Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

「SEO×メールマーケティング」のフライホイール効果を生む5つのポイント

SEOとメールマーケティングの両方を活用することで、双方がより力を増していく。好循環を生み出すポイントを5つ紹介する。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

SEOの取り組みにメールマーケティングを活用してこなかった人は、始めるなら今だ。SEOとメールマーケティングについて、サイラス・シェパードが説明する。

この記事のターゲット

次のような人に向けて、コツを紹介する:

  • SEOをやってきて、メールマーケティングの改善方法を探している
  • メールマーケティングをやってきて、SEOの強化策を求めている

SEOとメールマーケティングの両方で経験を積んできた人には向いていないかもしれない。

「SEO×メールマーケティング」5つのポイント

Mozファンのみんな、こんにちは。今回のホワイトフライデーでは、SEOとメールマーケティングの“フライホイール”を回すための簡単なポイントを5つ紹介する。

フライホイールとは

今回の解説で使っている「フライホイール」は、次のような効果を生み出す仕組みを表している:

  • メールマーケティングのリストを拡充するのにSEOの力を使う
  • SEOを拡充してウェブトラフィックを増やすのに、メールマーケティングのリストを活用する

2つの相補的な力をくり返し使うことで、双方がより充実して力を増していく ―― そう、まるで“フライホイール(弾み車)”のように。

最初は本当に大変だ。
でも、どんどん楽になっていくし、あらゆる成長が少しずつ効果を増していく。

目標の設定

フライホイール効果で何を成し遂げたいのか、目標設定をしよう。まずはひたすら訪問者を増やすことだ(もちろんこれが最終目標ではないのだが)。

  • ウェブサイトの訪問者が増えると、たいていリンクやシェアなども増える
  • リンクとシェアは、SEOにおいてグーグルに対するプラスのシグナルになり得る

だから、メールをうまく活用することでコンテンツにたどり着く人を増やせれば、それが巡り巡って、次のような成果を生むだろう:

  • 検索順位の上昇
  • グーグルの検索結果を通じて、自然に生まれるトラフィックの増加につながる

もちろんメール自体も極めて有力なマーケティングチャネルだ。そのためメールマーケティングのリストも拡充して強力なものにしていきたい。特にユーザーのセグメント化を実施すると効果的だ(この点は後で少し話をする)。

最終的に目指したいのは、コンバージョンと売り上げの増加だ。これこそがフライホイール効果で成し遂げたいものなのだ。

では、具体的な取り組み方の話に入っていこう。

SEOとメールで目標達成するための5つのポイント

ポイント① 登録のインセンティブ策

最初にやりたいのは、ウェブサイトのコンテンツからメールマーケティングのリスト登録者を増やすことだ。そのために登録のインセンティブ策を実施したい。

ここで理解しておいてほしいことがある。登録のインセンティブ策を実施するのは、検索トラフィックだけである必要はない。マーケティングトラフィックのあらゆるチャネルで実施できる:

  • 直接のトラフィック
  • ソーシャルメディアからのトラフィック
  • 参照トラフィック

いずれの訪問者にもターゲティングして、メールマーケティングリスト登録のインセンティブ策を実施すべきだ。

僕が好きなSEOを利用したやり方に、多くの人が「コンテンツパワーアップ」と呼ぶものがある。これはリスト登録と引き換えにボーナスや限定コンテンツを提供して、登録のインセンティブとすることだ。

今ご覧のこの記事で「コンテンツパワーアップ」を加えるとしたら、おそらく記事の最後にこんな風に追加するだろう:

記事をご覧になってSEOとメールマーケティングを活用する5つのポイントを理解いただけただろう。

今回特別に、メルマガに登録いただいた方に「さらに追加の5つのポイント」をお届けする。

MozのメルマガはあなたのSEOに役立つ情報が満載だ。この機会にぜひ登録してほしい。

この場合、提供するのはウェブサイトでは手に入らないものにしたほうがいい。特別なものならばなんでもいいのだが、コンテンツからメール登録を促すのに効果的だと考えられる案の例としては次のようなものがある:

  • ツール
  • 追加コンテンツ
  • ダウンロード
  • 無料ボーナス
  • クーポン

ポイント② セグメント化

2つ目のポイントは、メールマーケティングの登録者リストは興味関心でセグメント化することだ。

1つの膨大なメールリストにすべての登録者を放り込むのはやめよう。サイトで扱うトピックがかなり絞られているのでない限り、リストの登録者はトピックごとにセグメントすべきだ。

たとえばMozの場合、SEOを扱うサイトではあるが、ユーザーの関心に基づくとSEOは、次のように多種多様だ:

  • ローカルSEO
  • テクニカルSEO
  • コピーライティング
  • リンクビルディング

こうしたニッチな関心に基づきユーザーをセグメント化しよう。

セグメント化のやり方には次の2通りある:

  • セルフセグメンテーション
  • オートセグメンテーション

セルフセグメンテーション」は、登録者が自ら関心事にチェックを入れて申告してもらうものだ。

オートセグメンテーション」は、閲覧したコンテンツの種類に基づいて自動的にセグメントを判断するものだ。

「オートセグメンテーション」のほうが少し簡単だ。なにも難しい機械学習を使う必要はない。コンテンツページからメルマガ登録してもらうときに、そのページのカテゴリ情報も一緒に登録しておくだけでいい。たとえばテクニカルSEOに関するコンテンツから登録した人は、テクニカルSEOの登録リストに入れるというわけだ

