301リダイレクトとは/リダイレクトはSEOには諸刃の剣――301/302のサイトを活かす使い方・殺す使い方
検索順位が上がるのを期待してリダイレクトを設定したのに、何も起こらなかった。そんな経験はないだろうか? あるいは、さらに悪いことに、トラフィックを減らしてしまったという人は?
301(恒久的に移動)リダイレクトは、正しく使えばごちゃごちゃしたアーキテクチャをすっきりと整理し、古くなったコンテンツの問題を解決し、ユーザー体験を向上させるという力を発揮する。それでいて、リンク資産や順位獲得能力はそのまま維持できる。
ただし、使い方を間違えると悲惨な結果をもたらしかねない。
グーグルは2012年から、質の低いリンクに対する取り締まりを強化した。このため、301リダイレクトの誤った使い方によってダメージを受ける可能性が大きく高まった。
さらに、グーグルが関連性のないリダイレクトの取り扱い方を若干変更したという証拠もある。
こうしたことから、301リダイレクトを正しく実装することの重要性、以前にも増して高まっている。
セマンティックな関連性についての基礎知識:「完璧な」リダイレクトの分析
完璧な301リダイレクトとは、単にコンテンツの「アドレス変更」として動作するものだ。つまり理想としては、URLだけが変更され、それ以外の「コンテンツ」「title要素」「画像」「レイアウト」といったページ要素はすべて変更されずに維持されることを意味する。
テストやグーグルの発言から、正しく使用した301リダイレクトでは元のリンク資産のうち85%程度が引き継がれることが知られている。
301リダイレクト先の新しいページを元のページと完全に一致させなくても、リンク資産は引き継がれる。だが、問題が生じる場合もある。それは、ウェブ管理者が301リダイレクトを使って関連性のないページにリダイレクトしたときだ。
というのも、元のコンテンツとリダイレクト先のコンテンツの間で意味的な関連性が薄ければ薄いほど、リダイレクトで引き継がれるリンク資産の割合も減少する傾向があるからだ。
たとえば、「ラブラドルレトリバー」に関するページを「犬」に関するページにリダイレクトするのは、理にかなっている。けれども、「ラブラドルレトリバー」に関するページを「タコス」に関するページにリダイレクトするのは、意味がない。
このようにリンク価値が下がるのはなぜだろう? それは、ある期間内に大幅な変更が施されたコンテンツを検索エンジンがどう処理するかを考えてみるといい。
有名なグーグルの特許「履歴データに基づく情報の取得」では、「ページの本文に重大な変更があった場合、またはURLを指し示すアンカーテキストが大きく変更された場合には、古いリンクが無視されることもある」という仕組みについて、次のように説明している(改行・太字は筆者)。
(……前略……)
このドメイン名が、もはやトピックとは関係のないクエリの検索結果に表示される可能性もあるが、これは望ましくない検索結果だ。この問題に対処する1つの方法は、ドメイン名の重点が変化した日付を推測することである。
その推測は、ドキュメントの本文が大幅に変更された日、またはアンカーテキストの文言が大幅に変更された日を特定することにより可能だ。
この日付以前のすべてのリンクおよび/またはアンカーテキストは、無視されるか価値を割り引いて考えられる可能性がある。
これと同じ処理方法が301リダイレクトにも適用されているのだとすれば、トピックに関係のないページをリダイレクトしたとしても、関連性のないページにはリンクジュースが渡されない理由の説明として十分だろう。
全ページをトップページに301リダイレクトする
賢明なSEO担当者はずっと前から、大量のページをトップページにリダイレクトすることは、たとえ301リダイレクトを使ったとしても最良の施策ではないことを知っている。
グーグルのジョン・ミューラー氏による最近の発言をみると、グーグルはこれをさらに一歩進めて、ウェブサイトのトップページに対して大量のリダイレクトが行われている場合、404(未検出)エラーとして処理するか、または「ソフト404(404ページが表示されているが、実際には404ではなく200を返す)」としてしか処理しない可能性があるという。
つまりグーグルは、301リダイレクトを通じてリンク資産を渡すどころか、一切のリンク資産を渡すことなく、インデックスから古いURLを削除するだけなのだ。
