有料マーケティングとインバウンド・マーケティングを組み合わせて効果を出す10の方法(前編)
今日のマーケターは、有料マーケティングだけをしていてもダメだ。さらに言うなら、有料マーケティングしかやっていないとしたら、あなた自身も、あなたの会社も失敗する。
ああ、言っちゃった。これでスッキリ。ホントに気分がよくなった。でも、長年にわたりランドからインバウンド・マーケティングのさまざまなメリットを教えてもらって、私もようやくこれを認める心構えができたんだ。
だって、これは本当のことだから。
一昔前と比べても、ネットマーケティングをとりまく状況は変わっている。ゲームのメインプレイヤーはもはやSEOとリスティング広告の二者だけではなくなった。検索マーケティング自体も進化した(検索マーケティングについて改めて読みたいなら、インバウンド・マーケティングの新時代の概略と、それがどのように急成長しているかを紹介したランドの記事をチェックしてほしい)。
マーケターとして、私たちはその変化の到来を目撃した。今では毎日の仕事でそれを感じている。従来型のSEOが守備範囲を広げるにつれ、私たちの役目も広がっている。そこいら中で実に多くのことが起きている。目が回りそうだって? 私もそうだ。
私は有料マーケティング担当として仕事をしている。でも、ここではインバウンド・マーケティングについて書いている。なぜだと思う? それは、先日、自分のTo-Doリストをざっと見ていたのだが、そこに有料マーケティングに直接関係しない項目がいかに多いか、いやでも気づかされたからだ。事実、私は1日の大半を、データの共有や既存資産の再配分、それから共同作業について、もっとうまくやるにはどうすればいいかを誰かとブレインストーミングしていた。SEOmozではジャスティンと私が有料マーケティングを担当しているが、インバウンド・マーケティングを学び、より効果的に活用することに費やされる時間がますます増えている。
そこで、SEOmozのコスト削減とリード(見込み客)獲得数増加のために私が実践しているインバウンド・マーケティングの活用法を概説してみようと考えた。
有料マーケティング担当者が利用できる(利用するべき)、インバウンド・マーケティング手法の活用方法トップテンを紹介していこう。まずこの記事では10位から6位までだ(5位以上は次回に)
10位 ペルソナの特性を共有する
対象ユーザー(オーディエンス)の調査に長けているのは誰だか分かる?
答えはコンテンツ・ライターだ。最近では、マイケル・キング氏が対象ユーザーを理解し、ソーシャルメディア・ツールを使って自分にとって最適なオーディエンスを決める方法を紹介する最高のウェブセミナーをやっていた。セミナーではこのコンセプトが実にうまく紹介されていた。
要は、ソーシャルネットワークはサービス内に表示する広告を買ってもらいたいがために、すぐれたデモグラフィック・ツールをたくさん用意しているということだ。私たちはオーディエンスの規模、所在地、カテゴリーなどを知ることができる。こうした情報は、オーガニック・マーケターがターゲットを絞ったコンテンツを書くのに役立ってきた。有料マーケターもこういうデータを活用すべきだ。
オーガニック・マーケターたちが得た知見の中で、価値の高いリードをターゲットとするのに役立つものは何だろう? 対象オーディエンスをつかみ、そのペルソナを抽出するのは実に難しいこともあるが、こういう作業に通じたチームが増えれば増えるほど、マーケティング業務もターゲットの絞られたものとなる。
9位 ランディングページを活用する
有料マーケターに何がボトルネックかを尋ねると、優れたデザインができる人材の工数(デザイン・リソース)という言葉を耳にすることが多いだろう。
しかし、デザイン・リソースは確保しにくいものだ。SEOmozでは、デリックとラミルがオフィスに泊まり込んでやっているけれど、まだ2人のクリエイティブな頭脳を必要とするプロジェクトが手つかずで残っている。
では何ができるのだろうか? インバウンド・マーケターがすでに用意してくれているランディングページを活用しよう! すばらしい! ランディングページはたいていが美しくデザインされ、エンゲージメントの優れた機会がちりばめられている。そういった要素は、充実したインバウンド・マーケティングのページに不可欠であり、有料検索からの訪問者を成功に繋げるためにも必要だ。これは偶然だろうか? 私はそうは思わない。最大限に活用するべきだ。
8位 コンバージョン・レポートを交換する
コンバージョン・データは本当にすばらしい。ほとんどの有料マーケティング担当者は自分の会社のSEOデータを見ているはずだ。少なくとも、そうであってほしい!
だが、それ以外にも目を通すべきデータがある。SEOmozにいる私たちはちょっとしたデータ狂だ。コミュニティ管理担当のジェンは、私たちのソーシャル活動を示す指標データを毎週見事にまとめてくれている。彼女の週間データサマリーをよく調べることで、どのコンテンツがどこで話題になっているかわかることに気付いた。どこでブランドの認知度が上がっているか、どんな人たちがSEOmozブランドを気に入っているかなどを知ることができる。そこから、不足している部分を補うための予算をうまく配分できるのだ。
7位 キーワード調査で協力する
これは私たちもやろうと言い続けていることだけど、実際にはほとんどできていない。私はキーワード調査の手順にはいつも驚かされる。まず、とても時間がかかる。次に、1回限りの調査では効果がなく、継続してやっていく必要がある。それなのに、もう何年も、有料マーケティング・チームもオーガニック・マーケティング・チームも別々にキーワード調査をやっている。ああ、もったいない。
インバウンド・マーケティングが持つすばらしいメリットの1つは、反響が返ってくるスピードだ。以前なら有料検索の予算を使ってキャッチの表現や製品説明をテストしていたところを、今ではターゲティングしたコンテンツを送り出して、オーディエンスがどう反応するか見ればいい。すぐにデータを集められるし、統計的にも有効だ。
何らかのキーワードに対する大勢の反応がすぐに返ってくるのを見るにつけ、ソーシャルグラフの力に驚く。私の考えでは、これは新しいキーワード調査だ。従来型のキーワード・ツールから得られる情報は、こうしたインバウンド・マーケティング・チャンネル(特にソーシャルメディア)から得られるオーディエンスの反応と組み合わせなければならない。
6位 コンテンツを再利用する
これはわかりきったことだが見逃されやすい。私自身も同じ過ちを繰り返してしまう。
有料マーケターがトラフィックを流す先として、過去に成功を収めたインバウンド・マーケティングのコンテンツをうまく使うべきだ。たとえば1年半前、私たちは検索エンジン最適化の初心者ガイドを改訂した。これは100万回近くダウンロードされ、さまざまな言語に翻訳されて、今もトラフィックを稼ぐ優良コンテンツだ。私が使える有料マーケティングの予算の内、この優良コンテンツにトラフィックを呼び込むのに使ったのはどれくらいだろうか? お察しの通り……ゼロだ。
昔なら、私は「ROI(費用対効果)を示せるほど十分な無料トライアル登録を引き込めなかった
」と主張していただろう。しかし、この数か月間で気付いたのだ ―― もっと「コンバージョン」の意味を掘り下げる必要があるということに。「獲得」とはどういう意味で、「成長」とはどういう意味なのだろう? 有料マーケティングに労力と予算を注ぐのなら、すでに成功を収めたコンテンツを利用しない手はない。話題となったバイラルコンテンツを、有料マーケティング・チャンネルを通じて別の目的に最利用するのは、クロスチャンネル・マーケティングをいかに成功させるかを示すよい例だ。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回はインバウンド・マーケティングを有料マーケティングに活用する方法のうち10位から6位までをご紹介したが、後編となる次回は、5位から1位までを取り上げる。
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