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ゼロクリックサーチ50%超え時代に、マーケターはどう対応するべきか

ランド・フィッシュキン氏が語る「ウェブ検索2019」の後編。ゼロクリックが半数を超える時代マーケターはこの事実とどう向き合うべきか?

検索結果に満足して、検索を終わらせた人の割合(ゼロクリック)は、2019年6月の調査では、50%を超えたという。こうした時代にマーケターはどう対処すべきか。

米国シアトルで7/15~19に行われたMoz主催のカンファレンス「MozCon2019」に登壇した、Moz前CEOのランド・フィッシュキン(Rand Fishkin)氏は、「ウェブ検索の現在と未来展望」という内容で講演。前編に続き、今回は後編をお届けする。

ゼロクリックサーチ50%超えの時代への対応:On-SERP SEO

2019年6月直近のクリックストリームデータでは、ゼロクリック検索がついに初めて50%を超えた(対象:米国)。

黒がゼロクリック検索のクリック率割合。対象デバイスはデスクトップ及びモバイルの合算値

サーチマーケティング戦術の効率性は常に変化している。

このゼロクリック50%超えは、トラフィックが発生しないという事実の裏返しとして、50%の「SERP面を活用したSEOの新しい機会」として捉え直すことができるはずだ。

On-SERP SEOの機会を検討すべき時である。

筆者の理解でこのコンセプトを言語化すれば、次の通りだ。

  • たとえクリックが発生しなくとも、自社プロダクト・サービスに関連するクエリでの自社露出を高めることにより認知を高め(クエリとブランドを消費者の脳の中で関連付けことを狙い)、最終的なビジネス目的達成に資する戦略
  • ブランドへの検索需要を創出することを意図し、最終的に「すべての自社プロダクト・サービス関連一般キーワードに比べ、自社プロダクト名・サービス名での検索が最も多くなることを理想とする」野心的なSEO戦略

ちなみに、On-SERP SEOの具体的な施策については、本セッションでは詳細は語られなかったが、2018年のBrighton SEOカンファレンスにてランド氏が紹介をしているので、簡単に紹介をしておくと、次の通りである。

  • 自社ブランドクエリでのSERPの見え方をコントロールする(ナレッジパネルなど)。ブランドクエリでのSERPは、最もGoogleに侵される心配がないものである(だからこそ、自社ワードでの検索需要を作り出す価値は高い)
  • バーチカルへ検索へのSEO投資(Google ニュース、Google マップ、YouTube等)
  • 自社関連クエリで、Googleがアグリゲート型のSERPを表示する場合は、アグリゲートされているサイトで自社が言及されるように寄稿などを検討する
  • 強調スニペットへのSEO投資

興味のある方は、Brighton SEOの動画もアップロードされているため、参照してほしい。この時のセッションは、「海外&国内SEO情報ウォッチ」でおなじみ鈴木謙一さんの「海外SEO情報ブログ」でも日本語で記事化(https://www.suzukikenichi.com/blog/the-future-of-seo-is-on-the-serp/)されています。お時間ある方はこちらも参照されたい。

さて、On-SERP SEOへ注力するかどうかの簡易的な意思決定ツリーは以下となる。

  • このクエリで上位表示することは、たとえクリックがなくても自社にとってベネフィットがあるか?
  • (イエスなら)自社のチーム、あるいはクライアントがトラフィックが発生しないキーワードでのランキング上位表示をちゃんと認めてくれるか?
  • (イエスなら)On-SERP SEOへ投資しよう!
  • (ノーなら)On-SERP SEO投資はせず、別のトラフィックが発生するキーワードへ注力しよう。
ゼロクリック検索に対しての施策意思決定ツリー図

権威性、正確性、網羅性への比重が高まるアルゴリズム

次にランド氏が話題にしたのは、最近のGoogleのアルゴリムにおける権威性重視、正確性重視の傾向についての話だ。

少し前の話題となるが、2012年に米国合衆国コネティカット州のサンディーフック小学校で発生した銃乱射事件の際には、数多くの誤報が本件の関連キーワードで上位表示する問題が発生した。

この事件を受けて、Googleのシニアサーチエンジニアがメディアの取材に対して、「犯罪に関する検索に関しては、より権威性(オーソリティ)を重視するようにアルゴリズムを調整した」旨のコメントが掲載された記事の紹介をした。

Google社シニアサーチエンジニアのアルゴリズムにおけるオーソリティの比重を高める旨のコメント(記事元:The Guardian)

2019年6月には、Googleのコアアルゴリズムのアップデートがあったが、Mercola.comはこのタイミングで大幅に自然検索流入を失った医療情報系メディアだ。

この事象から読み取れることは、YMYL(Your Money or Your Life)領域については、「定説となっていない、専門家の間でコンセンサスが成立していない情報を掲載しているサイトのランキングは落とす」ということだ。

このような経緯を経て、今やGoogleは「リンク、クリック、キーワード」といったものから、「正確性や網羅性」を重視する傾向に変化をしてきている。

Googleのアルゴリズムにおいては、間違った情報が深刻な問題を引き起こすクエリにおいては、正確性、権威性、網羅性が重視傾向にある

これがマーケターにとって意味することは、次の通りだ。

  • サイト構築においては権威性を高めることを重視すること。すでに存在している(トピックに関連する)権威サイトからのリンク(単純な量や、単純な質ということではなく)は、大きなランキングファクターだ。
  • コンテンツの正確性改善(最新情報をキープ、網羅性、確かさ)はランキングを押し上げるだろう、そして強調スニペットの獲得へつながるだろう。
  • 自身が展開する考えが、そのトピックに関する権威のコンセンサスとは異なる、尖ったものである場合、ランキングには逆効果になる可能性がある。

