最良のコンテンツマーケティング戦略とは? ビジネス成果に貢献する5つのTips
世界最大級のコンテンツマーケティングイベント「Content Marketing World」でキーノートスピーカーも務めた著名コンテンツマーケターがMozconに初登場。
アンディ・クレストディナ氏は、シカゴ拠点のウェブデザイン・開発会社「Orbit Media Studios(オービット メディア スタジオ 以下、OMS)」の共同創業者兼CMO。
1%のコンテンツマーケターだけが実施しているコンテンツマーケティングの5つのTipsを紹介する。
記事(情報コンテンツ)の果たす役割
コンテンツマーケティングの5つのTipsを紹介する前に、企業サイトにおける情報(コンテンツ)の役割を明確にしておく。
一般的な企業サイトには、次のようなページがあるだろう。
- 記事
- サービス紹介ページ
- 企業紹介ページ
- 問い合わせページ
- サンキューページ
特に「記事」には、有益で役に立つ情報が書かれているため、検索トラフィックが集まる傾向がある。サイト運営者の多くは、記事へ来てくれた訪問者を、いかにしてコンバージョンページ(ビジネス成果)まで導くか、そのブリッジ作りに腐心していることだろう。
しかし、それはなかなかうまくいかないものだ。なぜなら、記事への訪問者にはそもそも商業的な意図(Commercial Intent:買いたい、申し込みたい等)が無いからだ。
その証拠としてクレストディナ氏は、自身が運営するOMSサイトの結果を提示した。
クレストディナ氏の運営するOMSサイトでは、記事ページの訪問者の直接コンバージョン率は0.03%。一方、サービス紹介ページの場合は、1.55%。記事ページに比べてサービス紹介ページの方が50倍も高い。
つまり、サービス紹介ページの訪問者は「買いたい、申し込みをしたい」といった意思を持ってページに来ているが、記事ページの訪問者にはその意図がないと言えるだろう。
では、記事(ページ)の果たす役割は何なのだろうか?
この疑問に対して、クレストディナ氏は次のように言及している。
ある領域において、自分たちが「重要なインフォメーションソース(Information source:情報源)」として人々に認識されるように促すこと
役立つ情報を発信し続けることで、「ある領域における『専門家である』と人々に認知されること」が記事の役割だという。
またクレストディナ氏は、そういった役割を成すことで、「多くの人やウェブサイトから参照されるようになり、ソーシャルメディアでシェアされるようになる。その結果、外部からのリンクを得る機会が増え、サイトのオーソリティ性(権威性)も高まるようになる」と述べた。
つまり、サイトの権威性が高まると、サイト全体のURL(ドメイン名)に好影響をもたらす。すなわち、サービス紹介ページの価値向上にも寄与するというわけだ。
良質なコンテンツ作りにだけ投資しよう
このように、「重要な情報源として人々に利活用してもらうことが、サイト全体の権威性を高める」という、「コンテンツとSEOの基本原則」を理解していれば、より良いコンテンツマーケティング戦略を採用できるはずである。
セッションでは、「品質の高いコンテンツ」と「そこそこのコンテンツ」の差を理解してもらうために、Youtubeにあがっている日本のバラエティ番組を実際に紹介した。
これは、「4人のプロサッカー選手(青チーム)が、100人の小学生(赤チーム)からゴールを奪えるか」といった内容の動画である。動画再生後、たった2分でプロサッカー選手はゴールを決めてしまうのだ。
「品質の高いコンテンツ」と「そこそこのコンテンツ」とでは、見た目以上に、実際の成果では、大きな差が生まれる。「品質の高いコンテンツ」はビジネスに貢献するが、「そこそこのコンテンツ」は全く貢献せず、無価値なものになる。そして、たいていのコンテンツは後者になりがちだ。
少数精鋭の磨き抜かれた青チームの戦略(高品質コンテンツ戦略)は、量でなんとかしようとする赤チームの戦略(凡庸なコンテンツ戦略)をいとも簡単に駆逐する。良質なコンテンツ戦略だけに投資しよう。
クレストディナ氏は上記のように述べた後、「高品質コンテンツ戦略」を立てるために必要な「コンテンツの作り方」に関する5つTipsを紹介していった。
