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10年後も一流のマーケターでいるために

10 years 11ヶ月 ago

こんにちは。最近採用活動頑張ってます。

いま、Webサイトの採用情報コンテンツを大幅に充実させるべく、経営企画室が中心になって鋭意コンテンツを制作中です。昨日、採用トップの代表メッセージ的なことを書いたので、Webに掲載する前にブログで先出ししてみます。伝えたいのは、「トライバルの強みはスタッフの多様性✕ソーシャルメディア」であること。そしてそれこそが「10年後も一流のマーケターである」ことを担保する、という2点。

●トライバルメディアハウスの強みは「スタッフの多様性✕ソーシャルメディア」

トライバルメディアハウスの社員はいま約50人。そのほとんどが前職でさまざまな業界・領域でプロフェッショナルだった人たちです。ソーシャルメディアマーケティングは、まだ10年くらいの歴史しかない新しい分野。だから、ほぼ全員が、最初はソーシャルメディアマーケティングの初心者です。でも、それでいいのです。いや、それがいいんです

いま、世の中は、あらゆるものがソーシャル化している真っ最中。誰にも読まれないように引き出しのいちばん奥に隠していた日記は、ブログが普及して、できる限り多くの人に読んでもらいたいものになりました。Facebookで友だちとつながり、そのときの感情やおもしろいニュースはTwitterで共有。映像はテレビだけじゃなくYouTubeやニコニコ動画で見るし、お店選びも雑誌やガイドブックから食べログやRettyに変わりました。ゲームも1人や2人で楽しむものから、多くの人たちと協力しあってクリアしていくソーシャルゲームが人気だし、レシピもそれぞれの家庭の台所で一子相伝に受け継がれてきたものが、クックパッドでみんなに発表・共有されるものになりました。写真も、自分や家族の思い出を記録するものから、「FacebookやTwitter、Instagramで共有するために撮る」逆転現象が進んでいます。メールもLINEに移行され、天気予報も、みんなでゲリラ豪雨や桜前線をリアルタイムで共有するWeathernewsが人気です。

このように、「世の中のソーシャル化」とは、何か新しいものが生まれることではなく、いままであったモノやコトに「人と人のコミュニケーション」が介在し、既存のものが革新していくプロセスを指します。

企業活動の視点からみれば、Facebookページは企業のWebサイトのソーシャル化ですし、Twitter公式アカウントはメールマガジンのソーシャル化です。バズキャンペーンはプロモーションのソーシャル化だし、ソーシャルインフルエンスはPRのソーシャル化。ソーシャルリスニングはマーケティングリサーチや危機管理広報のソーシャル化ですし、ソーシャルCRM(アクティブサポート)はカスタマーサポートのソーシャル化です。

このように、世の中も、企業活動も、ソーシャルメディアの普及にともなって、どんどんソーシャル化(ソーシャルメディア時代へ最適化)して行っているわけです。

socialize

私たちの仕事は、企業のマーケティング活動のソーシャル化をご支援することです。それは、単にアカウントの運営支援をすることにとどまりません。ソーシャルメディア時代に適したマーケティングコミュニケーション戦略をコンサルティングしたり、新しい商品開発やライフスタイルの創造を顧客とともに進める共創マーケティングの支援を行ったりします。新商品やシーズナリーのクロスメディアプロモーションを企画・実行することもありますし、世の中のクチコミを分析するツールを提供することもあります。

これらのサービスを高い品質で提供するために、スタッフは「ソーシャルバカ」ではいけません。マーケティングの基礎知識は必須として、ブランドマーケティングや流通の仕組みも知っている方が、クライアント(特にブランドマネージャー)の方の悩みを共有し、その課題解決に向けた本質的な提案や支援が行えます。知らなければいけないことや、身につけておきたい経験は他にもたくさんあります。デジタルマーケティングやオンラインマーケティングの基礎知識、商品開発やマーケティングリサーチ、メディアやPRの知識、流通や店頭マーケティングの知識、Webサイトやアプリの制作ディレクション能力、広告出稿やキャンペーンマネジメント経験など、多岐にわたります。

でも、これらを一人で全部やれてしまうスーパーマン、スーパーウーマンなんて存在しません。だから、スタッフ一人ひとりにはそれぞれの「持ち場」があります。そのときに大切なのが、前職での経験です。たとえば、外資系コンサルティングファームでコンサルタントをしていたスタッフは、前職時代に培ったコンサルティング能力に、トライバルメディアハウスで身につけたソーシャルメディアマーケティングの専門知識が組み合わさり、ソーシャルメディアマーケティングコンサルティング部の部長というキャリアアップを果たしました。

また、一流のWeb制作会社でプロデューサーをしていたスタッフは、前職時代に培った大規模キャンペーンサイトの企画・プロデュース能力に、トライバルメディアハウスで身につけたソーシャルメディアキャンペーン設計・運用の専門知識が組み合わさり、現在はソーシャルメディア時代に最適なデジタルキャンペーンを企画・実行する際のシニアディレクターを務めています。

このように、私たちの強みは、それぞれのスタッフが前職で培った専門知識と経験に、ソーシャルメディアの専門知識が掛け合わさることで、クライアント業務のソーシャル化を支援することができる、世の中でも希少な人材が揃っているところにあります。

だから、あなたがいま、ソーシャルメディアマーケティングについて、何も経験がなくても、いっさい不安になることはありません。あなたがいま奮闘している現職の経験に、私たちが持つ日本で一番のソーシャルメディアマーケティングに関する専門知識が組み合わさることで、あなたのキャリアは世の中でも稀有な人材にバージョンアップすることになるのです

ちなみに、いま働いているトライバルメディアハウスの社員は、下記のような業界から転職してきています。具体的な社名は出せませんが、皆さんが知っている会社ばかりです。

・外資系コンサルティングファーム
・経営コンサルティング会社
・世界的なソーシャルメディア(プラットフォーム)
・Webメディア
・総合広告代理店
・ネット広告代理店
・戦略PR会社
・人材会社
・CRM会社
・Web制作会社
・イベント会社
・タイヤメーカー
・家電メーカー
・外資系家具SPA
・オフィス家具メーカー
・アパレルブランド
・ビジネススクール
・オンラインゲームプロバイダー
・システム開発会社
・ITベンチャー

現職での経験があるからこそ、これから市場で一層求められる次世代の人材にバージョンアップすることができる。多様性あふれる人材が揃っているからこそ、多様なマーケティングの革新ニーズに応えることができる。それが私たちトライバルメディアハウスの強みです。

●キャリアコンセプトは「10年後も一流のマーケターでいる」こと

一時期、話題になったニュースに、『知ってましたか これが2020年のニッポンだ - わずか7年後、この国はこんなに変わる あなたの会社は消えているかもしれない「生き残る会社」と「なくなる仕事」教えます』(現代ビジネス/2013年7月25日)があります。

※出典
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36518

この記事では、識者による「2020年に生き残る会社」と「2020年になくなる仕事」の近未来予測が特集されており、特に「2020年になくなる仕事」では、(記事が発表された)2013年当時では当たり前の職業が列挙されており、誰もが衝撃を感じたことでしょう。

また、『グーグルCEO「20年後、あなたが望もうが、望むまいが現在の仕事のほとんどが機械によって代行される。」』(LeadingCo./2014年11月3日)も話題を呼びました。

※出典
http://lrandcom.com/automation

Googleの創業者であり、現CEOのラリー・ペイジ氏がファイナンシャル・タイムのインタビューで、「テクノロジーは仕事の効率を10%向上させるものではなく、効率を10倍良くするものです(中略)人工知能の急激な発達により、現在日常で行われている仕事のほとんどをロボットが行うというもので、近い将来、10人中9人は今とは違う仕事をしているだろう」と予測しています。

ここまで急激な変化が私たちを襲うかどうかについては人によって意見が分かれるでしょうけれど、このような変化は「起こるかどうか」ではなく、「いつ起こるのか」という問題になった、と理解する方が正しいと思っています

マーケティングが、『変化を続ける市場(消費者)にフィットし続ける「売れる仕組みづくり」』であるならば、マーケティングもマーケターも変わらなければなりません。いま現在通用している消費者観やプランニングノウハウ、広告やPR、メディアや流通の知識は急速に陳腐化し、10年後にはほとんど役に立たないものになるでしょう。

こういう話を聞いたとき、マーケターの反応は3つに分かれます。ひとつは、「変わる変わる言ったってそこまで急速には変わらないだろ。もし世の中が変わったとしても自分には関係ない。10年後もなんとかなっているだろう」と楽観し、現状維持を決め込む人。2つ目は「やばい、どうしよう。10年後に活躍するマーケターでいられるか自信がない。。肩たたきをされることだけは避けなきゃ…」と心配し、いまの会社にしがみつく人。3つ目は、ダーウィンの進化論「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」という教えに沿い、日々変化をし続け、自己の成長に貪欲な人。

私たちトライバルメディアハウスの職場は、3つの目の人にとって最高の職場です。さきほども紹介したように、いま、私たちが生きる世の中は、あらゆるモノやコトがソーシャル化している真っ最中にあります。これは、企業の各部署やさまざまな業界において外部ブレーンが必要であることを示唆しており、この流れは10年後も続いていると読んでいます。

ちなみに、10年後に「ソーシャルメディア戦略」 「ソーシャルメディアマーケティング」なんて言う人は誰もいなくなるでしょう。それは、ソーシャルメディアが一過性の流行りとして廃れることを言っているわけではありません。2000年代初頭に業界に「ブランドマーケティングブーム」が巻き起こりましたが、数年後に「ブランドマーケティング」という言葉を口にするマーケターはほとんどいなくなりました。これは、マーケティング戦略において、ブランドマーケティングの観点が重要であることがアタリマエになったことの証左なのです。

ソーシャルメディアもまったく同じ道をたどるでしょう。ソーシャルメディアを意識しない広告宣伝、広報、マーケティング、商品開発、店頭づくり、顧客サポート、中期経営計画、採用活動、レピュテーションマネジメントは皆無になるということです。これは、私たちトライバルメディアハウスが持つスペシャリティが、今後長い期間にわたって市場で需要の受け皿としての存在感を示し、競争優位性を発揮し続けることを裏付けています。

私たちトライバルメディアハウスの仕事は、マーケティングやコミュニケーション戦略における限られた狭い領域を担う「ソーシャルメディア公式アカウントの運用業務」ではありません。私たちは、B2C/B2Bに関係なく、あらゆる業界の、あらゆる部署の仕事がソーシャルメディア時代に最適化していくことを支援するチェンジエージェントであり、その仕事内容は現場の運用業務だけでなく、これからの広告宣伝、広報、マーケティング、商品開発、顧客戦略を、急速に変化する市場にフィットさせて行くことを支援するダイナミックなマーケティング戦略企画・実行支援業なのです。

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…とまぁこんな感じで書きました!

ご興味がある方はこちらからぜひε=ヾ(*・∀・)ノ

池田紀行

【続・人材募集】コ・クリエーションプランナー求む|共創はトライバルマーケティングの未来をつくる!

10 years 11ヶ月 ago

みなさんこんにちは。年に数回しかブログを更新しなくなって何をやっていたのかというと、トライバルメディアハウス20訓(基本理念)の2つめ「人の二倍働き、人の二倍遊ぶ。全てが仕事で、全てが遊びである。」を実践して、遊びほうけていたのであります。

今日は久々のブログで、題名にもある通り、【続・人材募集】コ・クリエーションプランナー求む|共創はトライバルマーケティングの未来をつくる!と題して、超長編・感動スペクタクルの採用募集エントリーを書いてみます。

でも普通に書いてもおもしろくないので、コ・クリエーションプランナーの仕事がいかにおもしろく、近未来的なのか、ここ最近自分が体験したことをベースに展開してみることにします。

※2015年1月21日(水)19時から、共創マーケティングに興味のある方向けに価値共創の考え方がわかるセミナー&実際に現場で働く共創チームメンバーと交流する懇親イベントを企画しました
※長そうなエントリー読んでる暇なんてないからとっとと申し込みさせて!という方は、EventRegistページでイベント概要をご確認の上、こちらからお申込みください!

さて、では、共創が共通の興味関心を持つトライブ(部族)ごとにマーケティングを最適化するトライバルマーケティングという概念の中で、いかにおもしろい取り組みになりえるのか、最近私に起こったことでお話します(卑近な例で失礼します)。

すでにFacebookで私のリア充アピールにお付き合いいただいている方はご存知だと思いますが、41歳になっていろんなことにドハマりしています。

● まずはサーフィンにハマる

20代でウィンドサーフィンをやめて以来、ずーっとサーフィンのロングボードを始めたくて、一昨年くらいから会社の有志で湘南へレッスンに行ってました。でも行ったのは結局ワンシーズンにそれぞれ2回ずつくらい。なんか本気にならず、にょろにょろしていました。

こんなんじゃいけない!ということで、今年はゴールデンウィークからトライバル屈指のプロ風サーファーである営業部の荒井パイセンに九十九里の片貝へ毎週連れて行ってもらい、まずはいろいろと買い揃えちゃえばやめられまい、ということで、プロモーションチームのさかた君(本名:高橋)とウェットを買い、板を買い、ソフトキャリアを買い、背水の陣。あれだけ気が乗らなかった千葉に毎週通い、波に揺られ、ときに飲まれ、海と一体になっているうちにくっそおもしろくなってしまい、ドハマり。

先週末なんて人生最高の波(といってもサーフィン歴7ヶ月)に乗れちゃって「サーフィン楽しー!うひー!」なんて叫ぶ始末。まじサーフィン最高。

● ワーゲンバスが欲しい!

毎週サーフィンに行っていると、愛車(miniクロスオーバー)の小ささに物足りなくなってきた。サーフィンの師匠であるプロ風サーファーの荒井パイセンは、波がよくないとすぐに「場所変えましょう」と移動をする。平気で20~30㎞、多いときは1日に2~3回移動する。その度に板を屋根に積んで、足洗って、(濡れたウェットのまま移動するから)防水のシートカバーをかぶせて、、と面倒くさいのなんの。

海用の車が欲しいな…と(愛する鬼)嫁に相談したところ「寝言は寝てから言え」と一蹴。嫁はminiクロスオーバーが大好きなのです。買い換えるなんて頭にない。しかし、幸いうちは駐車場が安いので、波状攻撃のような交渉を重ね、いっそのこと2台目としてハイエースみたいな安い海用車を買っちゃえばいいんじゃないか!ということになり、何台か検討することに。Jeepワゴニアビュイック・リーガルなどの選択肢を検討するも、いまいちテンションが上がらない。

そんなとき、嫁が言い放った。「チミ、いつかワーゲンバスに乗りたいって夢があったんじゃないの?」と。

俺「あるある!いつか乗りたい!我が人生の夢でござる」
嫁「いつ?」
俺「いつか!」
嫁「もう40過ぎてんだよ。いつかいつかなんて言ってたら、そのうち死ぬよ?」
俺「えっ!」
嫁「・・・。」
俺「いいの?」
嫁「とりあえず今週末見に行ってみるか」

という男前過ぎる嫁の一声で、Goo-netで偶然出物だったバスちゃんを目指し、埼玉の空冷専門店SUNWIN EASTへ。

ひとめぼれ。即決。

一ヶ月後に納車。

かわいい…。鼻血出そう。

そしてサーフィンが100倍楽しくなる。リア充投稿が止められない日々。

● オートキャンプ熱を併発

ワーゲンが納車されるまでの1ヶ月、そこら中の雑誌やネットをむさぼるように見ていると、ワーゲンバス乗りはキャンパーが多いと。そういえば、ワーゲンバスコミュニティの人たちは、みんなで2泊3日のオートキャンプによく出かけているのよね。

そうだ!そういえば俺も前からオートキャンプやりたいんだった!」とフラッシュバック。

いや、これほんとで、仕事が忙しいことを言い訳に、いつかいつか、ってずーっとオートキャンプに手を出せなかったんすよね。行くなら行くでいろいろと道具を揃えなきゃいけないし、何買ったらいいのかもサッパリわからないし、車も家も狭いから大量の用具類を置いておくところないし。ということでこれも先延ばしにしていたわけです。

でも、「ワーゲンバス キャンプ」でGoogle画像検索なんてすると、そこにはめくるめくおしゃれキャンプの世界が…。

俺もやりたい!

ということで、そこからはさらに怒涛の検索生活。オートキャンプに行くにはどんなものが必要なのか。先輩キャンパーが買ってよかったもの、買わなければ良かったものなどを検索してブログを読みまくり、リスト化する毎日。そのアイテム数は80以上にもおよんだ。中でも心強かったのは、会社で共創コミュニティのシステム「ココスクウェア」をつくってくれている超ウルトラスーパーエンジニアローリングスペシャルのすーさんの意見。スノーピークのエバンジェリストである彼の意見で、買う直前にいくつものアイテムがブランドスイッチした。ありがたき幸せ。

で、ワーゲンバスの納車から1週間。千葉のサーフィン帰りに、九十九里ハーブガーデンでオートキャンプデビュー。これがまあ楽しいのなんのって(朝方寒くて死にそうになったけど)

● キャンプといえばDIY(?)