オーソリティ構築のために、ソーシャルプラットフォーム上で勝利すべき

オーソリティ構築に向けたソーシャルとの向き合いの重要性

ランドが最後に取り上げたトピックは、「エンゲージメント」についての話だ。

今回のセッションでは、Googleからの自然検索トラフィックが徐々に難しい状況になってきている話をしたが、ソーシャルプラットフォームについては、随分前からすでにその状況になっている。

RivalIQのデータによれば、Facebookの平均エンゲージメント率は0.09%、Twittrは0.048%、Instagramは1.76%だ。

Facebookを主たるトラフィックジェネレーターとしていたパブリッシャーの多くはその恩恵をすでに失っている。

Rival IQ調べによるソーシャルプラットフォームの平均エンゲージメント率データ

そのような中、なぜエンゲージメントを話題にする必要があるのか?

それは、ソーシャルで勢いのあるコンテンツは、「メディアが引用し」「ブロガーやジャーナリストが言及し」「自然リンクを発生させ」「影響力のあるソーシャルアカウントが更に拡散」につながるからだ。

すなわち、オーソリティ構築において、とても重要だからである。

もし、あなたが

  • アウトリーチ(Cold outreach)なしに、高オーソリティサイトからリンクを得る
  • リンクを張ってくれる可能性のあるオーディエンスへの拡散やトラフィックを得たい
  • ブランド指名での検索需要を高めたい
  • トラフィックソースに多様性をもたせたい
  • サブスクライバーを増やしたい

なら、ソーシャルプラットフォーム上で勝つ必要があるのだ。

今のソーシャルプラットフォームのメカニズム理解

さて今、ソーシャルリーチを高めるために留意すべき点は何か?

すべての主要プラットフォームのフィードやレコメンドのアルゴリズムが、エンゲージメントデータをもとにした機械学習がベースとなっていることを知っておく必要があるだろう。

たとえば、Twitterは、機械学習のモデル構築にエンゲージメントデータを用いていることを技術ブログで公開している。

Twitterブログスライド

ランドは、彼の妻であるジェラルディン(@everywhereist)のツイートを事例として使って、ソーシャルの機械学習アルゴリズムが標的とするソーシャルリーチが高まる事例とそうでない事例をそれぞれ紹介してくれた。

ソーシャルリーチが高まらない事例

ソーシャルリーチが高まらない投稿事例

まず、ソーシャルリーチが高まらない、つまり広がらない事例から紹介する。上記の投稿は、自身のブログ開設記念10周年とランド氏との円満な関係を趣旨とするツイートだ。この投稿に祝福のコメントがいくつかつくことはあれど、この後、あまりコミュニケーションが広がることは期待できない。Twitterの機械学習アルゴリズムが発動しないタイプのツイートで、ソーシャルリーチも広がらない。

ソーシャルリーチが高まる事例

ソーシャルリーチが高まる投稿事例

一方、ソーシャルリーチが高まる事例はこちらだ。上記は「ジョーカーはきっと女性で、男性から微笑むことを強要された結果、不気味な笑顔をするよるようになったのだ」という内容で、やや議論を呼び起こすタイプのツイートである。

反応は単なるリツイートではなく、活発なリプライがつくようなものになっている。こういったタイプの投稿(炎上投稿ということではなく、リプライがしっかりつくようなものとの意味)は、ソーシャルリーチが広がる傾向にある。

影響力のあるアカウントによるリツイート単体ではソーシャルリーチは広がりづらい。

ソーシャルプラットフォームは、ユーザーがプラットフォーム上にずっととどまりたくなる、中毒を起こしたくなる方向へ仕向けるようにそのアルゴリズムが訓練されているのだ。

ソーシャルリーチに影響を及ぼす要因についての2014年と2019年の比較は以下となる。

ソーシャルリーチの重要ファクターの2014年と2019年の比較

どのソーシャルプラットフォームもコメントなど、そのプラットフォーム上での滞在が継続するような方向性のシグナルが、リーチ拡大の要素となっている。

SEOの未来

ITPなどウェブアナリティクス面への影響や、On-SERP SEOの検討必要性など、デジタルマーケティングは再びトラッキングが難しい世界に戻りつつあり(A return to less trackable marketing)、難しさを増している。

一方、SEOに従事する人々の数はLinkedinのプロフィールベースでは、2015年に比べて470%増加しており実に大きなインダストリーとなった。ますます競合性は高く、洗練されたサービスが求められるようになってきている。

これまで見てきたように、サーチは増えれどオーガニッククリックシェアは減少傾向、検索アルゴリズムのシグナルも激しいシフトが起こっている。

変化するアルゴリズムの比重(概念図)

マーケティング戦術の効果は、常に変化し続ける。

その中で生き残り続けることは簡単ではないが、「MozConは、そんな未来に対して戦っていけるインサイトの数々を今日集まってくれたオーディエンスの皆に提供してくれるはずだ」とのメッセージを残しランドはセッションを終えた。

ランド・フィッシュキンによる本セッションのフルスライドは既に公開されている。 ご興味ある方は、こちらもぜひご参照ください。

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