グーグルのSSL検索――Web担当者がとるべき「行動」は?(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、グーグルのSSL検索に対してとるべき対応を紹介しよう。オリジナルは動画だが、文章に起こして解説しているので安心してほしい。
SSL検索がどういうもので、Web担当者にどういった影響があるのかを把握していない人は、まず前編を読んでほしい。
SSL検索に対応した行動その1:
SSL検索の影響度合いを調べる
ここでいくつかお勧めしたいことがある。まず、失われたキーワードデータの量と割合を測るべきだ。
これは非常に重要な指標で、長期間かけて追跡することが望ましい。やり方は単純だ。Googleアナリティクスならば、検索トラフィックでキーワードが「(not provided)」となっている訪問者の数を調べ、その数をグーグルのオーガニックリンクから来た訪問者数で割れば、今回の変更で影響を受けた検索トラフィックの割合を把握できる。
SSL検索の影響率 = (not provided)の訪問数 ÷ オーガニック検索トラフィック全体の訪問数
この指標を長く追跡することが望ましいという理由は、この割合が増えていくのか、グーグルにログインして検索を行い自分のサイトを見つけてくれるユーザーが増えるのか、どれくらいの割合のデータが失われるのか、グーグルがこの方式の適用範囲を拡大するにつれて問題も大きくなるのか、というようなことを知っておくべきだからだ。
たとえばSEOmozでの(not provided)トラフィックを見ると、SSL検索のデフォルト導入直後は1%未満だったが、それが日を追うごとに増えていって、5日目で2.2%になった。したがって、その時点で2%強の訪問者に関するキーワード情報を失っていて、その割合はさらに増えつつあるということだ。これは困ったものだ。
グーグルはこの割合について、大半のウェブサイトでは10%未満に留まるとの予測を述べていた。ということは、データの90%はこれからも得られることが望めるわけだ。
SSL検索に対応した行動その2:
あるデータでサイトを改善していく
1つ目で調べた「失われた検索キーワード情報」のデータが、2つ目につながる。
グーグルのデータは、うまくいけば現在の90%ほどは今後も手に入るだろう。そして、業界や分野にもよるが10~20%の検索トラフィックを占めるBingやヤフーのデータ、そしてもちろんサイト内検索のクエリデータもある。こういったソースから得られるデータはこれからも活用できる。
こうしたデータは非常に貴重で、キーワード検索やターゲティングのためだけでなく、コンバージョン率を分析して、訪問者に合わせた最適化を行い、ユーザー体験を改善するのにも役立つ。これはまさに、ホワイトハット的行為のためにしか使えないデータだ。
だからこそ、グーグルがもっとブラックハット的な行為と戦うのではなく、このようなデータを引っ込めてしまったのにはがっかりさせられる。とはいえ、僕らは手元にあるものしか使えない。
SSL検索に対応した行動その3:
意見を表明する
第3に、この問題について強く感じるところがあるなら、機会はたくさんある。文句を言えというつもりはないが、グーグルに対して、自分がどう感じているかを伝える機会はたくさんあるということだ。
これは、グーグルが実施中の変更であって、現在グーグルが実施や展開を計画し、実際に実行してきたものだ。だからといって、ユーザーのフィードバックの大多数が否定的なものでもグーグルは修正に応じないということではない。このデータを使いたい分析屋の僕らにとっては、ありがたいことにね。
だから当然、君たちもこの件についてブログや記事を書けばいい。地元選出の議員に手紙を書くことだってできる。ネット上のフォーラムもある。この件を発表したグーグルのブログ記事では、コメントを受け付けている。Googleウェブマスターツールのフォーラムでも、もちろんコメントを受け付けている。
また、アドワーズの担当者に連絡して、今回の動きはあまり喜ばしいものと思えないと伝えてもいい。ただし、アドワーズのデータは今でも参照データを提供しているということは覚えておこう。今回の件で影響を受けるのは、オーガニック検索の方だ。
※Web担編注
すでに日本でもSSL検索が導入されて時間が経っているが、たとえば「not provided」で失われたキーワードを復元する方法で解説しているような、さらなる対応を考えている人もいる。
もちろんGoogleアナリティクスの検索キーワード情報([トラフィック]>[検索エンジン最適化]>[検索クエリ]で確認)でキーワード情報を調べるのもいいだろう。
そのほかにも、SSL検索に対してWeb担当者がとれる「行動」があれば、コメントなどで教えてほしい。
そんなわけで、今回のことが検索クエリのそれほど大部分には影響せず、引き続き良質のデータが得られるのが望ましい。
けれども、グーグルがGoogle+やGmailなど、自社が提供している各種アプリケーションにログインする人を増やそうとしている取り組みを考えると、僕にはどうなるか、わからない。ウェブ解析の世界には今現在、たくさんの不安や不確実性が存在しているんじゃないだろうか。
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