ちなみに、キャンプにいく前にいろんな道具を調べまくっていた頃、またしても嫁が「お父さんがせっかく大工なんだから、木のテーブルと囲炉裏台は買わずに、一緒につくったら?」と親孝行と一石二鳥の神提案をしてきて、「そりゃ名案!」ということで、41歳にして71歳のおやじ(元棟梁)に教わりながら本格的なDIY。こんなの小学生以来だろうか…。おやじの長年の大工仕事でゴツゴツになった職人の手とか見ててなんだか泣きそうになりながらのDIYは最高の思い出に。。

親父とつくったテーブル。

● これこそがトライバルマーケティングなんじゃないのか!?

とまあ、とうとうと41歳の僕に起こった7ヶ月を晒したのは、ドハマりすることが立て続けに出てくることで感じた「これってまさに(狙ってたら)トライバルマーケティングだよね!」ということ。自らが当事者になって、より深く感じたというか。

トライバルマーケティングは、うちの社名にもなっているマスマーケティングの対になる概念。マスマーケットに、マスメディアで情報を伝達するマスマーケティングから、共通の興味関心を持ったトライブ(部族)ごとにマーケティングを最適化させましょう、というもの。2002年頃に米国で提唱されました。

似たような言葉にクラスターやコミュニティがありますが、クラスターは売り手(マーケター)がマーケティングリサーチなどでターゲットを括るもので、消費者側は「自分はXXクラスターに属している」なんて意識していない。クラスターはあくまでもマーケター都合による括り。コミュニティはトライブが集まるオンライン、オフラインの「場」。

一方のトライブは「共通の興味関心を持った集団」であり、コミュニティのような場がある場合も無い場合もある。でも、同一トライブ内の人たちは、いまやネットやソーシャルでつながっている状態が多いように思う。

「グルメトライブ」もあれば、もっと具体的な「カレー大好きトライブ」もある。「バイクトライブ」もあれば、もっと結びつきの強い「ハーレーダビッドソントライブ」もある。粒度もさまざま。

いずれにせよ、世の中が多様化して、そこかしこにトライブが発生し、ネットやソーシャルが普及してマーケティングがしやすくなったんであれば、企業やブランドはターゲットトライブごとにマーケティングを最適化させようぜ、という考え方がトライバルマーケティングなのです

たとえば、キャンプ用品メーカーで有名なブランドにスノーピークがあります。自らが年間60泊はキャンプをし、キャンプ場から出社することもあるという山井社長率いる同社は、最近カンブリア宮殿に取り上げられたり、近々株式を上場するということで話題になっています。

スノーピークの商品はものすごく良い。でも値段も高い。通常商品の2倍や3倍するものもある。でもスゲー売れている。誰が買っているのか。中心顧客層は、いままでの安いキャンプ用品に不満を持っていた(年間数十泊キャンプをする)ハードキャンパーたちだ。

スノーピークの山井社長や従業員の方々は、全員がキャンプのリードユーザー(上位1%の玄人)だ。だからこそ、本当にキャンプにこだわっている人たちが納得する商品だけをつくり、提供しよう。しかも、メーカーとしては画期的な永久保証までつけてしまった。

するとどうなったか。本物志向の商品がほとんどなかったオートキャンプマーケットの中で、スノーピークは唯一素晴らしい商品を提供してくれる唯一無二のメーカーになった。その結果、こだわりキャンパートライブ ≒ スノーピークトライブになってしまったのだ。

僕はまだ2回しかキャンプに行ったことがないヘボキャンパーだけど、スノーピークのすごさはわかる。何がすごいって、その顧客の熱狂ぶりだ。スノーピークにはポイントの会員制度があって、一般会員、シルバー会員、ゴールド会員、プラチナ会員(年間50万円以上買った人)、ブラック会員(年間100万円以上買った人)などに区分けされている(プラチナ会員とブラック会員は一度なるとずっとその地位を維持できるらしい)

このプラチナ会員とブラック会員をスノーピーカーと呼ぶが、この人たちの熱狂っぷりたるやそりゃもうすごいわけです。社長や商品開発スタッフなども参加する泊まりがけのキャンプイベント「スノーピークウェイ」はスノーピークトライブの人たちにとってはたまらないイベントだ(イベントはスノーピーク商品を持っていなくても参加できるが、参加している層はスノーピーク大好きトライブたち。そりゃそうだ)

そして、スノーピークにはオフラインイベントだけでなく、オンラインコミュニティ「snow peak club」もある。オフラインイベントとオンラインコミュニティという理想的な組み合わせができあがっている。

snowpeakclub

おっと、ついついキャンプの話で熱くなってしまった…。話をトライブに戻して違う観点から。

トライブは、「トライブ内同質、トライブ間異質」という特徴を持ちます(サーフィントライブ内はみんなサーフィン好き:トライブ内同質。一方、サーフィントライブとキャンプトライブは違う:トライブ間異質)。

トライバルマーケティングのおもしろさは、トライブ間異質の中でも、仲が良いトライブと半目しあうトライブがあるところ。

たとえば、革ジャントライブとハーレーダビッドソントライブは、革ジャントライブとバイクトライブでトライブ間異質です。でも、革ジャントライブとハーレートライブは仲が良い(ハーレー乗りの多くは黒の革ジャンを身にまとう。ジーンズやジージャンとも仲良し)

一方、バイクトライブは、同じ2輪車トライブでありながら、ハーレートライブとモトクロスバイクトライブは別に仲が良いわけじゃない(無関心もしくは好きじゃない可能性も)

だからといってバイクトライブが存在しないのかというとそんなことはなく、以前、ドラマの中でキムタクが乗っていたことで一世を風靡したYAMAHA TWと(特にカスタムをする)ビッグスクータートライブは比較的近い距離にいる(個人的な推測)。

※YAMAHA TW

※ビッグスクーター(カスタム)

自分に起こったこの7ヶ月も、サーフィントライブに入ったことを皮切りに、ワーゲンバストライブに入り、そしたら今度はキャンプトライブにも入っちゃったということだったわけ。

事実、Facebookの「スノーピークキャンパー」(公開のFacebookグループ)で自己紹介投稿をしたところ、「おっ!私もワーゲンバス乗りです。来週のお台場のワーゲン大集合イベントいらっしゃいます?」というコメントをもらい、すぐさま「なんすかその熱いイベントは!行きます!」と返し、翌週にはオフラインでもお友達になってしまった。キャンプトライブとワーゲンバストライブが仲良しの所以だ。

※写真はワーゲンバスとオートキャンプをこよなく愛する柳田さんとお台場のワーゲンイベントにて

● 共創コミュニティがトライバルマーケティングをおもしろくする!

僕達が展開する共創マーケティング事業は、企業やブランドがトライバルマーケティングを展開する一つの具体的手段だ。図にするとこんな感じ。

いまは左側にあるココスクウェアをベースとした共創コミュニティを事業の柱として育てていて、来年度から右側のトライバルコミュニティの自社運営に着手し始める予定。ココスクウェアの実績は下記の通り。

● 共創マーケティングプラットフォーム:ココスクウェア

● キリン/キリンビールカンパイ会議

https://kanpai.cocosq.jp/tops

● 伊藤ハム/SELECT KITCHEN

https://ham.cocosq.jp/

● ユニ・チャーム/はじめてママのムーニータウン

https://moonytown.cocosq.jp/tops

● Afternoon Tea/Afternoon Tea TEA TIME

https://afternoontea.cocosq.jp/tops

※その他にも多数の共創コミュニティを鋭意開設準備中!(キリッ

トライバルマーケティングは、マーケットの中にターゲットとなるトライブを見出し、そこに対してマーケティングを最適化させて行く取り組みです。スノーピークのように、ターゲットトライブ=こだわりキャンパー=スノーピークトライブになれれば最高だけど、その実現は一朝一夕には行かない。

キリンであればビール好き、キリン好きトライブを見える化し、共創コミュニティとして恒常的につながり、会話・対話を重ねていける「場」を設けることで、いま進めている一番搾りアンバサダーによる新しいコミュニケーション手段の創出や、新しいクラフトビールブランド「SPRING VALLEY BREWERY」の共創などに取り組んでいく予定です。

早稲田大学ビジネススクールの恩藏先生は、ブランドが形成されるプロセスにおいては3つのRが必要だ、と説きました。

トライバルマーケティングは、その活動によって、顧客の自分ゴト化がさらに促進されるよう働きかけなければなりません。また、ブランドと顧客の信頼関係だけでなく、顧客同士の信頼関係が構築・強化され、さらに顧客同士のおしゃべりの中で、最適な文脈でブランドが語られるようにするためには(顧客の間で良い評判が形成されるために)企業は、その「場づくり」にどのように関わっていくことが最も良いかたちなのか、ここを徹底的に考えて堅実に実行して行くことが大切です。

ゆくゆくは、企業単独の共創コミュニティ展開だけでなく、親和性のある(距離の近い)企業(ブランド)トライブ間のコラボレーションもしかけ、顧客やブランドにとってより広がりのあるトライバルマーケティングを展開して行きたいと思っています。

ということで、トライバルメディハウスもそろそろ設立9年目に入るし、社員ももうすぐ50人になるし、来年新卒が10人以上入るし、クライアントからの相談は以前にも増して多いし、本格的にトライバルマーケティング&共創マーケティングを展開してマーケティングの未来をつくって行くにあたって、とにかく仲間が足りないのです。

詳しくは過去エントリー【人材募集】コ・クリエーションプランナー求む!!に記載した通りですが、再度「共通の興味関心や、コミュニティによって新しい消費体験を共有し、ライフスタイルを顧客と共に創ること」にチャレンジしたい人を熱烈募集します!

お仕事内容は下記のような感じ。

● コ・クリエーションプランナーの仕事内容
・クライアント(ブランド)の持つカテゴリー特性や課題に応じた価値共創戦略の策定
・コミュニティ運用計画の策定(テーマや具体的なディスカッション内容の企画)
・顧客イベントやオフ会の企画・オペレーション
・共創コミュニティやオフラインイベントにおける会員とのコミュニケーション
・MROC(※)の調査設計と実行支援(調査はグループ会社のインデックス・アイと一緒に進めます)
・顧客参加型商品開発やサービス開発プロジェクトの企画と実行
・上記に関わるクライアントサポート(月次レポート作成や戦略会議含む)

※MROC:エムロックと読む。Market Research Online Communitiesの頭文字を取ったもの。マーケティングリサーチを目的としたクローズドなリサーチコミュニティを指す。仮説検証型の定量調査ではなく、仮説発掘型の定性調査として企画・実施される。

また、さっきも書きましたが、今後はクライアント向け共創コミュニティの運営だけでなく、トライバルメディアハウスとして、粒度の大きい興味関心のコミュニティを自社運営し、そこをメディア化することで、一社単独でコミュニティを開設・運用することのできない企業向けマーケティングプラットフォーム事業を展開していく予定です。これだけは絶対に誰にも負けないくらい好き!という趣味を持っている方は、ぜひ将来のコミュニティマネージャーとしても門を叩いてください。

ちなみに、コ・クリエーションプランナーは、下記のようなキャリアや思考を持った人が楽しく活躍できる仕事です。

● コ・クリエーションプランナーに向いている人
・人間観察が好きである
・コミュニケーションが好きである(オフライン/オンラインともに)
・マーケティングが大好きである
・ブランドと顧客をつなぐ「新しいライフスタイル」をつくりたいと思っている
・誰にも負けないくらいドハマりしている趣味がある

● コ・クリエーションプランナーと親和性が高いキャリア(どれかひとつで可)
・ソーシャル公式アカウントやブランドコミュニティのマネジメント経験
・グループインタビューやMROCのモデレーター経験
・新商品企画やサービス開発経験
・マーケティングプランナー/PRプランナー経験
・雑誌やWeb媒体の編集者/ライター経験

少しでも興味があれば、お気軽にこちらまでご連絡ください!
recruit@tribalmedia.co.jp

…と言っても、何やる仕事かイマイチよくわからないし、いきなり連絡するのって勇気が必要ですよネ!

ということで、今回は「そもそも共創マーケティングって何やる仕事なの?」「おもしろいの?」「実際にどんな仕事するのかよくわからない」「どんな人が働いている会社なの?」などの不安や疑問にお応えする共創マーケティングセミナー&共創チームとの懇親飲みイベントをご用意しました。

1時間くらい僕がセミナーをして、その後は実際の共創マーケティング事業部のスタッフが現場の仕事内容についてお話します。その後、会社近くの居酒屋に場所を移して、ビールを飲みながらワイワイなんでも聞いてね情報交換会をやる流れです。少しでも興味がある人はぜひ下記EventRegistページからお申込みください。飲みながらざっくばらんにマーケティングの未来について語ろうぜ!

※イベントは2015年1月21日(水)19時から弊社東銀座オフィスで開催します!
※お申込みはこちらから!
※当日は私と人事採用担当の八木&奥村が優しくアテンドいたします

お申込み、お待ちしてます!ε=ヾ(*・∀・)ノ

池田紀行

【人材募集】コ・クリエーションプランナー求む!!

11 years 5ヶ月 ago


共創マーケティングへの取り組みが熱くなってきました!

INNOVATION Sketch Notes (ideas solutions imagination creativity)

猪子さん率いるチームラボは、共創をテーマにした「未来の遊園地」「お絵かき水族館」など、様々なプロジェクトを実行・成功させています。

未来の遊園地
http://www.team-lab.com/new/news/mirai.html

お絵かき水族館
http://www.team-lab.net/all/products/aquarium.html

ほかにも、2013年の後半から様々な企業が共創をテーマにしたサービスや取り組みをリリースしています。

電通とアライドアーキテクツが生活者と企業のコ・クリエーション(共創)分野で連携(2013年12月25日)
http://www.aainc.co.jp/news-release/2013/00604.html

博報堂グループのVoiceVisionとアライドアーキテクツが連携、 共創型コミュニティプラットフォーム「ボイプラ」の共同提供を開始(2014年6月2日)
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/17534

日本の家電業界を変える”ハイアールとamadanaがパートナーシップ合意(2014年6月5日)
http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/20140605_652008.html

顧客志向マーケティングを実現する 「ロイヤルティ育成プラットフォーム構築サービス」(IMJ 2014年6月12日)
http://www.imjp.co.jp/press/release/20140610.html


積水ハウスからはこんな報告も。

「共創」による研究開発拠点「SUMUFUMULAB(住ムフムラボ)」開設一周年で来場者20万人を突破、「共創」研究開発も着実に進展(2014年4月25日)
http://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/datail/1191226_1381.html

ほかにもこんな記事とか。

共創の時代~顧客の声を生かして 商品・サービスを開発・改善するためには~
アドタイ・デイズレポート(2)
http://www.advertimes.com/20140515/article156371/

累計参加人数32,000名突破!
マルイとユーザーが一緒に商品づくりをするサイト「シューズLABO」
http://markezine.jp/article/detail/20379

こんなセミナーとか。

共創マネジメントカンファレンス2014 顧客と創るこれからの経営
“B with C”時代を見据えたマネジメントの変革とコミュニケーションの在り方
http://www.b-forum.net/event/jp445b_1.php

企業と顧客が「共に」「創る」新しいマーケティング手法
共創マーケティングセミナー(自分の)
http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nbsemi/nbnmg/140610/

てな感じで盛り上がってまいりました!

トライバルメディアハウスでは、企業が取り組むソーシャルメディアマーケティングの次の一手として、2013年8月から共創マーケティングプラットフォーム「ココスクウェア」をベースとした共創マーケティング支援サービスを開始しています。

コミュニティパネル型の共創マーケティングプラットフォーム「cocosquare:ココスクウェア」をリリースしました!(2013年8月8日)
http://www.ikedanoriyuki.jp/?p=4326

サービスのリリース以降、キリンカンパイ会議をはじめ、2014年6月にニチレイフーズHappyお弁当ライフのご支援を開始。コミュニティによる顧客との共創を支援しています。詳しくはまだ言えませんが、7月からも月に1~2件のペースで共創コミュニティの開設が予定されています。

※キリンビールが横浜の若者とつくったビール共創プロジェクトの概要はこちらをご覧ください

トライバルメディアハウスでは、2014年4月に共創マーケティング事業部(Co-Creation Business Division)を新設し、初代部長としてトライバルにSMMコンサルティング部をつくった宮本昌尚をアサインし、現在スタッフを含め3人の体制で業務に当たっています。しかし、すでにお引き合いが多く、とにかくスタッフが足りません。

ということで、「コミュニティによって消費体験を共有し、ライフスタイルを生活者と共に創ること」にチャレンジしたい人を熱烈募集します!

