Mozcon

GoogleアルゴリズムでE-A-Tは重要な要素。E-A-Tを高めるための実践的Tipsとは?

Googleは、サイトのE-A-Tをどのように判断して、ランキングにどのような影響を与えているのだろうか。ぐるなび伊東氏によるMozcon2019レポート

Googleは、サイトのE-A-Tをどのように判断して、ランキングにどのような影響を与えているのだろうか。

米国シアトルで7/15~19に行われたMoz主催のカンファレンス「MozCon2019」に登壇した、マリー・ヘインズ氏は、「E-A-Tは、Googleアルゴリズムにおけるランキングファクターであり、まっとうなビジネスをしている企業サイトであれば、E-A-Tの改善によってトラフィックの回復が可能だ」と語る。

「一体なぜ、E-A-Tがランキングファクターであると言えるのか?」、「E-A-Tを高めるためにするべきことは?」彼女のセッションレポートをお届けする。

「MozCon2019」に登壇した、SEO会社を経営するマリー・ヘインズ氏

解説前に……「E-A-T」と「品質ガイドライン」とは

本題をレポートする前にまず、「E-A-T」とE-A-Tのコンセプトが記載されている「品質ガイドライン(Quality Rater Guidelines)」について、解説しておこう。

E-A-Tとは?

E-A-Tとは、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取って作られた略語である。

品質ガイドラインとは

E-A-Tは、Googleが公表している「品質評価ガイドライン(Quality Rater Guidelines)」の中に頻繁に登場する重要なコンセプトであり、世界中に約16,000人いるクオリティーレイターと呼ばれるリサーチャーが検索結果の品質についてスコアリングする際の手引きとなっているドキュメントだ。つまり、品質ガイドラインとは、「アルゴリズムの進むべき方向性」を指し示しているとも言える。

一体なぜ、E-A-Tがランキングファクターであると言えるのか?

米国でSEOコンサルティング会社を経営するマリー・ヘインズ氏(Marie Haynes)は、Googleのアップデート等で大きくトラフィックを失ったサイトの改善支援を行っており、そのようなクライアントのデータの分析を数多く行っている。

ヘインズ氏は、「Googleアルゴリズムにおいて、E-A-Tは重要な要素である(ランキングファクター)である。まっとうなビジネスをしている企業サイトであればE-A-Tの改善によってトラフィックの回復が可能だ」と言う。

「E-A-Tがランキングファクターだ」と彼女が考える理由に、Google内部の重要人物の発言や、Googleが対外的に公開しているドキュメントからそのことが窺い知れるからだ。

品質ガイドラインの立ち位置

Googleの検索担当副社長のベン・ゴメス氏は品質ガイドラインの立ち位置について、CNBC.comのインタビューで以下のように語っている。

  • 「品質ガイドラインは、アルゴリズムの進むべき方向性を指し示している」
  • 「品質ガイドラインは、アルゴリズムのHow(実現方法)は語ってないが、What(進むべき方向性)を語っている」

また、Googleがフェイクニュースなどの誤情報への取り組みについてまとめたドキュメント“How Google Fights Disinformation”の中では、

  • 「クオリティレイターによる判断結果は、個別サイトのランキングには影響しないが検索結果の品質を評価するのに役立ち、その結果、高い品質基準を満たすアルゴリズムを構築できるようになる」
  • 「ランキングシステムは、高いE-A-Tの兆候を持ったサイトを特定するように設計されている」

と、E-A-Tとアルゴリズムの密接さを示す言及がなされている。

Google社 検索担当副社長 ベン・ゴメス氏の発言「品質ガイドラインは、アルゴリズムの実現方法については語っていないが、アルゴリズムがどうあるべきかを語っている」

「Googleが品質ガイドラインやその他の同社の公開ドキュメントで何かを明示的に記述するときには、それはすでにアルゴリズムとして組み込まれているケースが経験上多い」というヘインズ氏。こういった理由から、「E-A-Tも重要な要素と捉えている」わけである。

E-A-Tのうち、どれが一つの要素だけでは不十分

ヘインズ氏がE-A-Tを重要視する一方で、懐疑的な意見もある。

MozCon2019に登壇している別のSEO専門家のルース氏(Ruth Burr Reedy)が、「E-A-TはGoogleアルゴリズムにおいて、重要な要素ではない」とツイートした時、「Wanna fight?(私と戦いたいの?)」とリプライしたという内容とともに自らのツイートをスライドで紹介している。

