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絶望的に思えるヘビークリッカーの存在とディスプレイ広告やブランディングの考察

※Web担編注

この調査に関して日本語で読める記事としては、TechCrunch Japaneseの記事がある。ディスプレイ広告のクリックの半分は全体の6%のユーザーが生み出しているというものだ。

しかし、前述のTechCrunchの記事の論調は、この記事でRandが言っている内容とは少し異なることに注意してほしい。

米国の広告代理店や調査会社などが3社協同で2月12日に「生来的に広告などをクリックする傾向のある人々(ヘビークリッカー)に関する調査結果」を発表した(Starcom、Tacoda、comScore)。このデータを見ると、有料ディスプレイ広告をクリックする人たちについて、頭をかきむしりたくほど奇妙な現象がわかる(キーワード広告ではなく貼り付け広告に関する調査であることに注意)。

以下に問題の部分を引用する(改行や強調は僕が施した)。

……ヘビークリッカーはオンライン人口のわずか6%だが、ディスプレイ広告のクリックに限って見れば、その比率は50%を占める。

多くのオンラインメディア企業が広告料の算出にクリック率を使用しているが、この調査結果を見ると、ヘビークリッカーは一般大衆を代表する存在ではないことがわかる。

実際、ヘビークリッカーは、年齢でいうと25歳~44歳、そして世帯収入4万ドル以下に集中している。

ヘビークリッカーのオンライン活動は、通常のインターネットユーザーと大きく異なる。ヘビークリッカーがオンラインで過ごす時間は、平均的なインターネットユーザーと比べて4倍長いが、その割にオンライン消費額は多くない。またヘビークリッカーは、オークション、ギャンブル、人材サービス関連のサイトを訪問する傾向が強く、一般的なネットサーフィンのアクセス傾向とは著しく異なる。

この調査結果を見て、オンライン広告市場に対する不安が募ってしまっても、まだそれほど絶望する必要はない。この調査データには、明るい材料もあるように見えるからだ。どうやらディスプレイ広告については、テレビCMやラジオCMや印刷広告と同様に、結果を求めて即座に行動を起こさなくても良いようだ。

……このデータからは、ディスプレイ広告のクリックとブランド評価の間に相関性がなく、ブランドに対する捉え方とそのブランドの広告クリック回数の間にも関係がないことがうかがえる。

この調査結果は、ブランド構築を目的とするオンラインキャンペーンにおいて、クリック率向上のために最適化を行うことが、必ずしもキャンペーンの成果向上につながるわけではないことを示唆している。

OK。だから、ディスプレイ広告でクリック数の獲得を目指すのではなく、消費者の注意を惹きつけ、ブランド認知度を上げようとしているのならば、僕らを縛るものはないってことだ。

この流れで成果を上げているのは、おそらくデル、モトローラ、アップル、アメリカンエクスプレス、メイシーズといった大手のブランド広告主だろう。

一方、「このサルをクリックして20ドルを当てよう」的なバナー広告を出している愛すべき小さなブランドなどは、こうしたブランド認知獲得がうまくいかないかもしれない。

この調査でわかるのは、広告に目を引きつけることが、相手の意識の中にブランドを刷り込むのに役立つ(さらには何かを購入する際に思い出す可能性が高まる)ということだ。逆に言えば、ディスプレイ広告キャンペーンで「ヘビークリッカー」をターゲットに据えてトラフィックを得ようとすると、期待し得るよりもずっとターゲット範囲が狭くなってしまう可能性がある、ということだ。

わかりやすいように、以下に成功例を示しておいた。

Movado Ads Atop the NYTimes Site
Sheryl Crow Ad from Salon.com

まず、上段のMovadoの広告は、その多くがまもなく訪れるバレンタインデーに贈り物を購入するであろうニューヨークタイムズ紙の富裕層読者をターゲットにしている。この広告は何度もクリックしてもらおうとしているのではない。せいぜい1回クリックしてくれれば、それで十分だ。そんなことより、読者の頭の中にバレンタインを意識させて、Movadoのブランド名を刷り込もうという意図がある。

同様に、下段のシェリル・クロウの広告(僕はこれをSalon.comの映画コーナーで見つけた)も、クリックスルーを目標としたものではない。これはむしろテレビCMに近く、信用あるサイトに掲載して彼女のアルバムの質の高さが裏づけられている印象を与えようという意図の広告だ。

今度は失敗と言えるかもしれない例を見てみよう。

LendingTree Ad
Salary.com Ad Box

この2つは、単にチラ見するだけではなく読むことが必要で、一目でわかるブランドメッセージを伝えるというより、クリックを促している。

上段のLendingTree.comの広告は、米ヤフーファイナンスで見つけたもので、下段の広告は米ヤフー転職に掲載されていたものだ。どちらも明らかに、コンテンツ連動という側面で見ればうまくターゲット化しているのだが、先の調査結果から、広告クリックは想定しているより価値が低い(いつも接触対象がヘビークリッカー層に偏ってしまうため)ばかりでなく、CTRを広告効果の測定基準に使うのは問題のあることもわかっている。

ただ、ここで間違ってほしくないのは、今回の調査結果が示唆するようにディスプレイ広告ではCTRを求めるべきじゃない、と僕が完全に納得しているわけではないということだ。

……comScore副社長のエレン・ハンター氏は、次のように述べている。

「多くのキャンペーンにおいて、広告のブランド構築効果は非常に重要で、クリックを促進できればそれをさらに助けられる。しかし、クリック数を重視することは、広告ターゲットの代表でない可能性のある人たちのデータで広告効果を測り、ブランド構築の重要性を見過ごしてしまうことになるため、クリック数でキャンペーンの効果を判断すると、失敗を招く可能性がある

もし、ディスプレイ広告で良好なROIを得られているのなら、広告をクリックしてくれる人の半分が同一層(ヘビークリッカー層)だからという理由だけで、その広告をどうかやめないでほしい。

あるIPアドレスからのクリックだけを対象に広告費を払ったり、ヘビークリッカー層とは大きく異なるユーザー層のサイトに広告を掲載したりできるのならば、もっと良好な成果を得られるかもしれない。だからといって、これまでの投資の価値が損なわれるわけじゃない。

この調査結果は、広告掲載にマイナスの影響を及ぼすのか、あるいは広告主がこの調査結果の行間を読み、これまで気づかなかったさらなる価値を見出すのか、思いを巡らさざるを得ない。

ところで、こうしたキーワード広告をクリックする人たちについて、人口統計学的属性と心理区分属性を扱った信用できる調査はないかな?

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