Step 2-12 委託先の選定①RFPとコンペ
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クイズ
- タイトルにあるRFPとは何でしょうか?
- RFPを作らずに、口頭だけで依頼する
- RFPを作り、その内容をもとに依頼する
またもや英語の頭文字らしきものが出てきました。ITやWebの仕事では、英語の略語などもよく出てきます。最初はわかりにくいと思いますが、基本用語については覚えておきましょう。でももし忘れてしまっても、スマホで用語を検索できますからご安心ください。
さて、RFPはRequest For Proposalの頭文字をとったもので、提案依頼書と訳されています。現場では一般的にRFPで通じています。Webサイトの企画・構築やビジュアルデザイン、コンテンツ制作等は専門的な知識や技術が必要なため、外部の専門家に委託する場合が多いのですが、何を依頼したいのか、プロジェクトの内容を伝えるためにRFPを作ります。
しかし立て込んでいる現場では、RFPを作らず、ときには口頭による面談だけで見積りを提出してもらうケースがあります。そうすると本来の目的や意図が伝わらず、あいまいな見積りが提出されることになってしまいがちです。たとえスケジュールに追われていたとしても、また規模が小さかったとしても、面談前にRFPを作成しておきましょう。
なお、委託先を決めるときに、複数社から提案書を作成してもらい、プレゼンテーションをしてもらって1社を選ぶ場合があります。これをコンペと呼んでいますが、コンペはCompetition(コンペティション)の略語にあたります。
RFPの作成やコンペの主催はマネージャ―やディレクターが行いますが、概略やポイントは知っておきましょう。2-12では、RFP・コンペでの注意点などを紹介します。
Step 2-12は、Webサイト構築・運用のためのワークフロー中、設計フェーズの「サイト設計」に関わる内容です。
戦略策定フェーズ | 1. プロジェクトの発足 |
---|---|
2. プロジェクトの方向性の決定 | |
3. Web戦略の策定 | |
設計フェーズ | 4. サイト設計 |
開発フェーズ | 5. サイト制作・開発 |
6. 運用準備・運用開始 | |
運用フェーズ | 7. 運用・効果測定・改善 |
RFPの内容
ターゲットユーザーの会社の中での役割に着目
外部に委託する内容は、Webサイトの構築、コンテンツ制作、あるいはコンサルティングなど、いろいろあると思います。委託内容や規模によってRFPの詳細内容は変わりますが、主に次の内容が記されます。
- プロジェクト概要:背景や目的など
- 要求項目:要求する機能やその範囲、ボリュームなど
- 前提条件:納品形式や検収(納品物に間違いがないか、確認すること)の条件など
- 提出書類:見積りや体制図など
なおRFPは、委託先に渡す前に、プロジェクトメンバー内で共有して合意ができていることが重要です。
プロジェクト概要
RFPは、専門家に仕事を依頼するために作成する書類です。専門家たちは、それまでの知見を活かしてさまざまな提案をしてくれる可能性があります。そこで、依頼したい内容だけでなく、なぜその依頼が必要なのか、その背景もできるだけ記しておきます。たとえば、次のような事項です。
- 自社の事業内容
- プロジェクト発足の背景、KGI・KPI
- ターゲットユーザー
- 競合サイト
- プロジェクト関係者、組織図
- 全体スケジュール など
要求項目
依頼したい要求項目を明記しますが、できるだけ一覧を添付しておくとよいでしょう。また、要求項目の記載で気を付けたいポイントは次の2点です。
- 範囲とボリューム
- 課題とそのために実現したいこと
範囲とボリューム
たとえば、コンテンツ開発を依頼する場合、サイト全部のコンテンツなのか、あるいは特定のカテゴリだけなのか、またテキストや画像は支給されるのか、何個コンテンツが必要なのかなどがわからないと、見積りを出すことができません。
課題とそのために実現したいこと
かといって、依頼内容をなるべく詳細に記すと良いかというと、そうでもありません。たとえば、課題となっていること、それを解決するために実現したいことは書きますが、解決する手法は、委託候補先の提案を待つようにした方がよい場合もあります。より良い手段を提案してくれる可能性が高いからです。
前提条件
納品日や納品形式はあらかじめ伝えておきます。たとえば、「その納品日・納品形式では、そもそも受けることができません」という委託候補先もあるからです。
