Web担 オススメの課題図書

翻訳名著の前にこれ読んで! B2Bマーケティングに「必要な力」が身に付く7冊

今回のWeb担 オススメの課題図書のテーマは「BtoBマーケティング」。効果的に必要な知識、力を身に付けるための書籍を厳選して紹介する。

B2Bマーケティングには、B2Cとは異なるアプローチが求められる。今回は、B2Bマーケティングの初心者が読むべき書籍について、WACULの安藤健作さんに紹介してもらった。本を読むのが好きで、本をたくさん買うという安藤さん。読書は効率のよい学習方法だと、普段から後輩や部下に良書をオススメしているそう。今回は、数あるオススメ書籍から必読書を厳選して選んでいただいた。

株式会社WACUL 執行役員CMO 安藤健作さん

マーケターとして基礎力を身に付ける

1冊目
『思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践』(波頭亮:著 産能大出版部:刊)

1冊目に紹介するのは、「論理的思考を身につける」ための書籍だ。安藤さんはいつも後輩や部下に本書をすすめてきたという。それは、マーケターにとって論理力が必須の力だからだ。

B2Bビジネスでは、購入決定までに複数の意思決定者が関わるため、B2Cよりも論理的に判断がなされます。また、マーケティング部署は、会社の組織においてお金を稼ぐのではなく、お金を使う部署なので、常に投資対効果が求められます。優れたアイデアであっても、感覚だけでは承認されないのがB2Bビジネスで、論理的なアプローチで社外・社内を説得していく必要があります(安藤さん)

書名を見ると難しそうにみえるが、文系でも理系でも理解しやすいように書かれている。「一度読むだけでなく、参考書として何度も読んでみてほしい」と安藤さんはいう。なぜなら、「論理的思考は、筋肉と同じで、鍛えれば必ず身につく」からだ。

マーケティングという仕事をする上で、「論理的思考」は常に求められますが、一度身につければその後の自分を助けてくれるスキルです(安藤さん)

1冊目に紹介してくれたのは
『思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践』

2冊目
『ノヤン先生のマーケティング学』(庭山一郎:著 翔泳社:刊)

2冊目は、シンフォニーマーケティング代表の庭山一郎さんの書籍になる。ミミズクのノヤン先生がB2Bマーケティングについて教えてくれる書籍で、「STP(Segmentation Targeting Positioning)」「SWOT(Strength Weakness Opportunity Threat)分析」などのフレームワークについて、言葉の意味だけでなく、その考え方、成り立ちまで含めて解説されている。

B2Bマーケティングには海外の翻訳本の名著が多いのですが、初心者が最初にそれを読み始めると読みきれずに挫折してしまうことが少なくありません。まずは、この本を何度も読んで、基本的なことを理解してから挑戦してほしいです。基礎知識を身につけるだけでなく、考える前の助走をさせてくれる内容です。平易な語り口で読みやすく、著者の庭山さんのお人柄が出ていると感じますね(安藤さん)

2冊目に紹介してくれたのは
『ノヤン先生のマーケティング学』

マーケターとして自信をもつために、先人の思考を学ぶ

3冊目
『マーケティングプロフェッショナルの視点 明日から仕事がうまくいく24のヒント』(音部大輔:著 日経BP:刊)

3冊目は、新人のとき、経験を積んだとき、CMO(Chief Marketing Officer)になったときと、自身の立場が変わるたびに読み返してほしいという1冊だ。本書では、マーケティング、ブランド、競合などマーケターの共通言語がわかりやすく解説されている。

マーケターの共通言語が自分のものになっていないと、マーケターの仕事に迷いが出ることがあります。自分なりの解を出す前に、まずは先人の考えを愚直にインプットするのに最適な本です。内容は、やや抽象的に感じるかもしれませんが、思考しながら読み、自分なりの考えをまとめながら行間を読んでほしいですね(安藤さん)

