御社は大丈夫? メールアドレス2,000人分放置の罪
集めたメールアドレスの放置に要注意!
SNSを結構頑張っているんですが、なかなか売上にはつながらないですねぇ…。
お悩みのようですね。顧客へのアプローチはSNSだけなのかな?
はい。今の時代、やっぱりSNSが一番効果的ですよね。顧客から集めたメールアドレスを活用する方法も考えてほしいと、上司からは言われているんですが…。メルマガを書くのは大変だし、ちゃんと読んでくれるかも疑問だし…。
もしかするとその意識を変えれば、売上に良い変化があるかもしれませんよ。
え~! どういうことですか?
メールアドレスは優良顧客の呼び水につながる「すごい財産」です
顧客から集めたメールアドレス、何もせず大量に放置していませんか? 私がこれまでご相談を受けてきたお客様の中にも「SNSには注力しているけど、メールは何もしていない…」という方が意外と多くいらっしゃいました。そんなお客様が保有する“放置アドレス”を集めれば、ざっと見積もっても2,000人分はくだらないのでは⁉ 非常にもったいないことです。
なぜならメールアドレスは、うまく活用すれば「売上につながる優良顧客」の呼び水に大化けするかもしれない「すごい財産」だからです。もし放置アドレスがあるなら、今回の記事を読んですぐ行動しましょう!
なぜメールアドレスが「財産」なのか?
メールアドレスが財産? そう言われても何だかピンときません…。
いやいや、メールアドレスやメールの特徴を知れば、きっと納得するはずですよ。
メールアドレスは手に入れやすく、変更されにくい
メールアドレスの優秀な点は、何といっても手に入れやすいことです。ネットショッピングやサイトの会員登録、資料請求の際など、メールアドレスはさまざまなシーンで入力を求められます。そして、私たちは当たり前のように提供します。住所や電話番号は躊躇(ちゅうちょ)する方もいるでしょうが、「メールアドレスなら、教えてもいいか!」という感覚がある方は多いのではないかと思います。個人情報保護が叫ばれる今の時代において、これほどたやすく手に入れられる情報はないでしょう。
また、めったなことがない限り変更されないのも魅力です。特に、企業担当者や経営者は、メールがお客様との主要な連絡手段になっているケースが多く、メールアドレスは住所や電話番号と同じくらい“変えない情報”です。一度ゲットすれば、長くアプローチし続けられます。
メールは売り手側から行動できる貴重なアプローチ手段
さらに、個人情報の観点から年々強まるCookie規制も、メールアドレスの価値を上げています。顧客側のアクションに頼った広告ができなくなる中で、メールは売り手側から行動できる貴重なアプローチ手段だからです。しかも、メールアドレスを提供している時点で、その顧客は自社商品やサービスに何らかの関わりや興味をもっています。まったくの新規顧客よりコミュニケーションがスムーズにできる利点もあるでしょう。
メールアドレス情報とFacebook側のユーザー情報をマッチングさせて顧客を拡大
保有するメールアドレスを使って、さらなる顧客拡大も望めます。例えば、Facebookのカスタムオーディエンス機能を使えば、自社のメールアドレス情報とFacebook側のユーザー情報をマッチングさせ、より精度の高い広告を打つことができます。
また、類似オーディエンス機能を使えば、自社でメールアドレスをもっている顧客の「友達の友達」や「年齢、性別、興味関心などが似ている人」にまで広告をリーチできます。つまり顧客のメールアドレスがあれば、「連絡先は知らないけど、自社商品やサービスに興味をもちそうな人」にアプローチできるんです。これはすごいですよね。
ちなみに最近「若者のFacebook離れ」が話題ですが、中間管理職以上の40〜50代にはまだまだ根強い人気があります。社内で決定権をもつ世代をターゲットにするなら、メールアドレスを活用したFacebook広告は非常に効果的でしょう。
メールアドレスはこう活用せよ!
先生、メールアドレスってすごいんですね! でも、これまで送ったセールや新商品情報のメルマガは、あまり良い反応がなかったんだけどな…(ブツブツ)。
そうだったんですね。メルマガは、少し工夫が必要なんですよ。
先生、その「工夫」、教えてください!
定期的なメルマガで信頼を得よう
メールでのアプローチ方法といえば、メルマガがすぐに思いつくでしょう。ところがこのメルマガにも罠があります。
「セールや新商品発売のときだけメルマガを発行している」というケースは結構多いと思うのですが、実はこれは逆効果です。あなたも、あまり話したことがない相手からいきなり「これ買って!」なんて手紙がきたら、身構えてしまいますよね。それと同じで、普段メールがこない会社からの突然の宣伝は受け入れられにくく、反感を買うことさえあるのです。
大切なのは、日頃から定期的なメルマガでコミュニケーションをとり、認知や信頼を得ておくこと。具体的には、業界の最新情報やお役立ち情報といった、ターゲットに有益な内容などをお届けするのが有効です。
「じゃあSNSでもいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、流れの早いSNSでは、埋もれないように短い文章で数多く投稿する必要があります。一方メルマガには、ある程度長くても内容が良ければじっくり読んでもらえる環境があります。さらに、中間管理職以上の世代や経営者層には、重要だと思ったメールはプリントアウトしたり、スターマークをつけて後で見返したりする方もいます。
つまりメルマガは、顧客との関係構築だけでなく、SNSで伝えきれない自社の思いをしっかり伝えるなど、ブランディングの場としても活用できるのです。メルマガによって「この会社はいつも役に立つ情報を送ってくれる」「この会社の思いに共感できる」といった良い印象が顧客に根付くと、宣伝や告知も受け入れてもらいやすくなるでしょう。
メルマガはこうすれば続く! うまくいく!