お仕事内容は下記のような感じです。

●コ・クリエーションプランナーの仕事内容
・クライアント(ブランド)の持つカテゴリー特性や課題に応じた価値共創戦略の策定
・コミュニティ運用計画の策定(テーマや具体的なディスカッション内容の企画)
・顧客イベントやオフ会の企画・オペレーション
・共創コミュニティやオフラインイベントにおける会員とのコミュニケーション
・MROC(※)の調査設計と実行支援(調査はグループ会社のインデックス・アイと一緒に進めます)
・顧客参加型商品開発やサービス開発プロジェクトの企画と実行
・上記に関わるクライアントサポート(月次レポート作成や戦略会議含む)

※MROC:エムロックと読む。Market Research Online Communitiesの頭文字を取ったもの。マーケティングリサーチを目的としたクローズドなリサーチコミュニティを指す。仮説検証型の定量調査ではなく、仮説発掘型の定性調査として企画・実施される。

コ・クリエーションプランナーは、下記のようなキャリアや思考を持った人が楽しく活躍できる仕事だと思います。

●コ・クリエーションプランナーに向いている人
・人間観察が好きである
・コミュニケーションが好きである(オフライン/オンラインともに)
・マーケティングが大好きである
・ブランドと顧客をつなぐ「新しいライフスタイル」をつくりたいと思っている

●コ・クリエーションプランナーと親和性が高いキャリア(どれかひとつで可)
・グループインタビューやMROCのモデレーター経験
・新商品企画やサービス開発経験
・コミュニティマネジメント経験
・マーケティングプランナー/PRプランナー経験
・雑誌やWeb媒体の編集者/ライター経験

少しでも興味があれば、お気軽にこちらまでご連絡ください!
recruit@tribalmedia.co.jp

※件名に「コ・クリエーションプランナーへの応募」と記載してください
※未経験者でもこぼれおちるパッションがある方なら大歓迎です

ご連絡、お待ちしておりますε=ヾ(*・∀・)ノ

※まだ応募するほどじゃないけど「共創には興味あるぞ」という方、まずはこちらを手にとってみてください!

池田紀行

Web研『クチコミを発生させる5つの琴線スイッチ』セミナーテキストを公開しました

11 years 8ヶ月 ago

今日は公益社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する『第六回東北セミボラ(セミナー&ボランティア)』@仙台で講演をさせていただきました。

ということで、終わりたてホヤホヤですがセミナーテキストを公開します。バズ・バイラル系のプランニングをするときに意識をしていることをまとめました。

ちなみに、コンテンツは今回のセミナーテキストの方が多いですが、このテーマは日経BizGateの連載でも書いていますので、文章で読みたい方はそちらも合わせてご覧ください。

牛タン食べたい!

池田紀行

広告・広報・マーケティング業界の新社会人に読んでもらいたい推薦図書15選

11 years 8ヶ月 ago

一言でマーケティングと言っても、その範囲はすさまじく広く、そしてもんどりうって転げ回るほど深い。

環境分析をするにはSWOT分析や3C分析にはじまり様々なリサーチ手法を学ばなければならないし、マーケティングコンセプトを固めるには市場細分化、ターゲティング、ポジショニング(いわゆるSTP)の理解が必要です。消費者を知らなければなりません。

4Pで考えても、プロダクト戦略ではインサイトの発掘、アイデア発想法、それらの仮説づくりや検証のためのマーケティングリサーチ理論、商品開発プロセスやブランドマーケティングの知識が求められます。そして広告・広報・販促を含むコミュニケーション領域。広告ひとつとっても、できればマス広告からWeb広告、クリエイティブからアドテクノロジーまで知っていた方が良い。

そして、広告だけじゃなく、PR(パブリシティ)や戦略PRなどの広報領域の知識、それらのメッセージがなぜ消費者に刺さるのかを体系的に理解するための行動経済学も仕事に厚みを持たせてくれるでしょう。

また、これらの施策は近年急速にデジタル化が進展しています。インターネットを活用したインターネットマーケティング(Webマーケティング)だけではなく、既存のマーケティング活動がデジタル化して行く「デジタルマーケティング」について理解しておくことは、これからのマーケターにとって必須の知識となります。

そして、メーカーにとって非常に重要となるチャネル(販売経路)や売場づくりの知識。メーカーの広域流通部(ナショナルチェーン向けの提案営業を行う一般的な部署名)がどのように大規模チェーンのバイヤーに営業をし、店舗と自社にとって最適な売場(棚)をつくるのか、それらのプロセスや意味を理解しておくことはメーカーの「売上向上」を生業とするマーケターにとって必須の知識でしょう。また、既存顧客との関係を維持・向上させるCRM施策やロイヤルティマーケティングもおさえておきたい重要なポイントです。

と、考えつくまま書きなぐっても、「マーケティング」の勉強は驚くほど広範囲かつ深い。どこから手をつけたら良いのわからない人も多いと思います。

そこで、広告・広報・マーケティング業界に入社した新入社員の皆さんに、「まずはここを入口にしてみては」という私からの推薦図書15選をまとめてみました。

それぞれの領域には、いわゆる「お約束の本」があります。マーケティングで言えば、『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』、競争理論であればマイケル・ポーターの『競争の戦略』といった具合です。

でも、これらの本はいずれも分厚いハードカバーで、新入社員にはハードルが高すぎる気がしています。確かに、最初だからこそ長く読み継がれている代表的な良著から入る、というやり方もあるでしょう。でも、私は多くの若手が最初の高いハードルでつまづいてしまい、その領域への興味を持つところまで至らないというケースをたくさん見てきました。

なので、今回ご紹介する本の選定は、「読みやすい」(途中でくじけない)、「比較的低価格」(数千円もしない、ほとんどが2,000円以内で買える)、「その領域の全体像を知ることができる」(ある程度の網羅性)の3点を重視して選びました。

ぜひこれらの本を手に取ってもらい、「あ、この領域おもしろいな。もっと掘り下げたいな」と思ったら、さらにその領域の勉強を深めて行く、というやり方に挑戦してみてください。わずか数回分の飲み会代で、あなたのマーケター人生を驚くほど豊かで味わい深いものにしてくれることでしょう。

では行ってみましょう。


1. 売れるもマーケ 当たるもマーケ

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則 売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則
アル ライズ,ジャック トラウト,Al Ries,Jack Trout,新井 喜美夫

東急エージェンシー出版部
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よくわからないタイトルかもしれませんが、ものすごい良著です。この本を一冊目に持ってきたのには理由があります。まず、とにかく「わかりやすい」こと。そして(日本では20年前の1994年に出版された本ですが、まったく古くならない)「マーケティングを考える上で普遍的なことがまとめられているから」です。

マーケティングを勉強しようとすると、SWOT、3C、成長戦略、競争戦略、4Pなどの理論がとっつきにくくて(おもしろくなくて)途中で嫌になってしまう人が多いことはさっき言いましたね。なので、まずは理論を頭に入れて行く上で、「マーケティングっておもしろい!」と思ってもらいたいのです。「なるほど、これがマーケティングというやつか!」とわくわくしてもらって、勉強のモチベーションを上げてほしい。そんなエントリーとしてこれ以上ない本が本書です。今日必ずポチって欲しい一冊。


2. マーケティング戦略

マーケティング戦略 第4版 (有斐閣アルマ) マーケティング戦略 第4版 (有斐閣アルマ)
和田 充夫,恩蔵 直人,三浦 俊彦

有斐閣
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マーケティングの勉強は、ものすごく範囲が広いため、ややもすると枝葉の領域ばかりに気を取られてしまいがちです。なので、まずはしっかりとベーシックなマーケティング理論を頭に入れた方が良い。

頭の中にマーケティング戦略全体のフレームワークができると、これから新しく得て行く膨大な情報や体験を、その「(頭の中の)本棚」に綺麗に整理して格納して行くことができるようになります。

この本は、私が中小企業診断士の資格を勉強しているときにバイブルにしていた本です。「読む」というよりも「勉強する」「頭に染み込ませる」という感じで何度も何度も繰り返し読み返すことをお勧めします。


3. [実況]マーケティング教室

[実況]マーケティング教室 (グロービスMBA集中講義) [実況]マーケティング教室 (グロービスMBA集中講義)
グロービス

PHP研究所
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この本は、2010年に出版された、マーケティングの父、フィリップ・コトラーの『マーケティング3.0』をわかりやすく解説してくれている本です。

ベーシックなマーケティング理論を学んだあと、その伝統的なマーケティングが、近年の環境変化によって通用し辛くなってきていること、その背景や理由、これからのマーケティング戦略はどのようにあるべきか、という「過去→現在→未来」を学ぶのに最適な一冊です。

『コトラーのマーケティング3.0』を読んでいまいちピンとこなかったあなたへでも書評を書きましたが、最近読んだ本の中で最も感動した本の中の一冊です。ぜひベーシックなマーケティング戦略理論を学んだあとに手に取ってみてください。


4. インサイト

インサイト インサイト
桶谷 功

ダイヤモンド社
売り上げランキング : 47100

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マーケティングの仕事をやっていると、「インサイト」という言葉を聞かない日はないかもしれないってくらいの頻出ワードです。でも、この「インサイト」の意味を曖昧なまま使っているマーケターが意外と多いんじゃないかと思います。

消費者インサイトとは、わかりやすいニーズやウォンツではなく、消費者自身も気づいていない「ホンネ」を意味します。だから、簡単な質問形式の調査で出てくるような「回答」は真の消費者インサイトではありません。

いま、多くの企業がこの消費者インサイトの把握に困っています。従来のマーケティングリサーチでは消費者インサイトが掴みづらくなってきました。でも、新しく、かつ未充足な消費者インサイトを発掘しない限り、画期的な(イノベーティブな)新商品開発ができない。本書は消費者インサイトを学び始める人に最適な一冊です。


5. 予想どおりに不合理

予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
ダン アリエリー,Dan Ariely,熊谷 淳子

早川書房
売り上げランキング : 67937

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消費者の「ホンネ」を理解するという意味で、本書も大変示唆に富む一冊です。タイトルはわかりにくいですが、内容は「人間の持つ不合理」を科学する行動経済学(判断・意思決定科学)をわかりやすく解説してくれています。

フォーカスグループインタビュー(6人~8人程度の対象者に会場に集まってもらい、司会(モデレーター)の進行のもと様々な会話をする中でマーケティングの仮説を発掘しようとする座談会形式の定性調査)では、「ダイエットをしているのでカロリーの高いものは食べないようにしている」と回答した対象者が、レストランで食事をしているときにワゴンで回ってきたケーキを3つ頼んでしまう「嘘」を見抜けません。

1,500円の手帳を買おうとしている人に、「ここから15分行ったところにあるお店では同じものが800円で売っていましたよ」と伝えると、多くの人は15分歩いてそのお店に行こうとする。しかし、29,800円のスーツを買おうとしている人に、「ここから15分行ったところにあるお店では同じものが29,000円で売っていましたよ」と伝えても、ほとんどの人は15分歩いてそのお店に行かないと答えるという。同じ「800円の得」なのに、意見が分かれるのはなぜなのか。

このように、私たちはの意思決定や行動は「不合理」に満ちている。これらの不合理を理解せず、消費者インサイトを探ろうとすると、痛い目にあってしまう。行動経済学の入門本としてぜひ手に取って欲しい一冊です。


6. アイデアのつくり方

アイデアのつくり方 アイデアのつくり方
ジェームス W.ヤング,竹内 均,今井 茂雄

阪急コミュニケーションズ
売り上げランキング : 398

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全世界的に売れ続けているアイデア発想本としては圧倒的No.1のお約束本です。100ページしかないので、1時間もかからず読み切ることができます。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」というキーメッセージはあまりにも有名です。

未充足の消費者インサイトの発掘ができたら、次はそのインサイトを解決する具体的なアイデアが必要となります。これは商品開発だけでなく、広告やPR、キャンペーンのコンセプト開発にも通用する考え方です。マーケターは左脳と右脳の両方を鍛えなければなりません。「アイデアマン」になるための最初の一冊としてぜひ押さえておきたい一冊です。


7. 次世代マーケティングリサーチ

次世代マーケティングリサーチ 次世代マーケティングリサーチ
萩原 雅之

ソフトバンククリエイティブ
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マーケティングリサーチには、消費者インサイトを発掘するためのフォーカス・グループ・インタビュー(FGI)や、仮説を定量的に検証するアンケート調査など様々なものがありますが、近年、これらの伝統的なマーケティングリサーチも環境変化の波に襲われています。消費者ニーズが高度化・多様化を極め、市場が高度に成熟化したことなどにより、従来の調査では、期待する結果を導くことが難しくなってきたのです。

本書では、消費者理解の方法が変わってきている背景、リサーチパネルの考え方(回答者か参加者か)、Ask(訪ねる)からListen(聴く)へ、新しいリサーチ手法など、「これから」のマーケティングリサーチについて、これ以上ないくらいに、わかりやすくまとめてくれています。直接、調査設計や実査、集計分析に携わっていないマーケターであっても、これからのマーケターにとってマーケティングリサーチの知識は必要不可欠です。「様々なデータを解釈する側」としても、知っておいて欲しい知識が満載の一冊。


8. 小さな会社を強くするブランドづくりの教科書

小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書 小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書
岩崎 邦彦

日本経済新聞出版社
売り上げランキング : 8367

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マーケティング戦略を考える上で欠かせないのがブランドマーケティングに関する知識です。商品のコモディティ化や価格競争の激化、商品ライフサイクルの短命化とマーケティングのデジタル化などの環境変化を受け、これからのマーケティングは、より一層「ブランドマーケティング」が重視されていくと思います。

いわゆる「ブランドマーケティング論」はものすごく奥が深い。本気で取り組もうとすると、軽く年単位の勉強を覚悟する必要があると思います。そこで、まずは「超ざっくりと」理解するのに最適なのがこちらの本。タイトルに「小さな会社を強くする」と書かれていますが、決して中小企業のためのブランドマーケティング本ではありません。ブランドとは何か。ブランドマーケティングとは何か。強いブランドはなぜ強いのか。本書で、まずはブランドマーケティングを学ぶスタートラインに立ってください。


9. ブランド戦略シナリオ

ブランド戦略シナリオ―コンテクスト・ブランディング ブランド戦略シナリオ―コンテクスト・ブランディング
阿久津 聡,石田 茂

ダイヤモンド社
売り上げランキング : 82291

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ここで紹介している本の中では一番難しい本かもしれない本書。でも、ブランドマーケティングを学ぶ上で、ぜひ本書で紹介されている、「コンテクスト・ブランディング」という考え方については知っておいてもらいたいと思い、ご紹介。

特に、第3章の「アセロラドリンクに見るコンテクスト・ブランディング」は必読です。ブランドが抱えていた課題をコンテクスト(文脈)の観点から探索・構造化し、企業と顧客の間に存在している溝を埋め、つなげていくプロセスは感動ものです。2002年に出版された本ですが、内容はまったく古さを感じさせない普遍的なもの。間違いなく目から「うろこ」が落ちる一冊です。


10. なぜこの店で買ってしまうのか―ショッピングの科学

なぜこの店で買ってしまうのか―ショッピングの科学 なぜこの店で買ってしまうのか―ショッピングの科学
パコ アンダーヒル,鈴木 主税

早川書房
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タイトルにある通り、私たちが日常的に行くスーパーやコンビニエンスストアの棚がいかに「科学的」につくられているのかを知ることのできる一冊。

来店客は店に入り、どんな動線で歩くパターンがあるのか。あるポイントで右に曲がると右側最上段にある商品の視認率は何%か? 手に取る率は? カゴに入れる率は? どの商品がどの棚に何フェイス並ぶと棚の効率は最高になる? 通路で、棚の下段にある商品を体をかがませて取ろうとしているとき、後ろを通った人の体が自分のお尻にぶつかったときに何%買い上げ率は低下する?(つまり店舗の通路を広げることによってどのくらい売上を伸ばすことができる?)など、膨大な数のショッパーズ調査を行って導き出した結果をわかりやすく解説してくれています。

本書を読めば、流通(店頭)の勉強になるばかりか、これからスーパーやコンビニにいくことが楽しくなります。もはや普通の一般人の「目」には戻れません。店頭からいろんなメッセージを受け取ることになるでしょう。ハードカバーでページ数も多いですが、ぜひトライして欲しい一冊です。

※この本で店頭に興味を持ったら、ぜひこちらの本にもトライしてみてください。必ず役に立ちます ⇒ 『インストア・マーチャンダイジング


11. 明日の広告

明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045) 明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)
佐藤 尚之

アスキー
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あまりにも有名な本なので、すでに読んだ人も多いかもしれません。

元・電通の佐藤尚之(通称:さとなおさん)さんが書いた広告業界の大ベストセラーです。本書を読むと、現在マーケティング環境で起こっている環境変化と、「これから」の広告がどうあるべきかを一通り学ぶことができます。そして、本書は「ためになる」だけでなく、広告のことを愛しているさとなおさんの文章を通して広告のことがもっと好きになり、わくわくし、仕事のモチベーションが上がるという副次的なメリットまでついてきます。新書なので2~3時間で読むことができます。広告・広報業界の人には必ず読んでほしい一冊。


12. [新版]戦略PR

新版 戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書) 新版 戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書)
本田哲也

アスキー・メディアワークス
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ひとつ前に紹介したさとなおさんの『明日の広告』シリーズ第2弾として出版されたのが本書。戦略PRが日本で注目されるキッカケをつくった、ブルーカレント・ジャパン代表の本田哲也氏によるもの。

広告業界だけでなく、PR業界も大きな環境変化の波に襲われています。商品やサービスそのものの記事化を狙うパブリシティだけでなく、自社の商品やサービスが「売れる空気」をつくる戦略PRは、すでに多くの企業で実践され、大きな成果を残しています。これからのコミュニケーションプランニングは、広告と広報(パブリシティと戦略PR)、アナログとデジタルの境なく、「課題解決」という原点を実現するために、より一層、メディアニュートラル、手法ニュートラルになっていくでしょう。