3冊目に紹介してくれたのは
『マーケティングプロフェッショナルの視点 明日から仕事がうまくいく24のヒント』

4冊目
『顧客はサービスを買っている―顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント』(諏訪良武:著 北城恪太郎:監修 ダイヤモンド社:刊)

4冊目は、マーケターはもちろん、UIデザイナー、エンジニアなどの職種の人にとっても必読といえる本だ。安藤さんも、この書籍を読んだことで、顧客と向き合うことをさらに心がけるようになったそうだ。

この本には、顧客と向き合うことの重要性について書かれています。自身の職種、業態、業種と照らし合わせて読んでみてください。マーケターもサービスを作る一員です。一員として顧客を思い浮かべながら仕事をすることの重要性がわかると思います(安藤さん)

4冊目に紹介してくれたのは
『顧客はサービスを買っている―顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント』

5冊目
『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』(楠木建:著 東洋経済新報社:刊)

5冊目は、1冊目の『思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践』を読んでからこの本を読んで、考えを補強してほしいという書籍だ。ページ数は多いが、「この本自体がストーリー仕立てで語られているので読みやすい」と安藤さんは紹介する。

マーケターは、仕事を進めるためにステークホルダーを巻き込む必要がありますが、ストーリーがあると人を巻き込むことができます。人を巻き込める人は、論理的思考に基づいて引き込める話ができる人です。本書を読めば、人を巻き込めるストーリーとは何かということがわかるはずです(安藤さん)

5冊目に紹介してくれたのは
『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』

安藤さんは、コロナ禍においてオンラインセミナーを多数やってきたが、当初は視聴している人の顔が見えないことで非常にやりづらさを感じていたそう。反応がないこともあって、最初は淡々と話していたが、ある時から目の前に人がいる体で熱を込めてストーリーを語るようにしたところ、受講者からの評価も高まったという。

ストーリーができあがると、聞いている人の頭にも入りやすくなるようです(安藤さん)

ストーリーの大切さをご自身の体験を通して、楽しく話してくれた安藤さん

有効なB2Bマーケティングの実践法を学ぶ

6冊目
『デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?』(垣内勇威:著 日本実業出版社:刊)

現在、WACULのCMOとして働く安藤さんだが、実は2022年に転職したばかり。その転職のきっかけとなったのが、WACULの代表である垣内勇威さんが執筆した本書を読んだことだったという。マーケターがすべきことが明快に書かれている1冊だ。

「マーケターが忙しいのは、やらなくていい仕事をしているから。まずはやるべきことに注力して80点を目指そう」という本書の主張に共感して転職することになりました。分析ツールの「AIアナリスト」で蓄積した“勝ちパターン”を使って最速で成果を出すことに特徴のあるマーケティング支援会社であるWACULは、お客さまから具体的に「あれをやりたい」「これをやりたい」といわれることもありますが、お客さまの目標、目的にとって必要なことを考えて、ときには「先にやるべきことがある」と提案することもあります。
本書には、現在行うべきは何か、大切にすべき仕事は何かが書かれています。WACULに入社していなくてもオススメしていたと思いますし、自身でも何度も読んでいる本です(安藤さん)

6冊目に紹介してくれたのは
『デジタルマーケティングの定石
なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?』

7冊目
『現場のプロが教える! BtoBマーケティングの基礎知識』(飯髙悠太、枌谷力、相原ゆうき、秋山勝、安藤健作、今井晶也、岸穂太佳、戸栗頌平、室谷良平、日比谷尚武:著 マイナビ出版:刊)

最後は「宣伝になってしまいますが......」と遠慮がちに出された書籍。安藤さんも共著で執筆をしている。本書は、これまで紹介してきた書籍と異なり、考え方ではなく、明日から使える実際のテクニックやノウハウについて、各界で活躍する人たちが執筆している。実務を理解するにはピッタリの本だ。

安藤さんが執筆しているのは、メルマガのパート。今回、メルマガのオススメ書籍を紹介したかったそうだが、メルマガに特化した本は海外でも数冊ほどしか出ておらず、該当するものがなかったという。

