【レポート】Web担当者Forumミーティング 2019 Autumn

企業はUGCをどう活用すべきか? 売上成長に直結する「生活者起点マーケティング」

変化を続ける生活者を企業のマーケティング部の一員と考えて、UGCをマーケティングに活用するには? 事業の売上貢献につなげるノウハウを5つの企業事例で解説する。
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ブログが普及の兆しを見せた2000年代中頃から、UGC(User Generated Content:一般ユーザーによって作成されたコンテンツ)の話題は尽きない。ユーザー自身が発信・投稿する、いわゆる“口コミ”の存在感も、SNSの台頭を追い風に、ますます高まっている。

こうした時代には、広告・マーケティングの在り方もまた当然変わると指摘するのがアライドアーキテクツの村岡弥真人氏だ。「Web担当者Forum ミーティング 2019 秋」に登壇した村岡氏は、売上貢献につながる「生活者を軸にしたマーケティング施策」について語った。

村岡弥真人氏
アライドアーキテクツ株式会社 Chief Product Officer 兼 上級執行役員 村岡弥真人氏

SNSによって変わるマーケティング像

アライドアーキテクツは2005年に設立され、現在は、企業のデジタルマーケティングや、ソーシャルメディア活用の支援事業を主力としている。村岡氏の入社は2012年だが、その当時もTwitterやFacebookの企業利用は、いまだ黎明期だったと振り返る。

入社初期は、お客様に「Facebookを使ってファンを増やしましょう」とよく提案していた。ただ8~9割のお客様からは、「Facebookにリソースを費やして、それでお金になるのか(売上が上がるのか)」との応えが返ってきた。しかし7年経った今、企業がソーシャルメディアを使わないという選択肢は、おそらくないはずだ(村岡氏)

PCやフィーチャーフォン(ガラケー)がメインターゲットだったデジタルマーケティングも、今やスマートフォン(スマホ)が軸となり、ソーシャルやアプリの存在を抜きには語れなくなった。“生活者”が日常的に接触するメディアはテレビ・新聞以外にも広がっていき、そのぶん、企業がアプローチする方法も多様化を余儀なくされている。

しかし企業側には、予算・リソースの問題が常につきまとう。すべての施策を、余裕のある人的配置で、資金を湯水の如く使うようなマーケティングは無理に等しい。

スマホやSNSの登場によって、生活者のメディア環境は大きく変わったが、企業はそれに追いつけていない

この課題に対してアライドアーキテクツでは、「生活者を味方につける」をキーワードに、各種施策を展開しているという。

生活者が求めている情報や感動するポイントを、企業側がリアルタイムでキャッチアップするのは本当に難しい。どれだけ考え抜いても、ほんのちょっと要点がズレるだけで、今までの成功パターンがとたんに効かなくなる。ならば生活者としっかりつながって、施策の実行・改善を生活者と一緒にやっていってはどうか。これが私たちの考えです(村岡氏)

UGCの方が信頼される時代に?!

村岡氏は私見として、「広告が生活者に嫌われている」フェーズはすでに超え、もはや「生活者は広告を意識してもいない」段階ではないかと語る。

朝起きて、講演の会場に来るまでの間、テレビCMや交通広告を無数に見ているはずだが、果たして記憶に留まっているものがあるだろうか? もしかしたら1つもないのではないか。おそらくそれが、生活者のリアルだ(村岡氏)

一方、Twitterでフォローしている知人が言及した製品の話題は人々の記憶に残りやすい。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によれば、企業のSNSアカウントで発信された情報より、友人・知人のSNSアカウントで発信された情報の方が、商品購入時の検討材料として重視される傾向も出ていた。いわゆるUGC(User Generated Content)に対する信頼感が向上してきているわけだ。

UGCへの信頼感は、高まる傾向にあるという

となると、企業発信の従来型マーケティングは、相対的に効果が薄くなっていくこともまた明らかだ。

広告で「ウチの商品の機能は○○です」というより、「ユーザーの○○さんはこう使っています」「流行っています」とアピールした方が売上につながるという時代になってきている。どれだけ広告予算を積んでも、良いクリエイティブであっても、そもそも生活者が求めていなければ意味が無い。あくまで生活者が求めているものを商品企画の段階から意識し、そのうえで売り場作りやマーケティングメッセージの構築を行うべきだ(村岡氏)

そして、そこへ生活者が関与できる・参加できる余地もまた必要だという。

商品企画の段階から、生活者とのコミュニケーションが重要

こうした世界観の実践者として知られるのが、中国の家電メーカー「シャオミ(小米)」だ。「ビーフン(米粉)」と呼ばれる同社製品コミュニティのユーザーにまず製品を使ってもらい、そこでのフィードバックを反映させ、完成度を上げる手法が知られており、これはまさに「ファン経済」だと村岡氏は説明する。

また村岡氏は、マーケティングの権威であるフィリップ・コトラーの著書『マーケティング4.0』に書かれている「Friend/Fan/Family/Follower」からなる4つのFの重要性や、顧客がレビューをより求めるようになったことを指摘した。

生活者をマーケティング部の一員として巻き込む!