メルマガの重要性もよくわかりました。でもSNSより長い文章で、内容も作り込まなきゃいけないですよね。結局ネタ切れになって「SNSでいいや〜」ってなっちゃいそうなんですが……。
そうやって放置されているメールアドレスが世の中にごまんとあるでしょうね。でも大丈夫! 次の3つのポイントを押さえればネタ切れせず、うまく続けられますよ。
ポイント1:メルマガの型をつくろう
まずは、メルマガの“型”をつくりましょう。メルマガもSNSと同じで、「何を書こうか?」と悩んで最終的にフェードアウト、というのが一番もったいないです。型があれば、毎回ネタに悩むことはないので継続につながります。
例えば、1通の中で、以下のようなトピックスを組み合わせて3部構成の型をつくってみてください。
<トピックス例>
- 業界のお役立ち情報
- 業界の最新ニュース
- 業界に関連する調査データ
- 社員やお客様の声
- メルマガ担当者のパーソナルな話
- 季節の話題
- 宣伝や告知 など
<3部構成例>
- 業界の最新ニュース
- 社員やお客様の声
- 宣伝や告知
こうすれば、読みやすいだけではなく、「違うトピックがある」と読者に印象付けられるため、読みごたえも増すことができます。
特に、社員やお客様といった「人の声」は有意義なコンテンツです。スーパーの野菜に生産者の写真が貼ってあると、何となく安心しますよね。メルマガも同じなんです。顔が見えることで信頼感を構築できるという意味では、担当者のパーソナルな話も有効です。ぜひ上手に入れ込んでみてくださいね。
ポイント2:発行曜日、時間を固定しよう
「いつかわからないけど、たまにくるメール」と「毎週水曜15時にくるメール」では、印象の深さが違います。メルマガはランダムに配信するよりも、固定の曜日、時間に定期的に配信して認知度を高めましょう。
例えば、ビジネスパーソンや経営者向けなら平日の通勤時間帯やランチタイム、主婦向けなら平日の午前中から夕飯の準備が始まる夕方までの間というように、ターゲットに読んでもらえそうな配信スケジュールを狙えるとよいですね。
毎週配信が理想的ですが、負担になってやめてしまうよりは、月2回でもよいので続けていくことが大切です。ただし、「毎日配信」のように頻度が多すぎるのも考えもの。メルマガの場合、「しつこい」「迷惑」といった悪い印象を与えかねません。担当者も読者も負担がないような適度な間隔を保ちながら、長期的な継続を目指しましょう。
ポイント3:数値をしっかり見よう
メルマガによくある失敗パターンとして、以下のようなことがあります。
- SNSと違い、反応がダイレクトにこないため、不安になってメルマガをやめてしまう
- 「100通送ったのに売上が1件も上がらなかったから失敗」など、最初の送付数と最後のCV(コンバージョン)数だけで結果を判断してしまう
これらはどちらも、メール配信ツールなどを使って「開封率」や「クリック率」といった数値を見ることで解決できる場合があります。「開封率」は、届いたメールが開封された割合のことで、平均20%といわれます。「クリック率」は、メール本文に記載したURLがクリックされた割合です。
例えば、100通送って売上が1件もなくても、50人はメールを開封して読んでくれている場合、失敗といえるでしょうか? さらにそのうち30人はURLをクリックしてサイトへ訪問してくれているとしたら?
悲観しすぎることはないと感じますよね。今回は購入に至らなかったものの、興味や関心をもっている顧客は確実にいる。これはとても価値のある事実ではないでしょうか。長い目で見れば、その読者が優良顧客に変わる可能性は十分ありますから、もっと効果的なメルマガや施策を考えるなど、優良顧客の育成に注力できるでしょう。
開封率、クリック率を上げるには?
最後に、それぞれの数値をアップさせる方法も少しお伝えします。
開封率を上げるには、とにかくタイトルが命。「回答でギフトカードプレゼント」など、引きの強いワードはできるだけ冒頭に置き、読者の「開いて読みたい」気持ちを促しましょう。
クリック率アップのためは、内容のおもしろさや読みやすさを意識しましょう。SEOやブログ記事で使われるPREP法(※)もおすすめです。また、意外と効果的なのが記号。「ここぞ!」というURLの説明文に「▼」を入れてみるだけでも、変わってきますよ。自分が思わずクリックしてしまったメルマガを参考にしてみるのもよいでしょう。
(※)プレップ法:読みやすく論理的な文章を書くための型で、結論→理由→具体例→結論の順に書く。
森先生からのアドバイス
今回お伝えしたポイントは、以下の3つです。
- メールアドレスは財産と認識し活用しよう!
- 内容の型と送信日時を決めて優良顧客を育てよう!
- 数値もしっかりチェックして効果倍増!
今すぐ、顧客情報ファイルに眠っているメールアドレスを確認してください。あとは、内容と送信日時を決めるだけ。大切な財産を、放置しないでどんどん使いこなしていきましょう。
ソーシャルもやってます!