やってはいけないWeb集客 6つの罠

これさえ知れば怖くない!? 炎上リスクの予防と対策

「やってはいけないWeb集客の罠」からの脱出法を伝授する本連載。今回注目するのは「SNSでの炎上」です。森先生の声に耳を傾けてみて!
炎上リスクにおびえていませんか?

投稿前に要チェック! SNSで炎上しやすい話題とは?

担当者

先生、先日X(旧:Twitter)に何気なくアップした投稿が炎上してしまったんです……。どうすればいいでしょうか?

森先生

それは大変でしたね。SNSはさまざまな人の目に触れますし、特にXは投稿のシェア機能で拡散されやすいので、投稿者の意図とは関係なく炎上するケースが多々あるんです。

担当者

もう怖くて何も投稿できません……。

森先生

まあまあ、そう言わずに。予防と対策を知っておけば、ある程度の炎上リスクは抑えることができますよ。

炎上しやすい話題

わざわざ「炎上させよう」という企業アカウントは少ないと思います。それなのに、SNSではたびたび炎上騒ぎが起きます。

その大きな理由は、世の中がそうであるようにSNSユーザーにもいろいろな思想、考え、感じ方をもった人がいるからです。SNSの中でも特に「X」は、投稿をシェアして拡散する機能があるため、人々の興味関心を刺激する投稿が爆発的に拡がりやすい特徴をもっています。

場合によっては、自社の投稿ではなく、他のユーザーが自社について発信した投稿が拡散され、炎上してしまうケースもあります。「炎上が怖い」という担当者も多いと思いますが、炎上リスクを恐れてSNS運用をあきらめるのは、今の時代、大きな機会損失となるためおすすめしません。

では炎上させないためには、どうすればよいのでしょうか? 実は、SNSには「炎上の火種となる話題」がいくつか存在します。まずはそれを知っておきましょう。以下にその項目をあげました。

炎上の火種となる話題

センシティブな内容の投稿を避けよう

炎上しやすい話題は上記だけではなく、時代の流れによっても変わっていきます。

例えば、ひと昔前は「アルバイトが、仕事中に裸で冷蔵庫に入った」のような、バイトの非常識な行動がいわば炎上のトレンドでした。世間を賑わせた某回転寿司チェーンの「醤油ペロペロ問題」は、まさに非常識投稿の発展系ともいえるでしょう。しかし、炎上したことから社会問題となり損害賠償など大ごとになったことを受けて、こうした投稿はめっきり見なくなりました。

最近よく見られるのは、動物愛護の観点から炎上する事案です。大手企業のCMで「本来、野生では生きられないインコが放鳥されているのはおかしい」という批判、炎上が起こったことは記憶に新しいですね。背景としては、ペットを飼っている人や生物多様性に関心をもつ人が増えていることなどが考えられるでしょう。

半年前は気にもとめられなかったようなことが、今はセンシティブなトピックスになっている、そんなことは多々あります。SNSで発信する際は、投稿前に「炎上しやすい話題ではないか?」「今の世の中的にどう思われるだろうか?」といったことを検討するとよいでしょう。

SNS運用チーム全体で他社の炎上事案を共有し、客観的な視点を備えておこう

炎上防止には、チームの共通理解も必要です。私は企業のSNS担当者の方々に「運用チームで、企業の炎上事案の読み合わせをしてください」とよくお伝えしています。

以前、某牛丼チェーンの役員の「生娘シャブ漬け」発言が炎上しました。衝撃的なワードは、地方から上京してきた若い女性に牛丼を好きになってもらうマーケティング戦略として表現したものだそうです。

これは極端な例ですが、社内では当たり前のように使っている言葉も、会社を一歩出た外の世界では「普通ではない」言葉かもしれません。受け取る人によっては、不快に感じたり、過敏に反応したりするかもしれません。

いずれにしても、自社発信の投稿を行うチームは、次の点に配慮することが大切です。

投稿するチームが注意すべきこと

炎上したらどうする? まず「謝る」そして「消さない」

担当者

今度からは炎上しやすいネタは避けます! でもそれでも炎上しちゃったら……先生どうしましょう?

森先生

どんなに気をつけていても、企業規模に関わらずSNSの炎上は起こりうるものです。そのとき大切なのは、「謝ること」と「消さないこと」です。

担当者

謝る? 消さない? どういうことですか?

