既存サイトのリンク構築6か月計画【1か月目】リンクプロファイル・リンク機会のマッピングなど
この記事では、既存のWebサイトでどのようにリンクビルディングに取り組むべきかを、6か月間で行うアクションプランの形で解説していく。
ただし注意してほしい。この記事は「リンク構築の6か月計画」であり、「SEOの6か月計画」ではない。この記事では、リンクの獲得や最適化、リンク用のコンテンツについて的を絞っていくため、たとえばサイト監査やキーワード調査については取り上げていない(でも、もしSEO監査を実施するつもりなら、この記事を読むべきだ)。
また、これはあくまでも「理想的な」シナリオであって、各サイトの個別のケースにすべて対応できるわけではない。というのも、Webサイトごとに状況が異なっているだけでなく、現実的には予算の問題もあるだろうし、プロジェクトの範囲だって、ここで説明する内容すべてが対象になっているとは限らないからだ。
各アクションの説明では、その意味を理解しやすいように、以下の4つに分類して示している。
- コンテンツ
- リンク
- 調査
- その他
この記事では、僕らの推奨する順番でこれらのタスクを並べているが、順番は自由に組み換えてもらっていい。
- 1か月目(この記事) リンクプロファイルの吟味 | 市場動向分析(競合相手のリンクプロファイル分析、リンク機会のマッピング) | 戦略の策定
- 2か月目 リンクの削除と更新 | コンテンツ資産の仕分け | コンテンツ資産のギャップ分析 | サイト内リンクの最適化 | 古いゲスト投稿の更新 | リンクの再生
- 3か月目 ソーシャルを使いこなす | コンテンツ資産を改善する | リンクを取り戻す | ブログを開始する | 直接競合する相手のリンク機会を自分のものにする
- 4か月目 ゲストブログ | ブログを書き続ける | コンテンツ資産を高めるブロガーへの働きかけ
- 5か月目 コンテンツ資産を高めるウェブマスターへのプロモーション | ゲストブログの投稿 | ブログ投稿 | 新しいコンテンツ資産を追加する
- 6か月目 影響力のある人への新しいコンテンツ資産の案内 | ウェブマスターへの新しいコンテンツ資産の案内 | ゲストブログ:新しいコンテンツ資産用&新しいニッチ市場向け | ブログを書き続ける
1か月目
調査リンクプロファイルの吟味
既存Webサイトでリンク構築の取り組みを開始する際には、すでにあるリンクプロファイル(どんな被リンクを得ているのか)の吟味から着手するのが理想的だ。
この時点では、クライアントのWebサイトを改善するSEO担当者として、対象サイトと競合サイトのリンクプロファイルの比較すらしていない。ただし、次の2点に関しては把握しておかなければいけない。
- 担当サイトに何があるのか
- その内容が
- クライアントの目標
- 推奨されるベストプラクティス
クライアントがおめでたいくらい鈍感ならば(たとえば、被リンクが掲示板のユーザープロフィールからのスパムリンクばかりなら)、君はほかの仕事にとりかかるよりも先にそのことに気付く(そしてクライアントに気付かせる)必要がある。
と言っても、前任のSEO業者がした仕事のあら探しをしようというのではない。検索エンジンにおけるWebサイトのパフォーマンス(とそのパフォーマンスの重要な鍵となるリンク)について、これから先ずっと君が責任を持つことになるのだろうから、こうした問題をはっきり指摘しておかなければ、担当が君に代わってから3か月間経ってもWebサイトが表舞台から消えたままの理由について、どんなにもっともらしい話をしても、クライアントに理解してもらうことはかなり難しいだろう。それがかなり以前に獲得していたリンクのせいだという可能性があったとしても、クライアントはおそらく君にある程度の批難を浴びせるだろう。
- リンクのタイプ
- アンカーテキスト
- 同一セグメントのIPアドレスからのリンク
- ページ内におけるリンクの位置
- リンク元のサイトの質(念のために)
- リンク元のページは実際にインデックス化されているか?