たとえばコンテンツ制作を委託した場合、納品画像はjpeg形式、png形式なのか、あるいはPhotoshop形式も含むのか。Photoshopを含む場合、発注側で加工することも可能なのかは、著作権にも関わる事項です。事前に決めておく必要があります。
また、検収の条件も必要な項目です。サイト構築を委託した場合、構築完成後、検収を経て、完了になります。スケジュールをひく場合には、この検収期間もしっかり入れておきます。
なお、自社内での概算予算を伝える際には、「予算内で最大の効果をもたらす提案」をお願いし、収まらない部分はオプションやプラスアルファとして提案ください、としましょう。後から予算が合わないことを避けるため、想定予算は伝えるべきですが、一方で予算よりも少し上回ってしまうものの、ものすごく良い提案を受けるチャンスも逃さないためです。
提案手続き
提案手続きとして、提出物やプレゼンテーションの実施日などを記します。提出物としては、提案内容・見積金額・スケジュール・体制図などを明記したものが一般的です。なお、見積金額には根拠となる作業内容も付記してもらいましょう。RFPの内容を理解したうえでの見積りかどうかがある程度わかりますし、その方が安全です。
コンペでの注意点
コンペは、まずは委託先候補選びをし、各社に提案書を作成してもらい、プレゼンテーションをしてもらうミーティングを開催します。
候補選び
コンペに参加してもらう会社は、どのように見つけているのでしょう?いろいろなより良い提案を選定することが目的ですから、もともと自社内で実績のある会社だけではなく、インターネットで見つけたり、広い人脈をもつ人に紹介してもらったり、あるいはコンサルタントに紹介してもらったりすることが多いようです。
いずれにしても、一番の注意点は、候補選びの過程をプロジェクトメンバーに共有しておくことです。皆が納得できる候補を選びましょう。
プレゼンテーションの実施
プレゼンテーション実施での注意点は、なるべく提案・見積書を事前に受け取っておき、質問したいことをまとめておくことです。RFPがきちんと反映されているのかを事前にチェックしておけば、確認をし忘れて後悔することがなくなります。
なお、候補選びと同様、コンペもできる限りプロジェクトメンバー全員の参加を促し、皆と共有できるようにするとよいでしょう。
コンペフィー
コンペを行うのは、大規模なWebサイトの構築など、たいていは数百万以上の予算がある場合です。大きな費用を出すのですから、より優秀な委託先を選べるように、さまざまな会社に声をかけるわけです。また、外注先の会社にとっても、大きな金額なのでメリットも大きいです。
一方でそうした大きな規模ではなくても、ビジュアルデザインなどをコンペで選ぶ場合もあります。その場合は、コンペに参加してデザイン案を作ってもらうための費用(コンペフィー)を渡すこともあります。
また、採用された最終案にほかの会社からの提案内容を盛り込む場合がありますが、そのような場合もコンペフィーを渡すことがあります。もちろん、RFPの前提条件にその事項を入れておくことが必要です。あとで揉める原因を作らないよう十分に配慮しておきましょう。
2-12では、外注するにあたってのRFP作成、コンペ実施に関して、主な注意点を解説しました。2-13では、外注候補からの提案書&見積りのチェック、選定ポイントなどを紹介します。
- 2-12「委託先の選定①RFPとコンペ」のポイント
- 提案書&見積書をもらう前にRFPを事前に渡す
- RFPの内容はプロジェクトメンバーの合意を得る
- RFPには、より良い提案を受けるために、プロジェクトの背景や目的も記載する
- RFPには、後で揉めないよう、前提条件を明記する
- コンペはプロジェクトメンバーと情報共有して進める
- 必要に応じてコンペフィーを準備する
復習ミニテスト
Q2-12-1 RFPとコンペに関して正しいのはどれ?(複数選択)
- RFPには、作業内容を明確にするため、課題とその解決手段まできっちり書いて渡すことが必須である
- RFPは、見積りを出してもらう前に渡すべきである
- コンペは、一部のマネージャ―やディレクターが行い、1社に決まってからプロジェクトメンバーに情報共有すべきである
- コンペでプレゼンテーションを実施する場合は、事前に提案書を受け取っておくとよい
- RFPは、見積りを出してもらう前に渡すべきである
- コンペでプレゼンテーションを実施する場合は、事前に提案書を受け取っておくとよい
- もっと学び、成長するために
- RFPのサンプルをダウンロードできます。
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