マーケティングオートメーションで成果を出せる10の即効Tips
マーケティングオートメーション(MA)ツールの役割は、個人情報を取得した実名ユーザーに対してメール配信やスコアリングを行い案件化することだ。しかし多くの場合、それだけでは十分な案件数を確保できない。そのため匿名顧客に対するマーケティングも重要だ。
SATORIの植山氏は、「SATORI導入100社から見えた、MAベストプラクティス10選」と題して、同社が提供するSATORIの導入企業や自社の運用実績に基づき、実名顧客に対するメールやスコアリングのコツに加え、匿名顧客へのアプローチ、考え方などを解説した。同社は、設立12ヶ月で導入実績100社に到達することができた。本講演は、その実績から、同社およびSATORI利用企業で結果につながっているTipsをピックアップしたものとなった。
- Tips 1メール開封率を上げるための3つのポイント
- Tips 2スコアリングのコツは、「購買意欲を把握するためのキラーコンテンツ」を目立つところに置く
- Tips 3匿名顧客には、ポップアップ、パーソナライズ、リターゲティング
- Tips 4ニッチ商品の母集団確保のためには「そのうち客」を集める
- Tips 5自社サイト外からユーザーを集める「Facebook 類似オーディエンス」
- Tips 6バナー広告は、クリエイティブにこだわる
- Tips 7外部サイト露出でさらに母集団を集める
- Tips 8ライトユーザーにはメールよりプッシュ通知
- Tips 9チャットでエンゲージメント向上
- Tips 10セミナーで育成する
それぞれについて解説していく。
Tips 1メール開封率を上げるための3つのポイント
メールで最も重要なのが開封率で、開いてもらわなければ戦いが始まらない。メール配信の基礎的な考え方のポイントは3つある。
- 目的を決める
メールマガジンを漫然と配信しているケースが多いが、実は目的が非常に大事だ
と植山氏は言う。ある調査によれば、メールを受け取って不快な気持ちになったことがある人は50.56%いて、不快な理由のトップは「文章が曖昧」なことだった。
受け取った人を不快にしてしまう曖昧な文章にしないためには、「セミナーに来てほしい」「資料をダウンロードしてほしい」など、何のためのメールかを明確にすることが重要だ。
- ターゲットを決める
目的に添ったターゲットを決めて配信する。
- 開封されやすい件名とそれに沿った本文(=クリエイティブ)を作る
クリエイティブの中で、開封率を高めるポイントは3つある。
1つ目、件名では、個人名で呼びかける個別性や、明確なメリットがわかる具体性が重要だ。また、「あなただけに」のような限定性も開封率を上げる。
2つ目、差出人は個人名、会社名の順番で記述する。これは、メーラーによっては表示スペースが狭く、後半が見えないこともあるためだ。
3つ目に、「見たい!」と思わせる画像を本文に含めることも効果的だ。
良いメールの見本を、次に示す。
このメールでは、前述のメール配信における基礎的な考え方のポイントを次のように設定している。
- 目的:商談アポのリスト作り
- ターゲット:過去30日間で複数の資料請求をしているユーザー
- クリエイティブ:他社との比較コンテンツや、ツールの選定基準
開封率を高めるクリエイティブのポイントは、次のようにおさえた。
- 件名では、「比較表が見られる」というメリットを明記
- 差出人は女性の個人名、個人アドレスで、個人名/会社名の順に表記
- メール本文でも「○○様」というように、個人名で呼びかける
- 「この画像を表示しないとメールの内容がわからない」という内容にする
メーラーによってはHTMLメールでははじめに画像を表示しない場合があるため、開封率を上げるためには見ざるを得ない画像を使う。見本のメールでは、タイトルにある「ベンダー比較表」が画像になっている。
Tips 2スコアリングのコツは、“購買意欲”を把握するためのキラーコンテンツを目立つところに置く
MAでは、見込み客の行動に応じて「スコア」を付けていき、見込み度の高い状態のリードを見つけやすくする「リードスコアリング」がよく行われる。しかし、実際にはこのスコアリングはうまくいっていないケースが多い。これは、顧客の購買プロセスが進むこととスコアリングが1対1で対応していないためだ。