- サイト内リンク構造の評価
この内のいくつかは自動化できるものだし、自動化することで、手作業で吟味しなければならないリンクの数を大幅に減らせるはずだ。
クライアントに話をする ―― 過去のレポートと以前に獲得したリンクのリストを入手し、現在までに実施された作業を把握する。
クライアントの話を聞く ―― 先方の目標は何か、現時点でどこまでリスクを負う覚悟があるのかを理解する。
好みのリンク分析ツールを活用する。
- 粗悪なリンクの見分け方(Hallam Internet)
- 質の低いリンクを見分けるための手引き(Cognitive SEO)
調査市場動向分析
ここでは名前から受ける感じほど「企業」っぽいことをするわけではない。基本的に、2つの要素がある。
- 競合相手のリンクプロファイル分析
- リンク機会のマッピング(リンク機会とトピックエリア)
競合相手のリンクプロファイル分析
主要な競合相手のリンクプロファイルを分析する場合は、担当サイトのリンクプロファイルを分析する際とほぼ同じ手順を踏む必要がある。別に競合相手の粗悪なリンクを見つけてあげるためなどではなく、相手の欠点を見抜くとともに優れたやり方を盗むためであり、率直に言えば「潮が引いたときにおそらく裸で泳いでいることがばれる人」(投資家ウォーレン・バフェット氏の言葉)を見つけるのにも役立つ。
もし競合サイトの検索順位が担当サイトよりも上なのに、リンクプロファイルはどう見ても「ベストプラクティス」どころではないようなら、そのことは考慮に入れておくべきだが、自分が任されているサイトでも同じことが有効だと思い込んではいけない。
競合サイトのリンク調査結果をリンク獲得に役立てる鍵は、直接的なリンク機会と間接的なリンク機会に分けて考えることだ。
たとえば、競合相手がすでに獲得している強力なリンクについて、担当しているサイトでも獲得できそうだとわかったなら、それは直接的なリンク機会だ。
特定の種類のサイトやニッチ分野からリンクが張られていることがわかったなら、こちらは間接的なリンク機会だと考えられる。ここで「間接的な」というのは、君やクライアントが今まで気にも留めなかったウェブの一角に、潜在的なリンクがまだあることに気づかせてくれるかもしれない機会だからだ。
しかし時には、競合サイトのリンクプロファイルを分析しても有益なものがほとんど何も得られない場合もある。そうだったとしても、気にすることはない。こうしたことを正しく実行することによって、長期的に市場で勝ち抜く機会を手にしていることを示せれば、それでいい。
リンク機会のマッピング
そのサイトの中核となる顧客のグループから「周辺へ」と取り組みを広げながら、ターゲットとすべき主要なリンク機会やニッチ分野を見極めよう。
これから作成するコンテンツとこれまでに計画してきたプロモーションで対象とするべきセグメントを明確にするのだ。
この段階では、クライアントとのコミュニケーションが鍵となる。さまざまな顧客層を真に理解し、そこから範囲を広げていくうえで役に立つからだ。
目標とするものは、以下の2つだ。
- リンク機会を見つけ、ニッチ分野を特定する
- トピックのカテゴリを発見する
これに関する僕のお気に入りのツールは、この作業にぴったりで使いやすいウェブベースのマインドマップ「Mindmeister」だ。僕らが、スプレッドシートみたいなものよりもマインドマップを好むのは、クライアントのビジネス状況を視覚化したうえで、別の枝道を調べたり、複数のニッチ分野を結び付けてみたりできるし、さらには、新しい市場セグメントを見出すのにも役立つからだ。
本当の競合相手が誰なのかを理解する(クライアントが競争相手だと思っている企業だとは限らない)。
競合相手のリンクプロファイルを分析する ―― これまでに説明した手法を活用する。
担当サイトと競合サイトのリンクプロファイルをベンチマーク比較する ―― 競合相手の平均値と比べて、担当サイトのリンクプロファイルが上回っているかどうか。
競合相手のリンクプロファイルに基づいて主要な(直接的および間接的)リンク機会を見極める。
その他戦略の策定
これは、市場動向分析の結果を実行可能なものにするための作業だ。これから先のキャンペーンは、担当サイトで見つかった弱点を考慮に入れて(すなわち、自然検索で劣っている点を補い)、サイト内リンクと外部リンクの両方について明白なリンク機会を十分に生かすような、明確で焦点の定まったリンクビルディング戦略へと舵を取ろう。
でも僕は、500ページもの戦略文書を押し付けたりはしない(実際、うちはそんなことをする会社じゃない)。A4サイズの1枚の紙に収まるような簡潔な作業とタイムフレームが、僕らのいつものやり方だ。
競合相手がやっていることをそっくり真似して担当サイトの戦略を立ててはいけない。その理由は2つある。
第1に、風下に立つことが多いからといって競合相手にべったり追従するというのは、いいビジネス感覚を持ち合わせていると言い難いからだ。
第2の理由は、競合サイトでうまくいっているからといって、自分にとっても有効だとは限らないということだ。
英国陸軍の格言「Proper Planning and Preparation Prevents Piss Poor Performance」。日本語で言うと「適切に計画して準備しておけば、ろくでもない結果は避けられる」といった意味。
以上が1か月目にやるべきことだ。一見、あまりに計画ばかり多くて実践することが少なすぎるように思えるかもしれないが、PPPPPPを思い出そう。つまり、この時期は計画に十分な時間を割くべきだ。もちろん、時間的にも予算的にも余裕があるなら、2か月目に予定している作業を前倒ししてやるのもいいだろう。
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