[マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

アウトプットを利用して学習効率を高める「能動的インプット」とは?

マーケターのリレーコラム、今回はエイチームフィナジー・稲垣昌輝氏。理想的なインプットを行う「能動的インプット」という方法について。
エイチームフィナジー 稲垣昌輝氏

突然ですが、皆さんに質問です。

たくさんインプットしていますか? インプットしたことをしっかり仕事に活用できていますか?

学んだことを仕事にうまく活用できていないために、常にぼんやりとした焦りに追われていたり、そもそも「インプットの習慣化が難しい」「アウトプットする機会がない」というマーケターも少なくないと思います。

私も本やセミナーでインプットしたのに時間がたつと忘れてしまったり、ここぞいうシーンで知識の引き出しが見つからなかったりと、インプットからアウトプットまで情報をうまく活用できないということがありました。

そこで今回は、理想的なインプットを行う1つの手段として、「能動的インプット」という方法をお伝えできればと思います。

能動的な学習は記憶定着率が高い

ラーニングピラミッドをご存じでしょうか? アメリカ国立訓練研究所が「どのような学習方法がどのくらい記憶として定着するか」を7つに分類したものです。

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ラーニングピラミッドでは、グループ討論・自ら体験する・他人に教えるなどの能動的な学習は、受動的な学習と比較して記憶定着率が高いとされています。

皆さんも「セミナーで講義を聞くより、グループ討論をした方が記憶定着率が高い」「本より音声/動画教材の方が記憶定着率は高い」など一度は耳にしたことがあると思います。

なぜ能動的な学習の方が記憶定着率が高いのか、その理由を考察していく中で、私はその準備や整理に着目しました。アウトプットのための準備や整理によって、インプットの効率が高まっているのではないかと考えたのです。

この「アウトプットするための準備や整理」のことを私は「能動的インプット」と呼んでいます。

ラーニングピラミッドの能動的な学習に対応する「能動的インプット」は以下のようになります。

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能動的な学習の中で、特に「能動的インプット」が必要なのは「グループ討論」と「他人に教える」です。どちらも、1つのテーマに対していくつもの項目の調査を行い、膨大な情報を整理して自らの見解を導き出す必要が出てきます。

私は、この「根拠となる情報を集め、情報が持つ意味を理解し、他人が理解できるように整理し、自らの体験を持って見解を正確に述べるための準備が整った状態を作ること」こそが最上位のインプットだと考えています。

書籍やセミナー、オンラインサロン、メディア、スクール(オンライン・オフライン問わず)で知識を与えてくれるものを作成している方々は、アウトプットの前には、おそらく「能動的インプット」を行っているはずです。

初心者や業界・世の中のために情報を発信し続けているマーケターの多くは、情報のアウトプットが、結果的には己の成長のためになることを誰よりも知っているのです。

優秀なマーケターの成果物や講演を評価する際に、アウトプット自体にフォーカスするよりも能動的インプットにフォーカスするべきだと思っています。

優秀なマーケターは、アウトプット以前の「能動的インプット(準備や情報整理)」で、他者との差を生んでいると考えているからです。

目標とするマーケターが「どのような方法で情報を集め、整理し、独自の見解を生むことができたのか」について質問したり考える方が、自らが成長するレールを敷きやすくなります。

能動的インプットの方法

「能動的インプット」を行うには、アウトプットの機会が必要です。とはいえ、いきなり困難なテーマについてまとめあげたり、背伸びしても届かない規模のセミナーに登壇して披露する必要はありません。

私がこれまでにコツコツ行ってきた事例を交えながら「能動的インプット」の方法(HOW)をご紹介します。

まず、おすすめのアウトプット方法としては、とにかく「話す」ことです。人に話すといっても、「特定の1人に話す」や「複数人に話す」など規模はさまざまです。

私が行った方法は、以下の4つです。

  • ①社内のメンバー1人に私と同じことができるレベルまで教える
  • ②社内の複数人のメンバーに対して特定のテーマについて講演する
  • ③社内外のメンバーと1つのテーマについて議論する
  • ④イベントを主催/社外でイベント登壇/連載を行う

初心者の方は④について難易度が高く「自分にはまだ早い」と感じてしまうかもしれませんが、アウトプットに正しいステップはないため、むしろ④から初めてもいいと私は思っています。

極端に言うと、普段と比較にならないレベルで行う登壇準備の際の熟考・調査・情報整理にもっとも価値があります。現代のビジネスマンは、職種の領域を超えた仕事を抱えることも珍しくないため、役割範囲がどんどん広くなる反面、普段熟考する機会は少なくなるはずです。

現在でも国内のオンラインイベントは定期的に開始されています。登壇すると決まれば「逃れられない強制力」を利用できるので、あとは「能動的インプット」を行うのみです。

もちろんアウトプット方法は上記だけではないため、自らの性格に合った方法を選択するべきだと思いますが、程よく強制力があり当日の緊張感が原動力になるイベント登壇がおすすめです。

初心者の方は、自チームで特定の分野について、持ち回りで発表し合うところから初めてみてもいいかもしれません。

受動的なインプットによる共感や納得も大切ではあるものの、学習によって得た情報を実際に活用する観点においては、機能しないケースがあると感じています。

まとめ

アウトプットの核は能動的インプットです。

インプットした情報を仕事に活かせていない、あるいは、必死でインプットしているものの大事なシーンでは忘れていてなかなかアウトプットできない。そんな方は本記事でご紹介した「能動的インプット」を取り入れてみてはいかがでしょうか。

特定の分野について調査・整理し、自らの見解を加えて他者へ発信するために、オリジナルの教科書やマニュアルを作成してみてもいいかもしれません。

「能動的インプット」の習慣を手に入れ、根拠を持った見解を複数持つことで、学びを仕事に活かせるマーケターへと進化していきましょう。

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