顧客の購買プロセスのうち、アポイントを取るべきなのは「ベンダーリストアップとショートリスティング」のタイミングとされる。
しかし、行動に応じて積み重なる仕組みのスコアリングで何点のリードがこのタイミングに当たるのかは、はっきりしない。ではどうするか? 解決策は簡単だ。
注意→関心→検索→比較→検討→購入→情報共有
という購買プロセスのうち、購買直前の「比較」・「検討」のタイミングを把握するためのコンテンツ、つまり、比較や検討をしているユーザーが必要するコンテンツを用意するのだ。
具体的には、例えば「他社との比較」といったコンテンツを設置し、これをクリックしたユーザーは比較・検討のタイミングだと判断する。単純にサイト内を回遊した結果を数値化するよりも、購買プロセスの特定のタイミングで必要となるコンテンツを用意しておき、そのコンテンツを閲覧したかどうかをスコアに組み入れる。これがスコアリングの非常に重要なポイントだ。
このコンテンツは、なるべく目立つ場所、たとえばグローバルメニューなどに置く。「見つけられなかったがためにクリックされなかった」という事態を避けるためだ。
「他社との比較」以外にも「ご契約の流れ」など、いくつかのコンテンツが考えられる。自社にあった効果的なものを用意する必要があるだろう。
そしてこれらをクリックした人を高スコア=見込み度合いが高い、とみなす。これで、スコアリングもシンプルになる。
Tips 3匿名顧客には、ポップアップ、パーソナライズ、リターゲティング
Tips2で紹介したような、マーケティングオートメーションツールで見込み度合いを把握できる実名のユーザー数はWeb訪問者のうちわずか3%程度にすぎない。大多数の「接点はあり、見込み度合いも高いがコンバージョンしていない人」にアプローチするには、自社サイト内ではポップアップやパーソナライズで強く訴求し、Webサイトを離脱したらリターゲティング広告を利用する。
実名であろうと匿名であろうと一貫して、見込み度合いに合わせたアプローチを行うことが重要だ。
Tips 4ニッチ商品の母集団確保のためには「そのうち客」を集める
企業がリードジェネレーションを行ううえで、ターゲットとなる対象が少ないニッチな商品の場合、見込み度合いの高いユーザーのみを求めると母集団が足りなくなってしまう。母集団を増やそうと広告を出しても、そもそもターゲットがそれほど多くない場合は効果が薄く、大きな成果を見込みにくい。こうした場合は、顧客のペルソナをゆるめて「そのうち客」も集める。
「Tips 2」で重視していた「他社との比較コンテンツ」を見た見込み度合いの高いユーザーは、いわば「いますぐ客」だ。このアプローチではそれだけでなく、一年後、もしくは数年後に購入するかもしれない「そのうち客」まで含めて、母集団を増やしていく。
マーケティングオートメーションを提供するSATORI株式会社でいえば、マーケティングオートメーションの導入を検討している人が「いますぐ客」、マーケティングやWebの担当者が「そのうち客」となる。
「そのうち客」に対しては、商品の売り込みは行わず、マーケティング担当者が読みたくなるようなホワイトペーパーを用意して、ダウンロードしてもらう。これを、植山氏は「ライトユーザー/ライトコンバージョン」と呼ぶ。これによって、SATORIの場合は母集団が43.7倍になった。この「そのうち客」に対して長期的にコミュニケーションをとっていくことで、一定の割合が「いますぐ客」に移行するのだ。
Tips 5自社サイト外からユーザーを集める「Facebook 類似オーディエンス」
さらに母集団を増やすためにお勧めなのが、「Facebook 類似オーディエンス」だ。
自社のデータ(Cookieデータやメールアドレスデータ)を使って作り出す自社の顧客と似たFacebookユーザーを対象とした、Facebook広告の出稿である。実名のメールアドレスと匿名のCookieを使って、「いますぐ客」と「そのうち客」の両方を拡張する。
獲得したいユーザーを高精度にターゲティングして広告配信できるため、高い効果が見込める。
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