[マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

転職ハンディをプラスに変える 5W1Hの質問力と師匠5本柱

連載新メンバーのエイチームフィナジー・稲垣昌輝氏。Web業界初心者から、自走するマーケターへと成長するために心がけたこととは
エイチームフィナジー 稲垣昌輝氏

皆さま、はじめまして!株式会社エイチームフィナジーの稲垣と申します。マーケターによるリレーコラム「Half Empty? Half Full?」では、私が日々考えていることや仕事において大切にしている価値観をお伝えできればと思っています。

エイチームフィナジーは、お金に関する情報を提供するサイトを多数運営している会社です。現在、私は金融メディア事業部に所属し、グロースハックプロジェクトの責任者として、SEOフレームワークの作成と新規事業の立ち上げを担当しています。

入社してから2019年7月までの約2年間は、カードローン総合検索サイト「ナビナビキャッシング」や、お勧めのカードローンをファイナンシャルプランナーが紹介する比較サイト「なるほど!カードローン」など、金融メディア事業のSEOとCROを担当し、売上・利益をアップさせることをミッションとして取り組みました。また、並行して全社を巻き込んだPR活動やSNSマーケティングの立ち上げも行いました。2019年8月以降は、クレジットカードの比較サイト「ナビナビクレジットカード」のSEOも担当し、事業を横断したコンテンツマーケティングに取り組みました。

コラム初参加である今回は、Web業界初心者だった私が、現在に至るまでのプロセスや学びをお伝えできればと思います。

異業種からの転職を克服するために心がけたこと

現在の会社に勤める以前は、デジタルマーケティングとはあまり関係ない仕事に就いていました。1社目は東京にある小さな映像制作会社、2社目は飛行機エンジン部品や宇宙ロボット部品の製造を行う、100年以上続く京都の老舗企業でした。

どちらもWeb業界とは無関係な職種ではあったものの、それなりにWeb関係の仕事もいくつか経験していたこともあって、Web制作への興味をずっと持っていました。ためしに、1ヵ月程フロントエンドエンジニア養成合宿に参加したところ性に合っていたのか、やはりWeb業界はとてもおもしろく感じました。

基礎中の基礎だけ身に着けた段階で、怖いもの知らずのうちに、Webサービスやゲームなどを手掛ける総合IT企業エイチームの門を叩いていました。そのままグループ会社であるエイチームライフスタイルに転職し、そこで初めてSEOとCROに出会いました。

好奇心いっぱいで飛び込んだWeb業界でしたが、やはり異業種からの転職だけに、いろいろと苦労することはありました。それらを克服するために、入社当時の私が実践していたことは、以下の3点です。

  • 自分なりの師匠を見つける
  • 5W1Hで師匠を質問攻めにする
  • 業界特有の単語は早く覚える

以下、順番に、私が実践していた方法をご紹介したいと思います。

自分だけの師匠を見つける「師匠5本柱」大作戦

養成合宿でいろいろ学んでから転職したものの、入社直後は、Web業界では基本技能である、Googleアナリティクスやサーチコンソール、Git、その他システムの使い方すら分からず、大変苦労しました。

そこで私は、勝手に自分の師匠を見つけて、その人のまねを徹底的にすることで、成長を促す作戦を実行しました。名付けて「師匠5本柱」大作戦。当時、私が師匠を必要とした5分野は、以下のとおりです。

  1. 【分析師匠】ツールを用いた分析~施策実施
  2. 【マーケ師匠】SEO・CROの知識
  3. 【コーディング師匠】コーディング・A/Bテストノウハウ
  4. 【コンテンツ師匠】コンテンツライティングノウハウ
  5. 【コミュニケーション師匠】社外折衝・飲みニケーション

師匠との良好な関係は質問力が鍵

別に5本柱じゃなくてもいいですし、師匠の分野も、ご自身が苦手とする分野に絞ればいいのですが、とにかく、社内を見まわして「○○さんは、●●の師匠だ」と見定めたら勝手にレッテルを貼って、教えを乞うようにしましょう。たいていの場合は、マンツーマントレーナーのように教育に対して積極的になってくれるケースが多く、そのうち、質問していないことまで役に立つ情報を教えてくれます。