とにかく、このセグメント化は効き目がすぐに出る。

ただし注意点がある。どういった内容が届くのかは、必ずはっきりさせなければならないことだ。さきほどの例でいえば、「登録したらテクニカルSEOに関する情報がメールで届くようになる」ことをページでも明記しておく。

ポイント③ コンテンツのプロモーション

3つ目のポイントは、コンテンツのプロモーションだ。ここで重要なのは、すべてのコンテンツを宣伝しようとしないこと。特によくできたコンテンツを取り上げるべきだ。

なぜなら、訪問者はもうウェブサイトに来ているし、グーグルで検索しているが、サイトのベストコンテンツが何なのかを知っているとは限らないからだ。だから、それを届けたい。

その際に大切なのは、セグメントを使ったパーソナライズである。テクニカルSEOのメルマガを届けるなら、テクニカルSEOへの関心を示した人に、テクニカルSEOのコンテンツのなかでも選りすぐりのものを届けるようにする。

ここで覚えておいてほしい重要なことがある。プロモーションを新しいコンテンツに限定する必要はない。古いコンテンツを選りすぐって宣伝してもいいということだ。こんなメールを送ってもいい:

この5年間のベストコンテンツです。お見逃しなく。

古いコンテンツでも本当にベストなものなら、多くの場合、新しいコンテンツ以上の成果が上がる。くり返しになるが、何がいちばんのコンテンツなのかをユーザーは知らないからだ。

以上のように、パーソナライズとセグメント化を実施したうえでベストなコンテンツを届けることで、プロモーションと集客を促進できる。うまく行けば、リンクやシェアなどにもつながり、フライホイールを回し続けられる。

ポイント④ シェアのインセンティブ策

4つ目のポイントは、シェアのインセンティブ策だ。訪問者にはコンテンツを読むだけでなく、それぞれのオーディエンスへのシェアもしてほしい。僕のおすすめは、シェアをしてくれる人たちのセグメント化だ。

僕は、影響力でもセグメント化を実施している。登録してくれた業界の人やインフルエンサーのリストを作ることもある。ターゲティングをしたこともあった。要は、シェアしてくれる人たちに対して特別に、一般公開前のコンテンツを限定で提供するといったやり方だ(メールリストへの登録と引き換えに限定コンテンツを提供するのと同じようなやり方だともいえる)。

シェアしてくれる人のセグメントにメールをすることもある。たとえばこんな感じのメールを送るのだ:

いま記事を公開しました。まだほかの人には言っていません。明日SNSで発表します。フォロワーにシェアしたい方のために前もってお知らせしました。

このメールのポイントは次の2点だ:

  • 限定にしたこと
  • まだ全員に公開していない

この状況をインフルエンサー側からみると、次のようになる:

  • シェアすべきものが手に入る
  • 特別扱いされていると感じ、オーディエンスにシェアしようという気持ちになる

戦略はいろいろあるが、最高のシェアをしてくれる人のセグメント化は、多くの場面で有効だ。シェアをインセンティブで促進できるし、うまく行けばSEOにもつながる。

ポイント⑤ キーワード調査

最後に、SEOと言えばキーワード調査だろう。SEOでは当たり前のことだが、キーワード調査をメールに組み込むと、とてもうまくいく。

Mozに「Keyword Explorer」というキーワードの提案に関するツールがある。SEOでは、コンテンツ制作時にキーワード調査を使い、オーディエンスが関心をもっているキーワードを狙うのが一般的だ(キーワードを中心にすえたコンテンツターゲティングの方法については、Mozにたくさんのガイドがある)。

一方で、キーワード調査はメールにも使える

特に重要なのがメールの件名だ。オーディエンスの関心がセグメント化によってわかっていると、どんなキーワードでコンテンツにたどり着いているのかを把握できる。そのキーワードをメールの件名に使うことで、メールの開封率が上がる。

だが、それだけではない。

僕が好んでキーワードを使う場所の1つが、メール登録のCTA(行動喚起)だ。ウェブサイトにメルマガ登録フォームを設置する際、「メルマガに登録」のような一般的な文言を使うのもいいだろう。ただ、これだとあまり効果がない。

一方、たとえば次のような的を絞ったキーワードを、登録のCTAに使うのは効果的だ:

  • テクニカルSEO
  • ローカルSEOのコツ
  • 最高のドッグフードレシピ

ウェブサイトを見つけるのに使われたキーワードは、メルマガの登録を促す最高のキーワードにもなる。これらのキーワードをメールの件名に使うなどして、登録者を再びコンテンツに向かわせる。ここでもフライホイールの好循環が回る。

おまけ 効果のあったメールはウェブコンテンツにする

おまけを1つ。効果的だったメールをウェブコンテンツにするのを忘れないようにしてほしい。コンテンツのチャネルを限定する必要はない。次の2つを達成したメールは、ウェブサイトのコンテンツに転用していい:

  • 大量のエンゲージメント
  • 極めて高い開封率

あるいは、HTMLのアーカイブにして検索ができるようにするのもいいだろう。人気のメールならば、ぜひコンテンツ化しよう。SEOにもプラスに働く。しかし、質がそこまで高くなければやらないほうがいいかもしれない。

◇◇◇

以上、楽しんでもらえただろうか。
よかったという人は、この記事をシェアしてほしい。読んでくれてありがとう。

用語集
CTA / HTML / SEO / SNS / コンテンツターゲティング / コンバージョン / ソーシャルメディア / ダウンロード / リンク / リンクビルディング / 訪問者
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

SFA
SFAは「Sales Force Automation」の略。もともとはSale ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]