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御社のSEOはインターディシプリナリティを実践できる? 専門家のサイロをつなぐ間領域性とは(前編)

SEO・有料広告・コンテンツ ―― 往々にして専門家たちは、それぞれのサイロでタスクリストに埋もれ、自分の専門分野に集中している。この専門家たちの仕事を一段上にできる「インターディシプリナリティ」を知ったら、あなたはどう動く?
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コラボレーション ―― これにについてわれわれは業界として口先ではうまいことを言っているが、実際のところクライアントや上司に話しているように物事が進むことはない。ふらっと新しいビジネスの売り込みにいっては、こんな風に言う:

「インテグレーション」は自分たちのところではこんなに進んでいる(調子のいい感じで)。

「ホリスティック」な点で勝るので、うちが推奨するもののほうがよい(説く感じで)。

しかし、コラボレーションを実際に成し遂げるのは、われわれが見せかけているよりもずっと難しい ―― 次のどのような場合でもだ:

  • 同じクライアントに取り組んでいる代理店すべてで
  • 同じ代理店内で取り組んでいるさまざまなチームで
  • クライアント側のさまざまな社内チームで

専門家は往々にして、それぞれのサイロにはまり込んで日々のタスクリストに埋もれ、自分の専門分野だけに集中している

  • 代理店は、SEOの範囲とPPCの範囲をてんでバラバラに書き記し、多くの場合、チャネルを成功させるために必要なコンテンツリソースが説明されていない。
  • チームはほかのチームの賛同がない提案を上司に出す。

それぞれがお互いのことを把握して考慮して取り入れようという動きをしないくせに、自分たちの意見が取り入れられないことについては不満を述べる。

複数の合併から学んだこと

わたしの会社は何年もの間に多くの吸収合併を繰り返しており、この3年だけでもネットワーク内の3つの代理店と合併した。一夜にして規模が倍増し、世界シェアが3倍になった。こうした合併は、補完的なスキルセットとすばらしい仕事ができるクライアントのリストを大量にもたらしてくれた。

当社は合併を通じて、

  • オーガニック検索
  • 有料検索
  • パフォーマンスコンテンツ

のチームを1つにまとめ、コラボレーションとコンテンツにかかわる懸案事項を解決するまたとない機会を得た。こうしてできたのが、「ディスカバラビリティ」グループだ。

要は、検索エンジンを通じて企業や製品の情報をみつけてもらうための総合チームで、現在、北米地域に展開する4つのオフィスにあり、全体で35人近くが働いている。

この変革とチーム合併で異なる能力と文化の統合を成功させるため、われわれは難しい選択と困難な作業を経験した。

インターディシプリナリティの紹介

まずインターディシプリナリティ(学際性、間領域性)という考え方を紹介したい。

インターディシプリナリティ」とは、2つ以上の専門分野が協力して新たな種類の問題を解決するような状況を示す学術用語だ。共通の課題を解決するために、従来のサイロ化を打ち破って一丸となって動くことで、それぞれのアプローチを統合し、かつそれぞれを更新していき、新しい全体論的なアプローチが生まれる利点がある。インターディシプリナリティは、サイロ化と過度な専門化がもたらす弊害を解消するのに有効だ。

急速に進化してコモディティ化が進む検索分野において、われわれはこのインターディシプリナリティについて語っていく必要がある。

インターディシプリナリティは、神経科学、生化学、サイバネティックスなどのよく知られた技術分野や科学分野では当たり前のことになっている。われわれの業界には、まだまだ新しい開拓分野があるのだ。

「インターディシプリナリティ」は「相補性」とは大きく異なる。だれもがオンラインでSEOやPPCを学べるこの時代、たくさんの会社が「相補的」に検索の仕事をしている。隣り合いながら、少なくとも相手の仕事に悪影響を及ぼしてはいない。

相補性では「オーガニック検索」「有料検索」「パフォーマンスコンテンツ」がバラバラ

しかし、こうした相補的な仕事をしている会社で、真に間領域的な動きをしているところ、検索で新たな能力を進化させているところは、ほとんどない。これからの5年間で、このインターディシプリナリティが「競争力のある検索チーム」をつくり、そうでないところは「停滞する検索チーム」となっていくことになるだろう。