人は頼られると嬉しいものです。また、「自分の手によって人が成長」していくさまを見るのは、楽しいものです。もちろん、教えてもらってばかりではそういった関係を築くことはできません。それだけの嬉しさ、楽しさをこちらも提供していかなければなりません。

師匠との良好な関係を築くために最も重要なことは、具体的に作業ができるレベルまで自分の言葉で聞き倒すことだと思っています。

理解している人は、理解していない人の状態を100%わかってあげることは不可能です。人によっては、どれだけ師匠としてはレベルが高かったとしても、ざっくりとした言葉でしか説明できない人もいます。そういった場合、時間を取って教えてもらっても、いざ作業をするときには手が動かなかったり、詳細まで考えることができなかったりします。

だからといって、そういう人には教えを乞わないというわけにはいきません。弟子である私のほうが、「具体的に作業ができるレベルまで、自分の言葉で聞き倒すこと」ができれば、師匠の教えを無駄にせず済むのです。

質問力は5W1Hが基本

質問力を高めるというと、独特の能力が必要な風に感じる人もいるかもしれませんが、ごく基本の、5W1Hを念頭に置きさえすれば十分です。

私自身がそうだったように、これを用いて徹底的に師匠に聞き倒すことさえできれば、どんな環境から来た人でも、新しい場所ですぐに即戦力として活躍できると考えています。

5W1H意味質問例
Whenいつ?いつ見ればいいのか?
頻度は?
Whoだれと?誰にフィードバックをもらうか?
他に誰が詳しいか?
Whereどこで?どこをクリックして、どこの設定を変更すればいいのか?
Whyなぜ?なぜそれを行う必要があるのか?
本当に必要か?
What何を?そのデータを何に使うのか?
Howどうやって?どのようにしてデータを得るのか?
他に良い方法はないか?

中級者以上になってくると、このフレームワーク自体がかえって足かせになることもあります。しかし、初心者のうちは基礎を理解できていないため、考えるきっかけとして上記のようなフレームワークが有効だと考えています。特に「Why」の深掘りができるようになる頃には、中級者に近づいている証拠だと思います。

業界特有の言葉は早く覚える

どんな業界にも業界特有の言葉がありますが、特にIT業界は、横文字や省略語が多く、それが異業種からの転職者には少なからずハードルとなっています。また一般的に使われているものとはニュアンスの異なる言葉も多く、それを知らないと業務に差し障りが出てきます。例えば、最適化、仕組み化、明確化、総合的、効果的、多角的、構築、アプローチ、ノウハウ、ニーズなどです。

これは、前述の質問力にも関わることですが、言葉の意味を曖昧にしておくと、成長スピードが圧倒的に遅くなります。物事を説明する際や、提案する際に、情報内容が薄くなり、聞き手に十分に理解してもらえないシーンが頻発してしまいます。

自走するマーケターへ成長する

私は、これまでお話しした、3つの工夫をすることでWeb業界初心者の壁を壊し、自走するマーケターへと、成長することができました。

その後、会社全体のWebサイトの戦略の戦術立てを行い、数字の責任を持つリーダーに就任。「カードローン」「消費者金融」「お金借りる」などのビッグキーワードを1位まで順位上昇させて、新たに月間数千万円の利益を生み出すことができました。ここまで成長できたことで、これまでの考え方や行動は間違ってはいなかったのかなと思っています。

現在は、特に新規事業の立ち上げに時間を使っています。弊社は金融系の商材を扱ったメディア運営を行っており、ビジネスモデルはBtoBtoCです。しかし、私が立ち上げを担当している新規事業はBtoBモデルで、社内でも新たな試みとして期待されているものです。

前例や実績がない中でどのように進めていくか、迷うことばかりです。難易度の高い課題はあるものの、コンテンツマーケティング出身であることを活かして、ユーザー目線を忘れずに事業を推進していければと思っています。

そのために意識していることが、「消費者の声を聞く&体験できるものは自腹で体験しておく」ということです。それに関しては、次回以降に書いていこうと思います。

今後、本リレーコラムではWeb担当者のみならず、あらゆるマーケターの方々の役に立つ情報を発信していきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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