物事の進め方っていうのは、人によってみな少しずつ違う。オンラインプロモーションという限られた分野だけを専門とするスタッフが雇えるほどの大企業でも、やはりSEOチーム全員が全体像を理解しておく必要はあるだろう。検索以外による最適化が、いくつかの点で検索最適化に役立つ場合がある。また、ここで重点的に取り上げるほどの時間的余裕はないけれど、宣伝活動が検索以外のトラフィック構築を促進してくれる可能性だってある。
リンク経路
自サイトへ訪問者を増やす施策のうち、検索以外のチャネルから誘導したい場合に使う手法。自サイトに誘導するリンクを確保すること、またはその手法。
ただし、SEOとは異なり、自サイトへの直接リンクを増やすのではない。その飛び先にあるリンクを経由することで、結果として自サイトにたどりつく可能性の高いリンク(経路元)を増やして作る経路を指す。
リンク経路セグメントを検討する際には、検索以外のチャネルで引き付けたいユーザー層を特定し、狙いを定める。検索チャネルは、人々が実際に具体的な製品やサービスを探している場合にはすごく役に立つ。僕がいちばん大きな成功を収めたクライアントの話をすると、そのサイトを検索以外のチャネルで見つけたという人々と偶然に出会うことがよくある。僕の構築したチャネルだ。彼らはリンクをたどって、その会社の事業を宣伝するコンテンツに行き着いている。
目標は、条件に合うトラフィックを検索以外から獲得することだ。ネットサーファーの好奇心を刺激するような経路を構築したい。僕はこの作業を開始するとき、自分自身がネットサーファーの立場に立ってみる。まずは、自分が宣伝したいと思う分野や業界に関連するトピックについて情報を探す。このとき、サイト本体の情報と広告に含まれる情報を区別することが重要だ。プロモーション戦術の中でも、この手法では広告コピーを考慮に入れない。
僕は、優れたリンクを備えた情報とそれ以外という風に、見つけたページを直感的に2つのタイプに分類する。前者は、検索以外によるトラフィックを促進するチャネルとなる。はっきりしているのは、1つにつながったリンクページが必要ということだ。また、これらのリンクページをどうにかして自分のトピックに結びつけなければならないことも明らかだ。同じ話題について関連するページを4ページもたどってくるネットサーファーならば、その話題についてもっと情報を探し出そうという気持ちが固まっているはずだ。僕らが到達したいのはそんな人たちなんだ。
独自のリンク経路セグメントを構築したければ、いちばん手っ取り早い方法は、数人のウェブマスターに、彼らのトピックに関連していて、しかも自分(あなた)とは無関係なページへのリンクを追加するよう提案することだ。多数のウェブマスターたちに同じリンクを薦めてはいけない。彼らが最終的に同じリンクを見つけることになる可能性は非常に高いが、ここで求められているのは、すべてが自分のもとへ独自ユーザーを導いてくれるようなトラフィック経路を構築することだ。
遠すぎてはいけない。1つには、自分自身のページから遠く離れたサイトにリンクするよう頼んでしまえば、時間を無駄にしてしまう可能性があるからだ。平均的なネットサーファーは、4ページから6ページをたどると検索以外の経路を諦めてしまう。2、3ページで諦めてしまう人も多い。したがって、リンク経路セグメントは、最長で2ページ(自分の目標ページは、経路の4番目)だろう。他のページを経由して自分の目標ページにリンク済みの新しいページが獲得でき、他の条件もすべて満たされていれば、1つの経路の構築を完了したことになる。
まっとうな提案(間違いなく便利で有益なサイトのみを使うこと)を通じて、他のページ同士を自然にリンクさせると、その結果としてトラフィックを自分のサイトに誘導するチャネルの広範なネットワークができあがる。当然、そのチャネルは自分の目標ページへの自然なリンクを構築する。PageRankが高いリンクやディレクトリサイトからのリンクなどを求めて、成果も上がらないのにちょこまかするのとはわけが違う。関連したコンテンツから目標ページへのリンク経路をまさに構築しているのだ。この段階では、おそらく中核となりそうなリンクの目星がすでについていて、そこを中心としてリンクを増やしているはずだ。目標は、あくまでも、ネットサーファーが自分のページにたどり着く経路を構築することだ。
リンクはサイト本文に埋め込まれているほうが、経路を構築するためにも良い。アンカーテキストについて頭を悩ませなくていい。こういうアンカーテキストを使ってくださいと言ってはいけない。相手には、既存のコンテンツを補完するような、優れたコンテンツを薦めること。検索エンジンのランキングを上げようとしているのではない。自分のトピックについて同じように関心を持っているウェブマスターたちに、他の情報源を彼らのサイトの訪問者らに知らせるような、有益で意味のある文章を書いてもらおうとしているのだ。こうした情報源は、「参考資料」や「追加リンク」といったセクションに掲載される可能性がある。しかし、薦めたサイトがウェブマスターの気に入った場合、ちょっとしたほめ言葉を書き添えてくれるかもしれない。これこそ君が求めるものなんだ。広告コピーに関心を示さない人は多いが、そんな人でも第三者からの自然な言葉による薦めには従うだろう。
もちろん、自分のページへのリンクが欲しいと思うだろう。経路を構築した後で、その最後にあたるページのオーナーに自分のサイトへリンクするよう頼むといい。情報源として彼らのサイトを推薦する簡単な説明書きを加えることで、彼らを引き付けることができる。そして「やあ、僕はここに君のサイトについて書いたよ。君がこの内容を気に入ってくれればいいんだけど」と彼らにメッセージを送る。彼らにリンクを頼んでいるわけではないが、ほとんどの場合リンクしてもらえるだろう。時には、そういったメッセージを送らなかった場合でも、向こうからリンクを張ってくれたこともあった。ここで行っているのは、小さな雨粒をつなげて、自分のページへと続く流れを作っているようなものなんだ。
なぜこれを行うかって? 検索エンジン経由でないネットサーファーのトラフィックを利用するためだ。また、自分のリンクも強化できるし、ほとんどのSEO関係者はたいてい、簡単にリンクしてくれるからでもある。もちろん保証はできないし、すべての経路が自分のサイトにつながるとも限らない。それは自分自身が負うべきリスクだ。しかし、他のウェブサイトについて書けば書くほど、自分のサイトが情報源として重要性を増すことに僕は気がついた。そして何が起こると思う? 広告コピーと比較した場合、サイト本文の持つ強みは、増殖するリンクを土台として、絶え間なく行きかうサーファーのネットワークを築く点だ。そして、この戦術の明らかな成果がまだ出ていなくても、自分のサイトにつながるこれらのリンク経路セグメントをすべて構築するなら、君のサイトは誰もが認めるオーソリティサイトとなるだろう。
このやり方にはまだ改良の余地がある。でもそのやり方は君たちに考えてもらいたいと思う。僕の経験では、人間の想像力が生み出すものに、限界はない。いい戦略が見つかりますように。
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