【漫画】デジマはつらいよ

なんで、私がリーダーに!? OMOに必要なのは真の顧客目線だ/【漫画】デジマはつらいよ・第10話

社長の肝いりで始まったOMOプロジェクトで、経験の浅いルリがチームリーダーに抜擢された。その理由とは?

前回のあらすじ!

割引キャンペーンで致命的な失敗をし、実店舗へ異動となったマーケター・赤塚(パイセン)は、顧客とじかにふれあうことでインテグリティを身につけるべく、業務に励んでいた。

※最終ページに、原案・監修担当の中澤さんによる「デジタルトランスフォーメーションとOMO」についてのコラムがあります。

ここから始まります

パイセンがいない寂しいまぁ性格は悪いけどなんだかんだいっても優しいところもあったしな陰でいろいろ細かく教えてくれてたんです和尚さん私どうしたらいいんですかっじゃあ2人で会いにいっちゃおうかいいですね!いいわけないだろ仕事中だよだって寂しくて…新プロジェクトが決まった寂しいなんて言ってる暇ないぞへ…
おおデジマのみんな集まったか昨年はみんな大活躍だったね社長っ今日は大事な話があって来てもらった今年をわが社のデジタルトランスフォーメーション元年としOMOプロジェクトを立ち上げる!!デジタルトランスフォーメーションって何?OMO?O…お金M…もっとO…大入りってこと?
ここからは私が説明しよう虎くん脱がなくていいよかしこまりましたではまずデジタルトランスフォーメーションの定義を確認しよう経済産業省のガイドラインではこう書かれている企業がビジネス環境の激しい変化に対応しデータとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に、製品やサービスビジネスモデルを変革するとともに業務そのものや 組織 プロセス企業文化・風土を変革し競争上の優位性を確立すること経済産業省平たく言えばわが社も今年は今まで以上に経営戦略上の優先事項としてデジタル化に全社をあげて取り組むということだおぉ!それは凄いっそしてOMOとはオンラインとオフラインを融合させて一貫した顧客体験を形づくることOMOOnline Merges with Offlineわかりやすく言えば実店舗や店員といったリアルの接点とデジタルの接点の両方をフル活用してお客様にとって最高の体験を作る今回はそれらを実現する試みだおぉ虎くんありがとう
OMOは実店舗や他部門も巻き込んだ全社横断的なプロジェクトとなるデジマのメンバーにはその中核として推進役を務めてもらいたいほんとうに忙しくなりそうなプロジェクト…とはいえまだ何も決まっていないまずはどのようなサービスにするかデジマのみんなで考えて提案してくれは はい頑張ります…みんな元気ないぞっ!
おいおい決まったことを俺に報告にくるなよそもそもそれって機密事項じゃないのかあっそうかもでもまだ一応同じ会社ですし念のため絶対に他の人に言わないでください外にバラしたりしねえよで他に用は?いや別にそれだけ?パイセンに会いたかったんですなんだよそれだって私たちチームだったじゃないですか共有したいんですリーダーは和尚さんがやるんですか?それが…
新規プロジェクトのリーダーはルリにやってもらうええっ私がですかっ虎さんがリーダーじゃないんですか? 俺はやらない!今回生み出したいのはお客様にとって最高の顧客体験そのためにはお客様の立場に立ち真の顧客目線で考えられることが最も重要な資質になるその点ではルリがもっとも適任だけど…デジタルマーケのこともよくわかってないし明らかに力不足ですよデジタルはあくまでも手段の1つ一番大事なのは何がお客様にとってベストな体験なのか考え抜くこと
なるほど…ペルソナとの年齢も近いしなそんな理由でリーダーにされても…今から気が重いですちなみにプロジェクトの目標は?優良顧客の満足度をさらに引き上げることだ優良顧客の年間LTVを1.5倍LTV1.5倍だって!!※※Lifetime Value:顧客生涯価値さらにOMOによって新規の顧客層の裾野を広げることも副次的な目的としている新規顧客層も開拓って…ハードル高すぎだなそうですよパイセン戻ってきてください私には無理ですおそらく今回のアイデアは筋肉バカが社長に入れ知恵したはずだなにかしら勝算があるんじゃないかけど…それより2人とも白井さんには気をつけろよ白井さんに?
あの人はきっと全力でプロジェクトを潰しにくるぞへ?俺がクズ石を売ったときも虎さんのメンツを潰そうと躍起になっていたしかも自分の手を汚さない手段を使ってなそんな…新プロジェクト成功する気がしない私も店舗で働くっ!あほか