「私は広報じゃないんで、PRの本は関係ない」と思う人にこそ読んでもらいたい一冊です。


13. パーミッション・マーケティング

パーミッション・マーケティング パーミッション・マーケティング
セス・ゴーディン,Seth Godin,(序文)ドン・ペパーズ,Don Peppers,谷川漣

海と月社
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最後は顧客戦略について考える2冊。

「マーケットシェアから顧客シェアへ」という潮流が生まれた1990年代後半に書かれたセス・ゴーディンによる全米大ベストセラーである本書。「(新規顧客ではなく)既存顧客の70%に焦点を当て、利益を増やす」。そのためには、「顧客に心を開いてもらう=パーミッション」を獲得することが重要であることを説いています。

「パーミッションはプロセスであって、瞬間のものではない」 「パーミッションはいつでもキャンセルされうるものである」といったソーシャルメディア時代における企業と消費者の関係性の本質が書かれています。リレーションシップマーケティング(関係性マーケティング)やCRM(Customer Relationship Management)の本質を理解するためにも読んでおきたい一冊。


14. 顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング

顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング- 顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング-
山岡 隆志

日本経済新聞出版社
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顧客戦略について考える2冊目。

本書は、アドボカシーマーケティング(徹底的に顧客側に立って物事を考え実行する信頼ベースのマーケティング手法)を豊富な事例とともにわかりやすく解説してくれている一冊です。

究極まで顧客利益を優先した(売り手主導型ではなく顧客主導型の)マーケティングを行うことによって、企業と顧客の間に長期的な信頼やロイヤルティが形成され、売上および利益が向上することを解説しています。

高いロイヤルティが形成された顧客は、単なるファンではなくブランドのエバンジェリスト(伝道者)になって次のお客様を連れてきてくれます。世の中がデジタルやソーシャルだからこそ、思想や企業哲学について学んでおきたい。


15. 気まぐれコンセプト クロニクル

気まぐれコンセプト クロニクル 気まぐれコンセプト クロニクル
ホイチョイ・プロダクションズ

小学館

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最後に毛色の違う一冊を紹介して締めたい。

本書は、1981年から、『ビッグコミック スピリッツ』(小学館)で連載された4コマ漫画集です。バブル期前後の広告業界が、ホイチョイ・プロダクションズらしい痛快な切り口と描写で描かれています。

新卒で、ネット広告会社に入社した新卒の皆さんは、いわゆる「伝統的な広告業界」について学ぶ機会が少ない。本書で紹介されている描写にはマンガ的な演出がされてはいますが、「広告業界の今と昔」、そして、愛すべき「広告ギョーカイ人の生態」について楽しみながら学ぶことができる一冊。ぜひ息抜きの一冊に加えてほしい。


以上、私からの推薦図書として15冊を紹介させてもらいました。

マーケティングは超おもしろい!そのおもしろさを知るためには、いろいろなものが見えなきゃならない。そして、その眼力は、本を読むことによって強化することができます。

私たちは、みんな同じ景色を見ています。でも実際は、人によって読みとる情報や解釈は大きく違っています。なぜか。それは、見る人の知識や経験が違うからです。

ぜひ一日も早く「マーケターの目」を手に入れてください(実際は一生かけて鍛えるんですけど)

マーケティングは超おもしろいですよ!

池田紀行

一日も早く一人前になりたいと思っている新社会人の皆さんに心掛けてほしい5つのこと

11 years 8ヶ月 ago

明日から新年度ということで、ほかにもたくさんの方から「新社会人へのメッセージ」がアップされると思いますが、たまには私も書いてみようと思います。

1.死ぬほど勉強して死ぬほど働きなさい(たぶん死なないから)

「死ぬほど~」というフレーズが嫌いな人もいると思いますが、あえて言います。死ぬほど勉強して、死ぬほど働きなさい。会社に一番朝早く来て、一番遅く帰りなさい。そんな働き方を、人は社畜と言うでしょう。ブラックと言うでしょう。でもあなたの人生です。誰でも最初から質の高い仕事なんてできません。何もわからないんだから。量が質を凌駕するのです。量をやるから質が高まるんです。

人と同じことをやっていたら、あなたは人と同じ人になります。平均値です。人よりも上に行きたいのなら、人が休んでいるときに仕事をしなさい。人が遊んでいるときに勉強をしなさい。人が寝ているときに人と会って見聞を広げなさい。近道はありません。

2.最後に一番伸びるのは「素直な奴」と心得なさい

伸びる社員とはどんな人間でしょうか。努力家、勉強家、いつもポジティブ、元気ハツラツ、地頭が良い、いろいろありますが、私は最後の最後に伸びているのは素直な奴だと思います。

言い古された言葉ですが成長のポイントは「守破離」です。まずは先輩のやり方を100%真似てみる(守)。先輩と同じことが完璧にできるようになったら、少しずつ自分なりのやり方を加えて行く(破)。そして最後に自分のスタイルを確立する(離)。決して順番を間違えてはいけません。

たまに「これをやったら自分が自分じゃなくなる」という人がいます。「これ私がやる必要があるのですか?」 「自分の考え方と違います」 「自分のやり方でやらせてください」

何もわからない段階でのプライドや自我は成長を阻害します。先輩だって人間ですから、そんなあなたを疎ましい奴と思ってしまうかもしれません。少なくとも入社一年は言われた通りにやり尽くしてみる。それが一番早く成長する秘訣です。

3. 師匠を見つけなさい

これからの長い社会人人生において、あなたが人望のある味わい深い大人として大成するためには、人生の酸いも甘いも経験したお師匠さんが必要です。仕事でも遊びでも、あなたが真似したいと思える「型」を見つけなさい。さっきも言いましたね。「守破離」です。では、あなたが理想とする師はどこにいるのでしょうか。実は、意外なほどあなたの近くにいます。

毎日仕事をしていると、「自分の身近には尊敬できる師匠なんていない!」と思いがちです。隣の芝が青く見えることもあるでしょう。自分が求める師匠は「ここではないどこか」にいると思うこともあるでしょう。でもそれは間違いです。師匠は必ずあなたの近くにいます。そして、頑張っているあなたを見ています。だからこそ、腐らず目の前の仕事に全力を投じなさい。師匠はそんなあなたを必ず見つけてくれ、手助けしてくれるはずです。

4.プロフェッショナルになりなさい

仕事に慣れてくると、自分はスペシャリストの道か、ゼネラリストの道か、という2つの選択肢の中で迷うでしょう。でも、実はその2者択一は問題じゃありません。どちらであっても、あなたが目指すのは「プロフェッショナル」です。

プロフェッショナルの逆はアマチュアです。スペシャリストであろうと、ゼネラリストであろうと、プロフェッショナルになってください。誰かから対価をもらって仕事をするに値する価値を出す仕事人になってください。

ニューヨークヤンキースのイチローは決して「今日は二日酔いだから適当にバットを振りました」なんて言いません。マンチェスターユナイテッドの香川は決して「監督とソリが合わなくて活躍できませんでした」なんて言いません。

相手から報酬をもらって仕事をし、相手の期待を裏切らない、時に期待を上回る価値を提供する。言い訳をしない。手抜きをしない。試合に出るチャンスをもらったときに最高のパフォーマンスを出すために日々の努力や準備を怠らない。それがプロフェッショナリズムというものです。会社員だってお給料をもらって顧客に最高のパフォーマンスを提供するプロフェッショナルです。

あなたが目指すのはスペシャリストかゼネラリストか、それはまだわかりません。それは、きっとこれからの仕事を通して、会社や上司、そしてあなたの意志によって必然的に導かれていくはずです。いまあなたが意識すべきは、その2択ではなく、常に「自分はプロフェッショナルであるか」と自問し続け、自分に勝ち続けることです。競争相手はいつだって自分自身です。勝負すべき相手は会社の同期でも、社会の同年代でもなく、昨日の自分なのです。

5. 実行し、続けなさい

少し前に、TwitterやFacebookでシェアされていたものに、「したい人、10,000人。やる人、100人。続ける人、1人。」というものがありました。多くの人がシェアやRTをしたということは、みんな自分に思い当たる節があり、グサッときたからなのでしょう。

勉強や仕事も同じです。誰もがやるべきことはわかっている。それができるようになったら、どんなにいいだろうと思っている。でも、やらない。びっくりするくらい、やらない。

中には、顔を真っ赤にして、「やります!見ててください!」と息巻く人もいる。でも、やらない。これがまたびっくりするくらい、やらない。だから、やり始めるだけで、100人に1人になれる。

次の敵が継続。

最初は一念発起して始めたものの、続かない。今日は仕事がきつかったから、ちょっと飲みすぎちゃったから、明日の朝早いから、明日やろう。次の日も次の日も、明日やろう。だから、続けるだけで、10,000人に1人になれる。

その道の専門家と共通言語で会話をすることができるようになるためには、1,000時間の勉強が必要です。1,000時間といったら、平日2時間、週末(土日)で10時間勉強して1年かかる。仕事以外で。

そして、自分がその道の専門家になるためには、1万時間の勉強が必要と言われます。

あなはた「やりたい人」で終わらないでください。「やる人」になってください。そして「続ける人」になってください。それは、今日からです。いまからです。なうです。

最後に。

ビジネス社会に「棚から牡丹餅」はありません。
牡丹餅は、頑張っている人の頭上だけに落ちてくるのです。

頑張ってください!

※本エントリーは、自身のことは高々と棚に上げてお送り致しました。悪しからずご了承ください。

池田紀行

『次世代共創マーケティング』出版記念セミナーテキストを公開しました

11 years 10ヶ月 ago

2月4日(火)に無事 『次世代共創マーケティング出版記念セミナーが終了しました。定員200名の募集でしたが、最終的に500名を超える方々からお申し込みを頂きました。ご来場頂いた皆さま、ありがとうございました。そして、せっかくお申込み頂いたのに抽選に漏れてしまった皆さま、すみません。

ということで、第2部~第4部のセミナーテキストを公開します(第1部 花王デジタルコミュニケーションセンター長 石井龍夫 様の講演テキストは公開できません。ご了承ください)


● 第2部 「価値共創の原点を考える」 トライバルメディアハウス 池田紀行


● 第3部 「リサーチからコミュニティへ」 インデックス・アイ 山崎晴生


● 第4部 「インサイト・コミュニティ ~ 顧客の声を活用する」 ビジョン・クリティカル・ジャパン岸川茂様/セブンシーズマーケティングリサーチ杉本徹様


※興味のある方はぜひ手に取ってみてください!

次世代共創マーケティング 次世代共創マーケティング
池田 紀行,山崎 晴生

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池田紀行

『コトラーのマーケティング3.0』を読んでいまいちピンとこなかったあなたへ

11 years 10ヶ月 ago

先週、トランスコスモスの萩原さんがFacebookで紹介していた、グロービス著 『実況 マーケティング教室』 (PHP)にビビッときたので、早速週末読んでみたんですけど、この本、滅茶苦茶良い本です。マーケティングに従事している方、必読の書です。


[実況]マーケティング教室 (グロービスMBA集中講義) [実況]マーケティング教室 (グロービスMBA集中講義)
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マーケティング理論については、それ相応の理解をしている自信がある、という方にとっても、かなり頭の中を整理してくれる良著です。そして、以前 『コトラーのマーケティング3.0』 を読んだけど、ぶっちゃけイマイチよくわからなかったんだよね…という方にもお勧めです。すべてではありませんが、同書の中で解説されている重要なポイントは理解することができると思います。

そしてこの本、コトラーのマーケティング3.0でも語られている 『共創マーケティング』 を理解する上でも最適な一冊になっています。以下に要点を整理しておきます。


● マーケティングは1.0から2.0、そして3.0へ

冒頭でマーケティングコンセプトの変遷が整理されています。生産志向・販売志向だったマーケティング1.0、消費者志向のマーケティング2.0、そして、マーケティングは、ブランド認知や個人の無意識をも巻き込んだ認知科学的な分野に進むとしています。


次に、マーケティング1.0を 「T型フォード」、マーケティング2.0を 「米国市場におけるハーレーダビッドソン vs ホンダ」 を例に、見事なわかりやすさで解説が進みます。すべてが 「歴史(流れ)」 と 「事例」 の掛け算で説明されるので、とてもわかりやすいはずです。マーケティング2.0では、最も一般的な戦略概念であるSTPについて説明されています。

 ・ S:Segmentation
 ・ T:Targeting
 ・ P:Positioning

ほぼ単一の市場にほぼ単一の商品で商売をしていた時代が、競合の参入によって破壊されると、マーケティングはSTPを重視するマーケティング2.0に移行します。


● マーケティング2.0は次第にレッドオーシャン化する

しかし、その後 「成熟した市場では、競合他社も消費者にも近代的マーケティング(マーケティング2.0)が浸透しきってしまった帰結として、各企業それぞれが見動きがとれないこう着した状態に陥ってしまう」 としています。

これは、ありとあらゆるポジショニングマップをつくっても、すべてのマップに、もはや空白の空きスペースが残っていない状態を指し、すべてのマーケットでし烈な競争が行われるレッドオーシャン(血の海)化を意味します。


● 「マーケティング=売れる仕組み化」 の限界

市場を切り刻み(セグメンテーション)、ターゲティングを狭めれば狭めるほど、ポジショニングマップに空きスペースは見つけやすくなりますが、同時にマーケットサイズはニッチ化していきます。そのため、大きな市場が欲しい飲料や食品、日雑メーカーのようなマスマーケティング企業は、マーケティング2.0のSTPを脱却しないと、新たな成長戦略は描けないことを示唆します。


● マーケティングコミュニケーションのABCDマトリクス(※秀逸!)

そして、いよいよ本書は 「マーケティング3.0」 の解説へと進んで行きます。本書で感動したのはこちらの図。みなさん、「ジョハリの窓」 はご存知でしょうか(Wikipedia ⇒ ジョハリの窓

本書では、「自分」 を 「企業(自社)」 に、「相手」 を 「顧客」 に置き換えて以下の4つの象限を提示しています。

※私は、D領域の 「新しいマーケティング」 のひとつに、「価値共創」 があると捉えました

本書では、どんな優秀な企業であっても、マーケティング2.0について理想的にやり尽くしているわけではない。そのため、マーケティング3.0に進まず、2.0をやり尽くすという選択肢もあるだろう。しかし、製品のコモディティ化や、さまざまなマーケティングのジレンマ(顧客重視の売り手の論理という矛盾の露呈)などを鑑みると、現在のマーケティング2.0ではたどりつけない領域が存在するとして、P&Gの 「コネクト&デベロップ」 を事例として紹介しています。

※P&Gのコネクト&デベロップは、企業、研究機関、サプライヤー、小売取引先、製造委託会社、そしてときには競合他社も含め、「すぐれた製品・サービスを通じて、お客様の製品をよりよいものにする」という企業目的を実現するための、重要な経営戦略とされています(詳しくはP&G社のサイトを参照のこと)

そして本書は、「ブルーオーシャンはD領域において発見される」 としています。D領域いおいて発見されたインサイトや新しいビジネスは模倣がされにくいため、一定の期間、その市場で大きな優位性を獲得します。

逆に、BとCの領域では、いかに注力、徹底していったとしても、各競合が明示的な土俵で勝負を展開する以上、市場はレッドオーシャン化しやすいとしています。


● STPでは満たせない 「主観的な満足感」

従来から、「製品には2つの価値がある」 と言われます。それはつまり、客観的な部分(性能面など)と、主観的な部分(個人的な満足感)です。フィジカルベネフィット(物理的便益)とメンタルベネフィット(精神的便益)と言われることもあります。

本書では、市場の成熟化や消費者の情報行動などの変化によって、市場での競争は、高性能信仰に代表される 「客観的価値」 から、消費者がその使用価値をどう捉えるかという 「主観的価値」 に移行していると説きます。


● 主観は消費者の中にある

そして、本書を読んでいて、再度ハッとしたのがここです。「客観」 は企業がつくれるが、「主観」 は消費者の中にある。とても当たり前のことかもしれませんが、だからこそ企業は従来のマーケティングリサーチや、近年注目される観察調査(行動観察)など、さまざまな活動によって、消費者の 「主観」 を把握しなければならない。マーケティング2.0の限界が見え始めてきた現在ならなおさらです。


● 主観的価値観重視の中で何をどう売るべきか

ここで本書は、ディズニーランドの事例をあげます。詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、私はここでブラー化による製造業のサービス化 (PDF)とサービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)を想起しました。S-Dロジックは、すべての事業をサービス業と規定します。そして、消費者を 「消費をする者」 ではなく 共に価値を競争する 「価値共創者」 と捉え、サービス(+製品)の価値は購入時点ではなく(購入した後の)使用時点で継続的に発生するとする考え方です。


● “I 対 You” から “We” へ

そして本書は最後に 「コ・ワーク(協働)する “we” (積極参加する消費者)」 という考え方を提示し、『 “we” においては、「企業か顧客か」 という区別の優先順位は下がる』 と結んでいます。


うーん、しびれました。先週からAmazonで入手しにくくなっていますが、ぜひ手に取ってみてください ⇒ グロービス著 『実況 マーケティング教室』(PHP)

ということで、本書からとても多くの気づきをもらえました。マーケティング2.0の次の一手として、ぜひ拙著 『次世代共創マーケティング』 とあわせて読んで頂きたい一冊です。

いよいよ明後日1/22発売です。水曜日頃から全国の書店でも並び始めると思いますので、ぜひ手に取ってみてください!

