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インハウス広告担当者の運用基礎

運用型広告のインハウス化はするべきか。判断基準と目指すべきゴールとは?

運用型広告を取り巻く環境の変化から、インハウス化で目指すべきゴールとリスク、成果を上げ続けるための組織づくりのポイントも解説しています。
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本連載は、運用型広告のインハウス化に興味がある、または検討している事業会社向けに、インハウス化を成功させるために押さえておくべきポイントを紹介します。

第1回では、昨今の運用型広告を取り巻く環境の変化から、インハウス化で目指すべきゴールとリスクなどについて紹介します。

運用型広告を取り巻く環境の変化

世界で初めて登場したインターネット広告は、1994年に米国の通信会社が掲載したバナー広告だと言われています。そして2002年には、Google Adwords(現:Google 広告)やOverture(現:Yahoo!広告)のリスティング広告(検索連動型広告)のサービスが開始しました。

その後テクノロジーの進化によって、現在の運用型広告を取り巻く環境は、大きく変化しています。その変化を5つの観点から振り返ります。

1. ITPにより自社データの重要性が高まる

AppleのWebブラウザ「Safari」に搭載されたトラッキング防止機能の「ITP」(Intelligent Tracking Preventionの略)により、個人のプライバシーが守られる一方、広告の効果計測やターゲティングに影響がでています。以前から、1st party Dataや0 party Dataは注目されていましたが、ITPの影響もあり、今後マーケティングを進める上で、自社データはますます重要な資産になります。

2. 推奨アカウント設計がシンプルに

以前のGoogle 広告やYahoo!広告では、1広告グループ毎に1~2キーワードというアカウント設計が主流でした。最近では、広告グループをまとめたシンプルなアカウント設計が推奨されています。推奨設計にすることで、広告媒体側の機械学習が進み、成果が出るケースが増えています。また広告運用者にとっては、アカウントの管理、入稿作業、入札調整など日々の運用業務が行いやすくなっています。

3. 自動入札による最適化精度の向上

以前は、自動入札を使用するよりも手動入札の方が細かい調整ができ、成果が出るケースが多い状況でした。最近では、Google 広告やYahoo!広告に備わっている自動入札の精度が向上しており、手動入札以上の成果が出るケースが増えています。特にGoogle 広告では、「部分一致」と「スマート自動入札」の合わせ技により、コンバージョン単価は維持しつつ、コンバージョン数が増加したという事例も複数出てきており、広告運用者の入札調整では手が届きにくい所まで最適化できるようになっています。

4. API活用の活性化・容易化

以前は一部企業のみ、広告媒体が提供しているAPIの使用が許可されていました。最近では申請や手続きをすればAPIを利用できる広告媒体が増えており、APIの活用ハードルが下がっています。APIを活用することで、「レポーティングの自動化」や、自社データと連携した「キーワード・広告文の生成や入稿の自動化」、「入札の自動化」などが可能になります。レポーティングの自動化において、自社でAPIを利用するのは難易度が高いという企業でも、レポート自動作成ツールやETLツールなど、広告データを簡単に取得するための選択肢が多様になったため、自社にあったサービスを選びやすくなりました。

5. BI(ビジネス・インテリジェンス)の活用

以前は、運用型広告のレポートといえば、Excelによるものがほとんどだったと思います。最近では、TableauやPower BIなどさまざまなBIツールが登場しています。特に、Google データポータルは、無料で利用でき、Google商圏のツールとも連携しやすいため、これからBIを活用する場合は、まずGoogle データポータルから触ってみてもよいのではないでしょうか。

まとめると、自社データの活用はますます重要度を増している一方、広告代理店などの外部には自社データを出せないケースが多く、その場合社内で完結する必要があります。また、広告運用業務は簡易化・効率化される傾向があるため、インハウス化の重要性は高まり、移行のハードルは低くなっています。

インハウス化のリスク

企業がインハウス化を検討する理由の多くに、広告代理店への手数料を抑えたかったり、さらなる成果創出を求めたりするケースが挙げられます。

たとえば、よくあるケースでは「手数料をカットして、その分を広告費など投資に回すためにインハウス化する」ということがゴールになっています。

しかし、上記だけをゴールにしてしまうことは危険です。インハウス化には以下の2点のようなリスクがあります。

  • 定期的な人事異動によるスキル・経験のリセット
    会社の方針で数年ごとに部署異動が発生する場合、メンバーが定期的に入れ替わるため、スキルや経験がリセットされます。そのうえ、教育体制が整っていない場合は、メンバーの入れ替わりが、そのまま広告運用や成果への悪影響に直結する場合が多いです。また定期的な部署異動がない場合でも、メンバーの退職というリスクは常に避けようがありません。
  • 最新情報の収集不足
    媒体担当者や広告代理店がついていない場合、最新情報を入手しにくい環境になりがちです。そのため、知らない間に競合他社に「差を付けられていた」などの機会損失が発生する可能性があります。

これらのリスクを考慮してインハウス化しないと、数年後には継続が厳しくなったり、インハウス化しているようで実は中身が伴っていなかったり、といった結果に陥ります。そのため、リスクを踏まえ、対処できる仕組みを整えた上でインハウス化を進める必要があります。

インハウス化の判断基準

では、どのような企業がインハウス化を検討しても良い企業なのでしょうか。インハウス化できるか否かの判断基準の一例を以下に紹介します。

  • 運用型広告のインハウスチームメンバーをできれば3人以上、最低でも2人以上配置できる(その他業務と多少の兼務はOK)
  • 最新情報を収集するパイプがある(媒体担当がついている、または外部パートナーから情報を得られるなど)

前者の条件が揃っていない場合、無理にインハウス化はせずに、広告代理店などの支援会社に広告運用を依頼する方が良いかもしれません。後者の条件が揃っていない場合、何かしらの手段を用いて情報収集するパイプの確保をすることをおすすめします。

インハウス化の目指すべきゴール

よくあるケースで紹介した通り、もしインハウス化のゴールを「手数料をカットして、その分を広告費などに投資する」とした場合、インハウス化を支援する会社のサポートがあれば半年程度で基盤を作ることができます。

ただし、先に挙げたリスクの対処ができていない場合、数年後に組織の質が低下する可能性があります。またリスクの対処ができていたとしても、組織の質を高め続けないと成果を出し続けることが難しくなります。

成果を上げ続ける組織を作るためには、以下のようなことを意識して取り組む必要があります。

  • スピード感を持って施策のPDCAを回せる体制作りと、ノウハウの蓄積・活用
  • お客様とのコミュニケーション設計や、施策の効果計測に自社データを連携できる仕組み・体制の構築
  • 運用型広告に限らない関連領域(Webサイト、SEO、SNS、マスメディアなど)との連動、他部署間(クリエイティブ・開発など)との連携強化

おわりに

本記事では、インハウス化する際のゴールと、移行するにあたってのリスク、インハウス化すべきかの判断基準を紹介しました。

次回では実際に運用型広告をインハウス化する際にはどのような作業が発生するのか、またどのようなチームを作るべきかについて紹介します。

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