全スタッフ動画OK!クロスコのイノベーションはどのように起こったのか
全スタッフ動画OK!
クロスコのイノベーションはどのように起こったのか
この記事で紹介するWebクリエイターの動画スキル獲得イメージは、実は、クロスコの社内で起こったプロセスを例としている。一般のWeb制作会社と異なり、弊社はもともと映像制作事業と、Webなどのプロモーション事業の2つのドメインを持っている会社だが、以前は「映像(音声含む)」を作るプロフェッショナルと、「Web(DTP含む)」を作るプロフェッショナルの両方の人材が、同じ社内に居ながら、一般の映像制作会社とWeb制作会社のようなに仕事の分担をしていたのである。
この状況が大きく変化したのは、放送のデジタル化と、デジタル収録、ノンリニア編集の手法・環境が急速に整い、放送局用の仕事をしている編集室でも、PC(Mac)ベースのFinal Cutを編集システムに組み込むなど、両者が同じ環境で仕事をできるようになってからだ。
DTPやWebのデザイナーが作成したロゴやグラフィック素材を動画に用いることで、画面デザインに費やしていた編集スタジオの時間を短縮し、新しい感覚で映像のクォリティを高めることができたし、動く素材を作る作業が、デザイナーたちのモーショングラフィック感覚を育てるのに役立った。
映像とWeb、両方のプロフェッショナルが共同で作業することで、双方のノウハウを教えあうことができ、分業も含めた効率的な制作手法を確立し、マルチスクリーンに対応した映像と、デザインクオリティの高いコンテンツへの対応スキルを獲得していった。これらはすべて個々のスタッフの地道な努力があって、全体のイノベーションが起こったのだと言える。
では、実際Webクリエイター達がどのように動画を習得していったのか、インタビューでご覧いただきたい。
事例1:デザイナーが動画をマスターするには
Interviewデザイナー:佐藤修
できることが増えると、仕事が増えて、寝る暇が減ります。
- Adobe Premiere
- Adobe After Effects
- Apple Final Cut
デザイナーの佐藤は、DTPからWeb、Flashまでこなすマルチスキルの人間だ。Flashで経験の多かった、モーショングラフィックスの表現をAfter Effectsで動画化することと、After Effectsと連動したPremiereでの編集を段階的にマスターしていった。動画対応が増えたことに合わせて、映像制作で多く使われるFinal Cutも習得した。Web用の動画から、様々なフォーマットを扱うデジタルサイネージのコンテンツ制作まで幅広いデジタルコンテンツを創り続けている。
事例2:Webディレクターが動画をマスターするには
Interviewディレクター:岩戸貴志
導入するソフトは先ず自分が一通り使ってみないと。現在3DCGに挑戦中です。
- Adobe Premiere
- Adobe After Effects
- Apple Final Cut
- Apple Motion
Webデザイナーが作業している動画制作環境を、設計し導入してきたのがWebディレクターの岩戸だ。クライアントの要望を直接聞く立場にある彼は、動画へのニーズをひしひしと感じていた。
- 動画を用いたいが、予算が少ない。
- 短期間でサイトに掲載したい。
- Web用の素材から動画をつくってほしい
そうしたなか、社内で放送用のノンリニア編集ルームがPCベースで稼働しはじめたのを契機に、同様の作業環境をWeb制作チームでも十分運用できると考え提言した。現在システムは順調に稼働し、増設・拡充が進んでいる。自身もFlashなどのアニメーションの制作経験から動画への対応をしていったことから、Webのデザイナーたちも同様に学べると考えたのだ。
作品事例1:デザイナーが動画をマスターすると
Interviewデザイナー:林昭吾
映像は写真と違って撮影後の調整が大変ですね。
- Apple Final Cut
作品事例1 パイオニア
パイオニアのDJ機器を紹介するiPadアプリ。このアプリは、銀座にあるショールーム「Pioneer Plaza Ginza」で、来場した顧客にDJ機器の様々な機能を紹介・体験してもらうために作成された。
顧客へのプレゼンテーションにタブレットPCを使用する企業は多くなってきており、Web制作会社がコンテンツの制作を依頼されるケースも増えてきている。本プロジェクトはADKインターナショナルとパートナーを組み行われたものだが、DJ機器のリアルな操作感やサウンドをiPadでどのように表現するかが最大の課題だった。タブレットPCのプレゼンテーションの肝は、「直観的=エモーショナル」にユーザーの興味を喚起してコンテンツを視聴させることにある。本プロジェクトは、まさにこの点で動画が威力を発揮した事例といえる。
