[マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

現役アイドルに聞くSNSバズり術。ラーメン大食いでバズる、ラフ×ラフ 日比野芽奈

マーケターコラム、今回は明坂真太郎。日々SNSでバズを生み出している、アイドルグループ「ラフ×ラフ」の日比野芽奈さんにインタビューしました。
明坂真太郎氏

こんにちは、SNS向けのコンテンツ企画・制作や映像ディレクターの仕事をしている明坂です。

突然ですが、「パペットスンスン」「さつまいもタイム」と聞いて何かわかりますでしょうか。少し前にTikTokで流行って、やたら目にしたキャラクターおよびキャラクターが踊っているダンスです(TikTokを使っている方はおそらく一度は見たことがあるでしょう)。

パペットスンスンのWebページ(https://puppetsunsun.com/

TikTok、X、YouTube、Instagramの各SNSでそれぞれの文化と文脈をもった流行が高速で流行り、そして廃れる昨今。ヒットコンテンツ(バズ)を生み出すために必要な知識・スキルも以前より上がっていると感じています。

さて今回はそんな大変な時代にアイドルとしてブレイクを目指し、日々SNSでバズを生み出している、アイドルグループ「ラフ×ラフ」の日比野芽奈さんに、話題になるコンテンツクリエイティブのコツや創作の心構えについてお話を伺いました。

すごい美女感のある日比野さん

ただSNSでバズればいいという話ではなく、どのように企業やそのブランド、あるいは発信者個人のキャラクターを立たせ、新たな人にリーチして浸透させていくか。そのための観点やスタンス、考え方などの参考になれば幸いです。

SNSごとに見る観点を使い分ける

今回は、対面で日比野さんにお話を伺った

――明坂(以下省略) よろしくお願いします。簡単に経歴など、自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか?

日比野芽奈(以下省略) テレビプロデューサーの佐久間宣行さんが総合プロデュースをしている、「ラフ×ラフ」という8人組アイドルグループの日比野芽奈です。ラフ×ラフは結成して2年目で、アイドルらしい楽曲から、曲中に大喜利パートがある曲まで、おもしろくて、バラエティ豊か。そんなコンセプトで活動しています。

――私はアイドル現場を10年以上見ていますが、多々グループがあるなかでも、個性的なコンセプトですよね、日比野さんはグループ内ではどういったポジションでしょうか?

ラフ×ラフのなかでは「かわいい担当」を名乗っていまして、あざとさだったり、ぶりっ子だったり、そんなキャラクターを大喜利の回答のなかでもよく表現しています。結構大喜利は得意だという自負があって、ライブ中にもよく回答を振られます。

庭園が似合う日比野さん

――日比野さんは、日頃からSNSではどのようなメディアを見ていますか?

TikTok、X、Instagramをメインで見ています。YouTubeはそんなに見ていなくて、YouTubeの流行りには比較的鈍いような気がします。

Xは、自ら「2024年、バズるアイドル」というキャッチフレーズを掲げてやっているので、ネタ探しという目的でかなり使います。オススメのタイムラインに流れてくる投稿を見たり、万バズ(いいねが1万以上付いているポスト)の投稿を探したり。

――バズっている投稿はどのような観点で見ているんですか?

リプライとか引用ポストを見て、元のポストに対してどんなリアクションが多いのかを見ます。好感なのか、共感なのか、皮肉なのか。自分が似たような切り口でリアクションをもらうなら、自分がもっている何とかけ合わせればいいかを考えています。

TikTokはネタ探しという感覚よりも、流行りについていくために見ていますね。流行りの言葉、曲、キャラクターや、たとえばもっと若い子の、世代が違って情報が入ってこないようなところも、TikTokだったら流れてきたり探せたりできるので。

TikTokでは自分(アイドル)、ディズニー、ラーメン、それぞれのテーマで3つのアカウントを使っていて、流行に乗るというよりは、それぞれのテーマで自分が表現したい内容を投稿しています。

世代間の差を感じるからこそ、能動的に情報収集している日比野さん

自身のキャラクターとかけ合わせる

――日比野さんはラーメンの大食い投稿でよくバズっていると思うのですが、どういった部分でウケていると思いますか?

大盛りのラーメンを食べているところが一番好評ですね。やっぱりアイドルがラーメンを豪快にすすっているギャップが目に留まるんだと思います。かわいいがあふれすぎていて、それだけじゃバズれない時代だというのは重々承知なので、もうワンポイントわかりやすいフックをプラスすることを意識しています。たとえば「こんな食べ方のアイドルでも好きですか?」みたいな疑問形にすれば、リアクションしてもらいやすいですし。

約5万いいねがついている、特大ラーメンを食べる日比野さん

――自分を際立たせるためにも、まわりの情報収集が大事なわけですね

私もかわいい担当という部分があったから、「一緒にデートしようね」とか「2人きりがいいな」みたいなことを写真と一緒に投稿しがちでした。ファンの方はきっと嬉しいですし、ファンの方向けの発信も大事なんですけど、それプラスもっと多くの人に見てもらうためには、他の人とは違うんだよっていう部分をより理解してもらえるように心がけています。

求められるものと生み出していくもののバランスを大切にしている日比野さん

――普段よく参考にする人や情報のカテゴリーはありますか?