- Tips① オリジナル調査をコンテンツにする
- Tips② インフルエンサーとコラボしたコンテンツを作る
- Tips③ 自社メディアだけでなく外部メディアも含めてあらゆるところで情報発信しよう
- Tips④ 既存コンテンツのアップデート
- Tips⑤ ビジュアルフォーマットへのアップグレード
Tips① オリジナル調査をコンテンツにする
一つ目のTipsとして、オリジナル調査を実施し、それをコンテンツにすることを提案した。
2015年に行ったBuzzSumo(バズスーモ)とMoz(モズ)の共同調査によると、ネット上で公開されている10万記事をランダムにサンプリングした結果、75%はリンクが一つも発生せず、50%はFacebookのインタラクション(いいね!)が2回以下だったという。
つまり、多くのコンテンツは誰かに参照されることもないし、誰かの感情を触発することもないものになっている。
BuzzSumoの共同創業者スティーブ・レイソン(Steve Rayson)氏によれば、リンクやシェアを生み出すコンテンツの傾向は次の2つだという。
- 主張があり、権威性のあるコンテンツであること(Opinion forming,authoritative content)
- しっかり調査され、根拠をともなったコンテンツであること(Well researched and evidenced content)
すなわち、クレストディナ氏流に換言すれば、「強い意見」と「オリジナル調査」こそが、良質なコンテンツ要件の1つであるということだ。
クレストディナ氏のOMSサイトでは、ウェブマーケティングに関連するさまざまな調査型コンテンツを公開し、数多くのサイトからリンクを得ている。
オリジナル調査コンテンツは、世の中の人々にとって初めて触れる情報となる。つまり、1次資料(primary source:プライマリーソース)としての価値が高まる。唯一無二の情報源になれば、コンテンツ(及び企業・ブランド)への参照が生まれ続けるわけだ。
ここで、OMSサイトで実施してきた事例を2つ紹介した。
事例1: ウェブサイトに装備される標準的な機能をまとめた調査記事
(What website features are standards?)
クレストディナ氏の会社では、年に40件程度のウェブサイト構築に携わっている。クライアントと構築するウェブサイトの機能について、いろいろとディスカッションしているときに、クライアントから「ウェブサイトに標準的に取り入れられている機能にはどういったものがあるのだろうか?」という質問を受けたという。
これは「とても良い質問だ」と感じたクレストディナ氏は、「調査した結果をコンテンツ化する価値もある」と考え、さっそく調査してみることにした。
- Alexa.comから当該分野のウェブサイト候補を抽出
- HTMLなど画面要素を解析するツールを用いて、分析
その結果を元に以下のようなチャートを含む記事を公開した。
この記事では、200以上のウェブサイトからリンクを受け、「web design standards」という検索クエリでは、W3Cよりも上位に掲載されるに至り、トラフィックも大きく伸長した。
事例2: ブログ記事を書くのにかかる時間をまとめた調査記事
(How long does it take to write a blog post?)
ブログ執筆者であれば関心があるだろうテーマ「1記事あたりの執筆時間」については、経年でブロガー向け調査を実施して記事化し、毎年更新を行いシリーズ化している。
- 1,000人以上のブロガーへアウトリーチし、15の質問への回答を依頼
この調査結果から最新の1記事あたり執筆時間は3時間28分。調査を開始した5年前に比べて45%伸びていることがわかる。
この記事は、1,800以上のウェブサイトからリンクを受けているという。先に述べたようにネット上の75%の記事には1本もリンクは発生していない。その中で、プロモーション無しにこれだけのリンクを生んだのは、この記事がブログ関連トピックにおける1次資料になったことを示すものだろう。
調査の切り口の見つけ方
クレストディナ氏は、調査コンテンツの切り口の見つけ方に関して、次のように言及する。
あなたの業界の中で頻繁に話題にあがるが、根拠となるデータがないテーマは何か?
