先日、あるクチコミ分析ツールの担当者の方に話を伺う機会がありました。リリース直後というわけではなかったので、タイミングを逃してしまいましたが、個人的に興味深かったので紹介したいと思います。その名も「クチコミ@係長」。開発はクチコミ分析やレコメンデーションエンジンを提供するホットリンク。一見すると、コンシューマ向けサービス? と感じるかもしれませんが、企業向けの分析ツールです。
クチコミ@係長の動画デモ
http://www.hottolink.co.jp/kakaricho/movie/movie01.html
クチコミ分析ツールとしての大きな特徴は、日本最大級のDBを保有していること。国内主要17ブログ、主要掲示板、2chなど、国内CGMの約90%の情報を分析できることです。特に2chを分析できるのは、「クチコミ@係長」と「電通バズリサーチ」の2つだけ。対象ブログユーザー数は800万以上。そのDBの大きさから、細かなキーワード分析、ニッチで知名度の高くないキーワードでも効果を発揮できるそうです。また、ポジティブ表現だけ、ネガティブ表現だけを対象にするといったような細かい分析にも対応してくれます。
ブログだけでなく、掲示板などの巨大なDBを保有しているのも魅力ですが、個人的に目を輝かせたのはそのインターフェイスです。プロの分析をワンクリックで提供します! というクチコミ@係長では、クリック操作だけで次のような比較分析ができます。
- 競合との比較
- 期間指定の比較
- 男女別の比較
- 媒体別の比較
- 評判別の比較
当然、これらを組み合わた比較もでき、各項目をクリックするとドリルダウンによってより詳しく分析ができます。急激な盛り上がりを見せる期間の評判についての競合比較。たとえば、夏の旅行シーズンにおいて、「ハワイ」と「グアム」どちらの話題が多いのか。さらにある期間のブログにおける女性の評判から、ポジティブ表現だけを抽出するといったことができます。スパム対策のロジックも持っているので、スパムブログの除外にも対応。データはエクセルのエクスポートが可能。pdfやpptは取材時点では残念ながら対応していないようでしたが、今後追加の予定とのこと。定期的にレポートを自動送信してくれるような機能が付くと、個人的に嬉しいですね。
マーケティングにおいて消費者の声、クチコミは昔も今も大切な要素です。そうしたなか、ここ数年クチコミマーケティングが大きく注目されている背景には、消費者の行動が変化してきたことがあげられます。モノ、情報が溢れるようになった昨今、商品購入では、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の4マスを抜いて、多くの人がインターネットの情報を参考にしています。インターネットの普及とともに、個人が自由かつ手軽に情報発信できるブログ、SNSなどによって消費者同士のコミュニケーションが盛んになったこともあげられるでしょう。
クチコミについては、古いですが過去の特集で詳しく触れていますので、こちらも参考に。
特集「Web 2.0がクチコミを連れてきた!」
Web担では今までクチコミに関する記事を扱ってきましたが、どちらかというと、「どうやってクチコミを発生させるか」「ユーザーと上手くつき合うには」など、クチコミマーケティングの実践方法やコミュニティの運営に関するものが多く、今日紹介したような分析ツールは紹介してきていませんでしたが、消費者、市場の声を掴むことは製品開発に必須と言えるでしょう。ネットのクチコミからリアルな世界の動向を掴むツールとして、市場全体を大きく見たり、広告キャンペーンの効果を把握したり。またはリスク管理で細かい発言を分析するなどマーケティングの現場で幅広く使えるはずです。
ちなみに、オンラインのクチコミ分析ツールとしては、「BuzzPulse」(@nifty)、「ブログクチコミサーチ」(きざしカンパニー)、「電通バズリサーチ」(電通)などもあります。今回、他のツールと詳しく比較したわけではないですが、いずれ詳しく紹介できればと思います。
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