なんで、私がリーダーに!? OMOに必要なのは真の顧客目線だ/【漫画】デジマはつらいよ・第10話
前回のあらすじ!
割引キャンペーンで致命的な失敗をし、実店舗へ異動となったマーケター・赤塚(パイセン)は、顧客とじかにふれあうことでインテグリティを身につけるべく、業務に励んでいた。
※最終ページに、原案・監修担当の中澤さんによる「デジタルトランスフォーメーションとOMO」についてのコラムがあります。
10話のまとめコラム:デジタルトランスフォーメーションとOMO(中澤伸也)
こんにちは、「デジマはつらいよ」原案者の中澤です。 今回からはいよいよ、主人公のチームが「デジタルトランスフォーメーション(以下DX)」の推進と、その具体的なかたちとして「OMO」を実現するサービスの構築に乗り出します。そこで今回の寄稿では、DXとOMOについて簡単に説明したいと思います。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
皆さんも感じているかと思いますが、AppleのiPhone、Uberなど、デジタル技術の進化に伴い、あらゆる業種において、これまでにない革新的な新しい製品やサービス、そしてビジネスモデルが登場しています。これらの製品やサービスは、既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションとして、「デジタルディスラプション(デジタルによる破壊的変革)サービス」と呼ばれています。
2020年以降、「IoT」「5G」「AI」が急速に整備され発展していきます。これにより、スマートフォンの登場以上の大きな変化が社会に起きると言われています。これは、これまで以上のスピードで、既存のビジネスを根底から破壊しうる「デジタルディスラプションサービス」の登場を加速させるという、脅威であると同時に、日本の企業にとって大きなチャンスの到来であるとも考えられます。
もともと日本は、高速情報通信網の普及率は世界でも最高レベルであり、AI、IoTにおいても先進国です。よって、これらの変化に対応する「イノベーション」を、世界に率先して実現していく「底力」は高いものを有しています。
ただ、その優位性を発揮し、変化に対応していくにあたり、日本にはいくつかの「マイナスポイント」があります。
- 企業の基幹システム等のIT基盤が、変化に対応できる状態になっていない
- デジタル化といった大きな環境変化に柔軟に対応できる、組織構造になっていない
- デジタル起点で顧客体験を考えられる、人材の不足など
これから起きる変化を「チャンス」と捉えて成長していくためには、現在のビジネスモデルや組織、そしてITインフラを、構造レベルで変革していき、「顧客体験を起点」とした、新しいサービスやビジネスモデルを構築していく必要があります。
この「デジタル化する世界を前提として、企業がビジネスモデルや組織・インフラを構造レベルで変革し、新たな顧客価値の優位性を獲得する」取り組みを「デジタルトランスフォーメーション」と呼んでいます。
OMOとは?
OMOとは「Online Merges with Offline」の略です。リアル世界がデジタルに内包されるアフターデジタルの世界において、「リアル店舗とネット上での体験をシームレスに統合し、総体として最高の顧客体験を提供する」概念を表します。デジタルトランスフォーメーションのひとつのあり方として、現在もっとも注目される概念のひとつです。
すでに中国では、このOMOが「あたり前の体験」となりつつあり、アリババのスーパーマーケット「フーマー(盒馬鮮生)」が有名です。
フーマーでは、リアル店舗の食材等、すべての商品にQRコードが記載されており、店内を回遊しながらアプリで購入と決済を行います。購入した商品は持って帰る以外にも、店を出で30分以内に自宅に届けてもらうこともできます。また、アプリを使えばその場でトレーサビリティ情報を得ることができます。
またフーマーの他にも、創業10ヵ月で1000店舗を展開した「Luckin Coffee(瑞幸咖啡)」といった事例もあります。こちらは、独自のアプリからのオーダーにのみ対応しており、事前にアプリで注文し、決済を行って来店すると、店頭でQRコードを表示すれば、ほとんど待つこともなく商品を受け取れる、といったサービスを行っています。
これらを見てもわかるとおり、すでに中国では、オンラインとオフラインの体験が統合(OMO)され、ひとつのサービス体験として価値を提供し始めています。OMOの体験価値を提供できている企業が、既存サービスを駆逐し、急速な成長を果たしているのです。
中国でこれほど早くOMOの世界が実現している背景には、キャッシュレスがほぼ浸透しきっていた、既存サービスの体験品質がそもそも低かった、等の環境要因はあります。しかしながら、現在これらの企業で行われている、顧客データをもとにしたUX構築およびPDCAの技術力は、すでに日本企業を大きく上回っており、体験価値そのものも非常に高いレベルにあると言われています。
デジタルトランスフォーメーションやOMOは、これからの日本企業においては、避けては通れない道です。その中で、われわれデジタルマーケターの果たす役割は大きいのではないでしょうか。
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