(What do people in our industry often say but rarely support ?)
このような観点で考えてみると、「今、存在していない統計データ」のヒントを見つけることができるようになるはずだ。あなたが関わる業界の人たちの会話の中で取り上げられて、業界の貢献にもつながるような調査データの切り口を生み出すことができれば、最終的に、あなたのコンテンツがプライマリーソースになる可能性は高い。
オリジナル調査を実施している企業の割合は47%
さて、このようなオリジナル調査を行っている企業は実は多くない。Mantis(マンティス)社による報告書によれば、47%の企業にとどまっているという。
一方、Hinge Marketing(ヒンジ マーケティング)社によれば、高成長企業はコンテンツ戦略として、オリジナル調査を他企業に比べて3倍多く実施しているという結果がある。
コンテンツにかける労力のリターンは指数関数的
このような調査コンテンツの制作には、率直にいって時間がかかる。通常記事の場合、文章作成と画像などのパーツの準備を合わせて、1記事に15時間ほどかけているが、先に述べたブロガー調査には、約150時間かけている。デジタルの世界では、かける時間は線形でも、それにより得られる成果は指数関数的に変わってくると力説するクレストディナ氏。
クレストディナ氏の会社では、記事の更新頻度は多くて2週間に一度だという。狙いを定めた1つのテーマに対して、最良のコンテンツを作り出すことがビジネス成果につながると信じて、より良いコンテンツを作ることに心血を注いでいる。
心得
コンテンツマーケティング領域で大変有名なメディアの1つ「Copy Blogger」のCCOソニア・シモン(Sonia Simone)氏の言葉を1つ紹介したい。
近道を選ぶな。かえって時間がかかる。
(Don't take shortcuts;they take too long.)
Tips② インフルエンサーとコラボしたコンテンツを作る
次に、「インフルエンサーと呼ばれる、ターゲットに対して影響力のある人物とコラボレーションしたコンテンツを作る」といったTipsを紹介した。
コンテンツの主なトラフィックソースとしては、「検索」「ソーシャル」「メール」の3要素であるが、今回のセッションでは、「検索」に関する説明をしていった。
自然検索で上位表示を狙うには、「コンテンツ」と「リンク」が重要な要素である。人がリンクをはる理由にはおおよそ2つあるだろうといわれている。
- 調査コンテンツのように、コンテンツにリンクするほどの大きな価値があり、中身の詳細を詳しく知るため
- リンクする人とリンクされる人の間に何らかの関係性が存在するため
インターネット上に存在する2種類の人々
コンテンツマーケティングの観点で考えると、ネットを利用する人々は大別して2種類に分けることができる。
- 1%のコンテンツクリエーター
- 99%のコンテンツを消費する人
コンテンツを消費する側の人たちは、ただ消費するだけでなく、コメントをくれたり、シェア・拡散をしてくれたりするなどの「貢献」をしてくれる人達でもあるが、ゼロからコンテンツを作る人たちではない。
1%のコンテンツクリエーターには、ジャーナリストやブロガーや編集者といった存在が含まれる。いわば、インターネットを作っている人たちだ。そしてインフルエンサーは、良質なリンクの発生源になっている。
つまり、コンテンツクリエイターには一定のフォロワーがいて、そのフォロワーたちがそのクリエイターのコンテンツを拡散してくれるわけだ。結局、影響力をもっているのはクリエイターであると言えるだろう。だからこそコンテンツマーケターは、この1%の人たちの注意を引きつけることに特段の注意を払う必要があるのだ。
ちなみにBuzzSumoを使えば、ジャーナリスト、ブロガーに絞り込んだインフルエンサーのリストを調査することが可能である(リストは米国が中心)。
以下、このリンクの発生源にもなるネット上での影響力が強いインフルエンサー達とのコラボレーションを実現する方法について紹介する。
コラボレーションコンテンツで大事なこと
まず相手に与えること・貢献すること
