Web時代の“編集”とは探偵ナイトスクープである
今日は、「編集」の話を。Webサイト運営には編集力が必要とされているといわれますが、さて、そもそも編集とは何なのでしょうか?
編集とは、探偵ナイトスクープのことである
こう言うと、意味がわからないかもしれませんが、編集という仕事を長年やってきて、最近は特にそう思うようになりました。
一般的には、「編集者」というと、「てにをは」を直したり、読みやすい文章にしたりという仕事(つまり、編集作業をする人)だと思われがちかもしれません。
しかし、それは編集という仕事のごく一部でしかなく、本質ではありません。
現在の編集の仕事とは、あるゴールに対して
- 適切に取捨選択・整理整頓して
- 最善の切り口・見せ方でアウトプットできるようにする
ことだと考えています。
インターネット以前は「良い筆者を発掘する」といった要素もありました。
しかし今は、良いコンテンツを生み出せる編集部の知らない人が山ほど存在していて、彼らが日々コンテンツを生み出しているのが現状です。ですから、「発掘する」よりも「取捨選択する」という表現が適していると考えています。
自ら足とコネを使って筆者を探すだけでなく、情報(筆者さん)がこちらを見つけてくれる仕組みと場を作ることが重要になっています。
とはいうものの、良い情報をもっている人がそのままメディアにとって最適なコンテンツを作り上げられるとは限らないため、「どう見せるのが良いか」を考えて形にするのは編集者の役割です。
放っておくと、大半の筆者さんは文章で情報を出そうとします。しかし、情報のプレゼンテーションとしては、マンガ・小説・クイズ・Q&A・YES/NOチャート、さらには動画やゲームなどさまざまな表現があり、オーディエンスとコンテンツによって最適な表現は変わります。
また、タイトル(表紙)、キャッチ、フック、中身、補足、締めなど、どう見せれば受け容れられやすかったり理解されやすかったりと、ゴールに対して適切になるかは大きく変わります。見てもらうための仕組み(動線)の組み方や出すタイミングも同様です。
そうした「見せ方」を決めるのも編集者です。
いわゆる文字直しや文章の編集は、この「見せ方」の一部ですね。
こうした「取捨選択&整理」と「見せ方」をうまくやっているのが、探偵ナイトスクープなのではないかと。
まず、「おもしろい番組」「投稿を取り上げてもらえればテレビに出演できる」といった仕組みで視聴者から「ネタ」を大量に集められる場を作っています。
そして、来たネタを取捨選択して良い素材を選びます。
とはいえ、投稿者は素人さんなので、出演するのが彼らだけでは、番組のゴールである「おもろい」を実現するには力不足。そのため、タレントを探偵として派遣して(おそらく放送作家と現場のディレクタさんが事前にモーレツに仕込んで)、どんなネタでも「おもろい」見せ方になるようにしています。林シェフなどの脇役も絶妙ですよね。
探偵ナイトスクープって、スゴいなぁ、と思います(個人的には上岡龍太郎さんの代が最高だったと思っていますが)。
さて、コンテンツを作らなければいけない立場にあるWeb担当者・広報担当者・SEO担当者の方、上記のような編集力を鍛えていますか?
「ネタがない」って嘆いていませんか? 本当にないですか? ネタが集まる環境作りはできていますか?
ネタが決まったあと、そのまま素直にアウトプットしちゃってませんか? ターゲットに対して最適な切り口や見せ方を考えていますか? タイミングを調整していますか?
「社内 探偵ナイトスクープ」として、うまくネタを集めて、すばらしい切り口で出せるような編集力、身につけたいですね。
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