膨大な数のページがトップページにリダイレクトされているケースを、検索エンジンがどのように処理するかを正確に実証することは難しい。ただ言えるのは、多数のページを関連性が疑わしい1つのページに301リダイレクトしたからといって、SEOの取り組みが大きな効果を上げるなんて期待できそうにない、ということだ。
よりよい代替案: 必要な場合は、関連性のあるページを密接に関連したURLにリダイレクトしよう。リダイレクト先は、一般的なトップページよりも、関連性のあるカテゴリのページの方がいい。
もはや関連性を失い、ほとんどトラフィックも流入しないし、よりよいリダイレクト先もないページについては、ほとんどの場合、404または410(消滅)のステータスコードを返しても、まったく差し支えない。
危険:301リダイレクトと質の低い被リンク
ペンギンアップデート以前、SEO担当者たちが広く信じていたのは、質の低いリンクが害になることはあり得ないし、質の低いリンクを受けているドメイン名全体をリダイレクトしても大した悪影響はない、ということだった。
だがその後、グーグルは質の低いリンクに鉄槌を下した。
ペンギンアップデートとここ1年のさまざまな展開が僕らに示した教訓は、次のことに尽きる。
ドメイン名ごとリダイレクトすると、質の低い被リンクも引き継がれる。
ウェブマスターは、質の低い被リンクがSEOの取り組みを無駄にするような毒を持っているかもしれないことに気付かないまま、複数の古いドメイン名をまとめて1つのウェブサイトにリダイレクトすることが多い。
質の低い被リンクによってペナルティや不利益をこうむった場合、個々のリンクを修正しようとするよりも、リダイレクトそのものをやめる方がずっと簡単だし、効果的でもある。
質の悪いリンクを含む個別のURL
個別のURLにも、同じ考え方が当てはまる。
質の低い被リンクを持つURLをリダイレクトすると、このURLが持つ質の悪いリンクは、リダイレクト先の新しいURLに引き継がれる。
こういうケースでは多くの場合、単純に404または410を返して、インデックスからこのページとそれに付随する質の悪いリンクを削除するのが得策だ。
リダイレクトの無限ループと長すぎる連鎖
リダイレクトのパターンが複雑すぎると、リダイレクトのループやクローリングエラーなどの悪影響を生じることがある。このようなリスク要因は、サイトのSEO監査を実施することにより発見できることもある。
グーグルは極めて膨大な量のリダイレクトを追跡すると広く考えられている。だが、リダイレクトの各ステップで、リンク資産の何%かが失われたり、アンカーテキストの関連性が弱められたりして、クロールエラーやインデックスエラーにつながる恐れがある。
リダイレクトを繰り返す場合も、たいていは1回か2回で事足りる。
302(一時的な移動)についての新しい変更点
いつもはSEO業者に嫌われている302だが、最近、検索エンジンが302の処理方法を(ほんの少しだけ)変更しつつあるかもしれないことを示す証拠が出てきている。
グーグルは、ウェブマスターが間違いを犯すことを知っている。ジェフ・ケニヨン氏が最近実施したテストによると、302リダイレクトはリンク資産を引き渡す可能性があるという。ケニヨン氏は、一時的な移動を意味する302の誤った実装例があまりにも多いため、グーグルはこれを「ソフト301」として扱っている、という仮説を立てている。
Bingのデュアン・フォレスター氏はこの件について、「私たちは、302を何回も検知した場合、管理者が301を意図したものと見なして価値を引き渡します」とツイートした。
@wissamdandan - if we hit the 302 multiple times, we assume you mean 301 and pass value
— duane forrester (@DuaneForrester) 2013, 3月 12
検索エンジンは、小賢しく立ち回ろうとする僕らを縛るだけではない。僕らが自分で自分の首を絞めることにならないように助けてくれる存在でもあるのだ。
Cyrus-Shepardについて ―― Cyrus-Shepardは、Mozのシニアコンテンツアストロノーツだ。TwitterまたはGoogle+でフォローしてもらいたい。
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