インフルエンサーとのコンテンツコラボレーションの形としては、3タイプ考えられる。
- 当該トピックの専門家であるインフルエンサーの発言を引用して紹介(Contributor Quote)
- 当該トピックの専門家である複数のインフルエンサーにコメント依頼して記事内で紹介(Expert Roundup)
- 当該トピックの専門家である特定のインフルエンサーへの個別インタビュー(Deep Dive Interview)
インフルエンサーを巻き込む取り組みにおいて、真っ先に思い浮かぶ疑問は「どうすれば、インフルエンサーに自分たちのコンテンツ(存在)を知ってもらえるようにできるだろうか?」ということだろう。
この目的を達成するための、大切な心構えがある。それは、「Give what you want to get(自分がしてほしいことと思っていることを相手にまずしてあげること)」というものだ。
もしもあなたが、
- リンクが欲しいなら、まずリンクしてあげよう
- メンション・コメントが欲しいなら、まずメンション・コメントしてあげよう
- Linkedinでの推奨コメントが欲しいなら、まず推奨コメントを書いてあげよう
そうすれば、エゴサーチ(= 自分の名前や会社名で検索して自己の評判などを調べる行為のこと)等を通じてあなたのコンテンツや存在に気づくインフルエンサーがでてくる。あなたが最初に施した行為のお返し(You Get What You Give)で最終的に応えてくれる可能性が出てくるのだ。
私のブロガー調査コンテンツも、「いつか、この人達にメンションやリンクをしてもらえるようになるといいな」と思った人たちをずっとターゲットとしてきた。そして、現在は、彼ら・彼女らから毎年の調査のたびにコメントをもらえる状態にまでなっている。
検索向けとソーシャル向けにコンテンツは最適化する
ほとんどのコンテンツマーケターは、コンテンツを「検索エンジン向け」に最適化することは意識できている。タイトルや見出しにキーワードを含めることや、本文テキスト内に関連トピックのコンテンツを用意すること、などだ。
だが、多くのマーケターが意識できていないのは、「ソーシャルメディア」への最適化だ。コンテンツをソーシャルメディアへ最適化する場合、その中に「人」についての言及を含めることがポイントだ。名前や顔写真の紹介も入れたい。
コンテンツ作りを通じて、つながりたいインフルエンサー達との関係性構築に向けたアクションとなっているべきなのだ。ジャーナリストが記事を書くときには、必ず情報ソースを明記するはずだ。私達が記事を書く際に、その記事テーマの専門家のコメントを引用するのは自然な行為である。
インフルエンサーとのコラボレーションがなされたコンテンツは、
- 記事に多様な視点が入ることによる品質の向上
- より大きなソーシャルリーチ(Ego bait:エゴベイト)
- 専門家との人的ネットワークの構築
など長期的なアセット構築につながるメリットが多く存在する。
心得
コンテンツマーケティングに他のインフルエンサーとのコラボレーションの要素を含めていくことの価値は、以下の言葉で表現できる。
生み出すときに味方になってくれた人は、広げるときにも味方になってくれる
(An Ally in Creation in an Ally in Promotion.)
また、筆者が好きな言葉にCalendarの創業者ジョン・ランプトン(John Rampton)氏の以下のものがあるので紹介する。
- あなたが手助けした10人に1人は、あなたのことを助けるだろう
(1 in 10 people you help...will help you back)- あなたが手助けした100人に1人は、将来ビジネスの関係になるだろう
(1 in 100 people you help...will turn into financial relationship)- あなたが手助けした10,000人に1人は、億単位のビジネスパートナーになるだろう
(1 in 10,000 people you help...will turn into a million dollar relationship)
インフルエンサーマーケティングに取り組んでいる企業の割合は?
