「この記事がRTされるごとに100円寄付します」はSEOスパムなのか?
今日はSEOというか検索エンジンの話を。Web担では検索エンジン対応をどんな風に考えているのかの紹介と思考実験を兼ねて。
次のようなツイートをするのは、検索エンジンからスパム扱いされるかどうかを考えてみましょう。
【拡散希望】このツイートが公式RTされる1回につき100円を○○団体に寄付します。詳しくは http://www.example.jp/twdonate
共感を得られるトピックに関してこうしたことを表明すると、「RTするだけならば」と、多くの人が喜んでRTして広めてくれることでしょう。
いまはTwitter上のツイートに含まれるURLが検索順位に直接影響すると言われるため、こうしたやり方で多少なりともSEO効果を得ようという人がいてもおかしくないでしょう。1万回RTされても、寄付金額は100万円。寄付金控除を受ければ、実際には1RTを数十円で買ったのと同じことになります。
さて、このように「RT回数に応じて寄付します」は検索エンジンにはスパム扱いされるのでしょうか? 私ならばこんな風に考えます。
※この記事では、結論としての良し悪しではなく、対検索エンジンでどんな風に考えるかに焦点を当てていますので注意してください。
検索エンジンの規約やガイドラインに違反していないか?
検索エンジンは、「順位を操作する意図のリンク」には厳しく対応しますから、たとえばこれが「リンク1本張られるたびに100円寄付します」だとスパム扱いされるでしょう。
しかし、私の知る限り、寄付を応援してもらうソーシャルメディア上の行為を禁ずる規約はありません。
過去に同様の行為に対して検索エンジン側からの判断が示されたことがあるか?
頼まれてブログ記事を1本書くたびに100円といったPPP(ペイパーポスト)などに対する判断はありましたが、「RT回数に応じた寄付」といったスキームに対する判断は見た記憶がありません。
検索エンジンが目指す方向から外れてはいないか?
現時点ではNGだとされていなくても、検索エンジンが向かっている方向から外れていれば、将来にNGになる可能性はあります。その点ではどうでしょうか?
おそらく問題ないのではないでしょうか。多くの人が心から「いいね」と支持するページやサイトを評価することは、検索エンジンにとって自然なことでしょう。この場合のRTは「私の代わりに寄付してくれるんだ、いいね」という、ページに書かれている内容への賛同と支持ですから、評価するべきでしょう。
この行為は検索エンジンがなくてもしていたか?
したでしょう。賛同する人が多ければ多いほど多額を寄付する、その賛同されぐあいをRT数で見る、そして寄付などの情報を示すためにURLを出す。いずれも自然な行為で、検索エンジンの存在とは関係なく実行していて不自然ではありません。
ネット以前に社会における倫理面の問題は?
問題は見当たりませんね。これがダメなら、世のCSRはどれもNGになります。
総合的に判断すると?
結論としては、現時点ではこうした行為を検索エンジンがNGだとみなす明確な理由は見つかりません。
とはいうものの、「スパム判定されるのかな?」という疑問が生じるということは、微妙なラインであることは確かです。私がマット・カッツなら、間違いなくチームのメンバーに「これ、どう思う?」と聞くでしょう。
正直なところ、こうしたツイートの数を当該URLの評価や当該ツイッターアカウントの評価に加えるのは違和感がありますよね。作為的な操作というほどではないにしろ、不自然な行為ではありますから。
ですから、こうした行為があまり目立つと、何らかの手動調整(効果を減らしたりなくしたり)を加えられる可能性は否定できないでしょう。
そして、順番は少し前後しますが、「そもそもSEO効果はあるのか?」という点について。
「ツイート内のURLに中長期的なSEO効果はほとんどない」という人もいますし、「それなりにはあるんじゃないか」という人もいますので、断言しづらいところ。
RTが爆発的に広がればブログやツイッターログ系サイトからのリンクが増えることになりますから、多少の被リンク効果は期待できるでしょう。しかし現時点では、URLが含まれた公式RTが増える程度では、さほどSEO効果は期待できないのではないかというのが実際のところのようです。
個人的には、Twitter上を流れるURL情報に関しては、少々のことではたいして評価する必要はないけれども、それなりの動きを示した場合は被リンクと同様に重要なシグナルとして評価するのが妥当なのではないかと思っていますが。
結論としては、「明確にNGだと結論づけられないけど、突っ込まれる可能性があるんだからやり過ぎないほうがいいよね。期待される効果も含めると、ユーザーの役に立つ記事を作るとかのほうが意義があるかも」といったところ。
そもそも最も大切な「サイトのユーザーにとってどうか」を基準に考えると、「四の五の言わずに寄付すれば?」というのが正直なところ。「寄付します」ではなく「寄付しました」を言おうということですね。特に「ただし寄付金は最大で100万円」といった条件を付けるのであれば、最初からその100万円を寄付すればいいだけの話。
「1 RTにつき100円」は、一見スパムと判定されなさそうな気はするものの、やはり検索エンジンを意識した姑息な手段だと考えるのが自然ではないかと思います。
さて、あなたならどう考えますか?
コメント
私はこの考えと同じ意見です
やり方は違いますが、孫さんの行動を見ていると、この記事と同じようなことを考えます。
私個人ではSEOスパムだと思いますし、嫌なやり方だと思いますが、実際にはペナルティーも無ければ、むしろ社会的には大部分の人か共感し、褒め称えるのだと思います。
検索エンジン運営会社は、性善説に立っており、悪質な行為にはペナルティーを与えると表向き言ってははいますが、実際にはトラフィックが増えれば広告収入も上がる皮算用ですので、ペナルティーを加えることに積極的ではないように感じます。
私は個人で、ひどいSEOスパムは通報、グレーゾーンは報告という事を常にしていますが、実に、ペナルティが発動したのを見た事はありません。
今はやったもの勝ち。お金を掛けた者勝ちというのが本当の所ではないでしょうか。
担当者の裁量で100万を出せる会社と出せない会社があると思いますが、出せる会社の担当者なら迷わず100万投資せよ。
というのが、現実的な回答なのだと思います。
それに、「困った人を助けるという善の盾」を持ちながら、影で、利益誘導をたくらんでいる人達に、利益誘導のことを追及すると必ず、話題をすり替え、善の盾で応戦してきます。インターネットが普及する前からその構造は変わっていませんし、善の盾の効果は絶大です。
自己の利益になるものは何でも利用する。それができずに、立ち止まり考え込む時点で敗者への道が決まっているのかなと最近思います。
結論よりも、考え方のほうが……
コメントありがとうございます。
ただ、この記事のメインは、結論としての「これはアリかどうか」よりも、「検索エンジンにとってどうなのかを、どんな風に考えるのか」のほうにありまして。
「現時点では」とか、「資本があれば」とか、「検索エンジンもっとがんばれ」とか、いろいろありますが、記事の主旨としては、本文にもありますよように、「Web担では検索エンジン対応をどんな風に考えているのかの紹介と思考実験」ととらえていただければ幸いです。はい。