接客戦略も「魚鱗」か「鶴翼」で考える | 売れるネットショップの法則39
来店経路と売れ筋商品から接客戦略が見える
法則10、法則11で解説した「魚鱗・鶴翼の理論」を思い出してほしい。商品数が少ない場合は、入口商品への集客に重点を置いた「魚鱗の陣」、商品数が多い場合は、SEOやリスティング広告を重視する「鶴翼の陣」を取ることを勧めた。
この魚鱗・鶴翼の分類は、必然的に、店舗ページの構成にも大きく影響を及ぼす。ここでは、それぞれの特性に応じた接客戦略を解説する。
「魚鱗の陣」は、優秀な店員以上の接客力を目指す
魚鱗型の集客施策では、指名買いよりも「なんとなく気になって」来店するユーザーが多い。購入意欲がまだ高くないので、実際に買ってもらえるかどうかは、店舗ページでいかに商品や店をアピールするかにかかっている。実演販売のベテランが、絶妙な商品説明で「買うつもりのなかった通行人」を魅了して商品を売るようなイメージだ。それだけの力のある商品ページを作らねばならない。この方法論は、接客4要素の「看板商品」の項で案内する。
また、魚鱗型の店で売る商品は大抵知名度が低いので、信頼性も同時に演出しなければならない。これは「店舗コンセプト」の項で案内する。
サイト構成としては、まず入口商品の商品ページをしっかり作り込むのが最優先だ。トップページには大きく商品イメージを置き、来店客を入口商品へと強力に誘導する。
これらの施策が済んだら、今度は「品揃え」を見直して、客単価向上を目指してほしい。LTVが高まるので、より積極的に集客投資ができるようになる。
魚鱗型店舗のトップページ例
「鶴翼の陣」は、陳列の工夫で単価アップを目指す
鶴翼型の集客施策では、検索経由での来店が多い。そして、来店客ごとに目当てとする商品が違うので、数多くの商品があっても迷わずに済むページ構成が重要だ。つまり実店舗で言うフロアガイドである。さらに、来店後に「当初予定と違う商品」を探し始めるケースも多いので、すぐに関連商品のページに移動できるスムーズさも必要だ。せっかく来店しても購入せずに流出するユーザーは少なくないが、このような施策により機会損失を減らせるはずだ。具体的な方法は接客4要素のうち「店構え」の項で案内する。
サイト構成としては、ページの上部・左右に置かれたナビゲーション(各ページへのリンク)を整えて、来店者の滞在時間を引き延ばし、さまざまな商品を見てもらえる構成を心がけること。これにより店全体の購入率がアップする。
次いで利益率の高い同梱商品や、まとめ買いを勧めるなど「品揃え」の施策を強化すれば利益率や客単価の向上も期待できる。特に、有名ブランド商品・型番商品を扱う店は利益率が低下しやすいので、この施策は必須である。
また、ファッション・インテリア・雑貨ジャンルなどの総合タイプについては特に、法則49の特集ページや、法則50のセールページにも注力することを勧める。このページは特に購入率が高いので、広告やメルマガのリンク先にも最適だ。
状況に応じて組み合わせて使う
分かりやすくするために、接客施策のパターンを魚鱗・鶴翼の2つに分けて紹介したが、もちろん二者択一ではない。この2つのやり方をうまく組み合わせて使ってほしい。
例えば、本やCDを売る実店舗を想像してほしい。無数の商品が並んでいるが、単に並べるだけではなく、特に売りたい一部の商品にはPOPを貼っている。ネットショップも同じだ。鶴翼型の店でも、注力商品があれば、その商品ページは力を入れて作り込むべきだろう。
このように、自店舗の状況に合わせて、適宜違うタイプのやり方も取り入れてみてほしい。
鶴翼型店舗のトップページ例
- 売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。
- 坂本悟史 (@CommerceDesign)
川村トモエ (@cd_kawamura) 著 - ISBN: 978-4-8443-2837-7
- 発行: インプレスジャパン
- 電子書籍版はBookGateアプリでダウンロード購入可能。iPad/iPhoneにBookGateアプリをインストールしたら、アプリを起動して、「ストア」の「本一覧」→「出版社」→「インプレスジャパン」から。
- 筆者の所属するコマースデザイン株式会社のページ
※この記事は、書籍『売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです(序章もご覧ください)。
ネットショップでモノが売れない、なぜ?
資金力ではありません。やり方が違うんです。
「商品タイプ別」のネットショップ開業・運営ノウハウとは?
例えば、剣道用品のような「ニッチ商品」と、無名の自社ブランド商品、価格競争の激しい有名メーカー品では、有効な「売り方」はまったく違います。
本書では、取扱商品を4タイプに分類し、各タイプの強みを生かした集客・ページ接客・リピート促進手法を紹介します。
【自分の店の強み】を知れば、混乱していた頭もすっきりし、優先順位が明確になり、それまで空回りだった歯車も噛み合います。
事実、多くのネットショップ店長からそんなコメントを頂いています。
ソーシャルもやってます!