真のインターディシプリナリティ」は、全体の総和が部分の和を上回る状態を生みだす。

真のインターディシプリナリティでは「オーガニック検索」「有料検索」「パフォーマンスコンテンツ」の重なる部分が競合優位性を生み出す

異なる専門をまとめ、ある問題に完全に特化した解決法を作り出すことによるゲシュタルト(全体性)の恩恵だ。適切な専門性を備えた者たちが独自の知識と体験を持ち寄り、各ニーズに特化したまとまりのあるものをエンドツーエンドで提供する。特化してはいるが、似た問題が生じればもう一度用いて洗練していける。

インターディシプリナリティというコンセプトは、当社がチームを合併して新しいものを作り出す際に導き手となる駆動力になっている。いまでは複雑な組織をもつクライアントとの話し合いでも、インターディシプリナリティの達成に協力する。それは、戦術的なSEOとPPCの実装を強化するにとどまらない。企業が考え方を進化させて検索がもたらすものを達成するのに力を貸すということなのだ。

わざわざ統合する価値を理解する8つのポイント

みなさんはおそらく、検索の専門家として文句なしに頭が切れ、自分の力で成功を収めてきた人たちだろう。となると、次のような疑問が浮かんでくることだろう:

わざわざ別々になったスイムレーンから、結束性がある統合的な業務に移る必要があるのだろうか?

どうやればこれが可能なのだろうか?

アドボカシーの向上

当社の成長は大半が、新しいビジネスをごっそりと手に入れることではなく、サービスの向上と既存関係の拡大に由来している。

各チームのごく一部のメンバーが自分の仕事に関することを声高に話す状況から、すべてのチームメンバーが団結してお互いの仕事を意識し意見を言うように変わろう。

クロスセルとアップセルの増加

クロスセルとアップセル
収益
オーガニック検索
有料検索
パフォーマンスコンテンツ

クライアントが関連サービスで行き詰まっている場合、統合された検索チームのほうがクロスセルとアップセルがやりやすい。チームを1つにまとめることで、次のようなことを必要に応じて行いやすくなる:

  • 業務間でスムーズに予算を移す
  • ほかのサービスを自社のクライアントにもってくる
  • 取り分を明らかにして自社が得る成果を証明する

また、検索結果ページを分けて考えるのではなく、検索結果ページ全体で可能なすべての機会を取りにいこうとクライアントに話をできる。

スピードアップと規模の拡大

担当領域が重なっている統合チームは、リーダーからチームに仕事を割り振りやすくなる。たとえば当社では現在、次のような動きをすることで、仕事の重複を減らしている:

  • パフォーマンスコンテンツチームが、SEO用のメタタグとリスティング広告のコピーを書く。

  • 有料検索チームとオーガニック検索チームが、キーワード調査と競合分析を共同で実施する。

作業を分割して実行することで調査の範囲を広げて迅速に進めるとともに、専門分野の知識を共有し、強力なプロダクトの提供と週単位のスピードアップにつなげている。

知識を共有する文化の醸成

統合された検索とコンテンツのチームは、データと知識を共有することが習性となった。このことにより、以前なら見逃していた機会を発見しやすくなっている。

知識のプールが深さと広さを増すことで、検索にかかわる人材は賢くなり厚みが増す。そして、だれも「すべてを知っていなければならない」というプレッシャーを感じないクラウドソーシングと共有の文化が生まれる。知識をプールすることで当社のデジタルマーケティングの問題解決はスピードアップしている。

カニバリズムと競争の抑制

チームごとに目標があると、リスクとして生まれるのが「自分のチームのことを優先する」ようになってしまうことだ。突き詰めると事業会社でも代理店でも、全員が従うべきは中核をなす一連の目標であるはずなのに。

チームが統合されていれば、検索の担当者とコンテンツの担当者がそれぞれの予算と目標を心配するのをやめて、会社のためにいちばん良いことに注力することにつながる。最大の効果を実感できるところにリソースを向けられるようになる。同じ会社のチャネルならばどのチャネルが結果を出すのかは大きな問題ではない。

提案の信頼性の向上

クライアントや経営層への提案は、複数の専門家が吟味することで、重みも信頼性も高まるものだ。

専門家は機会があれば「チャネルを組み合わせる場合と個別の場合でパフォーマンスがどう違うのか」を議論し、有料とオーガニック検索に関する提案のバランスを取るべきだ。

アプローチが考え抜かれており実利に結びつくものであるほど、クライアントに主張しやすい。同じマーケティング予算でより大きな価値が得られることを示せば、相手も受け入れて投資しやすくなる。

