単機能トップページというデザイン手法が人気急上昇中
最後にデザインの話題を取り上げてからずいぶん経ったけど、そろそろまた書くべき頃合いだと思う。
今回焦点を当てるのは、レトロ(かなり前から用いられている)でありながら今また勢いを増しつつある(少なくとも僕は人気上昇中だと感じている)デザインスタイルだ。もっと具体的に言うと、目的を1つに絞り込んだトップページのことだ。
最初に、簡単な例を挙げる。GmailやYahoo!メールのメールアドレスを入力すると、そのアカウントに登録されている連絡先(知り合い)を、さまざまなソーシャルネットワークで探してきてくれるSpokeoというサービスだ。
このデザインの目的はただ1つ、製品の機能を示すためにメールアドレスを入力してもらうことだけで、そのほかのことには目もくれていない。登録ユーザー向けのログインページやブログ、説明ページへアクセスするリンクといった副次的なリンクが少々と、信用度を高めるのに役立つ大手メディアのロゴがいくつか並んでいるものの、根本的に、このデザインには強い意図が見てとれる。
目的を1つに絞り込んだトップページを好む5つの理由
- メッセージがすばく伝わる
見出しと行動喚起の呼びかけが1つずつしかないので、ビジターは、作り手が伝えようとしている重要なメッセージが一目でわかる。もっと長くて複雑なページになると、デザイナーやマーケターは、意図した呼びかけを(意味が伝わるのならばどんな形であれ)実際に目にする人がどの程度の割合になるのか、絶えず心配しなくてはならない。
- 情報伝達を簡潔にできる
このようにメッセージがただ1つであれば、簡潔に情報を伝える表現や言葉を選ぶ必要があり、そうでなければ失敗の危険性がある。簡潔なウェブデザインが成功につながることは何度も繰り返し証明されてきたし、簡潔なメッセージは最も容易に理解でき、口コミで伝わりやすい――まさにマーケターの夢だ。
- 重要なものがはっきりする(そして重要でないものはどうでもよくなる)
人は外部の力に屈したとき、残されたものこそが自分にとって最大の強みだということに気づくものだ。サイトのデザインでも、必要のないものが完全に取り除かれ、ページの目的に役立つ要素(グラフィックス、フォント、レイアウト、リンク、メッセージ)だけが残ったとき、この原理がはっきりと効果を現す。サイトに掲載すべき10の事柄の選択をめぐって言い争いをした経験がある人なら、発想を切り替えて、自社のビジネスの全容を表現できる10の言葉を吟味することを心がけよう(この切り替えで必ず成功するというわけではないが、最終的に良い結果につながる可能性がある)。
- 価値あるビジターを選り分けられる
このようなページにたどり着いたビジターは、そのサービスが自分向きかどうかを即座に理解するだろう。興味を持たなかった人はすぐにページを去るので、実際にマーケティングやターゲティングの対象になりそうなビジターしか残らない。つまり、残ったビジターについて収集/加工のできるデータは、すべて価値があるということだ。ただし、往々にして対象外のビジターから聞こえてくる「雑音」も一掃してしまうという欠点もある。
- 「じょうご」の最適化を容易にする
君がもしA/Bテストや多変量テストを数多く実行しているなら(それから、このドキュメントを読んでもこういったテストを実施すべきだと納得できないのなら、もう望みはない)、このようにごく少数の入力欄とリンクと見出ししかない簡素なページは驚くべきものだ。テストに要する期間は短くなるし、より説得力のある結果がもたらされ、クリック率やコンバージョン率を効率よく改善すべき注力ポイントを示してくれる。これらの比率が少し変動するだけで、売上が数百万ドル変わることも多い(これはたいてい、良い方に変わる)。
目的を1つに絞ったトップページはSEOにとって有効か?
答は「場合による」だ。
サービスの提供に特化していて、そもそも1つの目的しかないようなタイプのサイトなら、SEOにとって理想的なページ形式になるだろう。ブログや宣伝用の記事など、副次的なコンテンツがある場合でも、こういったページに比較的小さくて目立たないフォントでそうしたコンテンツへのリンクを埋め込んでおけば、クローラビリティと優れた情報アーキテクチャを保持できる。
ただ1つ、本当に困った問題になりそうなのは、サイト上にあるバイラル性が高くて製品との関連性が低いページに対して、トップページからトラフィックを送り込む働きが失われるかもしれないという点だろう(その結果としてリンクが少なくなり、ひいてはSEOの機会が失われる)。そうした危険があるなら、こういう形のデザインを採用しないという正当な理由になるだろう。
また、戦略上の目的に合致しない場合も、絶対にこのスタイルを採用すべきではない。メディア会社やブロガー、新聞社、小売業者がこの方向に進みたがることはおそらくないだろう(ただし、内容が深く、焦点を絞ったページにおいてこういったスタイルをヒントにするのは、おそらく賢いやり方だと言える)。
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