さて、このようなインフルエンサーマーケティングを継続的な取り組みとして行っている企業は多いのだろうか。答えはノーだ。
Traackr(トラッカー)の調査によれば、B2B企業で継続的なインフルエンサーマーケティングを行っているところはわずか15%とのことだ。この領域の取り組みは多くの企業にとってまだまだ目新しい取り組みといえる。
Tips③ 自社メディアだけでなく外部メディアも含めてあらゆるところで情報発信しよう
優れたコンテンツ戦略にはPRマインドセットが必要だ。コンテンツ発信は自身のメディア(Owned Media)だけでなく、さまざまな場で発信することを狙っていくべきである。寄稿(ゲストブロギング)はその1つだ。
PRマインドセットの有無が大きな違いを生む
PRマインドセットのある戦略(青チーム)と無い戦略(赤チーム)では、時間を経れば経るほど成果に差が生まれる。前者は後者に比べて、寄稿を通じてより大きなオーディエンスとの接触機会を創り出している。
クレストディナ氏は、これまで約380のマーケティング関連の記事を執筆してきたが、そのうちの3分の1は自社メディア以外への寄稿であるという。より大きなオーディエンスとつながる機会とコンテンツクリエーターとの人的ネットワークを拡大する機会につながるこの活動を今後も続けていくだろう。
心得
もしあなたが赤チームのような取り組みにとどまっているなら、ぜひ以下の言葉を常に念頭において欲しい。
あなたのマーケティング活動が友人を増やすものでないならば、やり方を間違っている
(If you are not making friends,you're doing it wrong.)
外部寄稿を実施している企業の割合は?
さて、外部メディア等への寄稿を実施しているブロガーは全体の65%にとどまっているようだ(先述のブロガー調査より)。
Tips④ 既存コンテンツのアップデート
4つ目のTipsは、既存コンテンツのブラッシュアップについてだ。
新しいコンテンツ作り以上に、トラフィック牽引に貢献している優秀な既存コンテンツをしっかり守る(Defend Your Traffic Magnet)ことの重要性を改めて強調した。
Backlinko(バックリンコ)の創業者ブライアン(Brian)氏は、こう言っている。
検索上位にランクインしている時は、新規のコンテンツ制作に取り組む。そうでない場合、既存コンテンツをブラッシュアップして、再公開することを繰り返す
クレストディナ氏も80%は既存記事のリライトに当てているという。適切なプロセスを経たリライトは、検索流入向上に100%つながるからだ。
読者の皆さんのウェブサイトにおいても、全体平均に対して多大なる集客貢献をしてくれている優秀な記事が必ずいくつかあるはずだ。たとえば、Orbit Media Studios(OMSサイト)では「ウェブサイトのフッターデザインのベストプラクティス:最下位に置くべき27のこと」という記事は、全体平均の24330%のセッション数を獲得している。
このような検索トラフィックを集める記事は、常にパフォーマンスをチェックし、実行可能な改善施策を継続的に施すと良いだろう。
流入データを活用した簡単な最適化アクション
クレストディナ氏の場合は、Googleアナリティクスとサーチコンソールの連携を予め行ったうえで、Googleアナリティクスのフィルタ機能を用いて「平均順位を11以下でフィルタし、順位の昇順ソート」をするという。こうすることで、流入が期待できる一歩手前のフレーズを発見できる。このフレーズを記事に取り込めないかを検討し、アップデートを適宜実施していく。
サードパーティツールでサイトの外側からキーワード調査するのではなく、クリックやインプレッションがすでに発生している内部データを使って調査を実施しよう。これこそが、まさに継続的な最適化(Optimization)だ
1,000記事もいらない、100の良記事を作ることに注力する
既存の記事が十分なページオーソリティを獲得しているにも関わらず、突然、順位や検索トラフィックが下落することがある。このような時は、自身のページがGoogleから当該トピックについての「最良のページ」と見られなくなった、と捉えてリライトに注力していくことが良いだろう。
Orbit Media Studios(OMSサイト)で公開した「ウェブサイトのフッターデザインのベストプラクティス:最下位に置くべき27のこと」に関する記事を例に挙げる。