次回に続く

10話のまとめコラム:デジタルトランスフォーメーションとOMO(中澤伸也)

こんにちは、「デジマはつらいよ」原案者の中澤です。 今回からはいよいよ、主人公のチームが「デジタルトランスフォーメーション(以下DX)」の推進と、その具体的なかたちとして「OMO」を実現するサービスの構築に乗り出します。そこで今回の寄稿では、DXとOMOについて簡単に説明したいと思います。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

皆さんも感じているかと思いますが、AppleのiPhone、Uberなど、デジタル技術の進化に伴い、あらゆる業種において、これまでにない革新的な新しい製品やサービス、そしてビジネスモデルが登場しています。これらの製品やサービスは、既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションとして、「デジタルディスラプション(デジタルによる破壊的変革)サービス」と呼ばれています。

2020年以降、「IoT」「5G」「AI」が急速に整備され発展していきます。これにより、スマートフォンの登場以上の大きな変化が社会に起きると言われています。これは、これまで以上のスピードで、既存のビジネスを根底から破壊しうる「デジタルディスラプションサービス」の登場を加速させるという、脅威であると同時に、日本の企業にとって大きなチャンスの到来であるとも考えられます。

もともと日本は、高速情報通信網の普及率は世界でも最高レベルであり、AI、IoTにおいても先進国です。よって、これらの変化に対応する「イノベーション」を、世界に率先して実現していく「底力」は高いものを有しています。

ただ、その優位性を発揮し、変化に対応していくにあたり、日本にはいくつかの「マイナスポイント」があります。

  1. 企業の基幹システム等のIT基盤が、変化に対応できる状態になっていない
  2. デジタル化といった大きな環境変化に柔軟に対応できる、組織構造になっていない
  3. デジタル起点で顧客体験を考えられる、人材の不足など

これから起きる変化を「チャンス」と捉えて成長していくためには、現在のビジネスモデルや組織、そしてITインフラを、構造レベルで変革していき、「顧客体験を起点」とした、新しいサービスやビジネスモデルを構築していく必要があります。

この「デジタル化する世界を前提として、企業がビジネスモデルや組織・インフラを構造レベルで変革し、新たな顧客価値の優位性を獲得する」取り組みを「デジタルトランスフォーメーション」と呼んでいます。

OMOとは?

OMOとは「Online Merges with Offline」の略です。リアル世界がデジタルに内包されるアフターデジタルの世界において、「リアル店舗とネット上での体験をシームレスに統合し、総体として最高の顧客体験を提供する」概念を表します。デジタルトランスフォーメーションのひとつのあり方として、現在もっとも注目される概念のひとつです。

すでに中国では、このOMOが「あたり前の体験」となりつつあり、アリババのスーパーマーケット「フーマー(盒馬鮮生)」が有名です。

フーマーでは、リアル店舗の食材等、すべての商品にQRコードが記載されており、店内を回遊しながらアプリで購入と決済を行います。購入した商品は持って帰る以外にも、店を出で30分以内に自宅に届けてもらうこともできます。また、アプリを使えばその場でトレーサビリティ情報を得ることができます。

またフーマーの他にも、創業10ヵ月で1000店舗を展開した「Luckin Coffee(瑞幸咖啡)」といった事例もあります。こちらは、独自のアプリからのオーダーにのみ対応しており、事前にアプリで注文し、決済を行って来店すると、店頭でQRコードを表示すれば、ほとんど待つこともなく商品を受け取れる、といったサービスを行っています。

これらを見てもわかるとおり、すでに中国では、オンラインとオフラインの体験が統合(OMO)され、ひとつのサービス体験として価値を提供し始めています。OMOの体験価値を提供できている企業が、既存サービスを駆逐し、急速な成長を果たしているのです。

中国でこれほど早くOMOの世界が実現している背景には、キャッシュレスがほぼ浸透しきっていた、既存サービスの体験品質がそもそも低かった、等の環境要因はあります。しかしながら、現在これらの企業で行われている、顧客データをもとにしたUX構築およびPDCAの技術力は、すでに日本企業を大きく上回っており、体験価値そのものも非常に高いレベルにあると言われています。

デジタルトランスフォーメーションやOMOは、これからの日本企業においては、避けては通れない道です。その中で、われわれデジタルマーケターの果たす役割は大きいのではないでしょうか。

次回に続く

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