ルース氏のツイートに対する返信

もちろん、ユーモアなので会場は大きな笑いに包まれたが、実際にある歯科医から次のようなことを投げかけられるという。

「私は歯科の専門家であるにも関わらず、私のサイトはランキングで上位表示されない。だからE-A-Tは機能していないのではないか」(歯科医)。

確かに、ヘインズ氏は「まっとうなビジネスであれば、E-A-Tの改善により、サイトのトラフィックの改善を実現することは可能だ」と説いているが、E-A-Tは3つのコンポーネントから構成されているということを忘れてはいけない。

この歯科医は、3つの構成要素のうち、E(Expertise:専門性)のことを指して述べているに過ぎない。残念ながらこれだけでは不十分である。A(Authoritativeness:権威性)とT(Trustworthiness:信頼性)も同時に磨き上げる必要があるのだ。

ユーザーは、そのコンテンツが実務経験や確かなバックグラウンドをもった人物によって書かれたものであるかどうかを知りたいのであり、そのことがGoogleにも伝達される状態でなければならない。

まず始めるべきは著者情報ページ

このための取り組みとして、ヘインズ氏は「著者情報紹介ページ」の整備を挙げた。

誰もが知っているような有名人でも無い限り、全ての記事に、著者欄と詳細な著者情報紹介ページへのリンクを設置すべきだという。筆者情報紹介ページでは、自身のこれまでの執筆記事を一覧で紹介するだけでなく、当該トピックについて自身が専門的に語る資格がなぜあるのかを示す(アピールする)必要がある。

著者情報が重要ということなら、その情報を明示的にGoogleに伝達できる構造化データマークアップの利用は役立つのだろうか?

これについて、Googleのジョン・ミューラー氏は、「構造化データマークアップの利用そのものは、ランキングファクターではない」と否定したが、同時に「Googleが記事と専門家、ブランドと専門家という点同士を結びつけるのに役立つ(Schema helps Google connect the dots)」と回答している。

E-A-T改善の最初の取り組みとして、著者情報+構造化データマークアップは検討したい施策と言えるだろう。

Googleはいかにして、E-A-Tを把握するのか

さて、そもそもGoogleは、どのようにしてサイトのE-A-Tを把握するのだろうか?

Googleのゲイリー氏が登壇したSEOカンファレンスの一つ「Pubcon(パブコン)」で、ヘインズ氏は「E-A-Tをどう把握するのか?」と質問した。

ゲイリー氏は、「権威性のあるサイト上からのリンクおよびメンション(リンクを伴わない言及)に大部分は基づいている」と回答したという。また、品質ガイドライン内のE-A-Tのセクションを読むように推奨した。

Pubcon参加時に、ゲイリー氏の回答を記したツイート

そこで、品質ガイドラインを改めてチェックしてみよう。権威性に関する言及箇所は、たとえば以下のようなものだ。

品質ガイドライン2.6.1より

英文: Use reputation research to find out what real users, as well as experts, think about a website. Look for reviews,references, recommendations by experts, news articles, and other credible information created/written by individuals about the website.

和訳: 対象ウェブサイトのことを実際の人間、-専門家も含めて-、どのように考えているのか調査します。また、評判、参照データ、専門家による推奨、ニュース記事、その他の信頼できる情報を探します。

これらから言えることは、「あるトピックについて、Googleによってすでに専門家と認識されている人物によっておすすめされている他の専門家がいれば、それを専門家と見なす」、ということだろう。

また、先にも取り上げたGoogleによるドキュメント“How Google Fights Disinformation”の中では、Googleはページランクなどのアルゴリズムを活用しながらそのページが信頼性を有しているかどうかを調べていると記述している。

こうしたことからE-A-Tはガイドラインの中の概念としてだけでなく、実際のアルゴリズムに既に組み込まれているものと考えられる。

GoogleのアルゴリズムがE-A-Tを調べる方法についての回答。ページランクに代表されるリンクに関するデータを用いてると記載

メンションは何に使われているのか?

E-A-T把握におけるリンクの役割はわかった。では、メンションの役割は一体何なのだろうか?