次世代共創マーケティング 次世代共創マーケティング
池田 紀行,山崎 晴生

SBクリエイティブ 2014-01-22
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池田紀行

デキる社員は “Task(What)” だけでなく “Who” を意識している

11 years 10ヶ月 ago

皆さんは毎日、上司からの指示やクライアントへのレポートなど、いろいろな人からいろいろな仕事を依頼されていると思います。

To Doリストを作成して、「抜け漏れ」をなくすように注意している人も多いと思いますが、このTo Doリスト、ややもすると、弊害が出てきます。

それは、目の前の仕事を単なるTaskにしてしまうことによる弊害です。To Doリスト=Taskリストという状態です。

依頼された仕事(Task)を、期日までに過不足なくこなせば、とがめられることは少ないでしょう。

でも、デキる社員は、もうひとつ意識していることがあります。

それは、”Task (What)” だけでなく、”Who” を意識していることです。

依頼された仕事(Task)は、依頼主(Who:上司やクライアント)がなんのために自分に依頼した仕事なのかを想像しているのです。

例えば、ある分野において調査して欲しいことがあったとします。私は、ある社員に「AAについて現状を調べてみてくれる?」と依頼します。

一般的な社員は、「依頼されたAAに調査に関するレポートを送付します。ご確認をお願いします」とメールをくれますが、一方、デキる社員からは下記のようなメールがきます。


(1) 依頼された調査報告書を送ります(目的の再確認):What
(2) ポイントはAAとBBとCCでした(概要サマリー):What
(3) これらの状況から、選択すべき方向性はBBだと思います(選択肢の提示):What+Who
(4) その理由はDDです(意見):Who


上記の(1)~(2)を満たしていれば、部下自身のTaskとしては完了かもしれません。でも、依頼主(上司など)にとってのTaskは、「調査・分析」ではなく、「調査・分析」内容をもとに「方向性を決めること」や「さらに深堀する必要性があるかどうかの判断」だったりします。この場合、上司は部下から納品された(1)~(2)のレポートを見て、ゼロから「検討」と「判断・決断」をする必要があります。

デキる部下は、上司が何のためにこの仕事を依頼してきたのか、このレポートによって何をしようとしているのか、というところを先読みして仕事をしています(先読みするために、仕事の依頼時に背景や目的を確認してきます)。すると、上司は「検討」や「判断・決断」スピードを速めることができます。

もちろん、「そんなの上司の仕事だろ!」 「そうしてほしいならそういう仕事の依頼をしろ」という意見もあるでしょう。それは当然です。

でも一方で、「デキる部下は上司の仕事を取る」のです。部下がどんどん上司の仕事に領域侵犯してくるから、上司はどんどん楽になって別のことができるようになる。

結果、上司は別の仕事や、もうひとつ上のランクの仕事に集中できるようになり、当初の仕事はその部下が全面的に任されるようになる。そうすれば、その部下は昇進したり、昇格したり、年俸が増えていきます。

目の前の仕事は、誰(Who)が何(What)をするためのものなのか。

仕事は人がするものです。であれば、すべからくすべての仕事には「意味」や「背景」、「目的」があります。

TaskをWhatとしてだけでなく、つねにWhoとひもづけて行うこと。

それが伸びる人間に共通している仕事術のような気がします。

池田紀行

共創マーケティングの理解が深まる関連本まとめ(&新刊情報)

11 years 10ヶ月 ago

ということで、1月22日にインデックス・アイの山崎さんとの共著『次世代共創マーケティング』(SBクリエイティブ)が出版されますよー!来週から一部書店で先行発売されます。

次世代共創マーケティング 次世代共創マーケティング
池田 紀行,山崎 晴生

SBクリエイティブ 2014-01-22
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共創マーケティングは、あらゆる商品がコモディティ化する高度成熟市場において、顧客を単に「製品を”消費”する消費者」として捉えるのではなく、共に価値をつくり、向上させていく「価値共創者」とみなし、マーケティングを再構築して行く古くて新しいマーケティングコンセプトです。

共創マーケティングによって得られる効果は、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上、顧客のエバンジェリスト化によるクチコミの促進、コミュニティリサーチによる予期せぬ、期待を超えたインサイト発掘など多岐にわたります。本書の5章で、共創マーケティングで先行する味の素、江崎グリコ、花王、キリン、ベネッセ、リクルート、良品計画など7社の担当者インタビューも掲載していますので、そちらもぜひご覧ください。

そして本書は、うちの共創マーケティングプラットフォーム「ココスクウェア」を使った「次世代共創マーケティングコミュニティ」で、360人の方々と交流をしながら書き進めました。多くの方との意見交換を通して、多くの新しい気づきを得ることができました。この場を借りて、改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

今回、SBクリエイティブさんからチャンスをいただき、2014年という年に共創に関する本を上梓させていただきましたが、先ほども書いたように、共創(Co-Creation)というコンセプトは古くからあるものです。日本のマーケティング史において共生、共同、協働、協業などを表す「co-」が初めて付いたのは1970年代にまでさかのぼります。それゆえ、本書を書き上げるにあたって、数多くの先人たちの書籍や論文に教えを請いました。

下記に――驚くほど広く深い――共創マーケティングに関連する書籍を紹介します。拙著『次世代共創マーケティング』と合わせてお読みいただくと、より深い知識を吸収できると思います。ピンと来た本がありましたら、ぜひ手に取ってみてください。なお、下記に紹介する本の多くは高広の兄貴から「これも読まずに共創を語るな」と愛の鞭を入れられて読んだ本であることを付記しておきます。

では行ってみましょう(※下記、著者名のあいうえお順です)

● 学習院大学の青木教授編著の骨太ブランド戦略本。コモディティ化はなぜ起こるのか。どうすれば脱コモディティ化ができるのか。ブランド戦略の視点から価値共創やコミュニティの意義がまとめられています。

価値共創時代のブランド戦略―脱コモディティ化への挑戦 価値共創時代のブランド戦略―脱コモディティ化への挑戦
青木 幸弘

ミネルヴァ書房
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● 名著『ブランド戦略シナリオ―コンテクスト・ブランディング』の共著者でもある一橋大学の阿久津教授の本。ソーシャルメディアによって情報の流れや人の集まり方が変わり、ときに経済価値をも変えてしまう。本書ではこの大きなうねりを「ソーシャルエコノミー」と呼び、AKB、ニコニコ超会議、B1グランプリなど、ネットとリアルの双方で大きな話題となった事例をベースにわかりやすく解説してくれています。

ソーシャルエコノミー 和をしかける経済 ソーシャルエコノミー 和をしかける経済
阿久津 聡,谷内 宏行,金田 育子,鷲尾 恒平,野中 郁次郎

翔泳社
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● 慶応大学 池尾教授の本。『次世代共創マーケティング』の出版が決まってすぐに手に取った本です。いまから10年前に書かれた本ですが、ネットコミュニティの特性、高関与商材と低関与商材におけるコミュニティマネジメントのポイントなどがしっかりまとめられています。

ネット・コミュニティのマーケティング戦略―デジタル消費社会への戦略対応 ネット・コミュニティのマーケティング戦略―デジタル消費社会への戦略対応
池尾 恭一

有斐閣
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● 「共創マーケティング≒共創コミュニティ≒自社メディア」ということで手に取った本。近年注目されるオウンドメディア戦略についてわかりやすくまとまっています。大和ハウスの大島さん、花王の本間さん、著者の鼎談も読みごたえありです。

オウンドメディアマーケティング 顧客との関係を創造し、ビジネスを強化する自社メディア戦略 オウンドメディアマーケティング 顧客との関係を創造し、ビジネスを強化する自社メディア戦略
井浦知久

宣伝会議
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● 「共創マーケティング≒共創コミュニティ≒マーケティングプラットフォーム」ということで手に取った本。こう言っては失礼ですが、さほど期待せずに手に取ったものの、メチャクチャ素晴らしい本で感動。本書では「ブランドは場(プラットフォーム)である」とし、体験価値を共創するプラットフォームの意義や構築の仕方についてわかりやすくまとめられています。最近、「【R25】戦略コンサル“山口”さんの洞察がおもしろい!」というまとめで共著者の山口さんがバズッてました。山口さんのTwitterアカウントはこちら ⇒ @blogucci

プラットフォーム ブランディング プラットフォーム ブランディング
川上 慎市郎,山口 義宏

ソフトバンククリエイティブ
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● とっても良い本です。リフレーミングとは、当事者自身の認知や活動の枠組み(フレーム)が変わることによって、同じ出来事に対する人々の受け止め方や反応の仕方が新しいものへと生まれ変わることを指すセラピー用語。市場の定義をリフレーミングすることで成功したマルちゃん鍋用ラーメン、はとバス、キリンフリー、アタックNeoなどが秀逸です(キリンフリーとアタックNeoは、本書の第Ⅲ部「市場の共創性―リフレーミングを受け止める」で考察されています。

マーケティング・リフレーミング -- 視点が変わると価値が生まれる マーケティング・リフレーミング — 視点が変わると価値が生まれる
栗木 契,水越 康介,吉田 満梨

有斐閣
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● ブラー(blur)とは、「あいまいなもの」を意味します。情報伝達手段の飛躍的進歩の結果として、「コネクション」「スピード」「無形物」の価値が増大しました。いつでもどこでもつながり合い、ものごとのスピードは加速し、経済の中で形のないものの占める割合が増加した結果として、「生産者と消費者」「製品とサービス」といった、従来あったはずの境界がブラー(blur)つまり「あいまいなもの」になってきています。ブラー化の象徴として製造業のサービス化があり、それが全ての事業や製品をサービス業として捉える「サービス・ドミナント・ロジック」につながり、そしてそれが消費者を「価値共創者」として捉えるという価値共創につながります。多少難しいですが、価値共創の背景をしっかり押さえておきたい方は読んでおきたい一冊。

ブラーの時代―eコマースの新・経営戦略 ブラーの時代―eコマースの新・経営戦略
スタン デイビス,クリストファー マイヤー,Stan Davis,Christopher Meyer,入江 仁之

ピアソンエデュケーション
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● 本書は、サービスイノベーションや組織学習の方法(サービスの改善や改革のアプローチ)を整理している本ですが、「価値共創」の概念をしっかり理解したい方にも必読の書。共創と切っても切れないサービス・ドミナント・ロジックについて深く考察されています。顧客と企業の価値の共同創造(Value Co-Creation)から見た新しいサービスの取り組み方がよくわかります。

サービス・イノベーションの理論と方法 サービス・イノベーションの理論と方法
近藤 隆雄

生産性出版
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● 「世界でもっとも影響力のあるビジネス思想家」と言われるC・K・プラハラード氏の著書。『企業による価値創造から個人とともにイノベーションを起こす「コ・イノベーション」の時代へ。』として、これからは企業が価値を創造して顧客に提供するのではなく、顧客と企業が共に価値を共創する時代であると説いています。若干難しいですが良著です。

コ・イノベーション経営: 価値共創の未来に向けて コ・イノベーション経営: 価値共創の未来に向けて
C・K・プラハラード,ベンカト・ラマスワミ,一條 和生,有賀 裕子

東洋経済新報社
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● 共創に通じる「共生」を日本で最も早くマーケティングに取り入れた本がこちら。高度成長期に陰りが見えた1970年代に、低成長時代のマーケティングとして「共生」というコンセプトを(当時論文で)提唱した先見の明に感服しました。

共生マーケティング戦略論―IMコミュニケーション/消費者行動/ブランド戦略/流通チャンネル 共生マーケティング戦略論―IMコミュニケーション/消費者行動/ブランド戦略/流通チャンネル
清水 公一

創成社
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● ご存知、高広の兄貴の著書です。本書は流行を追うのではなく、「本当の変化を把握するための基礎力をつけるための本」。本書の中では、価値共創にも通じるブラーの解説とその先行事例としてのヘルシア12週間健康チャレンジキャンペーンの考察、そして価値共創における重要な視点である「生産と消費が一体化した文脈価値」に通じる考え方としてContextual Marketingという新しいマーケティングコンセプトが提唱されています。ぜひ拙著と一緒に読んでほしい一冊です。

次世代コミュニケーションプランニング 次世代コミュニケーションプランニング
高広 伯彦

ソフトバンククリエイティブ
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● 本書も、比較的早い時期に手に取った本です。大日本印刷は、「自立性と多様性をもった個と個の相互作用の中から予期せぬ現象が生み出され、その結果がまた個に影響を与える状態を『創発』と呼び、これから創発がますます起こりやすくなると説きました。いまから8年も前にこんな完成度の高い本が世に出ていたことに感服しました。拙著の書き始めに記した「共創時代の知は、確定された知の結果ではなく、プロセスの中にある。」という言葉は、本書の著者である井関利明氏からいただいたものです。

創発するマーケティング 創発するマーケティング
DNP創発マーケティング研究会,井関利明、山川悟、新井範子、上原征彦

日経BPコンサルティング
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● 説明する必要はないくらい有名な本ですね。ハードカバー500ページの骨太本ですが、「関与する消費者」と、その生態系をしっかり理解しておきたい方は必読です。

ウィキノミクス ウィキノミクス
ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ,井口 耕二

日経BP社
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● ご存知、萩原さんの著書です。拙著を書き上げるにあたって、僕も、共著者の山崎さんも、何度も読み直しました。共創マーケティングにおいて重要な役割となる次世代マーケティングリサーチについて、本書以上にわかりやすく解説されている本はありません。ぜひ拙著と一緒に読んでほしい一冊です。

次世代マーケティングリサーチ 次世代マーケティングリサーチ
萩原 雅之

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● こちらもあまりにも有名ですね。本書では、マーケティング3.0を「協働マーケティング」 「文化マーケティング」 「スピリチュアル・マーケティング」の融合であると位置づけています。そして、協働マーケティングでは、製品開発やコミュニケーションにおいて顧客や他者をいかに参加させ、協力を得るかが問題になると説いています。

コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則 コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
フィリップ・コトラー,ヘルマワン・カルタジャヤ,イワン・セティアワン,恩藏 直人,藤井 清美

朝日新聞出版
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● ブランドの熱心な支持(ブランドアドボカシー)を測る指標として最も有名なNPS(Net Promoter Score:推奨者正味比率)について理解する必読の書。類書も多いですが、NPSを学ぶなら元祖であるベイン・アンド・カンパニーのフレッド・ライクヘルド著の本書がお勧めです。

顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS) 顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)
フレッド・ライクヘルド,鈴木 泰雄,堀 新太郎

ランダムハウス講談社
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● 本書の著者であるポール・アダムス氏がGoogleに在籍していた頃、ソーシャルメディアに関する研究を主導し、その成果としてGoogle+のサークル機能がつけられたそうです。社会学者のマーク・グラノヴェッターは、強い絆と弱い絆に関する論文の中で、「強い絆よりも弱い絆の方が良い情報源になることが多い」と述べています。本書は、ソーシャルメディア時代における情報伝播のメカニズムを解き明かしてくれます。コミュニティの生態系、ネットでの人と人のつながり、情報伝播メカニズムなどを理解することができるでしょう。

ウェブはグループで進化する ウェブはグループで進化する
ポール・アダムス,小林 啓倫

日経BP社
売り上げランキング : 106205

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● この本も、比較的初期に手に取った本です。2003年に出版された本ですが、すごくたくさん付箋が付きました。共創コミュニティではなく、いわゆる従来型のブランドコミュニティの運営法や留意点を復習できる一冊です。

オンライン・コミュニティがビジネスを変える―コラボレーティブ・マーケティングへの転換 オンライン・コミュニティがビジネスを変える―コラボレーティブ・マーケティングへの転換
村本 理恵子,菊川 曉

NTT出版
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● 慶応大学 和田教授の本。ブランド論としては良著ですが、タイトルにある「価値共創」にはほとんど触れられていませんでした…。

ブランド価値共創 ブランド価値共創
和田 充夫

同文舘出版
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で、原稿を印刷所に入稿したあとの年末年始で読んだ本がこちら。

● 電通のプラットフォームビジネス局に在籍し、気鋭のプランナーとして注目されている廣田周作氏の著書。本書では、「シェアードヴィジョン」(皆で創りたいこと、皆で創る理想の姿)を明確化することの意義や、そのつくりかた、運営法などがわかりやすく解説されています。ソーシャルメディアの復習にも最適な一冊です。

SHARED VISION SHARED VISION
廣田 周作

宣伝会議
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● 先に紹介した『コ・イノベーション経営』の共著者であるベンカト・ラマスワミ氏の著書。こちらの本は、理論中心ではなく、とにかく抱負な事例をベースに共創の考え方について学べる一冊。2011年に出版された本なのに、なぜか絶版になっています。Amazonで600円くらいで買えます。良著。

生き残る企業のコ・クリエーション戦略 ビジネスを成長させる「共同創造」とは何か 生き残る企業のコ・クリエーション戦略 ビジネスを成長させる「共同創造」とは何か
ベンカト・ラマスワミ,フランシス・グイヤール,尾崎正弘,田畑 萬,山田美明

