資料請求を増やす、当たり前でとっておきの実践秘策(後編)
右下エリア(③)のキーワードを改善するためには
とにかく予算的にもったいない状態となっているのは、右下エリア(③)だ。たくさん訪問者は連れてくるのにゴールに結び付かない。このエリアのキーワードにこのままコストをかけていてはいけないのだ。しかし、単純に投資を減らして訪問者数を減らすのは早計というもの。何か改善する方法はないものだろうか?
この場合、問題となるのは、入り口となっているページだ。サーチエンジンが不適切なページを紹介しているために、せっかく良いニーズで訪れているのに、帰ってしまっているのかもしれない。
そこで、1つ1つ、各キーワードの入り口ページをチェックしていこう。1つ1つのキーワードをチェックする、と言うと「手間がかかって大変」というイメージを持つWeb担当者が多いが、今分析しているキーワードは全部で50。右下エリアに入るキーワードはどんなに多くても25個しかない。多くのコストをかけているキーワードなのだから、これを1つ1つ見ていくことが大変だと言っていたら成果は伸びないのだ。
まず、このキーワードの解析結果を深く掘り下げて、それぞれのキーワードでどのページが入り口となっているか確認しよう。意外なページが入り口となっていることが見つかるだろう。そのなかには「まさかそんなページが入り口になると思ってなかった」ようなページも含まれる。深い階層のページなどが含まれるだろう。「深い階層のページ」とは、目次ページからクリックされると想定して作られている末端ページである。
目次からクリックされると想定しているということは、多くの場合、「目次ページに戻る」といったリンクしか用意されていない、行き止まりページになっている。しかし、そんなページだからこそ、
- あまり画像で飾られず、テキストが多いページになっている
- 内容が絞り込まれたページになっている
という2つの理由で、サーチエンジンが重視しやすいページになるのだ。
逆に言えば、上位階層のページは、
- 画像やFlashなどの飾りが多く、検索に不適
- 次のページにリンクするのが目的のページなので、内容が幅広く、1つのキーワードについて詳しく書かれたページではない
という理由で、サーチエンジンに重視されにくいといった悩みがある。だから、深い階層のページが重要なキーワードで検索され、たくさん訪問者が来るわりにはゴールに結び付かないという結果になることが多いのだ。
そうした困った深い階層のページの典型が「PDFファイル」だ。PDFファイルはサーチエンジンに重視されやすいファイルだが、そもそもリンクが1つも含まれない場合が多く、訪問者もそのファイルを入手すれば目的を達するので、たいていの場合、PDFファイルからはどこにも移動せず、帰ってしまう。PDFファイルが入り口になっていた場合、95%の訪問者が直帰すると考えたほうが良いだろう。他には、ニュースリリースの各ニュースページや、用語集、レシピ集など、目次からたくさんのページがぶら下がっているタイプのコンテンツも、多くの検索者を集めるが、多くを帰らせてしまいがちなコンテンツだ。
こうして、各キーワードで入り口になっているページを、アクセス解析結果から整理すると、図3のようなものができる。今度は入り口ページが点々で表されている。横軸が入り口になった回数。右側ほど訪問者が多く、左ほど少ない。縦軸には直帰率をとっている。上ほど直帰が少なく、下ほど直帰率が高い。軸の中央値は50%で良いだろう。右上エリア(②)に入るページは多く人を集めて帰らせないページだから良い入り口ページだ。左上エリア(①)に入るページは、まだあまりたくさんの人を集めていないが、来た人は帰らせない、良い入り口ページということになる。こうした入り口を伸ばしていかなければならない。
問題は右下エリア(③)に入るページだ。今のホームページはこのエリアに入るページが多すぎるようだ。せっかく集めた人をみんな帰らせてしまっているような状態だ。これではホームページの成果が出るはずがない。広告などでコストをかけて集客しているのに、7割、8割の人を帰らせてしまっていては非常にもったいないと言わざるをえない。
重要なキーワードで集客している入り口ページが、この右下エリアに入ってしまうようだと、まずはキーワードへの投資を減らすより、入り口ページを直すほうが先決、ということになるだろう。
資料請求を増やす、とっておきの対策
こうして、セグメントを踏まえて見直せば、対策としては次の2つが自然と考えられるようになる。
- 今の入り口ページを直して、そのキーワードで訪れた人が納得し、資料請求したいと思うようなページにする
- 別のページにそのキーワードを加えて、もっと望ましいページが入り口になるようにSEO対策する
普通のHTMLページが入り口になっている場合には、まずは(1)の対策を試してみよう。一方でPDFファイルなどは(2)の対策を講ずるべきだと言える。
そのキーワードで訪れた人が納得するページにするためには、もっとそのページでそのキーワードを大きく扱うことが重要だ。本文のなかにそのキーワードが出てくるだけ、というよりは、見出しにどんと大きな文字でそのキーワードが現れれば、「自分の探している情報が大きく扱われているページだ」と訪問者が感じやすい。それだけのことで直帰率というのは大きく下がるものなのだ。まずはそのページの見出しを変更して、キーワードを織り込んだ文言に変えてみよう。
これで直帰率を引き下げられたら、次は「資料請求したい」と感じるページにすることだが、これは前回書いたように、その人がほしいと思う資料を用意し、「こんな良い資料があるならもらっておこう」というモチベーションを与えることだ。
「マンション 収納」といったキーワードで訪れているページなら、まずは「収納の多いマンションを見つけるには?」といった見出しにして、ページを改善。さらに「マンション収納のテクニック」といった名称で資料を作成して、ページの下のほうに写真も入れて掲載しておこう。こうすれば、どんな資料がもらえるのかが事前にわかりやすく、資料請求してもらえる可能性がアップする。訪問者が欲しいのは、「資料という名称の紙のたば」ではなく、「マンション収納のテクニックが載った小冊子」なのだ。単純に聞こえるかもしれないが、こうした施策で資料請求というのは大きく増えるのである。
コメント
2ページ目冒頭の >予
2ページ目冒頭の
>予算的にもったいない状態となっているのは、右下エリア(④)だ。
のところでタグを閉じ間違えてますよ。
Re:2ページ目冒頭の>予
ありがとうございます。
スペル打ち間違えていましたので、先ほど修正させていただきました。
なぜ気づかなかったのか、問い詰めておきます。
Web担編集部 池田
右下エリア(④)と
右下エリア(④)というのが本文にたくさん出てきますが、図では、右下は③になっています。
それと、1ページ目の図と2ページ目の図は別々の図だと思うのですが
同じ①~④を使っているので混乱します。
2ページ目の図は(A)~(D)とかだとわかりやすいのでは。
修正しました
編集部の安田です。コメントでのご指摘ありがとうございます!
④は間違いですね。申し訳ありません。修正しました。
2ページ目の図で1ページ目と同じ①~④を使っている件は……悩んだのですが、思うところがあり、そのままにしておきます。ご提案の(A)~(D)も非常に良い編集のしかただと思うのですが、「4象限」というイメージを残したいな、と思いまして……。
お詫びと訂正
記事の初出時に、筆者の肩書きに間違いがありました。
いなかどっとコム→HARMONY
ここにお詫びするとともに訂正いたします。