Webコンテンツを作り始める前にオーディエンスのニーズを探るための、5つのプロセスとヒント
コンテンツマーケティングに昔からある「そのコンテンツが成果につながるか判断せずに、アイデア優先でコンテンツ作成を始めてしまう」問題を解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、オーディエンスのニーズを探るためのプロセスとヒントを見てみよう。→前編をまず読んでおく
コンテンツマーケティングで失敗しないためのプロセスとヒント
さて、僕がここで推奨するプロセスやヒントですべてを網羅できるわけではない。このテーマはもっとずっと多岐にわたる。
ただし、少なくともこれから言う5つを守れば、コンテンツへの投資をよりいっそう効果的に行えるようになると思う。
コンテンツ作成にとりかかる前に、自分の業界やニッチ、コミュニティについて知る
何よりも大切なことだ。
ハル氏が、天気の専門家をどこで探せばいいのか知らなかったら、とにかく天気に関する掲示板をグーグルで検索し、最初のリンクをそのままクリックするだろう。その場合、もしかしたら、リーチしようとしている人々のコミュニティからさほど重視されていない場所に行き着いてしまうことになるかもしれない。
サイトやページをすべて理解し、ソーシャルメディア上のコミュニティで大きな影響力を持つインフルエンサーがだれなのかを把握し、どのウェブサイトが人気になっているかとか、ユーザーの交流や関与が活発なサイトとそうでないサイトがどこかといったことを理解することだ。こういった理解がなければ、ハル氏が答えを見つけ出すのはかなり難しいことだろう。
だからこそ、何かを作る前に、自分の業界について客観的に学ぶ必要があるんだ。
ついでに言えば、だからこそコンサルタントとしてこれを業務とするのは本当に手間のかかるものであり、料金を支払って委託するとしたら、こうした調査時間に対して相当の金額を支払う覚悟をしなければならない。
効果的なコンテンツを作成できるようになるには、自分に関わってくる分野を理解するために何十時間もの調査が必要になる。必要になったからといってその場でやれるような類のものではない。
掲示板、Q&Aサイト、ソーシャルメディア、ブログのコメントなどを利用して、質問や興味、ニーズを呼び起こすトピックや議論を見つける
次に、ディスカッションフォーラムやQ&Aサイト、ソーシャルメディア、ブログのコメントを利用して、オーディエンスに響くトピックを見つけたい。
つまり、ターゲットのオーディエンスがどんな質問をしているのか、何に興味があるのか、ニーズ何なのか、そうした関心を呼び起こすトピックや議論は何なのかを、見つけるのだ。
そうしたものには、すぐにわかる明白なものもあれば、潜在的でずっと見つけにくいものもある。そのどちらからも情報を引き出そう。
君の仕事は知見を得て共感することであり、こうしたコミュニティを調査するときに、これができるのが優れたマーケターなのだ。
作成したものが、オリジナルなもので他の人が実際に共有してくれるものであることを、人々に働きかけて実際に話をして検証する
3つ目に、何かを作成したら、次のことを検証しよう。
- それが独自のもので、これまで誰も作ったことがないものなのか
- 他の人が実際に共有してくれるものであるのか
これは、人々に働きかけて実際に話してみれば、きわめて直接的に確かめることができる。
たとえばハル氏の例ならば、掲示板でこんなふうに問いかけることになる。
ここにあるコメントを書いた人はだれ? 少し話そうよ。こんなのどう思う?
これに対する答は、「うん、すごくいいし、共有の手伝いもしたいね。みんなに知らせたい。この質問に対する答えをぜひ知りたいよ」だったり、無反応だったり、「おもしろそうだね。公開したら教えてほしい」だったりと、さまざまなケースがあるだろう。
TwitterやGoogle+、メールを使えば、こういう人々に直接接触できる。ほとんどの場合、こういったフォーラムのような場所でコメントを探していれば、彼らと連絡をとる方法はある。
僕がおすすめしたいツールも2つある。どちらもメール用だ。
1つはConspire、もう1つはVoilaNorbertという。VoilaNorbert.comはメール検索ツールだ。現時点で提供されているものの中ではベストだと思う。Conspireも、君が接触したい人との間に共通の知人がいないかどうかを確認できるすばらしいツールだ。連絡をつけたい相手がいる場合には、大いに役立つことだろう。
ビジュアル/インタラクティブなコンテンツは、テキストより優れた効果を発揮することが多い
4つ目は、ビジュアルなコンテンツやインタラクティブなコンテンツは、テキストよりはるかに優れた効果を発揮することが多いということだ。
ハル氏のリストが、米国のすべての主要地域についてそれぞれの天気予報の当たる確率を列挙するといったような、単純なデータの羅列だったとしたら、どうだろう。もちろん、それでも効果がないことはない。
しかし、こういった地図にしてビジュアル化すれば、もっと効果が高いはずだ。
おそらくは、単なるチャートの場合よりもはるかに早く、はるかに効果的に気象業界を駆け巡り、ニュースメディアで取り上げられたり、記事にされたり、ソーシャルメディアのグラフィックに埋め込まれたりするだろう。
オーディエンスの目的と君のビジネス上の目的を一致させる
5つ目に、コンテンツを作成するにあたって、オーディエンスの目的と君のビジネス上の目的を一致させる必要があることを覚えておいてほしい。
ハル氏が気象予報の地域別正確性マップを作った目的が、メールリストで人々に天気追跡サービスに登録してもらうことなのであれば、上述したコンテンツを作ったのち、こんなふうに言うべきだろう。
変動性のレポートをお届けできます。精度が上下する場合にはお知らせします。
さらに、ニュースレターに登録するよう、メールで行動喚起(CTA)するのもいい。ただし、どれもビジネス上の目的は一致させておこう。
1つ念を押しておきたいのは、コンテンツマーケティングに資金を注ぎこむときに実に多くの人が考え違いをしがちなのだが、ここから得られるメリットの多くは間接的で長期的なものだということだ。
どういうことかって? たとえば、ハル氏の目的が、気象予報士にソフトウェアのサブスクリプションサービスを販売することだとしたら、どうなると思う?
おそらく、こうしたコンテンツマーケティングをやったからといって、すぐには、さほど売れはしないだろう。だが、はるかに大勢の気象予報士にKingOfClimate.comという名前を覚えてもらえる。ブランドの記憶はいずれ購入判断に影響を及ぼすし、会話率を多少なりとも押し上げる可能性が高い。
そのいっぽう、こうした施策がリンク獲得に役立つ可能性は高い。リンクは検索順位の上昇につながる。
気象予報士が明確に、「天気を追跡するソフトウェアとか天気を通知してくれるソフトウェアを探している」と検索してくれれば、検索順位はあがっていく。
だからこそ、こういったことは長期的で間接的なものなのだ。コンテンツマーケティングが生み出すすべてのメリットが、君の達成したいビジネス上の目的に結びついたものであることを確認しよう。
2015年には、驚くようなコンテンツを目にすることを願っている。みんなは、きっとすでにすばらしい取り組みを始めているに違いない。今回の内容を実行に移すのに超能力はいらない。ただ、ほんの少し余分に懸命な努力をすれば、君の顧客やコミュニティ、ビジネスに多大な効果をあげることができる。
さてと。今回もホワイトボード・フライデーに参加してくれてありがとう。またお会いできるのを楽しみにしているよ。ごきげんよう。
ちなみに、FiveThirtyEight Scienceは、実際に「米国のどの地域が、天気予報が当たりにくいのか」を調査してレポートしている。
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