ロールモデルを作るのが嫌なんです。誰かに憧れてしまったら、その人と比較してしまったり、比較されたり、自分がその人の道をたどろうとするのが嫌なので、誰かを参考にせず、むしろよく流れてくるような投稿とかを見て、同じような投稿はしない、したくないって決めました。

――TikTokだと「バズるためにはこれをパクれ」みたいなHowToもよく流れてきますけど

自分のなかの何かでバズりたいというか、何かをオマージュするにしても自分の味を入れたいですね。ただマネする、ということはしたくないです。

オリジナリティを大事にする日比野さん

引き出しの整理と習慣の積み重ねが着想を生む

――面白い切り口に気づいたり、生み出したりするきっかけは何ですか?

やっぱりSNSを見ているなかで思い浮かぶことが多いですね。自分がもっている、引っかかってもらえる要素。たとえば経歴だったり特技だったり趣味とかに、流行っている投稿の要素を組み合わせていることが多いので。その瞬間思い浮かんでいなくても、自分の写真フォルダを見返していたら、これ載せられるんじゃないかって気づくことも多いですね。

――自分がもつキャラクターや引き出しをあらかじめ整理して把握したうえで、それらの複数の視点から見つめると浮かび上がってくるというイメージなんですね

毎日お昼に投稿することをもう半年以上は続けているので、どういったものに反響があって、あるいはどういったものがそうでもないのか、ということがわかってきた気はします。

情報収集や発信の習慣化によって新たな創造を生んでいる日比野さん

――他に日頃やっている習慣や心がけはありますか?

最近はテレビを見る機会が減っている人が多いと言われていますけど、それでもやっぱりXのトレンドでは、テレビのハッシュタグや出演されている方の名前が多く入っている印象なので、スマホで完結できることが多い時代だからこそ、テレビは改めて見ようって思います。

――確かにテレビはフィルターバブルの対極のメディアというか、マス向けに作っているから、そこで反響があるものはマスにウケているってわかりやすいですしね

TikTokとかXのトレンドを抑えるのはもちろんですけど、たとえばテレビでラーメンの特集をやっている番組があったら、そのハッシュタグをつけて紹介されているラーメンについて深い知識を語って、自分のフィールドにもっていけるようにしています。

デジタル時代だからこそマスメディアも意識的に目を向けたいという日比野さん

不安定な状況であるからこそ、しっかりした体制で臨みたい

――今後の活動の展望を教えてください

ラフ×ラフらしいライブやイベントを主催するなど、徐々に活動の規模は広がっていますが、もっとチャンスを掴んでグループを有名にしたいです。(プロデューサーの)佐久間さんの力を借りるのはあるんですけど、それだけじゃなくて何かしらの形でもラフ×ラフを知ってもらいたい。そして武道館や、さらに大きな場所でラフ×ラフを見てもらいたいです。

12月6日に新曲、「超めっちゃ”キュン”でしょ?」が配信リリースされるので、多くの方に聞いてもらえるように頑張ります。

新曲「超めっちゃ”キュン”でしょ?」が、12月6日に配信リリースされる

個人としては、自分で勝手に「2024年バズるアイドル」を掲げたので、そこで結果を出して、「2024年、自称バズるアイドルの、ラフ×ラフ 日比野芽奈さんです」って形で呼んでもらえるようになったら本望です。

――ありがとうございました

◇◇◇

手段と目的が逆転した状態でバズを追ってしまうと、流行っているからマネしてみよう、これをパクればいい、◯◯のテクニックで100万再生連発、みたいな手法に囚われて2番煎じを量産してしまうだけになってしまいます(そこから偶発的に新しいものが生まれることも結果としてあるとは思いますが)。

しかし、個人のキャラクター、または企業のブランドを背負った発信をする以上は、手法よりもまずは、
1.自身のアセット(独自の持ち味、強み)の棚卸し
2.引き出し(表現のしかた、組み合わせ方)の整理
3.自他の認知(視聴者がどんな反応をするか)のすり合わせ
を行い、どういった方向で何を生み出していくかを見立てること、その上で手段やテクニックを活用すること、がより重要であると感じました。

X、TikTok、YouTubeなどそれぞれのメディアの文脈やトレンドを把握し、継続した創作を行う。ここまでを考えると、広告やSEOといった領域と近いレベルで専門性と経験がなければ再現性を高めるのは難しそうです。

さらに、ネガティブな炎上でダメージを負う可能性を考えると気軽に外注すれば解決する問題でもありません。今後も新たなSNSが成長し、それらを使うユーザーは増加するでしょう。今一度取り組み方や体制、あるべき姿を検討する必要があるタイミングなのかもしれません。

これを読まれた方で、おもしろいSNSの使い方をされている方は、ぜひオススメを私のX(https://x.com/dr_akesaka)にリプライをいただければと思います。それではまた。

日比野芽奈

2001年6月27日生まれ 23歳
ラーメン大好き
ラフ×ラフの「かわいい」担当

ラフ×ラフ

さまざまな人気バラエティー番組を世に送り出しているテレビプロデューサー・佐久間宣行が総合プロデュースを手掛ける、8人組のアイドルグループ。
2022年にオーディションが開催され、結成日は2022年12月8日、デビュー日は2023年3月9日。
佐久間Pが命名した「ラフ×ラフ」(英語表記:rough×laugh)は、粗削りの“ラフ”と笑いの“ラフ”を掛け合わせており、成長を続けるメンバーたちがいろいろな人を笑顔にしたいという気持ちが込められています。

用語集
Instagram / SEO / SNS / X / クリエイティブ / タグ / ヒット / マスメディア / リーチ
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