メルマガはハードルが低い分、担当者が独学で試行錯誤していてかわいそうに思います。また、僕自身、Twitterでメルマガについて発信しているのですが、一部が切り取られて間違った内容が広まってしまったことがありました。本に正しく残しておきたいということで、本書の「メルマガ」の箇所を担当したんです(安藤さん)

なお、本書では書ききれなかったこともあり、ついに安藤さん自身が単著でメルマガの本を出すことになったそう。今年中には出版されるとのことなので、こちらもぜひ参考にしてほしい。

7冊目に紹介してくれたのは
『現場のプロが教える! BtoBマーケティングの基礎知識』

アップデートのための情報源:Twitterと新聞、そして自らが体験すること

Twitter

情報源として安藤さんが常にチェックしているのはTwitterだ。影響力のある人を厳選してフォローし、タイムラインをほぼすべてチェックするようにしているという。

タイムラインで、同じ記事が2人以上からツイートされていたら読むようにしています。自分が読んだものをツイートするときには、そのままURLをツイートするのではなく、その記事の中で印象に残ったことを引用してツイートしています。インプットだけでは身につかないので、アウトプットを大事にしているからです(安藤さん)

安藤さんがフォローしている主なアカウントをお聞きしたところ、次の方々をあげてくれた。

  • アナグラム代表取締役 阿部圭司さん sem_master @semlabo
  • ビズリーチ 茂野明彦さん しげの_社長室で仕事する人 @insidesales_job
  • ベイジ代表取締役 枌谷力さん sogitani / baigie inc. @sogitani_baigie
  • 所属匿名 Jigenさん jigen_1  @Kloutter

なお、安藤さんご自身のアカウントは次のとおり。
安藤健作@WACUL @comune1128
https://twitter.com/comune1128

新聞(一般紙)

Twitterは情報源として有効だが、一方で、自分がフォローしている人や自分が反応しやすいツイートが表示されやすいようにアルゴリズムで調整されているため、情報が偏りやすい。そこで、広く情報を仕入れるために、新聞(一般紙)も読んでいるという。

新聞を読むことは、出来事の要点を押さえて伝えるためのトレーニングにもなります(安藤さん)

自ら体験する

さらに、安藤さんが意識していることは、情報だけでなく自らが体験することだ。Twitterで話題になっている商品があれば購入する、話題の映画があれば映画館に観に行くようにしているそうだ。

自分が経験していないことは話せないので、流行っているものには手を出すようにします。たとえ面白くなかったり、美味しくなかったりしても、体験したからこそいえること。時間もお金も投資した方が得るものは大きいです(安藤さん)

安藤さんの周りのマーケターは趣味人が多いそう。モトクロス、アイスホッケーなどの観戦に誘われることがあるが、誘われればなるべく行くようにして、経験してみるという。

経験してみるとハマることもあります。独特の趣味をもっている人から、詳しい情報を教えてもらえるのも楽しいですよ。自分はプロレスが好きなので、「プロレスのことならまかせて」という形でお互いに共有しています(安藤さん)

「時間もお金も投資した方が得るものは大きい」と語る安藤さん。
今度、プロレスの魅力についてもお聞きしてみたい
◇◇◇

今回は、B2Bマーケティングをテーマにオススメ書籍を紹介してもらった。「勧めたい本がたくさんあるので、紹介できてうれしい」とおっしゃっていた安藤さん。どの書籍も何度も読み返せる中身の濃いラインナップとなった。繰り返し読んで、どうかマーケターとして必要な力、知識を身に付けてほしい。

安藤健作

株式会社WACUL(ワカル)執行役員CMO
メールマーケティング・エバンジェリスト

日々メールマーケティングに関する情報発信をTwitterなどで行っている(@comune1128)。
共著「BtoBマーケティングの基礎知識」(マイナビ出版)

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