新しい能力の発見

さまざまな専門領域を統合すると、それぞれの業務が交差するところに新たな能力が開発される可能性が高い。こうして、クライアントに提供できる付加価値を高める新しい統合サービスの開発と立ち上げが可能になる。

当社の場合は、エンドツーエンドのデジタルシェルフ最適化の提供につながり、ランディングページの開発が強化された。

競争上の優位を生みだす

真のインターディシプリナリティは達成が困難なため、競合相手がこれをまねるのは難しい。競合相手が「できない」「やっていない」「これからもやらない」手間がかかる作業を加えると、競争上の優位が生じる。

統合サービスをマスターすることで、競合相手にない独自の差別化ポイントが得られ、あなたはクライアントにとっても会社にとってもますます欠かせない存在となる。

統合にひそむ5つのリスクと障害

とはいうものの、チームの統合はリスクと障害に事欠かない。変革をリードする際に予想される産みの苦しみを以下に紹介する。

理論を現実に移す難しさ

うまくコラボレーションできていると長い間思い込んでいると、それで満足してしまい改善点が見えなくなってしまいがちだ。

協力の利点を同僚や相手先に主張する必要がある。プロジェクトに共同で取り組むことが重要であり、協働から得られる成果を有効なケーススタディで証明するのが大切なことについて、グループとして合意する必要がある。

個々のアスリートが3つのチームに分かれて動いていたものを、オールスターの世界チャンピオンチームにまとめるのだから、文化の大きな変革だ。一朝一夕でやれることではない。

機動性を失うリスク

直観に反するが、チームが大きくなるとコラボレーションが難しくなる。チームが複数の異なる業務を抱えている場合は特にそうだ。統合によってチームが大きくなりすぎ、迅速に動けなくなるリスクが生じる。

また、ワンチームという考え方や他人のやり方を無理やり受け入れさせたり、なんでも常にコラボレーションしたりする、といった落とし穴に陥りがちだ。

当社はすぐに、次のようなことを学んだ:

  • 統一的なビジョンを欠く「委員会による設計」ではうまくいかない
  • そのようなやり方を強制はできない

グループのアイデンティティは自立の必要性を否定するものではない。それどころか、アイデンティティと自律が維持できず、チームとクライアントにとって適切な判断をする権限が与えられないでいると、インターディシプリナリティに沿ったチームは失敗する。

当社は現在、グループのまとまりをなす結合組織は維持しているが、大きすぎて機動性を保てない問題などなんらかのニーズに対処する場合は、「スライスとダイス」(多元的に分析)によって小さなチームを作れるようにしている。

役割の交渉と縄張り争い

チームを統合すると、縮小する予算をめぐる競争の顕在化や、行動方針の最終決定権をめぐる争いといった衝突が避けられない。さまざまな分野の非常に有能な人がいる場合、なんらかの役割交渉は不可避であり、縄張り争いになることもある。

それでも当社は、統合を通じて全員が1つの縄張りを共有するようなった。これには、次のような努力が必要だった:

  • 人を信じる
  • 善意を前提とする
  • 考え方をそろえる

一人ひとりの専門性を平等に扱い、偶然の結果論ではなく見通しを積極的に探る ―― いわば謙虚になる訓練だ。1人の成功が全員の成功になる文化を作る必要がある。

プロセスの統合による短期的な混乱

それなりに機能していたプロセスの統合はよくある課題だ。チームにはそれぞれ心地よいやり方があるので、抵抗が生じて変革に手間取ることがあるかもしれない。専門性や意見の対立に出くわすこともあるだろう。

各チームのプロセスをいったん分解して1ひとつにするには、まずプロセスをしっかりと把握することが大切だ。そうなっている理由をじっくり考えよう。

変革疲れ

変革が絶え間なく続くと進化が定着しづらくなる。吸収して受け入れられる量を超えてしまうのだ。それが原因で、トンネルの先の光を感じられないことから、燃え尽きて関心を失う。

テスト、学習、最適化を常に実施する文化があり、成長のために変化が常に当たり前の会社は変革にうまく対処できる傾向があるが、だれにでも限界はある。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。前編ではインターディシプリナリティという概念、およびそのメリットとデメリットについて説明した。後編となる次回は、チームの統合を成功に導く12の戦術を紹介する。→後編を読む

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