『コトラーのマーケティング3.0』を読んでいまいちピンとこなかったあなたへ | ikedanoriyuki.jp | Tribal Media House, Inc.

ikedanoriyuki.jp | Tribal Media House, Inc. - 2014年1月20日(月) 18:11
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先週、トランスコスモスの萩原さんがFacebookで紹介していた、グロービス著 『実況 マーケティング教室』 (PHP)にビビッときたので、早速週末読んでみたんですけど、この本、滅茶苦茶良い本です。マーケティングに従事している方、必読の書です。


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マーケティング理論については、それ相応の理解をしている自信がある、という方にとっても、かなり頭の中を整理してくれる良著です。そして、以前 『コトラーのマーケティング3.0』 を読んだけど、ぶっちゃけイマイチよくわからなかったんだよね…という方にもお勧めです。すべてではありませんが、同書の中で解説されている重要なポイントは理解することができると思います。

そしてこの本、コトラーのマーケティング3.0でも語られている 『共創マーケティング』 を理解する上でも最適な一冊になっています。以下に要点を整理しておきます。


● マーケティングは1.0から2.0、そして3.0へ

冒頭でマーケティングコンセプトの変遷が整理されています。生産志向・販売志向だったマーケティング1.0、消費者志向のマーケティング2.0、そして、マーケティングは、ブランド認知や個人の無意識をも巻き込んだ認知科学的な分野に進むとしています。


次に、マーケティング1.0を 「T型フォード」、マーケティング2.0を 「米国市場におけるハーレーダビッドソン vs ホンダ」 を例に、見事なわかりやすさで解説が進みます。すべてが 「歴史(流れ)」 と 「事例」 の掛け算で説明されるので、とてもわかりやすいはずです。マーケティング2.0では、最も一般的な戦略概念であるSTPについて説明されています。

 ・ S:Segmentation
 ・ T:Targeting
 ・ P:Positioning

ほぼ単一の市場にほぼ単一の商品で商売をしていた時代が、競合の参入によって破壊されると、マーケティングはSTPを重視するマーケティング2.0に移行します。


● マーケティング2.0は次第にレッドオーシャン化する

しかし、その後 「成熟した市場では、競合他社も消費者にも近代的マーケティング(マーケティング2.0)が浸透しきってしまった帰結として、各企業それぞれが見動きがとれないこう着した状態に陥ってしまう」 としています。

これは、ありとあらゆるポジショニングマップをつくっても、すべてのマップに、もはや空白の空きスペースが残っていない状態を指し、すべてのマーケットでし烈な競争が行われるレッドオーシャン(血の海)化を意味します。


● 「マーケティング=売れる仕組み化」 の限界

市場を切り刻み(セグメンテーション)、ターゲティングを狭めれば狭めるほど、ポジショニングマップに空きスペースは見つけやすくなりますが、同時にマーケットサイズはニッチ化していきます。そのため、大きな市場が欲しい飲料や食品、日雑メーカーのようなマスマーケティング企業は、マーケティング2.0のSTPを脱却しないと、新たな成長戦略は描けないことを示唆します。


● マーケティングコミュニケーションのABCDマトリクス(※秀逸!)

そして、いよいよ本書は 「マーケティング3.0」 の解説へと進んで行きます。本書で感動したのはこちらの図。みなさん、「ジョハリの窓」 はご存知でしょうか(Wikipedia ⇒ ジョハリの窓

本書では、「自分」 を 「企業(自社)」 に、「相手」 を 「顧客」 に置き換えて以下の4つの象限を提示しています。

※私は、D領域の 「新しいマーケティング」 のひとつに、「価値共創」 があると捉えました

本書では、どんな優秀な企業であっても、マーケティング2.0について理想的にやり尽くしているわけではない。そのため、マーケティング3.0に進まず、2.0をやり尽くすという選択肢もあるだろう。しかし、製品のコモディティ化や、さまざまなマーケティングのジレンマ(顧客重視の売り手の論理という矛盾の露呈)などを鑑みると、現在のマーケティング2.0ではたどりつけない領域が存在するとして、P&Gの 「コネクト&デベロップ」 を事例として紹介しています。

※P&Gのコネクト&デベロップは、企業、研究機関、サプライヤー、小売取引先、製造委託会社、そしてときには競合他社も含め、「すぐれた製品・サービスを通じて、お客様の製品をよりよいものにする」という企業目的を実現するための、重要な経営戦略とされています(詳しくはP&G社のサイトを参照のこと)

そして本書は、「ブルーオーシャンはD領域において発見される」 としています。D領域いおいて発見されたインサイトや新しいビジネスは模倣がされにくいため、一定の期間、その市場で大きな優位性を獲得します。

逆に、BとCの領域では、いかに注力、徹底していったとしても、各競合が明示的な土俵で勝負を展開する以上、市場はレッドオーシャン化しやすいとしています。


● STPでは満たせない 「主観的な満足感」

従来から、「製品には2つの価値がある」 と言われます。それはつまり、客観的な部分(性能面など)と、主観的な部分(個人的な満足感)です。フィジカルベネフィット(物理的便益)とメンタルベネフィット(精神的便益)と言われることもあります。

本書では、市場の成熟化や消費者の情報行動などの変化によって、市場での競争は、高性能信仰に代表される 「客観的価値」 から、消費者がその使用価値をどう捉えるかという 「主観的価値」 に移行していると説きます。


● 主観は消費者の中にある

そして、本書を読んでいて、再度ハッとしたのがここです。「客観」 は企業がつくれるが、「主観」 は消費者の中にある。とても当たり前のことかもしれませんが、だからこそ企業は従来のマーケティングリサーチや、近年注目される観察調査(行動観察)など、さまざまな活動によって、消費者の 「主観」 を把握しなければならない。マーケティング2.0の限界が見え始めてきた現在ならなおさらです。


● 主観的価値観重視の中で何をどう売るべきか

ここで本書は、ディズニーランドの事例をあげます。詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、私はここでブラー化による製造業のサービス化 (PDF)とサービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)を想起しました。S-Dロジックは、すべての事業をサービス業と規定します。そして、消費者を 「消費をする者」 ではなく 共に価値を競争する 「価値共創者」 と捉え、サービス(+製品)の価値は購入時点ではなく(購入した後の)使用時点で継続的に発生するとする考え方です。


● “I 対 You” から “We” へ

そして本書は最後に 「コ・ワーク(協働)する “we” (積極参加する消費者)」 という考え方を提示し、『 “we” においては、「企業か顧客か」 という区別の優先順位は下がる』 と結んでいます。


うーん、しびれました。先週からAmazonで入手しにくくなっていますが、ぜひ手に取ってみてください ⇒ グロービス著 『実況 マーケティング教室』(PHP)

ということで、本書からとても多くの気づきをもらえました。マーケティング2.0の次の一手として、ぜひ拙著 『次世代共創マーケティング』 とあわせて読んで頂きたい一冊です。

いよいよ明後日1/22発売です。水曜日頃から全国の書店でも並び始めると思いますので、ぜひ手に取ってみてください!

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