限られた予算で効果的なマーケティングをどう行うか。この課題に対する答えは「顧客やファンなどの生活者を企業のマーケティング部の一員として巻き込む」――これが村岡氏らの結論だ。マーケターがどれだけ考えても、生活者の生の声に勝るものはない。ならば直接コミュニケーションし、忖度のないフィードバックを得られる体制にすることこそが重要というわけだ。

生活者もまた、マーケティング部の一員であるという考え方

ここから村岡氏は、企業と生活者のコミュニケーションの在り方について、具体的な事例を挙げながら紹介していった。

事例① 日本酒メーカー「菊水酒造」

「ふなぐち」などのブランドで知られる菊水酒造は、メルマガやアンケート葉書で集めたユーザーデータを持っていたものの、統一的な管理ができておらず、次の施策へ反映させられないことが課題だった。

そこで、マストバイ形式のキャンペーンをデジタル化した。商品購入の証明をQRコードおよびシリアル番号で行う方法とし、また季節ごとに複数回実施するキャンペーンを統一。取得したユーザー情報をもとに、イベントへの招待、アンケートを行うようにした。

結果として、1万人以上の顧客情報を獲得。また「10年以上愛飲している」ユーザーが48.2%を超え、「わざわざ海外旅行へ持っていく」といったロイヤルカスタマーが相当数いることが可視化された。

こうしたことがわかれば、例えば空港で販促するといったアイデアが出る。また、先祖代々買っているというお客様もいたが、ならば通販の定期購入制度を作れば、会社側・お客様側ともにメリットがあるかもしれない。こうした判断が、できるようになった(村岡氏)

菊水酒造の事例。初歩的なことではあるが、デジタルの力を使ってキャンペーン効果をまずはきちんと把握する

事例② 大手化学メーカー「KAO(花王)」

「SOFINA」などの化粧品を扱っているKAO(花王)でも同様の課題があった。サンプリングによる調査を大量に行っているものの、その後のマーケティング施策につながるような購買データが得られていなかったのだ。

そこで、SNSのログイン機能などを使ってユーザーを把握。その上で、商品購入に至らなかったユーザーに対してアンケートを行った。これによって、「今、手持ちがあるから買わない」等などのユーザーの声がわかり、購入しなかったユーザーに対するアプローチ方法を検討することができた。

花王では、非購入者へのアンケートを実施

UGCがそのままマーケティングコンテンツに!

UGCがそのままマーケティングコンテンツとして成果をあげた例もある。

事例③ 靴メーカー「AKAISHI(アカイシ)」

外反母趾など足トラブルに悩む女性向けの靴メーカーであるAKAISHI(アカイシ)は、ある製品のキャッチコピーに“ふわふわ”という表現を用いていた。しかし、サンプリングプロモーション情報サイトに寄せられた一般ユーザーからのフィードバックに、「むしろ、“ふわとろ”だ」という声があったため、差し替えを実施。すると顧客の反応が明らかに変わり、コンバージョンレートも向上した。

私自身は、なぜ“ふわとろ”に変えたことでここまで売れるようになったかは正直わからない。ただ、お客様にとっては何か感じる部分があったのだろう。マーケターであればあるほど、この現象をおそらく説明できないが、これもまた現実に起こったことだ(村岡氏)

また、LINE@から流入するユーザー向けのランディングページに、どんなコンテンツが最適かを検証したところ、ユーザーが投稿していた靴のレビュー動画や写真、つまりUGCの効果が最も高かったという。その動画・画像は、ユーザーがあくまで自主的に投稿していたものだった。

結果として、販売に最適なキャッチコピーも、商品の購入に直結するようなクリエイティブも、決してマーケティングが専門ではない一般生活者から生み出された。ある意味、キャッチコピーと広告クリエイティブ制作費を丸々節約する効果すらあったことになる。

キャッチコピー、広告素材どちらもユーザー起点としたアカイシの事例

事例④ 男性向け化粧品「BULK HOMME(バルクオム)」

男性向け化粧品のBULK HOMME(バルクオム)は、洗練されたパッケージデザインなどがウケており、InstagramなどでUGCが次々投稿されていたものの、それらをマーケティングに活かせてはいなかった。

そこで、まずUGCとしてSNSに投稿された画像などを、許諾をとった上でほぼそのままSNS広告として転用。広告ランディングページには、SNS上のUGCの一覧を「ユーザーの声」としてまとめた。すると、広告あたりの獲得単価は3分の1となり、獲得件数は10倍へと伸長した。

ランディングページに辿り着いた方は、おそらく一度ページを離れて、InstagramやYouTubeなどを検索するのが一般的なルートのひとつだ。この施策では、ランディングページにそのままUGCを載せることでそうした手間を省いた格好になり、さらにサイト内の回遊率も高まった(村岡氏)

UGCをほぼそのまま広告に使うという大胆な事例

事例⑤ ライフスタイルブランド「BOTANIST(ボタニスト)」

植物由来のヘアケア製品などを手がけるBOTANIST(ボタニスト)は、広告用素材を製作する専門チームを抱えていたが、それでも慢性的な素材不足に悩んでいた。

そこでUGCの活用を検討。ユーザーが撮影し、SNSに投稿した画像なども公式サイト内に並べるようにした。また、画像に映り込む製品をすぐECサイトで買えるように、リンクを付け加えるなどした結果、コンバージョン率は2倍になった。

広告素材が限られる中、UGCを上手に活用

顧客は相対する存在ではなく、マーケティング部の一員

最後に村岡氏は、顧客の捉え方をこう説明する。

顧客は相対する存在ではなく、マーケティング部の一員であり、どう貢献していただけるかを考えるべき。お互いに顔の見える関係性を作って、忖度のないフィードバックをいただく。確かに難しいことだが、費用の削減や広告パフォーマンスの向上にもつながる(村岡氏)

アライドアーキテクツでは、業界・業種を問わず、B2Cマーケティング全般を幅広くサポートしている。「Twitterをどうにかしたい」「UGCを上手く活用したい」など、ピンポイントなニーズにもしっかり応えていきたいとアピールし、講演を締めくくった。

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