誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック

サイトのメニュー構成が悪いと思うのですが、改善のためにはどのデータを見るべきですか?

「メニュー構成が悪い」という、具体的なようで抽象的な指摘を受けたケースを考えてみる。
誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック
丸山先生
医者:丸山先生(35歳・男)
当クリニックの代表。
来栖あきら
研修医:来栖あきら(25歳・男)
イケメンの研修医。
綾瀬ゆい
研修医:綾瀬ゆい(25歳・女)
優しい天然ボケの研修医。

ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る

今回のお悩み
サイトのメニュー構成が悪いと思うのですが、改善のためにはどのデータを見るべきですか?

メニュー構成が悪い?

先日、僕のお客さんから「メニュー構成が悪いと思います!」と言われたんだ。

確かにあのサイトは少しごちゃごちゃしているわよね。

そうなんだ。でもどのデータを確認してメニューを改善すべきか、アイデアが沸かなくて。

「悪い」の定義

OK、では今日はメニュー構成の改善について考えてみよう。ところで来栖君は、本当にメニュー構成が悪いと思っているのかな?

よくわからないですね。こうして改めて指摘されると、グローバルメニューの項目や並び順も不安になりますし、押してほしいメニューが押されていないような気もします。

少し問題がごちゃごちゃしているね。とにかく最初は「メニュー構成が悪い」の定義付けをしてみよう。

来栖君はすでに3つの意味で使っているね。

  • メニュー項目の選定が悪い
  • メニューの並び順が悪い
  • 押してほしいメニューが押されていない

この3つはまったく同じ意味かな?

「メニュー項目の選定が悪い」というのは、まずどれが見てほしいコンテンツ(ページ)なのか考えることが大切ですよね。

「メニューの並び順」も、どのコンテンツを一番優先するかという問題だから、やはりコンテンツの優先順位の話ですね。

「メニューが押されていない」というのは、文言やボタンデザインの話のような気がします……。でもクリック数への影響はよくわかりませんね。

それなら、以下2つをそれぞれ別々に考えていくことが大切だよね。

  1. コンテンツの優先順位
  2. クリック数の計測

1.コンテンツの優先順位

まず、「コンテンツの優先順位」について考えよう。来栖君は、どのコンテンツを優先的に読んでほしい?

やはり信頼感のアップなど、コンバージョンに役立つコンテンツでしょうか。残念ながら、どれかわかりませんが……。

実はGoogleアナリティクスでは、すでに1つの指標として用意されている。いや、用意されていた、と言った方がよいかな。新バージョン(v5)では2011年11月時点から存在しないからね。とりあえず、わかりやすいから旧バージョン(v4)で説明しよう。

それは、それぞれのコンテンツごとに表示される「$index(ダラーインデックス)」という指標だ。

$indexは右側に表示されている]
$indexは右側に表示されている(Googleアナリティクスの旧インターフェイスのみ)

「$index」? わかりづらい名前ですね。

確かにわかりづらいね。でも、コンテンツの価値を計測するには便利な値だよ。$indexというのは、「1回の閲覧あたりの収益」を表しているんだ。

たとえば「犬のシャンプー」というコンテンツがあったとする。そのページを見た人が100人いて、そのうち3人が1500円の犬用シャンプーを買ったとしよう。ということは、「そのコンテンツを100人が見ると合計4500円の売上があがる」とも言えるよね。

$index
=コンバージョンした合計価格÷そのページを見たページ別訪問数
=4500(円)÷100(セッション)
=45円/セッション

$indexの値は、「合計価格をアクセス数(ページ別訪問数)で割ったもの」なので、「45(円/セッション)」になる。つまり、犬のシャップーというコンテンツは1回の閲覧あたり45円を生むと考えるわけだ。

ということは、$indexの値が高いコンテンツをメニューに組み込めばどんどん売上があがるということでしょうか?

1つの目安としては使える。ただ鵜呑みはいけない。

たとえば「サルトルとスピノザ」という、まったく犬好きには人気のなさそうなコンテンツなのに、たまたま10,000円のコンバージョンをした人が1人見てしまったとすると、$indexは1セッションあたり10,000円。とても高くなるよね。

10,000(円)÷1(セッション) = 10,000円/セッション

またその逆で、すごく大切なコンテンツなのに、たくさんの人がみてしまうと$indexは相対的に低くなる。だから$indexを使うときは、そのページのページ別訪問数にも注意する必要がある。その上で、重要なコンテンツかどうか判断するんだ。

先生、私のサイトでは$indexはすべて0円なのですが……。

$indexは、「1コンバージョンあたりいくらの売上なのか?」を定義しておかないと出てこないんだよね。綾瀬さんは、そんな設定をした記憶がないだろう?

