算数が苦手なマーケター向け「算数基礎講座」

構成比の計算|求め方やグラフでの表し方を広告予算事例をもとに紹介

今回は、全体のどれだけの割合を占めるかという意味の「構成比」の求め方についてやさしく解説していきます。ビジネスで使える、構成比の見せ方も、円グラフ、100%積み上げ棒グラフや帯グラフでのそれぞれの特徴や表し方も参考にしてください!

予算全体に占めるディスプレイ広告の構成比は?

アユム

先輩、Web担のこの記事によると「日本の総広告費が7兆1,021億円と、1947年の推定開始以降で過去最高を記録したこと、インターネット広告費は3兆912億円と総広告費全体の43.5%を占めた」そうですよ。

先輩

へえ、ところで、インターネット広告費のうち、検索連動型広告の構成比はどのくらい? ちょっと僕も記事を見てみようかな。

アユム

え?

先輩

検索連動型広告の金額は9766億円なのか。この記事では、制作費やECプラットフォーム広告費を除いたインターネット広告媒体費における構成比を求めていて、そのうち検索連動型広告は39.4%なんだね。

アユム

(今の39.4%ってなんだろう? 構成比って?)

先輩

例えば、クライアントさんの広告予算が200万円だとして、そのうちのWeb広告費の構成比は40%、そのうち、ディスプレイ広告が40%だとしたら、全体の広告費に占めるディスプレイ広告の構成比と予算はいくらと計算できる?

アユム

(まるで寿限無 寿限無のように言葉が流れてくる!)

先輩

16%、32万円だよね。

アユム

じゅげむっ!(あっ、心の声が出てしまった!)

先輩

寿限無?! 構成比は、ものすごく大事な指標だから、きちんと理解しておいてね。ついでに、日本の広告費全体に占める検索連動型広告費の構成比も出してみてね。

アユム

(全然頭に入らない~! ところで、構成比ってなんだっけ? どうやって求める!?)

昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。 そこに登場した、大人向け数学教室大人塾を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているモリさん。

この記事を読むべき人:構成比の意味を理解していない方
この記事を読む必要がない人:構成比をすぐに算出できる方
この記事でわかること:構成比の意味、計算、グラフの作成

構成比とはなんだ

アユム

モリさーん、先輩の寿限無寿限無が止まりません。そもそも構成比ってなんですか?

モリ

(先輩の寿限無!? 海砂利水魚?)
構成比は「比」がつくから、割合ですね。割合を求める式といえば?

アユム

比べられる量 もとになる量 =割合 です。

モリ

その通りです。過去に学んだ割合の基礎はしっかり身に付いていますね。では、構成とは?

アユム

構成という言葉の意味ですか? なんていえばいいんだろう……?

モリ

「構成」という言葉を含んだ文章を作ってみましょう。例えば「このメンバーの8割はゾウさん好きで構成されています」とかよく聞きますね。

アユム

(8割ゾウさん好きのメンバーってあまり聞かない?)

モリ

他にも〇〇の半分は優しさで構成されているとか、体重の20%が脂肪で構成されているとか。

アユム

となると、構成とは、そのモノの一部分みたいな感じですか?

モリ

そう、構成している部分が集まって全体になる。となると、構成比とは?

アユム

全体における構成する部分の比率ですか。

モリ

すっばらしいですね! となると、その式はどうなりますか?

アユム

構成する部分 全体 ですね。

モリ

はい。ここで注意するべきは「全体が何か」ということです。

構成比を求めよう

モリ

では、先輩の「広告予算が200万円だとして、そのうちのWeb広告費の構成比は40%」というセリフから、全体は何で、構成する部分は何ですか?

アユム

全体は広告予算で、構成する部分はWeb広告費です。

モリ

それでは、Web広告費はいくらですか?

アユム

Web広告費をxとおくと、 200 (万円)=0.4なので、
x=200×0.4
x=80。
だから、Web広告費は80万円です。

モリ

広告予算の40%のように、「〇〇の」は掛け算という考えに慣れると、ちょっと計算が速くなりますね。200×0.4の計算を最初から出せるようになります。

アユム

なるほど、広告予算の40%は200×0.4。「〇〇の」は、掛け算ですね。

モリ

さらに「そのうち、ディスプレイ広告が40%だとしたら、ディスプレイ広告のWeb広告費に占める構成比と予算はいくら?」という質問が続きましたね。

アユム

そうでした。「そのうち」ということは、ここにおける全体は、Web広告費にあたりますね。そして、構成する部分はディスプレイ広告の予算。ディスプレイ広告の予算は、Web広告費全体の40%だから、80万円×0.4=32万円です。

モリ

OKです! それでは広告予算に占めるディスプレイ広告の構成比を求めましょうか。もとになる量が広告予算全体になりますね。

アユム

構成する部分 全体 なので、 32 200 =16% ですね。

モリ

これもOKです! ちなみに、32万円を求めずに直接構成比を求めることもできますね。

アユム

うむむ?

モリ

全体(広告予算)を100とおくと、Web広告費は0.4なので、100×0.4=40。
そのうち40%がディスプレイ広告なので、40×0.4=16 で16%と求められます。

アユム

なるほど!

モリ

そして、先輩からのお題「広告費全体に占める検索連動型広告費の構成比」も求めましょう。元の記事は「日本の総広告費が7兆1,021億円、インターネット広告費は3兆912億円と総広告費全体の43.5%を占めた。検索連動型広告費は9766億円」ですね。
先輩のお題の、「全体」と「構成する部分」は何にあたりますか?