徳間書店
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● イノベーションはもはや企業だけで行うものではなく、ネットを通じて消費者とつながり、彼らの叡智をうまく取り込む「イノベーションの民主化」を説く一冊。これは拙著のインタビュー内で、良品計画の奥谷氏が仰っている、顧客による「ユーセージ・イノベーション」(用途開発)にも通じています。タイトルはイノベーション本っぽいですが、内容は骨太の共創本です。事例も抱負な一冊。

ユーザーイノベーション: 消費者から始まるものづくりの未来 ユーザーイノベーション: 消費者から始まるものづくりの未来
小川 進

東洋経済新報社
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● 相互につながり合う顧客に対応するためには、企業も顧客と相互に接続されなければならないことを説いています。サービス・ドミナント・ロジックや価値共創を企業の組織論的なアプローチから解説している一冊。

コネクト ―企業と顧客が相互接続された未来の働き方 コネクト ―企業と顧客が相互接続された未来の働き方
Dave Gray,Thomas Vander Wal,野村 恭彦 (監訳),牧野 聡

オライリージャパン
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いやはや、奥が深い。これらの先人の知恵に触れれば触れるほど、自分の研究と実践がまだまだまだまだ足りないことを痛感します。

上記でご紹介した先人たちの研究と実践の通り、「共創」(Co-Creation)は、一時のバズワードではなく、「顧客そのもの」や「顧客と企業の関係」に対する “考え方” を変えるマーケティングコンセプトです。公式アカウントマネジメントに代表されるような通常のソーシャルメディアマーケティングや従来のブランドコミュニティの運営、そしてアドホック(単発的)なMROC(Market Research Online Communities)を実施することがすなわち共創マーケティングではありません。また、単発的な「消費者参加型商品開発プロジェクト」を立ち上げることや、調査や投票によって消費者に意思決定を委ねることでもありません。

顧客を単なる「消費者」としてではなく、共に価値を創造していく「価値共創者」として捉え直すこと。高度に成熟したマーケット、商品のコモディティ化、PLC(Product Life Cycle)の短命化、消費者の情報行動の変化など、企業を取り巻く外部環境は変化のスピードを早めています。そんな外部環境下において、多くの企業は、3割の顧客から7割の利益を得ています。

絶え間ない新商品投入とテレビCMによって棚(店頭)を確保し、マーケットシェアを維持・向上させて行くパワーマーケティングの効率は明らかに落ちてきています。

マーケターは誰に向かって、もしくは誰と共にブランドを育てていくべきか。そろそろパラダイムシフトが必要な時期に来ているように思います。


※2月4日(火)に出版記念セミナー(参加費無料)をやります。ご興味がある方はこちらからぜひ。

池田紀行

共創(Co-Creation)マーケティング事例まとめ(第一弾)

12 years ago

2013年になってから、徐々に各社の共創マーケティングに関連するニュースが増えてきたように感じます。私もいままさに新刊『次世代共創マーケティング』という本をインデックス・アイ取締役副社長の山崎さんと執筆中です。ということで、最近の共創関連ニュースをまとめてみます。

●サッポロビール、世界初!お客様とネット上でビール商品を開発~お客様参加型ビール商品開発サイト「百人ビール・ラボ」開設~(2012年8月10日)

これまで人気投票形式やアイデア投稿形式での商品開発の事例はありましたが、この試みは当社の新商品開発担当者とお客様が同サイトを通じて全てオープンな場においてアイデア出しや香味決め、ネーミング、容器デザイン、販促方法などの決定に向けた議論を進行し商品を開発していきます。また実際に新商品の試飲テストに参加して頂くなど、現実的な実務にも携わって頂く予定です。(リリースより抜粋)

※リリース原文はこちら
※百人ビールラボサイトはこちら

従来の人気投票形式による販売促進的なプロジェクトではなく、アイデア開発、香味決め、ネーミング、容器デザイン、販促方法までをFacebookページ上で行う画期的な取り組み。また、オンラインだけでなく、オフラインでの試飲会を実施するなど、本気でビール愛好家の方々と長期的に取り組んだ本格的事例。現在、第二弾が実施されています。

 

●「キリンビール カンパイ会議」開設~これからの理想のビールについて、ネット上で若者と議論。できあがったビールは工場内レストランで実際に販売~(2013年8月8日)

キリンビールは、Facebookページと連携させた共創コミュニティ:キリンビールカンパイ会議を開設し、その第一弾として、横浜在住もしくは横浜出身の若者(20歳~34歳)と一緒にキリン発祥の地である横浜をコンセプトとしたビールを開発するプロジェクトを開始した。

本コミュニティは、リサーチだけを行うインサイトコミュニティではなく、販促やサンプリングなども展開される共創コミュニティです。ビール好きの方はぜひ参加してみてください。

※リリース原文はこちら
※共創コミュニティ:キリンビールカンパイ会議はこちら

 

トライバルメディアハウス、コミュニティ・パネル型の共創マーケティングプラットフォーム「cocosquare(ココスクウェア)」を開発 ASP形式での提供を開始(2013年8月8日)

キリンビール様の共創コミュニティ開設と同時に、弊社サービスもリリース致しました。先行する海外サービスに勝てるクオリティを目指しました。興味がある方はぜひお問い合わせください!

※リリース原文はこちら
※サービスサイトはこちら

 

●博報堂、生活者との共創コミュニティを運営する新会社 「株式会社VoiceVision」を設立(2013年7月1日)

今回、設立する新会社「VoiceVision」のサービスは、オンラインとオフラインを通じたコミュニティによって、リサーチから商品開発などのアイディア企画とプロモーションまでを、ワンストップで実現するフレームワークを提供します。これまでのリサーチや商品開発などのマーケティング活動は企業内で秘密裏に行うクローズドな活動がほとんどでしたが、VoiceVisionでは戦略的にオープンな活動にすることで誰もが自由に参加・発言できる場を作り、数千~数万人の参加者をうながします。それによって発売前からファンを育て、発売する時には既にファンがいる状態を生みだす方式を開発しました。(リリースより抜粋)

※リリース原文はこちら

リサーチだけを行うインサイトコミュニティを構築するのではなく、リサーチから販促までワンストップで実施する共創コミュニティの開設・運用支援を行うサービスのようです。コミュニティ規模が数千~数万人と記載してあるので、MROCではなく、現在海外でも注目が集まるコミュニティパネル型と言えそうです。

 

●ニフティと電通、生活者参加型の地方特産品開発支援サービス「うまいもんプロデューサー」の全国版を提供開始(2013年10月15日)

「うまいもんプロデューサー」は、ニフティが「@nifty スイーツ部」や「酒コミュ」などを通じて培ってきた生活者共創型商品開発のノウハウ、電通が持つ地域ネットワーク力やマーケティング技術、全国の地方銀行との連携推進などにより、地方と全国、ネットとリアルを結びつける新しいマーケティングサービスです。「うまいもんプロデューサー」では、地方のおいしい特産品を作りたいという地方の中小事業者を、インターネット利用者がコメントやアンケートを通じて応援。消費者ならではのひらめきと、事業者の想いを結びつけ、商品開発を行うとともに、開発商品の販路開拓も支援する。 (リリースより抜粋)

※リリース原文はこちら(PDF)

消費者に意思決定を委ねるのではなく、消費者からは「ひらめき」をもらい、それと事業者の想いを結び付けて商品開発をするところが、従来の消費者参加型商品開発とは異なるポイントです。そして、こちらもリサーチだけでなく、開発した商品の販路開拓までを行う(純粋なリサーチコミュニティではない)共創コミュニティのようです。

 

●日産「IDx」は若者のクルマ離れの救世主か(2013年11月21日)

東京モーターショー2013で発表されたコンセプトカー。若者の車離れを食い止める一つの策として日産が実施したCo-Creation事例。ターゲットは1990年代以降生まれの若年層。IDxは、開発の初期段階から数十人規模の若者と議論してつくられた。日産はこれをCo-Creation(共同創造)と呼んでいる。コンセプトから実装する装備に至るまで、参加者とディスカッションを重ねながら決めて行ったようです。

※ニュースはこちら

ハコスカやカマロを彷彿させる、ややレトロなデザインは、若年層というよりもむしろ私のような団塊ジュニア以上の年齢層に受けそう。個人的には好きです。公式のコンセプトムービーがあったのでそちらもどうぞ。

 

●過去(~2012年まで)の共創的取り組み(順不同)

いままでも、消費者参加型の商品開発プロジェクトやコミュニティは数多く存在していました(終了したもの、継続しているもの含む)。ざっと紹介しておきましょう。

 

▼夢のカップめん開発プロジェクト/エースコック(終了)

2007年に、当時のmixi公認コミュニティで実施されたプロジェクト。

 

▼究極のランジェリー開発プロジェクト/トリンプインターナショナル(継続中)

2008年から6年続いている消費者参加型の商品開発プロジェクト。コンセプト、デザイン、素材、カラーなど、かなり本格的なディスカションを行いながら開発しています。商品はオンラインのみで販売。毎年すぐに売り切れてしまうほどの人気商品になっています。

※サイトはこちら

 

▼Vitamin Water/Coca-Cola(終了)

海外事例。Facebookページに用意したアプリでユーザー参加型の商品開発をおこなったもの。ユーザーは新商品の風味・ビタミン・パッケージを選択できる。40万人のファンが参加し、もっともLikeがついたアイデアが商品化されました

 

▼みんなで作るおむすび選手権/ファミリーマート(終了)

モニプラで実施された事例。どちらかと言うと販促的共創の事例。

 

▼「海むすび」総選挙/ミニストップ(終了)

こちらも、モニプラで実施された事例。ファミリーマートの事例同様、どちらかと言うと販促的共創の事例。

 

▼TRIP NATION/H.I.S.(継続中)

旅好きが集まり、今までにない旅を作りあげる共創の場としてオープン。H.I.S.は、ソーシャルトラベルサービスと命名しています。

※サイトはこちら

 

▼くらしの良品研究所/良品計画(継続中)

国内で最も早くから、最も本格的に運用されている共創コミュニティ。現在は、くらしの良品研究所ものづくりコミュニティご意見パークなど様々な場が運営されている。必見。

※サイトはこちら

 

▼My Starbucks Idea/Starbucks Coffee(継続中)

日本でも有名な共創コミュニティの海外事例。学ぶことが山ほどありますので、ぜひ皆さん実際に中を覗いてみてください。「スタバだからできるんだろ」と言った時点で思考停止です。

※サイトはこちら

 

ということで、企業の共創マーケティングへの取り組み、熱くなりそうです。ちなみに、共創マーケティングとは、消費者参加型の商品開発だけを指すものではありません。そして、当然ですが、何でもかんでも消費者と一緒につくればいいというものでもありません。消費者に新しいアイデアを出してもらうことでも、意思決定を消費者に委ねることでもありません。

詳しくは、2014年1月に出版する新刊『次世代共創マーケティング』の中で解説しています。この本については、先日、書籍『次世代共創マーケティング』の共創コミュニティを立ち上げ、そこで皆さんとディスカッションをしながら校正を進めるプロジェクトが進行中です。

現在、約270人くらいの方々にご参加頂いています。週に1回の頻度で生原稿をアップしていますので、ぜひ先行して読んでみたい方は入会して共創コミュニティに参加してみてください(参加無料)。よろしくお願いしまーす!

池田紀行

共創コミュニティ情報>Introductionの原稿を全面的に書き直しました!(汗)

12 years ago

先週、共創マーケティングコミュニティの開設と同時に、新刊のIntroductionの先行ダウンロードを開始し、多くの方にお読みいただきました。ありがとうございます(2013年11月18日現在で予想を上回る243人の方に登録していただきました)

自分なりにわかりやすく書いたつもりだったんですが、気づいてしまいました。

わ、わかりにくい…!

薄々感じていましたが、皆さんの意見と編集者からの意見でもはや逃げ道を失いました。


・そもそも共創って何?抽象的でわかりにくい!
・何をするの?
・どんなメリットがあるの?
・そもそもあなた誰?


ということで心が折れそうになりましたが、勇気を振り絞って、初稿のIntroduction原稿をほぼ全て捨て、全面的に書き直しました。

本来であれば、今週は第1章のご紹介をする予定でしたが、もう一度新しいIntroductionをお読み頂き、ご意見とご感想を頂けると嬉しいです。

※原稿は、こちらのディスカッションからダウンロードしてください。
※初めての方は、こちらから会員登録をして入室してください

皆さまのご意見・ご感想をお待ちしています!(切実)

池田紀行

次世代共創マーケティングコミュニティ、始まります!

12 years 1ヶ月 ago

さきほど11月7日(木)11:00に次世代共創マーケティングコミュニティをオープン致しましたっ!

昨年より、多くのクライアントの口から、「今年から顧客との共創に焦点を当てたい」、「ソーシャルエンゲージメントだけでなく、もっともっと顧客に近づきたい」という声を聴くようになり、最近は個人的な研究テーマとして「共創」に注目してきました。そして、最近資本提携したインデックス・アイ副社長の山崎さんと様々な事象や事例を研究するうち、共創マーケティングこそ、多くの企業が立ち返る大切な思想であることを実感するに至りました。

2012年6月に、ブルーカレント・ジャパンの本田さんと『ソーシャルインフルエンス』(アスキーメディアワークス)を出版したとき、「もう書くことない!」と完全に燃え尽きていたのですが、メラメラと執筆意欲がわき起こり、このたび、山崎さんと一緒に、SBクリエイティブの次世代シリーズから、『次世代共創マーケティング』を出版する運びとなりました(編集者は、数々のベストセラーを生み出した敏腕編集者、織茂洋介さん)。2014年1月下旬の出版予定です。

このコミュニティは、先般トライバルメディアハウスがリリースしたオウンド型共創マーケティングプラットフォーム「ココスクウェア」を利用して立ち上げました。せっかく共創マーケティングの本を出すのなら、皆さんの意見を聴き、共創しながら、内容を固めて行きたいと思ったのです。不慣れなところもあるかもしれませんが、よろしくお願い致しますm(_ _)m

ちなみに、このコミュニティは、書籍『次世代共創マーケティング』の出版のためだけのものではありません。できれば、これからの日本における「共創マーケティング」を、マーケターの皆さんと一緒にディスカッションをしながら共創していく場にしたいと思っています。年内は主に書籍の内容について議論をする場になると思いますが、どうぞ末永くよろしくお願いします。

では、主な登場人物を紹介させて頂きます。

・池田紀行(しばらくは本の著者として参加。その後は共創について話し合う一人のマーケターになります)
・山崎晴生(同上)
・がっちゃん(コミュニティ事務局。トライバルメディアハウス勤務)
・織茂洋介(しばらくは本の編集者として参加します。その後はなりゆきで、笑)

以上の4名と、皆さまです。

なお、本コミュニティには、トライバルメディアハウスの社員と、インデックス・アイの社員が多数参加しています。ステマ要員ではなく、共創マーケティングおよびコミュニティ運営の勉強を兼ねての参加となりますので、触れ合った際はやさしくしてあげてください。

今後のスケジュールですが、週に1~2回のペースで、ディスカッションテーマが挙がります。ぜひ回答しながらご意見をお寄せください。また、本日から週に1回のペースで、書籍『次世代共創マーケティング』の生原稿をPDFファイルでアップします。ダウンロードして頂き、読了後、ぜひご意見・ご感想をお寄せください。入稿スケジュールに間に合う限り、思考を巡らせ、原稿に反映させて頂きます!

ちなみに、ダウンロードして頂く原稿は初稿~再稿のものです(ゲラ以前のもの)。そのため、不完全な箇所が散見されるかもしれません。誤字脱字、ロジックが破たんしている箇所などがあれば、ぜひ遠慮なくドシドシ、コメントをお寄せください。

<補足>本来、共創コミュニティでは(本音が語りやすいよう、Facebookの実名とは別に)ニックネームでの登録を推奨していますが、このコミュニティでは、実名がわかった方が文脈が伝わりやすいこともあると思いますので、実名でも構わない方は、ぜひ実名&顔写真で設定して頂けると嬉しいです。

では、日本初の共創マーケティングコミュニティの始まり始まりです!