少し順位の下落が見られた本記事について、次のような方法で再調査を実施。
- Googleサジェストを通じた新規トピック収集
- サードパーティツール(Keywordtoo.ioなど)からの関連キーワード収集
- People Also Ask(日本未導入のGoogleフィーチャー)を通じた、検索者の疑問の収集
- 上位ページがメインキーワード以外に獲得している流入キーワードデータの収集(Mozなどを利用)
これら収集したキーワードやサブトピックを一覧化し、取り込み可能なものについて記事に反映させていく。
その結果、更新前は
- 845ワード
- 6つのセクション
- 5つの図解
だった記事が、更新後には
- 4,300ワード
- 4つのメインセクション、27のサブセクション
- 30の図解
- 5つのインフルエンサーからのコメント引用
という体裁のものに大きく変わった。対象とするトピックが広範なため、結果としてかなり大掛かりなコンテンツとなった。
Google検索において、「web design tips」のキーワードで1位となり、検索トラフィックも改善前に比べて10倍に伸長した。
心得
コンテンツ制作において、クレストディナ氏がいつも意識していることは以下のことである。
そのトピックスについて、インターネット上で最良のページを作ろう
(Make the best page on the internet for your topic.)
今日のセッションで一番大事なメッセージはこれである。これこそが青チーム(品質重視)の戦略である。
コンテンツマーケティングを成功させるのに1,000の記事はいらない、100の最良の記事をつくることを常に心がけてほしい。
Tips⑤ 良いコンテンツは、画像やインフォグラフィック、動画などに展開する
最後のTipsは、良い記事フォーマットを見つけたら、その型を模してクローンを作り、画像やインフォグラフィック、動画などに展開することだ。
ビジュアルコンテンツ化:ハイパフォーマンスコンテンツのクローンを創る
MobileMonkeyの創業者ラリー・キム(Larry Kim)氏、はこう言う。
ユニコーンを見つけたら、(それを元に)次のユニコーンをつくりだそう
(When you find a unicorn,make baby unicorns.)
青チームのような高い品質のコンテンツから、クローンを作り出すことができれば、そのコンテンツの成功確率は高まるだろう。その際の変換フォーマットとして、ビジュアル化(画像、インフォグラフィック、動画)をおすすめしたい。
図+寄稿=リンクの発生
人気アニメ『ファミリー・ガイ(Family Guy)』の作者セス・マクファーレン(Seth Macfarlane)氏から、執筆記事内で「インフルエンサーマーケティング」についてのコメント依頼があった際、テキストだけでなくイメージ画像も作成して、提供したという。イメージ画像には、参照元となる記事のリンクを記載してある。
テキストを補足するために、イメージ画像も併せて提供しているが、それ以外にも理由があるという。テキストだけの記事だけだと、リンクは(編集方針などによっては)取り除かれる可能性がでてくる。
しかし、「テキスト+図解」の形式で協力すると、その図解の著作元ページをリスペクトしてくれる傾向が高い(道義的にもそのように考えるのは普通だ)。結果、効果的なリンクの発生につながりやすい。
全ての施策ミックスを実践できているのは1%だけ
さて、ここまで紹介したTipsをすべて織り交ぜて、自社のコンテンツマーケティング戦略に活用できている人はどれぐらいいるだろうか?
- オリジナル調査を実施している:25%
- インフルエンサーマーケティングを実施している:20%
- 外部への寄稿(ゲストブログ)を実施している:65%
- 既存コンテンツの継続的なアップデートを実施している:38%
すべてをかけ合わせると、25% × 20% × 65% × 38% = 0.01
すなわち、このすべての施策の価値を理解できているコンテンツマーケターはたった1%だということだ。
ぜひ、今日のセッションを参考にしていただき、コンテンツマーケティングを通じた皆さんのビジネスをより一層成果のあるものにしていこう。
ソーシャルもやってます!