デザイナーの林は、DTPの経験が豊富なスタッフだ。PhotoshopやIllustratorという、普段使い慣れたデザインソフトで作成したレイアウトやパーツを撮影した動画と組み合わせ、「動くカタログ」のような効果的な画面を作りあげた。もともと、DTPの世界では商品やモデルのスチール撮影は、スタジオワーク・屋外ロケも含めて経験があるため、スチールがムービーに変わっただけで、ディレクションも問題なくできたという。
作品事例2:映像エディターのマルチスクリーン対応
Interviewエディター:千久間恵
- Adobe Premiere
- Adobe After Effects
- Apple Final Cut
- Apple Motion
編集は最初からノンリニアで覚えた世代です。
作品事例2 キングジム
キングジムのデジタルハンディメモ「マメモ」TM2の商品紹介動画。店頭用映像として用いられるほか、YouTubeにもアップされている。同社では、YouTubeにアップした商品紹介動画をFacebookファンページでも公開している。
放送局用の番組を編集しているクロスコの編集センターでも、編集している作品が最終的にマルチスクリーンで用いられるということがあたりまえになった。Webで見せる動画を作る場合、動画が掲載されるプラットフォームのことを考慮した構成・編集にすることが重要だ。編集スタッフも「ソーシャルメディアって、何ですか」とは言っていられないのである(実は写真に写る編集室の隣には、USTREAM配信が可能なスタジオも稼働しており、Webを意識せずにはおられない環境だ)。
普段、映像編集スタジオで音楽番組の編集などを行っている千久間が担当したのが、店頭からWebサイトまでマルチで用いられる商品案内ムービーだ。店頭モニターで離れて見る場合と小さいWeb画面を近くで見る場合のどちらでもきちんと情報が伝えられること、Webユーザーを考慮して音声が聞こえなくても、商品の概要が伝わる構成にすることがポイントだ。作品によっては、スクリーンごとに作り変えることもあるが、本作品では、直感的に読み取れるデザインと短いコピーの動きでそれをクリアしている。
常に進化を!
こうした事例でわかるように、Webのディレクターやデザイナーが「動画」に一歩を踏み出すことは決して難しいことではない。自分はデザインのプロだから、マークアップのプロフェッショナルだから他は学ぶ必要がない、自分はこれしかできない、と思っている人材は10年後を生き残ることができないだろう。
デザイナーは、デザイナーになるときに何を学んだのだろうか。「デザインする」という基本があれば、Webの仕事ができたように、他のクリエイティブへの理解も十分できる。
Webの世界は、日々技術も表現も革新されている。だれもが常に新しい技術・プログラムやソフトを学び続けないといけないことと思う。Flashの技術や表現、使い方を皆が学んだときのように、それは新しい表現やサービスの可能性を開いてくれるものであるはずだ。
一般社団法人 日本WEBデザイナーズ協会
(JWDA=Japan Web Designers Assiciation)
日本WEBデザイナーズ協会(JWDA)は、WEBデザイナー市場価値向上を図り、WEBデザイン産業の育成・振興・発展を推進することを目的とする非営利団体です。JWDAは、「WEB」デザインに従事する団体や個人(リサーチ、マーケティング、企画立案、インターフェースデザイン・設計、広告デザイン、WEBデザイン、動画制作、システムインテグレーション、ビジネススキーム立案等に関わる稼業全てを指す)間の技術的な情報共有、社会的な地位向上、そして日本の産業の活性化に努めていきたいと考えています。
- 2009-2010 JWDA スローガン
人と人をつなぐ そして2011年へ - Mission(協会使命) インターネットを利用した仕組み、サービスの制作に従事する団体、個人間の技術的な情報共有、社会的な地位向上、そして産業の活性化に努める。
- Principles(理念)
優れたWEBデザインは、常に形状の審美性と機能的な操作性の二つの調和によって成り立ちます。私たちは製作者相互の最高の技術の賜物であり結晶であるWEBデザインを通して、日本の産業的・文化的発展に寄与する事を第一と考えます。 - Vision(展望)
WEB制作者、業界間の発展と親和に努め、日本のWEB業界における中心的な存在になる。
- 一般社団法人 日本WEBデザイナーズ協会:http://www.jwda.jp/
- JWDA WEBデザインアワード:http://www.jwda.jp/event/award.html
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