アユム

全体は、広告費全体ですね。構成する部分は、検索連動型広告費です。となると、 部分 全体 =9766億円÷7兆1021億円≒13.8%ですね。計算機は使いましたが、あっさり答えが出ました。

モリ

GOOD!!!

構成比をグラフにしよう(円グラフ)

アユム

ところで、広告費の記事を読むと、棒グラフとか円グラフとかいろいろ出てくるんですが、どれがいいんですか?

モリ

いいところに目を付けましたね。それでは、記事に基づいて表を作成します。その後、グラフを作りましょう。

以下は、記事内の上から2つ目のグラフ「インターネット広告媒体費の取引手法別構成比」のデータを表にしたものです。

モリ

まず、2022年の広告費の構成比を確認しましょう。この場合、円グラフがわかりやすいです。中央に文字を入れたい場合は、ドーナツ型にするとよいでしょう。

モリ

このグラフでは、数値と割合の関係を示すために、数値と構成比をそれぞれ表示しています。
構成比は、その項目が全体のどれだけを占めているかを表すので、円グラフにすると視覚的にわかりやすいですね。単年で、構成比を確認したいときには円グラフにするとよいです。

アユム

なるほど。それでは、2021年と2022年の構成比を比較したいときは、円グラフを横に並べるのですか?

積み上げ縦棒グラフと100%積み上げ縦棒グラフ

モリ

良い質問ですね。それでは、円グラフを2つ並べてみましょうか。

アユム

なんだか双子みたい。上野動物園のシャオシャオとレイレイぐらい似ていて、違いが分かりにくいですね。

モリ

(突然のパンダ…? 上野動物園にはアジアゾウのアルン君もいるのでよろしくー)

アユム

それに、幅を取りますね。どうしたもんでしょうか。

モリ

そういうときに、縦棒グラフや横棒グラフを使います。

アユム

なるほど。縦棒グラフって、棒がたくさん並んでいるグラフですか?

モリ

構成比の場合は、積み上げグラフを使うのが一般的ですね。

アユム

積み上げ?

モリ

まずは積み上げグラフを作成してみてみましょう。

math_course10_04.png
アユム

あれ、なんか思っていたのと違う。

モリ

はい、分類名ごとにグラフが作成されたので、グラフの行列を変更します。Excelでは[グラフ]タブの[行/列の切り替え]で、できますね。ついでに、値も見えるようにすると、以下のようになります。

Excelでは上記の表をそのまま範囲選択し、[積み上げ縦棒]を選択した状態
アユム

広告費全体が伸びていることと、年別で、どの広告がどのくらいの割合を占めているかのイメージがわかるようになりましたね! でも、これでも年と年での構成比の比較はできないですね。構成比を比較したい場合はどうすれば?

モリ

それでは、次は、構成比のみに着目する100%積み上げ縦棒グラフにします。

アユム

縦軸が、数字ではなくて%になりましたね! これで構成比を確認できるんですね。

モリ

はい、100%積み上げ縦棒グラフは、合計を100%としたときにそれぞれがどのくらいの割合を占めるかを表せます。

アユム

でも、このグラフは数字なんですね。%も一緒につけられないのですか?

モリ

はい。Excelでは、円グラフ以外は%を自動で計算してくれません。%のグラフを作りたければ、最初に構成比を計算し、その値を使ってグラフを作る必要があります。

アユム

なるほど。ちょっと面倒ですね。しかし、今まで、積み上げ棒グラフと100%積み上げ棒グラフの意味がよくわかっていなかったので、これでグラフ選びにはもう迷いません!

グラフを横にすると帯グラフ

アユム

そういえば、帯グラフというのもありましたよね。あれと縦棒グラフの違いは?

モリ

帯のようになっているから帯グラフですね。横にするか縦にするかの違いですね。これが帯グラフです。時系列を軸にする帯グラフの場合は、上が古い年月が来るようにしましょう。
(Excelでは、軸を右クリックして表示される[軸の書式設定]から「軸を反転する」で変更できます)

アユム

構成比は、その項目が全体のどれだけを占めるかということなんですね。

モリ

インターネット広告費なのか、動画広告なのか、など、構成比には必ず全体(もとになる量)が何かが示されています。構成比が与えられたときには、全体が何に当たるかもきちんと確認しましょう。

アユム

これで構成比を扱う資料を作れるようになりました!

ポイント

  • 構成比は、その部分が、全体のどれだけの割合を占めるかという意味
  • 構成する部分/全体で求められる
  • 求めるときは、全体を何にするのかを注意する
  • 数字を出されたら、全体が何かを注意する
  • 構成比は、単体では円グラフを使うことが多い
  • 複数の構成比を比較する場合には、100%積み上げ棒グラフや帯グラフを使う

今日の問題をおさらい

Q1.広告予算におけるWeb広告費の構成比は40%、そのうち、ディスプレイ広告が40%。ディスプレイ広告の広告予算全体に占める構成比はどれだけ?

0.4×0.4×100=16%

答え:16%

Q2.広告予算が200万の場合、全体の予算の40%がWeb広告費。そのうち、ディスプレイ広告が40%。ディスプレイ広告の予算はいくら?

200×0.16=32

答え:32万円

Q3.総広告費のうち、検索連動型広告費の構成比は?

9766億円÷7兆1021億円≒13.8%

答え:13.8%

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