Webクリエイターのステージを広げる動画スキル習得ステップ
Webクリエイターは「動画」を身に付けるべし
映像はフイルム・ビデオの時代から演出、撮影、編集と専門のスキルが必要なクリエイティブだった。デジタル化が進行した現在でもその専門性の本質は変わっていないと言えるが、高速なインターネットとデジタルメディアの実現によって、好きな時間に好きなデバイスで視聴できる「動画」コンテンツが利用されるようになった。
Webサイトでの活用はもちろん、スマートフォンやタブレットPCでの視聴機会は、今後さらに増えていくことだろう。
コンテンツとしての動画の持っている特長は次の点だ。
- 密度の高い情報を短時間で伝達できる(コミュニケーションスピードが速い)
- 直感的な印象構築ができる(ブランディングなどのイメージ訴求が得意)
- リアリティを持った情報伝達ができる(実物を見せ、動きと音でプレゼンテーションする)
- 動画としてパッケージになっている(様々なサイトに掲載可能でマルチスクリーンに対応可能)
スマートフォンやタブレットPCのようにタッチパネルインターフェイスを持つデバイスのコンテンツは、いかに直感的に「タッチ」して選択してもらえるかが重要になってきている。そこでエモーショナルに、速いコミュニケーションスピードでユーザーに情報を伝える動画のメリットが活かされる。そして、それらのデバイスは、ほぼHTML5に対応しており、最初から動画のタグが簡単に貼り込める仕様になっているなど、動画がこれからの標準装備になってくることは間違いない。
ソーシャルメディアのコミュニケーションにおいても、動画は重要なコンテンツとなっている。また、オープンAPIを利用して取得したユーザーの情報を、動画などのリッチメディアコンテンツの一部に組み込んで見せるプロモーション手法などが話題を呼んでいる。
現在、最もクライアントが興味を引かれるプロモーション手法に関わってくるのが動画コンテンツなのだ。それを提案・実現できるスキルを身につけることが、Webクリエイターとしてのランクアップにつながることは間違いないだろう。
動画対応は実は簡単!?
一口に動画と言っても、その内容は様々だ。
- 映像制作の専門スキルがないと対応できないような演出・撮影・編集をともなうもの
- グラフィックスの展開が中心となるプレゼンテーション
- 既存の映像をWebで公開するための最適化
これまで、動画(映像)コンテンツを制作する場合、自社内に制作リソースを持たないWebプロダクションは外部の映像制作会社に発注するケースが多かった。リソースがないということは、どんな簡単なコンテンツであっても外部に依存してしまうことになり、効率も悪く仕事にもなりにくかった。
ところが、動画の制作環境はここ数年で大きく変動し、この状況は変わりつつある。ハイビジョン画質・ブロードバンドレベルの映像制作作業が、一般的なPCでもストレスなくできるようになったのだ。そして、このイノベーョンを活かすことができるチャンスに恵まれているのが、Web制作に携わるクリエイターなのだ。
デスクトップPCの動画制作環境では、これまでのWebサイト制作で駆使してきたツール類がシームレスに動画制作のツールと連携するため、Web制作に近い操作感で映像を作ることができる。デザイナーが使い慣れているPhotoshopやIllustratorなどのAdobeのデザインツールを使い、AdobeのPremiereやAfter Effects、またはAppleのFinal Cutなどの動画ソフトだけを習得するだけで動画への対応が始められる(図1)。
AdobeやAppleの動画編集ソフトは、PhotoshopやIllustratorなどのデザイン系のソフトウェアのデータを読み込んで動画を作成できる。アプリケーション内で連携している部分も多く、使い勝手も共通しているため、WebやDTPで作成したデータを動画素材に活用するなど、シームレスに制作が可能だ。
簡単なコンテンツであれば、映像制作部門を持たないWeb制作会社でも動画対応が始められるし、これまですべて外注していた作業を内制化できる範囲も増えるだろう。
動画コンテンツ制作スキームの変化
現在でも、一般的にはWebサイト制作と動画コンテンツの制作を分業して映像制作プロダクションに発注しているケースは多いだろう(広告代理店がそのように仕切る場合もある)。
映像制作は、シナリオ作りから、撮影、編集と、多くの専門分野の人間が関わる仕事で、ITスキルで仕事をするWeb制作の人間が簡単に手を出せる分野ではないことも確かだ。だが、あなたは映像を作る人、私はサイトを作る人という制作体制で仕事をしていると、双方が同じ方向を見てコンテンツを作ってないというケースが起こりうる。
実は、映像や放送の業界は旧態依然とした古臭い体質であるため(というと語弊があるが)、新しいメディアや技術には感覚が追いついていっていないところが多いからだ。映像単体ではすばらしい作品ができあがるかもしれないが、現在Webの世界で求められているコンテンツやコミュニケーション手法に対応しきれない場合がある。デジタルメディアですばらしい動画を提供できている制作会社には、そこのブレイクスルーが必ずあるのだ。
Webプロダクションの形態によって異なる部分ではあるが、先述の通り、現在は動画のハンドリングがサイト構築の環境に近く、ある程度のことはWebクリエイターが自分でできる。パートナーとなる映像制作会社には、デジタルコンテンツの作り方を学んでもらい、双方十分にコンセンサスを得たうえで作業段取りを組んで、共同で作品を作るスキームに変わっていかなくてはならない。たとえば、次のような方法だ(図2)。
これによって、作品のクオリティを上げることができるだけでなく、無駄なコストを削減することにもつながる。
一般社団法人 日本WEBデザイナーズ協会
(JWDA=Japan Web Designers Assiciation)
日本WEBデザイナーズ協会(JWDA)は、WEBデザイナー市場価値向上を図り、WEBデザイン産業の育成・振興・発展を推進することを目的とする非営利団体です。JWDAは、「WEB」デザインに従事する団体や個人(リサーチ、マーケティング、企画立案、インターフェースデザイン・設計、広告デザイン、WEBデザイン、動画制作、システムインテグレーション、ビジネススキーム立案等に関わる稼業全てを指す)間の技術的な情報共有、社会的な地位向上、そして日本の産業の活性化に努めていきたいと考えています。
- 2009-2010 JWDA スローガン
人と人をつなぐ そして2011年へ - Mission(協会使命) インターネットを利用した仕組み、サービスの制作に従事する団体、個人間の技術的な情報共有、社会的な地位向上、そして産業の活性化に努める。
- Principles(理念)
優れたWEBデザインは、常に形状の審美性と機能的な操作性の二つの調和によって成り立ちます。私たちは製作者相互の最高の技術の賜物であり結晶であるWEBデザインを通して、日本の産業的・文化的発展に寄与する事を第一と考えます。 - Vision(展望)
WEB制作者、業界間の発展と親和に努め、日本のWEB業界における中心的な存在になる。
- 一般社団法人 日本WEBデザイナーズ協会:http://www.jwda.jp/
- JWDA WEBデザインアワード:http://www.jwda.jp/event/award.html
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