皆さま、よろしくお願いします!
さっそくこちらから会員登録へお進みください。

池田紀行

【内輪ネタ】UCLA Extension Tokyo CenterのFinal Presentationを終えて

12 years 2ヶ月 ago

本日、UCLA Extension Tokyo Center Business EssentialsクラスのFinal Presentationでした(1人15分でそれぞれが選んだ会社の紹介&分析を英語でプレゼンするもの。クラスの卒業課題みたいなもの)

2013年7月から(高広さんに7年越しで背中を蹴っ飛ばされて)通い始めて早3ヶ月。毎週日曜日13時15分からのレッスンのため、毎週毎週、予習、復習、大量の宿題を(当たり前だけど)仕事をしながらこなす地獄のような日々…。

僕は英語が本当にダメだった。コンプレックスのカタマリ。ad:tech NYとか行ってもぜんぜんわからないし、せっかく隣の席にSeth Godinが座っていても話しかけられず情けないやら、悔しいやら。

最初は悔しくて、Banes & NobleとかでESLの教材を死ぬほど買い占めたり、今年こそ!と一年発起してロゼッタストーンの一番高いやつ買ったりしたけど、喉元過ぎればなんとやら。結局、33歳で「英語やるぞ!」と思ってから7年間、ほとんど何もやらずじまい。

ま、500点くらいは取れるだろ、と気軽に受けたTOEICは395点(たしか2006年くらい受講)。会社を経営し始めてからは、さらに「一回きりの人生。体(経営資源)は1つ。自分は自分にしかできないことをやる。俺は英語がダメ。でも俺は経営者として自分よりも英語ができる優秀な人材を採用すれば良いのだ」という便利な言い訳を胸に、英語からずっと逃げ続けてきた。

でも、やっと気付いたのです。俺が誰にも負けないと自負できる唯一のことは、プレゼンやコミュニケーション能力。これは、言語が英語になった瞬間(相手が外国人になった瞬間)、俺の戦闘力は限りなくゼロになる。これは「相手が何を言っているのか、わかる、わからない」という次元を超えた問題なのです。

前置きが長くなりましたが、そんな背景(背水の陣)で始めた英語の勉強。いままでいろいろ(気軽に)始めては続かなかった。これで続かなかったら(上達しなかったら)俺の人生から英語を抹殺する!(逃げ続ける)と決め、3ヶ月前にFinal Presentationの結果をYouTubeに公開することをFacebook上で約束しました。

ということで、約束通り、本日のプレゼン動画をアップしました。こっ恥ずかしいことこの上ないですが興味がある方は見てやってください。自分で言うのも何ですが、3ヶ月でよくここまで頑張ったと自分を褒めてやりたい心境です。何しろ、Helloくらいしか言えなかったんですから。プレゼンは、せっかくなのでトライバルメディアハウスを選びました。

このクラスがパスできたら、10月からはBusiness Insightsクラスです。

Amazonで 『40歳から英語がペラペラになる方法』 を(電子書籍で)出版する日を夢見て、まだまだ道半ばですが、これからも頑張るのです(Business Advantageまで行くよ!)。

最後に。

高広さんに背中を蹴っ飛ばされて通い始めた UCLA Extension Tokyo Center 。めーちゃくちゃいいです。いままで様々な英語の勉強に挫折した方。TOEIC395点だった&今度の1月で41歳になる僕が今日も元気に頑張っています。何かを始めるのに遅すぎることなんてことはありません。

クラスはクオーターごと。次のクラスは10月12 or 13日開講です(10月~12月のクラス)。まだPlacement Test(レベルチェックテスト)は間に合うと思います。教えてくださるネイティブの先生も最高に優しくて厳しいです。興味がある方は、ぜひ門を叩いてみてください(ステマではありません)。

長々と失礼しました。Thank you for your reading!!

池田紀行

コミュニティパネル型の共創マーケティングプラットフォーム「cocosquare:ココスクウェア」をリリースしました!

12 years 4ヶ月 ago

みなさんこんにちは。

本日12時に、コミュニティパネル型の共創マーケティングプラットフォーム「cocosquare:ココスクウェア」をリリース致しました!長かった…うるうる。



cocosquareは、新たなリサーチ手法として注目されているコミュニティパネルの枠組みを超えて、ユーザーエンゲージメントの向上を実現する共創マーケティングプラットフォームです。わかりやすく言うと、ブランドコミュニティと、MROCを含むリサーチ専用のコミュニティパネルが合体したような場所です。この仕組みを、ASP形式で提供します。

※コミュニティパネル
数十~数百人規模で行われるMROCの規模を拡大し、対話やインタビューなどの質的調査に加えて、アンケートなどの量的調査までを同一のプラットフォームで実施する新しいリサーチ手法です。世界ではVISIONCRITICAL社が有名

※MROC
Marketing Research Online Communityの略で、オンラインという特性から時間と場所に縛られることがなく、特定のテーマに関して関心の高い人を集めたコミュニティを構築、一定期間(数週間~数カ月)の対話や交流を通して消費者インサイトを探るリサーチ手法。世界ではcommunispace社が有名

そして、cocosquareでは、本日12時より、cocosquareをプラットフォームとしたキリン株式会社による「キリンビール カンパイ会議」の運用がスタートしています。



https://cocosq.jp/kanpai/


このキリンビールカンパイ会議でのプロジェクト第一弾として、「はまっこのためのビールづくり・・・横浜工場ビール2013」がスタートします。これは、満20歳以上~34歳で、キリンビール発祥の地である横浜(神奈川県)出身者、在住者、勤務者の方々と一緒に最高のビールをつくっちゃうプロジェクトです。本日8/8~8/26までが応募期間です。該当者の方はぜひエントリーを!



http://cocosq.jp/kanpai/yokohama/


皆さんご存知の通り、最近はソーシャルメディア上の声を収集・モニタリングして商品やサービスの開発・改善に活かす取り組みが活発化しています。FacebookやTwitterを活用した人気投票キャンペーン、商品アイデアの募集といった取り組みも同様です。

今回、トライバルメディアハウスが開発した cocosquare は、コミュニティパネルの特徴でもあるMROCやディスカッションによる質的調査、アンケートや投票による量的調査を主要な機能としながら、ユーザーと企業(ブランド)の中長期的な対話による関係構築および相互理解をサポートすることで、リサーチの枠組みを超えたユーザーエンゲージメントの向上を実現するものです。

また、大きな特徴のひとつにFacebook連携が挙げられます。すでに企業が保有するFacebookページのファンを招聘することで、効率的に優良な調査モニター(ロイヤルユーザー)を招き入れることができ、パネルの募集にかかるコストを大幅に削減することができます。

海外では、すでに企業と消費者の本格的な共創マーケティングが始まっています。有名なMy Starbucks Ideaもそのひとつです。



http://mystarbucksidea.force.com/


日本でも、無印良品の「くらしの良品研究所」が有名です。このサイト内のご意見パークなんてすごいです。本気です。



http://www.muji.net/lab/


共創マーケティングの考え方や事例紹介についてはまた追って別途ブログ書きます。

cocosquareを活用した新しい取り組みも続々登場予定ですので、ご興味のある方はぜひcocosquareのサービス概要を見て頂き、お気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。

日本企業における共創マーケティングへの取り組みは、これからが本番です。それぞれの企業やブランドが、お客様との最適な関係をつくれる場を提供して行きたいと思っていますので、ぜひご注目ください。

※cocosquareサービス概要
http://www.tribalmedia.co.jp/service/detail.html?id=7

※2013年8月8日 プレスリリース(PDF)
コミュニティパネル型の共創マーケティングプラットフォーム「cocosquare(ココスクウェア)」を開発、ASP形式での提供を開始
http://www.tribalmedia.co.jp/pdf/130808_cocosquare.pdf

池田紀行

第一回 夏祭り!トライバルナイト2013開催報告

12 years 4ヶ月 ago

先週の7月25日(木)に、会社をつくってからの悲願だったお客様感謝パーティー「トライバルナイト2013」を六本木のTEIEN TOKYOで開催しました。

おかげさまで、トライバルメディアハウスは現在300社を超えるお客様とお仕事をさせて頂いておりますが、2007年に会社を設立した初年度は、取引実績6社と、相当キツかった。

この業界、何の実績もないポッと出の会社に数千万円のプロモーションを任せてなんてくれません。会社概要にCapabilityを入れることができず、思うように営業できなかった時代は本当に本当に本当に本当にしんどかった。

トライバルナイトは、いつか事業が軌道に乗ったら、お客様をお呼びして日ごろのご支援を感謝したい。スタッフ全員で精一杯おもてなししたい、と長年想い続けてきた会社の悲願。当日は、ひとつの大きな夢が叶った最高の夜でした。

どうせならトライバルらしく楽しい夏祭りを屋外でやりたい。祭りならやっぱり浴衣と法被(はっぴ)、そして、日ごろからトライバルをご愛顧頂いている素適なお客様同士が交流できる会にしたい、そんなことをコンセプトに準備を進め、当日は100名のお客様にご来場頂きました(会場の都合上、全てのお客様をお呼びできなかったことが悔しいですが)

浴衣でお客様を出迎えてくれた女性スタッフたち。

トライバルの財産は最高のクライアントの皆さまです。いつも本当にありがとうございます!

当日は博報堂さん仕込のサプライズゲストとして壇蜜さんに似ていることでメディア引っ張りだこの小蜜こと副島美咲さんがきてくださいました。チョコバナナをくわえながら浴衣の袖を引っ張られたときは美しすぎて意識を失いそうでした。

最後にスタッフ全員で記念撮影。トライバルナイトは全てスタッフの手作りによって開催されました。仕事をしながらの準備や当日の運営を滞りなくやってくれたスタッフたちは僕の誇りです。本当にありがとう!

お忙しい中、第一回トライバルナイトにご参加頂いたクライアントおよびパートナー企業の皆さま、本当にありがとうございました。皆さまがトライバルメディアハウスの財産です。来年もトライバルナイト2014年を開催する予定ですので、引き続きよろしくお願い致します。

トライバルメディアハウス
代表取締役社長 池田紀行

池田紀行

みんな、本を書こうぜ! - 本を出版する5つのメリット

12 years 4ヶ月 ago

ビジネスマンであれば、誰でも一度は自著の本を出版するという夢を持ったことがあると思います。

本を出版するメリットには、


(1) その道の専門家と認知され社会的信頼度が向上する

(2) 取材やセミナー講師の依頼が増えるため良質な引き合いが増える

(3) 頭の中の暗黙知が形式知化されるため知識が体系化される

(4) 印税が入る

(5) 親孝行になる

 

など、5つのメリットがあります。

 

私も、共著を含めいままで9冊の本を出版しましたが、上記5つのメリットを享受してきました。

一つひとつ見てみましょう。

 


(1) その道の専門家として認知され社会的信頼度が向上する

これは言わずもがな、でしょう。本の出版というのは(広告ではなく)PRに似ています。なぜ人は広告よりも新聞やニュースサイトの記事を信じるのか。それは、その記事は(記事の当事者ではなく)第三者のメディアによって選定されて出ているからです。

本を書く、出版社から本を出すということは、誰でもできることではありません。だからこそ、そこに価値が出るのです。この人はその道の専門家と出版社が認めたんだな、というお墨付きが付いてくるわけです。ここが電子書籍(のみでの)出版と一番大きく異なるところでしょう。

 


(2) 取材やセミナー講師の依頼が増えるため良質な引き合いが増える

PRの世界には、「メディアを一番見ているのはメディアの人間である」という言葉があります。わかりやすく言えば、新聞に取り上げられるとテレビから取材が来る、ということです。この法則は、「本を一番読んでいるのは、メディアの記者やセミナー事務局である」にも当てはまります。

記者が誰か専門家の意見を探しているときや、日経や宣伝会議など、多くの教育講座(セミナー)を運営している担当者が次のテーマ(講師)を探すとき、よく書店に行きます。誰がこの道のプロか、自分のイメージに近い論を唱えている人は誰か、探しているのです。

本を出版すれば、間違いなくこれらの人の目に留まる可能性が向上し、取材、メディアへの寄稿、セミナー講師の依頼が増加します。セミナー講師が増えれば、間違いなく良質な仕事の引き合いは増加するでしょう。

 


(3) 頭の中の暗黙知が形式知化されるため知識が体系化される

本を書くことの副次的なメリットに「知識の体系化が進む」ことが挙げられます。数万字の文章を書いていくと、何度も「あれ、ここロジックが合わないな」とか「あ、ここ結構曖昧だな」というところが浮き彫りになってきます。頭の中ではある程度まとまっていると考えていたものでも、文章に落とそうとすると途端に筆が進まなくなります。

これ、PPTでチャートばかり作ってると以外と見過ごされてしまうのですが、文章だとごまかせないんです。私たちの頭の中は、以外と曖昧な暗黙知で満たされていて、普段は何となくそれでやり過ごせるんですけど、文章に落とそうとすると完全に形式知化されてないと書けないんですよね。ですから、一般的なビジネス書の文字数である10万字という文字量を書くことによって、頭の中に入っていたモヤモヤの暗黙知が、全て理路整然と綺麗に体系化されていくのです。

これは以外と大きなメリットなんです。だから、本を書いた後のセミナーは評判が良いはずです。何しろ、頭の中がスッキリと形式知化されてるんですから、聴いてる方もわかりやすいわけです。このメリットは3,000字~5,000字程度のブログ記事でも得ることができますが、是非一冊の本を書く過程で大きな効果を実感して頂きたいポイントです。

 


(4) 印税が入る

本を出すと、よく「イヨッ!夢の印税生活だね!おごって!」と言われますが、ビジネス書の印税なんてたかが知れています(それでも一応一定額が入るのでメリットに入れましたが、休日出勤のご褒美みたいなものです)。

全ての人が読者ターゲットになる小説や、ビジネス書の中でも自己啓発本などはターゲットが広いため、ベストセラーになると数万部、数十万部、なんて数字が出ることもありますが、広告やPR、マーケティングなどは10万部も売れたら超ベストセラーの類です。

広告、PR、マーケティング業界で読んでない人はいないとも言われる、さとなおこと佐藤尚之さん著の超ベスト&ロングセラー『明日の広告』(アスキー新書)でも、たぶん10万部くらいです。

ちなみに、結構売れた『ソーシャルメディアマーケター美咲』(翔泳社)も、刷数は1万数千部です。

わかりやすく1万部で計算してみましょう。一般的に、著者が受け取る印税は定価の7~10%です。

美咲定価1,500円×10,000部×10%=1,500,000円

この金額を全額もらえるわけではありません。初版保証率や源泉徴収など様々なものが引かれます。また、ビジネス書の初版は3,000部~5,000部程度です。

最近では重版がかかれば大成功なんて言われますから、ほとんどが重版されず、初版分も全部売れません。その場合、出版社によって「定価×初版部数×印税率×初版保証率80%」(売れても売れなくても80%の印税は最初にくれる)場合と、売れた分だけ3ヶ月に1回程度締めて支払ってくれる場合などに分かれます。

まあややこしいですが、印税目当てで本を出版してもたかが知れてますから、ビジネス書の出版はそれ以外のメリットを目標にすると良いと思います。

 


(5) 親孝行になる

いきなりぜんぜん違う視点になりますが、実はこれが一番大きいんじゃないかと思います。本を出版したとき、一番喜んでくれたのは両親です。「うちの子が本を出版した!」「トンビが鷹を産んだ!」と大騒ぎとなり、近くの本屋で大量に予約購入し、親戚中に配り回るなど大変な騒ぎとなりました。いままでたいした親孝行をすることができていなかった私にとって、本の出版を喜んでくれている親の顔を見れたことが何よりも嬉しかった。

子どもを持つ親であれば、親孝行だけでなく、息子や娘の親として、パパは・ママは本を出したことがある尊敬できる人として認識されるメリットもあると思います。子どもはそんな親の背中を見て、きっとすくすく育ってくれるでしょう!