以前に、米国で人気のオンラインコミュニティ「Reddit(レディット)」で開催されたゲイリー氏へのAMA(Ask Me Anything:質問企画)にて、有名なSEO専門家の一人、パトリックス氏がメンションについて質問をしたことがある。

パトリックス氏の質問:「メンションは、何に使われているのだろうか?」

ゲイリー氏の回答:「エンティティーの決定のためだ(Entity Determination)」

RedditのAMA企画でのゲイリー氏の回答

リンクを伴わないブランドや名前についてのメンション(言及)は、それらが世の中におけるモノ・コト(エンティティ)であることをGoogle に認識させるシグナルの役割を果たしているということだ。

E-A-T把握の重要な情報ソースであるリンクとメンション。それぞれの役割について整理できただろうか。

E-A-T改善に役立つ実践アイデア

これまで、E-A-Tについて整理をしてきたが、1つ言えることがある。それは、E-A-Tを向上させる取り組みは、いわゆる「リンクビルディング」に近いということだ。

ただし、単なるリンクビルディングではなく、トピックの権威サイトからのリンク獲得を目指すリンクビルディングが必要となってくる。

以下に、この目的達成に資するアイデアをいくつか紹介する。

HARO

HARO(ハロ)とは、Help a Reporter Outというジャーナリストやブロガー向けの情報ソース提供サービスである。記者が記事を作成するときに、説得力を補強するためにデータやエキスパートの意見を活用したい時がある。そんなときに便利なのがこのサイトだ。こちらに、自身が提供できる有益な情報を登録することで、権威メディアが引用の形でその情報を使用し、その結果、メンションやリンクが生まれる可能性が出てくる。

データ

あなたの会社やサイトにはどのようなデータがあるだろうか? そのデータを使って、あなたの関連業界の他の人達が欲したり、参照する記事を作ってみることを検討してみよう。

ヘインズ氏の会社では、Googleアルゴリズム変更の記録を克明に記した「アルゴリズム変遷の完全ガイド」を記事化しており、業界関係者からのリンクや参照を数多く受けているという。

アルゴリズム変遷を詳細に記録した記事:https://mariehaynes.com/algo

有益な情報提供

もし、あなたの会社にカスタマーサポートセクションがあれば、ぜひそこのスタッフに「継続的に問い合わせがなされている質問は何か?」と尋ねてみよう。その質問はまさに顧客が求めている情報であり、その情報ニーズの回答となる記事を作成することによって、リンクの発生や専門家によって「おすすめの情報」として紹介される可能性が生まれる。

ツール

自身の業界の人々の業務が効率的になるツールを作成することを考えてみよう。そのような便利ツールには、リンクが集まりやすい。

ヘインズ氏は事例として、自身の会社で提供しているリンク調査ツールを紹介した。彼女の会社が保有しているブラックリストURLとの照合ができるもので、サイトにはられているリンクが否認すべきものかどうかを簡易的に調査できる。このツールの紹介ページには多くのSEO業界関係者(専門家)からのリンクが集まっているという。

ヘインズ氏の会社が提供するブラックリストURLとの照合ツール:https://www.mariehaynes.com/blacklist/

テスト結果

実験的な取り組みを行った結果を記事としてシェアすることは、リンクビルディング観点で非常に有効な施策だ。

通常、テスト結果というものは、成功であれ失敗であれ、公開することにはためらいが生じがちである。が、同じ業界にいる人間にとっては、他社のそういったチャレンジは興味深いことであるし、あまり表に出ることのない取り組みを世の中に公開したという行為に対する称賛を得ることにもつながる。それが、リンクという形で現れる。

Mozのブリトニー・ミュラー氏(Britney Muller)が、「Mozブログのインデックスを大幅に削減するテストを行った結果」を記事化してくれたが、Mozのような著名サイトの大胆な取り組みへのSEO従事者の興味・関心は高く、またそれをシェアした彼女への称賛がソーシャル上で多く集まり、彼女に対する多くのメンションとリンクが生まれたのである。

大きく考えよう!(Think Bigger)

最後に、ヘインズ氏が以前にSEO専門家のビル・ハント氏と共同で行ったウェビナーでの氏の発言を引用した。

“When someone links to you, they are inviting the reader to leave their site,and visit yours”(誰かがあなたのサイトへリンクを張るということは、読者に自分たちのサイトを去り、あなたのサイトへ行くように招いているということだ)

仮に競合サイトからこのようなリンクを得ることができたとすれば、大変な推奨を獲得したと言えるだろう。それに比べると、ゲストブロギング(寄稿)によってそのサイト内に自身の著者情報が埋め込まれるというのは、ややセルフメイド(Self-made:自演的)なリンクと言えるのかもしれない(全てのゲストブロギングが悪いわけではないが)。

E-A-T向上につながる、ハント氏がアドバイスするようなリンクを獲得するための大事な心構えは、“大きく捉える(Think bigger)”であること。

ぜひE-A-Tの意味合いを正しく捉えて、今回紹介したTipsをヒントにE-A-T改善に取り組んで欲しいと述べて、セッションを終えた。

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

Python
「Python」(パイソン)は、プログラミング言語の1つ。プログラマのグイド・ヴ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]