商品数が少ない場合は「魚鱗の陣」で集客する | 売れるネットショップの法則10
店舗の特性に応じて「陣形」を選ぶ
かつて日本の戦国時代には、「魚鱗の陣」「鶴翼の陣」という戦の陣形があった。陣形とは、軍勢における兵士の隊形のことで、戦の勝敗を左右するほど重要なものだ。サッカーのフォーメーションなどと同様に、自軍の状態に合わせて、的確な陣形を取ることで、より大きな力を発揮できたという。
これはネットショップでも同じだ。扱っている商品などに合わせて、的確な陣形をイメージしながら集客を行う必要がある。この考え方は、法則4「『EC4タイプ理論』で店舗の未来を知る」で述べた、商品タイプ別のショップ運営戦略と密接に関係している。関連付けて覚えてほしい。
商品数が少ない場合は、一点突破型「魚鱗の陣」
これから説明する「魚鱗の陣」は、商品数が少ない店に適している。法則6で紹介した、商品数が少ないオリジナルタイプ(自社・無名ブランド商品を中心に扱う店)がこの典型である。
実際の魚鱗の陣も、主に人数が少ない場合に用いられた。中心部分が前方に張り出しており、上から見ると三角形になっている。この三角形の先頭に精鋭部隊を置き、中央突破をはかる「攻め」の陣形だ。
そして、ネットショップにおける魚鱗の陣でも、先頭に配置する商品が極めて重要だ。この商品を「入口商品」と呼ぶ。例えば通販コスメのトライアルキットや、食品の試食セットのような、お試し商品や有料サンプルが典型だ。ユーザーが一番最初に接触する商品であり、商品ラインナップの中では「切り込み隊長」的な存在である。
この入口商品に持てるパワーを集中させよう。まずは購入しやすい入口商品を前面に立てて集客を行い、これを数多く販売し、その後で、メルマガなどを活用していろいろな商品を継続的に購入してもらうわけだ。いわば「一点突破、全面展開」である。実際、チラシやテレビを使った健康食品・化粧品の通販でも、広告を使って低価格の有料サンプルを売るのが王道である。
この戦略を、本書では「魚鱗の陣」と呼んでいる。
まず「入口商品」をしっかり作り込むこと
では、魚鱗の陣を運用する際には何に気を付けるべきか。
集客施策としては、商品特性上、検索からの来店客数だけでは不十分なので、ある程度コストをかけて、広告や懸賞による集客も実施する必要がある。
ただ、集客施策の選定も大事だが、入口商品の購入率が最も成否を左右する。せっかく集客できても、ザル状態で購入に至らなければ本末転倒。広告費の無駄遣いにしかならないし、先頭に立つ入口商品が売れなければ、後に続くはずの商品も全滅してしまう。自信ができるまで、集客への大きな投資は避けるべきだろう。
まず、後々のリピートにつながるような入口商品を企画しなければならない。例えば、少量だけ試せてもっと欲しくなるようなサンプル品や、いろいろな商品が少しずつ入った「お試しセット」などだ。詳しくは法則57「『入口商品』からリピート購入への流れを設計する」を確認してほしい。
そして、その入口商品をどう紹介するかも重要だ。商品の良さを語り、購入意欲をそそるような商品ページを作り、購入率を高めておく必要がある。特に、無名の商品を、入口商品として使う場合は、商品の良さを大量に説明しなければならないので、商品ページは縦に長くなる。これを「縦長商品ページ」と言う。具体的な考え方は、法則62「『BEAFの法則』で売れるストーリーを作る」で説明している。ここでは、単に集客さえすれば良いわけではない、という点を理解してほしい。
なお、アパレルや雑貨・家具などのジャンルでは、特定の入口商品ではなく、さまざまな商品を並べた「特集ページ」や「セールページ」に集客するケースが多い。いわば「入口企画」だ。「入口企画」を使う理由は、これらのジャンルでは、単品通販ほど「特定の商品」に注文が集中しないからだ。詳しくは法則26「リンク先ページを使い分ける」を参照してほしい。
- 売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。
- 坂本悟史 (@CommerceDesign)
川村トモエ (@cd_kawamura) 著 - ISBN: 978-4-8443-2837-7
- 発行: インプレスジャパン
- 電子書籍版はBookGateアプリでダウンロード購入可能。iPad/iPhoneにBookGateアプリをインストールしたら、アプリを起動して、「ストア」の「本一覧」→「出版社」→「インプレスジャパン」から。
- 筆者の所属するコマースデザイン株式会社のページ
※この記事は、書籍『売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです(序章もご覧ください)。
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