以上が5つのメリットです。

 

ここからは、「本は出版したいけど、無名な自分の本を出版してくれる出版社を見つけるなんて難しいし、何から始めたら良いかわからないよ!」という方のために、出版に向けた具体的な方法を(あくまで私の独断と偏見ですが)書いておきます。

 


● 無名な人間が本を出版するためにやるべきこと(一例)

私が最初の本『独立コンサルタントでメシを食う技術』(同文舘出版)を出したのは2004年のこと。30歳のときです。

当時は独立したての駆け出しマーケティングコンサルタントで、何の実績もなければ誰も私のことなんて知りません。独立したてですから、有名な会社に勤め要職に就いているなどの金看板もなければ、単独でのセミナー講師も務めたことなんてありませんでした。

だからこそ、「成り上がるために本を出版してセルフブランディングしよう!」と無邪気に考えていたわけです。でも、そんな無名な若者に出版社から執筆の依頼なんて来るわけがありません。どうしたら良いのかわからなかったので、とりあえず本の出版に関わる下記の本を読みました。

 


※新版出てます

 

この中で一番参考になったのが『ビジネスマンは、本を書こう』(畑田洋行著)です。本が出版されるまでの流れや書籍企画書なるものの存在、その書き方まで具体的にまとめられており、ものすごく参考になりました。

その本をたよりに出版企画書と当時のプロフィール、少しばかりの実績などを資料にまとめ、次に私がしたことは出版社リストの作成。本というのは、出版できさえすれば良いものではありません。どの出版社から本が出るかによって本の重み(重量ではない)や書店での配本力が変わってきます。

そのため、「ここから出るといいなぁ」と思える出版社を30社程度リストにまとめ、その全てに書類を送ったのです。もちろん突然。担当編集者名がわかることは少ないので、ほとんどが「ビジネス書編集担当者様」宛て。

ただし、出版社に持ち込まれる書籍企画書は毎日数十件とも言われます。ただ送っただけではすぐにうず高く積まれた他の企画書の1つになってしまいます。そのため、門前払いを食らうことを覚悟の上、一件一件電話をかけ、企画書が届いたかどうかを確認し、ぜひ一度目を通してほしい旨を伝えました

そこから待つこと2週間。なんと3社から「一度会って話を聴きたい」とレスポンスを頂けました。そのうちの一社が同文舘出版さんだったわけです。企画書を見てくれた編集者の方はとても熱い方で、本の書き方を一から教えてくださいました。凄まじく厳しい方でしたけれど、当時頂いたアドバイスはいまでも一生の宝物です。

とまぁ僕も当時はゲリラ的なやり方で何とか本の出版に漕ぎ着けたわけです。一冊本を出版すると、書籍編集者の方から「この人は10万字程度の文章を体系立って書ける人」と認識されるため、次の本の出版が決まりやすくなります。

そのため、この業界に来て一番最初に『キズナのマーケティング』(アスキー新書)を出版するときは(頼れるご紹介者を一人介したことも大きかったですが)比較的スムーズに出版に漕ぎ着けることができました。あとは流れに身を任せ…的な感じです。

 


● 商業出版以外の選択肢

本の出版には、出版社から普通に出版してもらう商業出版のほかに、自費出版と電子書籍出版という方法があります。ここでは長く書きませんが、自費出版は先に挙げた5つのメリットがほとんど享受できません。何しろ自費出版ですから。

次にAmazon Kindleなどでの電子書籍ですが、最初の本の場合、個人的にはあまりお勧めしません。よほど現在の社会的知名度が高い人なら別ですが、ほとんどの場合、出版したことを広く世に知らしめることができません

そして何よりも一番大きいのは、担当編集者が横を並走してくれないことです。編集者はその道のプロです。本の目次構成、ストーリー構成、読みやすさ、タイトルの付け方、装丁など、ありとあらゆるアドバイスをくれます。その他として大きいのはモチベーションマネジメントです。

書いてみるとわかりますが、ビジネス書一冊の平均文字数は約10万字程度です。ブログで3,000~4,000字の記事を書くのはさほど骨が折れるものではありませんが、これを一冊の本として成立する全体構成の中、10万字という分量を書き上げるというのは相当な生みの苦しみをともないます。仕事をしていれば平日夜か週末に書くしかありません。

最初にあった高いモチベーションはどこかに行ってしまい、ときに「もう無理!」と泣きごとのひとつも言いたくなります。そんなとき叱咤激励してくれるのが編集者です。もちろん、優しい言葉だけじゃなく(同文舘の熱い編集者の方は初稿の第一稿を読み)「なにこれぜんぜんつまらない。あのね、誰もあなたの自慢話なんて聴きたくないの。全部書き直し!」と超スパルタでしごかれることもありましたが…。

話が飛びましたが、個人的には「良い本の影には敏腕編集者あり」だと思っています。私がいままで出した本は、それぞれの敏腕編集者なくしては絶対に世に出すことはできなかったと断言できます。ぜひ、体当たりで出版社を見つけ、編集者とタッグを組み、一冊の本を世に生み出してください。

長くなりましたが、如何だったでしょうか。私は運に恵まれ、10年前には考えることもできなかったほど本を出すことができました。本を出したことによる縁は次の縁を生み、出版だけでなく、多くの魅力的な方々との出会いにもつながっています。ぜひ皆さんにも、この素適な世界を知って頂きたい。

 

最後に、本を出版したいと考えている全ての人にこのメッセージを送ります。

池田紀行

ソーシャルメディアが人を黒くしたのではない、人はもともと黒かったのだ。

12 years 4ヶ月 ago

今日は当たり前なことを書きますよ。

ソーシャルメディアが登場する1億年以上前から、人間の心は半分が綺麗で半分が汚かった。ソーシャルメディアは、いままでは見えづらかった人の持つ黒い(陰の)部分を見やすくしたに過ぎない。

 

※画像出典:freepic.com

 

何を今さら、と思うかもしれない。

でも、このあたり、結構曖昧な気がするのです。あなたも、

 

  • 最近Twitterはいつも小競り合いが起きていて居心地が悪い
  • Twitterは殺伐としているけどFacebookは安心して投稿できる
  • (逆に)Facebookはカッコつけ投稿ばかりで気持ち悪い

 

などと感じたことはありませんか?

でも、陰陽の対極図にあるように、森羅万象、宇宙のあらゆるものは陽と陰の2つによって成り立っているわけです。光と闇、剛と柔、昼と夜、男と女のように、それぞれは相反しつつも、もう片方が無ければ存在することはできない。相反する陰陽の2つがバランスよく調和してこそ秩序が保たれる。

 

※画像出典:Wikipedia

 

人間の心も同じです。誰かを愛し、慈しみ、尊敬・信頼し、貢献したいという陽の心と、誰かを憎み、ねたみ、そねみ、軽蔑し、侮蔑し、妨害するという陰の心がある。この2つの心を切り離すことはできません。陰陽があるから人間なのです。

 

 

表に出ると周囲との軋轢を生んだり、軽蔑されたり、孤立する可能性が高まるため、いままでは隠したり、表だって発言されてこなかった人の持つ「陰」の部分。ソーシャルメディアはそれを表出させたに過ぎません。人間が変わったのではなく人の心を投影する媒介が変わったのです。

 

 

 いまは…

 

 

ひとつ性質が悪いのは、ソーシャルメディア時代の「陰」はサイバーカスケードを誘発するということです。本来、人の意見は多様なのに、ネット上で類似の意見が瞬時かつ大規模に結び付き、巨大な勢力を持つ。そして、極端化・閉鎖化したそれぞれの意見は対立や誹謗中傷を繰り返し、極めて流動的・不安定な状態をつくり出す(参考:Wikipedia)。これは本当に今後の課題だと思う。

 

 

蛇足。

いままで「ソーシャルメディアは、従来は見えづらかった人の持つ黒い(陰の)部分を見やすくしたに過ぎない」と書きましたが、同時に、「ソーシャルメディアは人の持つ白い(陽)の部分を誇張しやすくした」とも言えます。

 

 

これは、

あたりに書いた通りです。

だからですね、もう「あーもーソーシャルやだ」って言うのやめましょうよ。これ「あーもー人間やだ」って言ってるのと同義なんですから。ね。

池田紀行

承認欲求という名の怪物

12 years 4ヶ月 ago

昨日、日経BizGateの連載コラムに『なぜ人は「スタバなう」とつぶやくのか』という記事がアップされたら思いのほか反響があったので日経メディアでは受けなそうな番外編を書くことにした。



TwitterやFacebook、mixiユーザーがチェックインやチェックインツイートをする心理には社会的欲求(人とのつながりを感じたい)と承認欲求(他者に認められたい/羨ましいと思ってもらいたい)の2つがあることはコラムに書いた通りです。

そして、これはチェックインに限ったことではなく、FacebookやInstagramなどで写真を撮影してソーシャルメディアに投稿することが「撮った写真を共有する」行為から「共有するために写真を撮る」という極めて目的的な行為へと変わってきていることにも触れました。

このコラムを読んで山本直人さんが連絡をくださった。山本さんが以前書いたブログ『「いいね」的世界で暮らす。』と通ずるものがあるとのこと。拝読してみると驚くほど共感できる内容だったので少しここで紹介したい。

 

facebookの空気感はやはり「いいね!」ボタンによるところが大きいと思う。これは「like」の訳なんだろうけど、「いいね!」を押すときはどちらかというと「good!」に近い感覚になっているように感じる。(略)

だから、「クルマへこましちゃった」みたいなことには反応しにくいし、ネガティブなことは書きにくくなる。そうなると「風邪をひきました」とは書かずに「風邪ひいて今日はお休み。たまにはゆっくりしろという天の声かも」みたいに書きたくなるんじゃないだろうか。書く前から、「いいね!」を織り込んでしまうように。

そういえば、ここ最近お子さんの「合格報告」を幾つか目にした時にも思った。合格する人もいれば、残念な結果の人もいる。それでも、facebookは明るい話題で埋められていく。そして、知らずのうちに「いいね!」的世界で暮らしている。

実名SNSのfacebookが必ずしもリアルを映しているわけではない。むしろ、そこには表れない「世界のもう半分」がある。

※出典:naoto_yamamoto:Blog / from_NY 「いいね!」的世界で暮らす。

 

「いいね!」に現れないもう半分の世界――。まさに!

社会的欲求や承認欲求は人類が生まれてからずっと存在してきたもので、何もネット社会になってから生まれた新しい欲求ではありません(もちろんマズローの欲求段階説的に見れば社会の成熟とともに上位欲求に移行しているんだろうけども)。


※第三段階:所属と愛の欲求(=社会的欲求)、第四段階:自尊の欲求(=承認欲求)
※図版出典:企画とプレゼン手法


1980年代だって、少しでも良い車に乗って友人や近所の人に一目置かれたいとか、周りよりも良い会社に入って親戚の中で自慢したいとか、強い承認欲求は存在していました。

とはいえ、やっぱりここ最近の私たちの意識や行動の変化には極めて大きな変化が見られると思うのです。大げさかもしれないけれど、私たちは「承認欲求という怪物」に取り憑かれているとすら思えるのだ。

ソーシャルメディアは元来人間が持っていた承認欲求を拡張させている、と言えるのではないか。

 

  • いまどこで誰と会っている
  • いまどこで誰と何を食べている
  • いまどこで誰と何をしている
  • ここに旅行に来ている
  • あれを買った/これを買った
  • この本を読んだ/この映画を観た
  • この曲を聴いている
  • 深夜まだ仕事をしている/休日出勤をしている
  • 朝7時から働いている/今日まだ昼飯食べてない/腹へった
  • 今日これを達成した/実現した
  • 風邪をひいた/熱が39°もある
  • 疲れた/寝てない/眠い
  • 俺スゲーかっこいい
  • 私メチャクチャかわいい

 

TwitterやFacebookに投稿される内容は上記のように様々だけれど、そのメッセージや画像の背景にはいくばくかの(もしくは相当大きな)満たしたい承認欲求が隠されています

投稿「いまXXXたちとXXXで寿司食ってる!」

承認欲求「いいでしょ、羨ましいでしょ、加わりたいでしょ」

といった具合です。まあ皆さんわかりますよね。

こんな些細な日常の出来事なんて、ソーシャルメディア(特にTwitterやFacebook、mixiなど)が普及する前は誰かに共有する以前に、「それをしていることすらほぼ意識していない状態」だったと思うのです。ただ単に友人や業界の同志と街で寿司を食ってるだけだった。それがいつの間にか「誰かとのつながりを意識したり、誰かに自慢して羨ましがられる行為」に変わってしまった

ソーシャルメディアとスマホの普及で誰かと常につながっている状態がつくられると、「人とのつながりを確認」したり、「誰かに羨ましいと思ってもらう」ために、それらを「意識的に」行うようになる。目的的な行動が多くなる。

それだけではとどまらない。人と常時接続されている状態は、常につながっている安心感と同時に、つながっていない不安感をも増大させます。「3人に1人がFacebook閲覧後に孤独感や嫉妬心を抱いている」という話や、「たった24時間ソーシャルメディアと引き離されただけで、学生たちは麻薬中毒やアルコール依存症のような症状、具体的にはすさまじい欲求、強い不安感、極度のいら立ち、落ち込み、神経過敏、正気を失うなどの禁断症状を訴えた」という調査結果すらある。

僕らは、進化人類学史上、未だかつてないくらい、人の目や評価を気にしながら生きている。知らず知らずのうちに、「いいね!」やRT/Favに人生を支配されている。これは、かつてのムラ社会の中で隣人や地域と協調したり、世間体を気にしながら窮屈に生きるのとはまた違う質的変容だと思うのです。

一つひとつの投稿や確認作業はとても小さなものだから、ややもすると気づかない日常の一瞬の出来事として流れて行く。でもそれは確実かつ連鎖的・連続的に蓄積されていくものだ。

山本さんが言う「いいね!」に現れないもう半分の世界――。

ソーシャルメディアに拡張された半分の自己を演じているつもりが、いつの間にかその役者に人生を支配されるようになる。もしかしたら、「いいね!」に現れる半分の世界に覆われてしまうかもしれない。

私たちは、人類で初めて人間関係や承認欲求が拡張される転換期に生きている。いまは新しいメディアやデバイスに振り回され、自らの欲求をうまく制御できていない状態だと思う。

でも、あと数年も経てば、きっと僕らはこれらの技術革新やツールをうまく使いこなし、もう一度、自らが快適と感じる距離感を保てるようになると思うし、そう願いたい。僕ら世代は僕らの子供世代のためにもそのロールモデルにならなきゃいけないとも思う。

こんなこと書くとこれからの投稿がやりにくくなるけれど、そんなことは気にせず今後とも自らの承認欲求を満たす投稿に励みたいと思います。

終わり。


■ 追記:2013年7月17日13:45

@copiz さんがツイートしてくれた。



このツイートでシナプスがつながったんですけど、僕が言いたいことはつまり「ソーシャルメディアはもうひとつの世間をつくり出した」ということなのですよ!



まさに。

「芝」で競争している時代はよかった。見栄の張り方はシンプルだし、「見た目の芝」で勝利すれば承認欲求を満たすことができた。でもいまは @copiz さんの言うように、隣の人が食べているモノ、付き合っている相手、財布の中身が見えてしまう。そして、それが見えた時、相手がどんなダメージを食らうか(自分にどんな羨望のまなざしが向けられるか)を(誤解している可能性が大きいが)想像することができる。

これは一種の恐怖である。

「もうひとつの世間」は「芝自慢」ほどシンプルな話ではない。常にポジティブな意識、自分は良い人&オサレな人アピール、真摯または野心的な仕事ぶり、長時間労働、幸せな家庭、素適な旅行先、楽しそうな週末のバーベキュー、洗車したてのマイカー、ゴルフ、焼肉、ラーメン、お寿司、手作りパスタ、虹、青空、道端の花……。これら一つひとつが「いいね!ポイント」を獲得し、「もうひとつの世間」での承認欲求充足度を高める。

そして、この戦いはリアルタイムかつフロー型で進む。休憩は無い。しばらく戦線を離脱すると「もうひとつの世間」で忘れられた存在(過去の人)になってしまう。その恐怖心から今日もせっせと「もうひとつの世間」で「いいね!ポイント」の獲得に腐心する。

だからなんなのってことなんですけど、そんなことを考えていたことを思い出しました。さて、僕らはどこへ向かうのか。@copiz さん気づきをありがとうございます。

池田紀行

第1回トライバル リクルーティング焼肉ナイトを開催します!

12 years 5ヶ月 ago

トライバルメディアハウスでは、相変わらずの業容拡大中につき、一緒に日本のマーケティングの未来を創る仲間を探しています。

仕事はあるけれど、とにかく人手が足りない。新規事業のアイデアはたくさんあれど、手が足りなくて着手できない。そんな状態が続いています。

僕らは、ソーシャルメディアを活用したプロモーションやブランドコミュニケーションを支援するマーケティングベンチャーです。最近はソーシャルメディアの枠にとらわれない、オウンドメディア戦略や共創マーケティング(商品開発)など、クライアントからの要望も多岐に渡っています。

「いまの仕事も面白いけど、新しい領域で自分の可能性にチャレンジしたい」という方、マーケティングベンチャーという環境で、一緒に日本のマーケティングの未来を創りませんか!

ということで、ずーっと前からやりたかったリクルーティング焼肉ナイトをついに開催する運びとなりました!

リクルーティング焼肉ナイトとは、「トライバルってどうなんだろう…」と転職先の候補として興味をもってくださっている方々と、トライバルメディアハウスの役員・社員が一緒に肉をジュージュー焼きながら気軽に情報交換をする肉会です(もちろん、僕も行きますよ!)

トライバルへの転職を検討している方でも、「いきなり履歴書や職務経歴書を送る勇気がない」 「もし転職した場合、自分がどんな仕事をするのか、いまいちイメージがわかない」 「働いている人たちや社内の雰囲気が知りたい」など、気になることがたくさんあると思います。

でも、トライバルに関する情報は会社ホームページやFacebookページ、僕や社員が書いているブログなど、情報が限られてるんですよね。

手前みそですが、うちの良さは、ビジョンや業務内容もさることながら、やっぱり一番は「社員みんなの仲が良いこと」だと思っています。お互いが相手を信頼・尊重し合う文化の中で、新しい領域のマーケティングの実践経験を積むことができる。

トライバルメディアハウスが皆さんにとってイメージと合致する会社かどうか、ぜひうちのスタッフと交流することでイメージを掴んでください

ということで、イベント概要はこちら!


<イベント概要>
● 目的:トライバルの仕事に興味がある転職検討者との情報交換
● 日時:2013年6月28日(金)20:00~23:00
● お店:焼肉 天 がむしゃら http://www.gamushara.info/index.html
● 定員:10名くらいまで
● 会費:お1人様 5,000円


うおー!トライバルに超興味あったんだよね!絶対行くッス!」という方から、「少し興味がある程度なんだけど、そんな僕/私でも行って良いでしょうか…」という方まで、ぜひお気軽にご応募ください。


トライバル リクルーティング焼肉ナイトへのエントリーはこちらから!
さあ勇気を出して!気軽に来ちゃってください!

※人数が一杯になりましたら、その時点で締め切らせて頂きます。予めご了承ください。

皆さんとお会いできることを楽しみにしております!(*゚∀゚)ノ

<参考情報>
トライバルメディアハウス会社ホームページ
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池田紀行
確認済み
1 時間 27 分 ago
戦略に強みを持つマーケティング会社 トライバルメディアハウス代表。大手企業300社以上の広告宣伝・広報・マーケティングを支援。『売上の地図』『自分を育てる働き方ノート』など著書・共著書10冊以上。近著『マーケティング「つながる」思考術』。鎌倉稲村ヶ崎在住。
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