自店舗の強みを分析し、店舗コンセプトを考える | 売れるネットショップの法則40
店舗コンセプトを定義する
商圏内の実店舗商売と違い、ネット通販はいわば「商売の全国大会」なので、何がしかアピールできる特徴がなければ苦戦することになる。業界ナンバーワンの強みでなくてもいいので、何をウリにするかを考えてほしい。
ユーザーは、自分が探している「ちようど良い店・商品」を見つけるために、猛スピードで数多くのネットショップに次々と訪れては、一瞬で見切りを付けて去っていく。キャッチフレーズは、「一瞬で伝わる自己紹介」であるべきだ。
常連さんの顔やライバル店の姿をイメージしていると、「自分が何者か」「なぜ支持されているのか」がだんだん見えてくる。コンセプトとは、大げさに言えば「世の中における自店舗の存在意義」とも言えるだろう。
ユーザーは、一度にたくさんのネットショップを見比べるので、店の強みは「一瞬で」伝える必要がある。店舗ページを開いた瞬間に見えるよう、ページ上部に「強みを表すキャッチフレーズ」を掲載するのがお勧めだ。キャッチフレーズとは例えば、「革職人が作る皇室御用達の逸品」「問屋直販だから豊富な品揃えと激安価格」などだ。
本書では、「他店より当店で買うべき理由(強み)」を端的にまとめたものを「店舗コンセプト」、店舗コンセプトを伝わりやすい1フレーズにしたものを「キャッチフレーズ」と呼んでいる。
店舗ページを作り込む前にコンセプトやキャッチフレーズを決めておけば、試行錯誤の時間が短くて済み、統一感のあるネットショップが作れるだろう。
本業での風景からコンセプトを想像する
実店舗があるなら、常連さんの顔を思い出してみてほしい。その人は「どんな人」だろうか?「どんな商品」をよく買っているだろうか? 似たような店が他にもあるだろうに、「なぜ」あなたの店で買ったのだろうか? どんな人が、どんな商品を、なぜあなたの店で買ったのか。
例えば、あなたのペット用品店に、わざわざ遠くから来る常連さんがいるとしよう。無添加で良質なペットフードを買っている。なぜ遠くから来るのかと聞いてみると……「ウチの犬は年を取って体調を崩しがちだ。近所に自然食を扱うペットショップがないから、この店に通っている。種類が多いし、相談すれば詳しく教えてくれて便利」といった感じで、お店の強みは、実は常連さんに聞くのが一番早かったりする。
QPC分析で自店舗の強みを見つける
店舗の強みは「キューピーちゃん」で考えると分かりやすい。品質(Quality・クオリティー)、価格(Price・プライス)、利便性(Convenience・コンビニエンス)で、QPCだ。店舗の強みは、大抵このQPCのうちどれか1つ(もしくは2つ)になる。下の表を参考に、どの要素が一番強いかを考えてみよう。
競合他店と比べると、必然的に自店舗がQPCの中のどれが一番強いかが見つかる。もちろん競合はネットショップに限らない。ユーザーの周囲にある実店舗も想定しよう。そして、強みの「論拠」を書き加えると、伝わりやすく説得力のある店舗コンセプトができる。詳しくは下図を参照してほしい。
また、店の強みとは決して絶対的なものではない。「大手メーカーの量産品が安い激安店」も「高価だが手作りの製造直販」も、それぞれ素晴らしいものだ。違うタイプの店の良さを認められれば、自店舗の強みも自然と見えるだろう。
品質(Quality)の要素 | |
---|---|
品質 | 手作り、天然、無添加 |
売り手・作り手 | パティシエ、医者、世界チャンピオン、職人 |
人気 | 行列ができる、雑誌掲載、皇室御用達、○○受賞 |
伝統 | 老舗、明治○年創業、この道○年の店長 |
本場感 | 北海道、イタリア、代官山、南の島、オホーツク海 |
鮮度 | 水揚げしたその日に発送、注文を受けてから職人が手作り |
価格(Price)の要素 | |
仕入れ | 問屋直販だから安い、産地直送、現地買い付け |
裏事情 | アウトレット、規格外サイズ、業務用品だから安い |
利便性(Convenience)の要素 | |
納期 | 即納、翌日発送 |
品揃え | 全○品の品揃え |
専門性 | 卓球用品なら何でも揃う店 |
※QPCいずれかに絞らなければいけないわけではない。
- 品質をアピールする例
人気パティシエが作る、雑誌で話題の北海道スイーツ専門店
ノルウェー在住○年の店長が選んだ、北欧家具&雑貨の店 - 価格をアピールする例
問屋直販で中間マージンカット!テレビで話題の生活応援ショップ
- 利便性をアピールする例
メーカー直販だから出来る即日配送!厨房機器が全○品の品揃え
- 売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。
- 坂本悟史 (@CommerceDesign)
川村トモエ (@cd_kawamura) 著 - ISBN: 978-4-8443-2837-7
- 発行: インプレスジャパン
- 電子書籍版はBookGateアプリでダウンロード購入可能。iPad/iPhoneにBookGateアプリをインストールしたら、アプリを起動して、「ストア」の「本一覧」→「出版社」→「インプレスジャパン」から。
- 筆者の所属するコマースデザイン株式会社のページ
※この記事は、書籍『売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです(序章もご覧ください)。
ネットショップでモノが売れない、なぜ?
資金力ではありません。やり方が違うんです。
「商品タイプ別」のネットショップ開業・運営ノウハウとは?
例えば、剣道用品のような「ニッチ商品」と、無名の自社ブランド商品、価格競争の激しい有名メーカー品では、有効な「売り方」はまったく違います。
本書では、取扱商品を4タイプに分類し、各タイプの強みを生かした集客・ページ接客・リピート促進手法を紹介します。
【自分の店の強み】を知れば、混乱していた頭もすっきりし、優先順位が明確になり、それまで空回りだった歯車も噛み合います。
事実、多くのネットショップ店長からそんなコメントを頂いています。
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