企業ホームページ運営の心得

ビジネスは教育。客は神様ではなく生徒

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の百九

また勝手に「シリーズ」始めます

全国一斉テストにゆとりの見直しと「教育」についての議論が活発となっています。そのなかに「競争」を否定する論がありますが、社会はすべてが競争ですから教えずに社会に放り出す方が残酷です。また「資本家 対 労働者」という対立構造を語る教員もいて、これまた実社会に即していません。今なら「蟹工船」でも語っているのでしょうか。「現実」を教えてくれる「恩師」もいたのですがこれは少数派。

ビジネスは教育です。客は教え育むものです。甘やかせば傲慢となり、教えにより強力なサポーターに成長します。突然ですが「教育」シリーズの開始です。今回のテーマは「」。次回より「仲間」「部下」と三部作を予定しております。

教育の荒廃が安買い客を増殖する

「売れない」という声が巷に溢れています。これは不況のせいだけではありません。少子高齢化社会に突入した日本では消費意欲は総じて低下し、テレビやパソコンなどの耐久消費財もすでに「持っている」ので旺盛な需要は発生しません。つまり、不況だけでなく「社会構造」から「どの店でも売れる」という時代は戻ってこないということです。しかし、不況下でも売り上げを伸ばしているサイトがあります。工具通販の「ヤスリ.jp」では売り上げが右肩上がりに伸び、巻き爪ケアの専門店「カノン」はスタッフを増員しました。

売るためにどうすればよいか? 1つは「安売り」です。イトーヨーカドーがディスカウント系の「ザ・プライス」の店舗展開を発表したように、リーズナブルな価格設定で購買意欲を刺激します。しかし、値引きは体力勝負の消耗戦で中小零細企業には向かない施策です。

「白い犬とワルツを」伝説

99円ショップで妙齢の女性が激高しています。品切れを詫びた店員に「謝罪の仕方が気に入らない」というのです。実は店員の態度に問題はなく「無駄足を踏んだ」というやり場のない怒りの矛先を店員に求めたのです。「自分だけ得をしたい」という客を引き寄せ、些細なこと……得しなかったときに「損をした」と怒る客が増えるのも「安売り」の負の面です。

そこで薦めるのが「教育」というアプローチです。

書店で「店員のお薦め」というPOPを見たことがないでしょうか。永らく不振が叫ばれる出版業界では書店もその仲間です。再販制度から「値引き販売」もできず、「活字離れ」から次々と姿を消していっています。そんな書店から『白い犬とワルツを』というミリオンセラーが生まれました。千葉県津田沼のブックス昭和堂の書店員さんが書いたPOPがきっかけで売り上げが伸び、出版社がそのPOPを全国の書店に配布して大ブレイクしたのです。この手法は安達千夏さんの『モルヒネ』など多くのベストセラーを生み出しています。

メリットを教育する

POPは広告ですが、書かれているのは「読書体験」です。本好きという人種の多くは、読書で得られた感動を誰かと分かち合いたいもので、『白い犬とワルツを』のPOPには「何度読んでも肌が粟立ちます」とあったそうです。肌が粟立つ=感動する体験が味わえることを教えます。読書に「感動」を求める人は多く、その「教え」は見過ごせません。つまり読後に得られる「メリット」が書店のPOPには書かれているのです。販売目的のキャッチコピーではありません。

コンテンツにあてはめます。客が得られるメリットを用意しているでしょうか。御社の商品、サービスを購入して得られるメリットです。IT業者に絞れば「SEO」「LPO」は素人である客には理解できません。それぞれのメリットを端的に述べれば「訪問者の増加」と「購買率を上げる」です。書店員のPOP風にするなら「検索結果の一番上ってクリックしませんか?」や「買いたい客が押し寄せる理由はこれだったんだ」となります。誰も探さないようなキーワードで「検索結果の上位」を約束する業者にとっては用意したくないコンテンツでしょうが。

家賃とご比較ください

客を教育する際に「メリット」を提示し、さらに頷かせるには「数字」を用意します。「SEO」ならば施すことで検索連動型広告を出稿し続ける料金と比較し、LPOなら訪問しても買わないで帰ってしまう客のロスを表記するのです。独り言をつぶやくなら、この際の数字は「シミュレーション」でも結構。そのことを記しておけば。

月々のお支払いは7万円台~。私の近所の新築一戸建て物件は3千万円代中頃ですから、35年ローンだとすると返済額は「シミュレーション上」こうなります。どの不動産業者も使う手で食傷気味ですが、「メリット教育」としてはずせないコンテンツが「家賃とローンの比較」です。家賃を払い続けても自分の所有物になりませんが、住宅ローンならいずれ自分の持ち物です。しかも家賃並みの支払いで入手できると教育することが狙いです。本旨からずれるので詳述は避けますが、家賃並みにはカラクリがあり数年間だけの真実なのですが。

昔はよくみた光景

今回は「初級編」。入り口に過ぎません。義務教育だけでも9年間、「あいうえお」から「二次方程式」まであるように「客教育」はまだまだ続きます。そして教育の成果は「ライバルに心を動かさない客」として花を咲かせ、「知り合いを紹介する」という実がたわわに実ります。

客を教育するというと不遜に聞こえますが、昭和の商店街では日常にある光景でした。八百屋では旬の野菜、魚屋ではブリの調理法をご教授いただき、酒屋では旨い酒や新製品のビールの評判を、乾物屋では大豆の戻し方のご指導ご鞭撻。昔は客に講釈を垂れながら営んでいる店は多かったのです。今なら「こだわりのラーメン屋」の壁に書かれる能書きがそれです。これはそのまま「商売用ホームページ」に使えます。

身をもって大人の世界を「教育」してくれた恩師の話です。私はとあることで学校と対立しました。「理」は私にあります。調停役を命じられた英語教師はいいました。「俺もサラリーマンなんだよ」。彼の言葉に掲げた旗を降ろしたのは20年前の今頃です。

♪今回のポイント

立ち位置でビジネスは変わる。

買っていただくではなく教えてあげる。

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