投稿は一人歩きして尾ひれがつく⁉

SNSの炎上には「炎上してもすぐに鎮火するもの」と「延々と火が燃え続けるもの」の2パターンがあります。

前者は一時的なものなのでそれほど気にすることはありませんが、問題は後者です。投稿内容がいろいろな人に渡って拡散されると、複製されたり切り抜きされたりしながらだんだんと話に「尾ひれ」がつくものです。最終的には、投稿が一人歩きして事実とは異なるものへ歪曲(わいきょく)して伝わる場合もあります。

しかも、ネガティブな話題ほど拡散に即効性があるため、放置してしまうと鎮火に時間や手間がたくさんかかります。

時間を置かずに対応しよう

「延々と火が燃え続けるもの」はやっかいですが、「炎上してもすぐに鎮火するもの」も放っておいてよいものではありません。どちらのパターンにしても、時間を置かずに対応することをおすすめします。

では、どんな対応をするかです。ポイントは次の2つです。

炎上への対応ポイント

すぐに「謝罪」しよう

SNSで炎上が起こったらまず「謝罪」をしましょう。例えば、“自社の販売した食品の中に虫が入っていた!”という投稿で炎上した場合を考えてみましょう。「事実は現在確認中」で構わないのですが、お騒がせしたことやご心配をおかけしたことに対して、まず謝ることが一時消火として必要です。

炎上した投稿を「消さない」ようにしよう

そしてもう1つは、炎上した投稿を絶対に「消さない」ことです。「火種は消せばいい」と思いがちですが、SNSはそうはいきません。SNSでは、「消せば燃える」という言葉があるほどです。

仮に炎上した投稿を消したとしても、誰かに画面キャプチャーで画像として保存されるケースも少なくありません。すると、消去した投稿も“デジタルタトゥー”として残り、「投稿を消した」という事実とともに、「後ろめたさがあるんじゃないか?」などといつまでも面白おかしく拡散されて燃え続ける可能性があります。

また1つ目のポイントの「謝罪」も、元の投稿ありきで謝った方がより説得力がありますし、誠実な印象を与えます。この点からも、投稿を消すのは避けた方がよいでしょう。

こうした2つのポイントと合わせて、現状や今後の対応について丁寧に説明し、冷静に対処すれば大きな問題には発展しないはずです。それに、Xのような流れの早いSNSでは、炎上した投稿は消えないにせよ、次々と新しい投稿に埋もれていくものです。燃え上がった直後にきちんと対応をしていれば、心配することはありません。

自社のSNSアカウントをもつことは、炎上リスク対策としても有効

こうした対応も、自社のSNSアカウントがあるからこそできることです。

前述したように炎上は、自社発信ではなく他のユーザー発信で起こるケースもあります。その場合、自社のSNSがなければお詫びや弁明の機会がなく、いつまでたっても“言われっぱなし”で鎮火できなくなってしまいます。自社のSNSアカウントをもつことは、顧客獲得や売上拡大の機会を得るだけでなく、炎上リスク対策としても有効なのです。

炎上防止のためにSNS運用チームで気をつけたいこと

担当者

炎上の予防策や対応策がわかって安心しました。でも私だけがわかっていてもダメですよね。チームにも共有しなくちゃ!

森先生

その通りです。企業アカウントは、チームで運用しているケースが多いと思います。一人ひとり認識を共有してチーム一丸となって炎上を防いでいきましょう。ちなみに、チーム内の情報共有も一工夫するといいですよ。

SNS運用チーム内で、認識や方向性を一致させておこう

炎上事案などSNS運用チームで共有したい情報がある場合、紙ベースの資料を配布して「各自読んでおいてください」という会社さんは多いと思います。ですが、それだと人によって理解する速度や認識に違いが出る可能性があり、なかなか浸透していきません。

少し手間はかかりますが、リアルやZoomでメンバーが集まって、事例などの「読み合わせ」をすることで認識や方向性を一致させておくことがとても大切です。

また、自社に対するネガティブな反応を何でもかんでも「炎上」とひとまとめにするのは考えものです。なかには、真摯に受け止めるべき批判や意見もあります。それは炎上と切り分ける必要があるでしょう。そもそも炎上は自社に注目が集まっているからこそ起こることですし、批判は「自社への期待の裏返し」の可能性もありますから、丁寧に誠実に対応できるとよいですね。

仮に炎上してしまっても「自分たちはこういう考えをもってやったことだ」と説明できることであれば、それを通してもよいと思います。企業として一本筋が通っていれば、逆に好感をもってくれたり、支持してくれたりする人もいるはずです。ここでも、自社の方向性など社内でのコンセンサスを得ておくことが鍵となります。

森先生からのアドバイス

SNSという土俵にいる以上、どんなに気をつけていても炎上リスクはあります。大企業が一流のクリエイターを集めたチームで練り上げ、発信したものでも、炎上することはあるのです。

「炎上商法」といった手法もありますが、ここまでお読みになった方は炎上商法で成功するには相当なテクニックがないと難しいことがおわかりになったと思います。

ただ、炎上リスクはあるにせよ、今のSNSの拡散力を思うと、チャレンジするだけの価値が十分あると思います。過度に怖がりすぎず、予防策や対応策、社内のコンセンサスをきちんと得ながら運用を進めていきましょう。
 

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