利用におけるリスクへの意識が最も高いことがわかりました。

図3:主要ソーシャルメディアにおけるリスクへの意識
図3:主要コミュニケーションサービスにおけるリスクへの意識
『ソーシャルメディア白書2012』(翔泳社)(c)2012 Tribal Media House, Inc. & Cross Marketing Inc.

リスクの高い行動を取るユーザーが比較的多いTwitterとmixi

図4は「あなたはソーシャルメディア(Twitter、mixi、Facebook)で以下のような投稿・会話をしたことがありますか」という質問に対し、「よくする」あるいは「たまにする」と回答したユーザーの割合を示しています。リスクの高い行動を取ることがあるユーザーの割合は、Twitterとmixiで比較的高く、「知人や同僚にだけわかるような隠語を使って会話をする」「仕事に関することを投稿する」「仕事上の悩みや愚痴を投稿する」のことを、それぞれ15~18%程度のユーザーが行っていることがわかります。

図4:リスクの高い行動の実態(Twitter、mixi、Facebook)
図4:リスクの高い行動の実態(Twitter、mixi、Facebook)
『ソーシャルメディア白書2012』(翔泳社)(c)2012 Tribal Media House, Inc. & Cross Marketing Inc.
◇◇◇

ソーシャルメディア白書2012からのデータ紹介、第5回は「ソーシャルメディア利用とリスク認識」について紹介しました。

ソーシャルメディアの利用方法は、サービスの特性によって大きな違いがあることがわかりました。具体的にはFacebookは実名で利用されることが多く、Twitterは投稿を全体に公開しているユーザー比率が非常に多い、mixiはクローズドなコミュニケーションを好むユーザーが多いなどといった違いがありました。

また、リスクに対する意識は、サービスとしての歴史が他に比べ長いBlogユーザーは高い意識を持っている一方、Twitterとmixiのような比較的新しく、かつすでに多くのユーザーに利用されているサービスはリスクの高い行動を取るユーザーが多くなってしまっていることもわかりました。Facebookについては特に危険な行動を犯すユーザーが多いとは言えませんでしたが、今後ユーザー層が拡大する中で増加していく可能性があると思われます。

ここ最近頻発しているソーシャルメディア上での炎上を通じて、ソーシャルメディアの利用に関するユーザーリテラシーが早期に向上していくことが望まれます。

次回は「ユーザーとブランドとのコミュニケーション」について紹介していきます。

調査概要
  • 調査目的:一般消費者のSNS利用状況の把握
  • 調査期間:2011年10月3日(月)~2011年10月10日(月)
  • 調査手法:インターネット調査(クロス・マーケティング アンケートモニター)
  • 調査対象:全国15~69歳までの男女
  • サンプル数:10,715サンプル
10代20代30代40代50代60代
男性38792410899381105905
女性37088610539281141989
回収サンプル数
『ソーシャルメディア白書2012』
ソーシャルメディア白書2012 ハイライト
著:株式会社トライバルメディアハウス、株式会社クロス・マーケティング
出版社:翔泳社
定価:9,800円+税

日本では本格的なソーシャルメディアに関連したデータ集が圧倒的に不足しており、提案の現場では海外調査データや簡易的なウェブ調査などが多数引用されている状況である。そこで本書は、消費者や企業のソーシャルメディアの日本での利用実態を多様なデータとともに明らかにする。今後、ソーシャルコマース、ソーシャルCRM、ソーシャルゲームなど、さらにソーシャルメディアは存在感を増していくなか、本当に使えるデータを網羅する!

『ソーシャルメディア白書2012』の購入はこちらから。

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