詳しい設定方法は、Googleアナリティクス活用の総合情報サイトである「GAフォーラム」の記事(Google アナリティクスのプロファイル設定(3)目標設定の1)が詳しいよ。「目標値」を入れることが大切だ。

2.クリック数の計測

次に、「どのメニューがよく押されたのか?」「ボタンの文言などは正しいのか?」というポイントを検証しよう。たとえば「カートに入れる」という表現と、「購入する」という表現のどちらがよいのか考えたいような場合だね。これはまず、以前話したトラッキング、つまりどのメニューが押されたのか、印を付ける必要がある。

印を付けて計測することで、メニューの文言などが本当に悪いのかどうか判断するのですね。

そうだね。思ってもみないメニューやトップページのバナーが押されていることもあるので、ぜひ一度計測しておこう。

ただ当然、グローバルメニューであれば左にあるボタンほどクリックされるし、左サイドメニューであれば、上の方にあるメニューほど押されやすい傾向がある。それは想定の範囲として入れておこうね。

以前教えてもらったURLパラメーターで計測するのですか?

それでも確かに計測できる。でも、より適しているのは、Googleアナリティクスであれば「イベントトラッキング」を使うことだろう。リンクのHTMLタグにJavaScriptを仕込むことでできるよ。

いよいよJavaScriptですか……。

おまじないのように決まりきったJavaScriptを使うだけだから難しくないよ。

イベントトラッキングの使い方

計測したいHTMLタグに以下のコードを追加する。

onclick="_gaq.push(['_trackEvent','カテゴリ','アクション','ラベル',0,true]);"

たとえばaタグのクリックを計測したいときには、以下のように記載する。

<a href="hogehoge.html" onclick="_gaq.push(['_trackEvent','カテゴリ','アクション','ラベル',0,true]);">

ただし、カテゴリアクションラベルと書いた部分は、あとからGoogleアナリティクスの画面で絞り込んで探せるように、わかりやすい表現で置き換えておくんだ。最後の「,0,true」はおまじないだと思ってほしい。

たとえば、この場合なら次のようにするのがいいだろう。

<a href="hogehoge.html" onclick="_gaq.push(['_trackEvent','menu','click','toiawase',0,true]);">

この例では、「カテゴリ」として「menu」を、「アクション」として「click」を、「ラベル」として「toiawase」を入れている。このようにわかりやすい名前を使用すると、あとからGAの画面で結果を追いやすいんだ。

詳しい解説や使い方は、グーグルの解説、およびGAフォーラムの記事が参考になるだろう。

まとめ

メニュー構成が悪いと思うなら、まずその「悪い」の定義を考えてみよう。たとえば、今回は以下の3つに分かれたね。

  • メニュー項目の選定が悪い
  • メニューの並び順が悪い
  • 押してほしいメニューが押されていない

このように要素に分解できたら、それぞれを計測してみよう。項目の選定や並び順に関しては、コンテンツの優先順位の計測が役立つし、メニューのデザインに関しては、実際のクリック数計測が役に立つはずだ。

今回扱ったメニューに限らず、「悪い」と一言で言ってしまうだけではわからない問題はたくさんある。この時「悪いとは何か?」ともう一歩踏み込んで考えることにより、どのデータを見るべきかはっきりするよ。

ぜひやってみよう。

今日の処方箋

お悩みサイトのメニュー構成が悪いと思うのですが、改善のためにはどのデータ見るべきですか?

アドバイスまず「悪い」の定義付けをしてみましょう。すると見るべきデータが明確になりますよ。

  1. 1 【1分】 悪いの定義を考える

    「メニュー構成が悪い」とは、何が悪いと思っているのでしょうか?
    メニューの並び順? メニューの項目?
    とりあえず、すべて書き出して、列挙してみましょう。

  2. 23 【2分】 コンテンツの優先順位を考える

    現在、どのコンテンツの優先順位が高いのか確認してみましょう。Googleアナリティクスの昔の画面(v4)で、コンテンツごとの$index値を計測してみます。

    1. コンバージョン毎に目標値の設定

      目標値を設定しましょう。GAフォーラムの記事などが参考になるでしょう。

    2. $index値の確認

      目標値の設定をしたばかりの人は、設定後数日たってから確認しましょう

    コンテンツ→上位のコンテンツ レポート
    コンテンツ→上位のコンテンツ レポート
  3. 45 【2分】 クリック数の計測

    どのメニューが一番押されているか計測してみましょう。新たな発見があるかもしれません。以下のようにイベントトラッキングで計測します。

    1. イベント名を決める
      • カテゴリ名: どの位置のメニューかわかりやすいように、「left-menu」などと入れます。
      • アクション名: クリックの行動をトラッキングスするため、「click」と入れます。
      • ラベル名: どのメニュー項目が押されたのかわかりやすいように、「toiawase」「home-menu」のように入れます。
    2. リンクのaタグにJavaScriptを追加する

      本文中で紹介した内容を参考に設定してください。

    3. イベントの確認

      設定の数日後に確認してください。

    コンテンツ→上位のコンテンツ レポート
    コンテンツ→イベントのトラッキング レポート

※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作

用語集
Googleアナリティクス / HTML / JavaScript / インデックス / コンバージョン / セッション / リンク / 訪問
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

SSL
「SSL」(Secure Sockets Layer)は、Webサイトを閲覧する ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]