【レポート】Web担当者Forumミーティング 2018 Autumn

ユーザーは「匿名+テキスト」で問い合わせしたい? 最新チャットボットの活用事例

ユーザーは電話・メールよりチャットを使う時代。テキストの会話だけではない、チャットボットの可能性についてNTTドコモの小林氏が語った(Web担セミナー)。
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スマートフォンのユーザー調査では、メールやショートメッセージ(SMS)を使う回数よりも、LINEを使う回数の方が2倍以上多いという結果が出ている。ユーザーとの接点として効果的なのは、メールや電話よりもチャットということが言えそうだ。チャットサービスは、人の対応をサポートするもの、ボットによって自動対応するもの(チャットボット)、大きく2種類が存在するが、人手をかけずにユーザーとのコミュニケーションを効率化するには、チャットボットが有効だ。

Web担当者Forumミーティング 2018 秋」に登壇したNTTドコモの小林拓也氏が、チャットボットの活用事例と、作成・運用プラットフォームについて紹介した。

NTTドコモ イノベーション統括部 クラウドソリューション担当 小林拓也氏

ユーザーの動線は電話やメールからチャットに移動

ユーザーからの問い合わせチャネルとして、電話やメールに加えて「チャット」の存在感が増している。理由の一つには、LINEなどのメッセージアプリを使うことが増え、業務でも「slack」や「chatwork」を活用するなど、ユーザーがテキストでのコミュニケーションに慣れてきたことが挙げられる。

スマートフォンの利用状況として、キャリアメールは一日に3.3回、SMSか3.4回なのに対し、LINEは10.8回送信しているという調査もある(MMD研究所:2017年版 スマートフォン利用実態調査)。

スマートフォンの一日平均利用状況(MMD研究所)

 

電話は、つながれば会話できて即時性には優れているが、なかなかつながらないケースも多い。また、事業者側の視点では、1人のオペレーターは1人の相手しか対応できない。

逆にメールは複数人に対応可能だが、利用者にとってはいつ返事が返ってくるか分からない。チャットは、その中間に位置する。

タイピングの時間などが必要で電話に比べれば即時性は落ちるが、問いかければ返事は返ってくるし、小林氏によれば「1人のオペレーターで3人程度は対応可能」だ。また、メールやチャットにはログが残るという記録性や資料共有が可能という、電話にはないアドバンテージもある。

そして、チャットならではのメリットが、匿名性だ。電話は電話番号が、メールはメールアドレスが伝わってしまうが、チャットであれば匿名での問い合わせも可能となる。ユーザーにとっては、気軽に問い合わせできるというのが大きなメリットだ。

ただし、この気軽に問い合わせできるというメリットが、逆に事業者側にとって課題となることもあるという。

電話・メール・チャットのすみ分け

 

気軽さはユーザーの声を聞くチャンスでもあるが、逆にいうと問い合わせが増えることがある。オペレーターの稼働を削減したくてチャットを導入したのに、結果的に減らなかったということが起きる。また、人力で対応すると、人が辞めることもあり、詳しい人と新人で対応品質にばらつきがでる(小林氏)

これを解決するのがチャットボットである。チャットボットとは、チャットとロボットを掛け合わせた造語だ。ロボットは自動的に処理するというニュアンスで、自動応答するチャットと考えてもらえばいい。

  • チャット=データ通信を利用したリアルタイムコミュニケーション
  • ロボット=人の代わりに作業を行う装置

もちろん、契約状況を確認したうえで対応が必要な場合など、オペレーターに引き継いだ方がいい問い合わせもある。そういうものはチャットボットからエスカレーションすることで、オペレーターにダイレクトに来る問い合わせを減らすという使い方ができる。

NTTドコモでは、「Repl-AI(レプルAI)」というチャットボット作成・実行プラットフォームをインターメディアプランニング社と共同開発している。NTTドコモはモバイル通信のキャリアだが、その他にもdマーケットやポイントなどさまざまな事業を展開している。

現在注力しているのは「社会価値の協創」で、「IoT」「社会的課題の解決」「地方創生」「20202」といったことがキーワードになっているという。2020に向けた技術革新のポイントとして「5G」「IoT」「ビッグデータ・AI」の3つが挙がっており、チャットボットはAIの分野に属している。

AIはその意味する範囲が広いが、ここでいうのは人間の感覚器官(目や耳など)の機能を実現する、画像認識や音声認識の技術のことである。ドコモとチャットボットがどうつながるかと疑問に思うかもしれないが、「実はドコモには『しゃべってコンシェル』というサービスがあり、昔から自然言語処理を磨いてきて、その技術を活用している」と小林氏は言う。

活用パターン別、チャットボットの導入事例

チャットボットは、キャンペーン・エンタメ、問い合わせ・検索代替など、事例は増えてきているという。小林氏によれば、チャットボットの活用パターンは3つある。それぞれについて、事例を紹介する。

活用パターン① テキストベースで対応をするパターン

典型的な使われ方は、ユーザーがテキストで質問し、チャットボットがテキストで答えを返すパターン。

事例として、横浜市資源循環局の「イーオのごみ分別案内」が紹介された。ユーザーが捨てたい物の名前を入れると、その処理の方法をチャットボットが詳しく教えてくれるというもの。

ポイントは、最初に「ごみの名前を教えてくれたら、出し方を案内するよ。……」と、ユーザーに質問の仕方をレクチャーできることだ。この案内文を季節ごとに変えることで、重要なアナウンスにも使える。

たとえば、年末年始のゴミ収集のない期間をお知らせに利用することで、ホームページに載せるよりも見てもらえる可能性が高いという。また、時間外・休日でもユーザーが質問できることはメリットだ。

横浜市資源循環局の事例

 

もうひとつは海外の事例だが、米国泌尿器学会の「性病のスクリーニング」という、何の病気か相談にのるチャットボットが紹介された。

「人間相手だと恥ずかしくて聞けないが、裏側が機械なら恥ずかしくない」というのがポイントで、解答精度は約78%だったものの、97.7%の人がこれをきっかけに病院に行くという結論に至ったという。

活用パターン② 質問はテキスト、返答はテキスト+画像/動画/位置情報 などで行うパターン

ユーザーがテキストで質問したことに、画像や動画、位置情報などを返すパターンもある。

ひとつめは、墨田区すみだ清掃事務所の例だ。ゴミ回収の担当者は、生ゴミが水切りせずに出される状況に困っていたとのことで、「ペットボトルの上を切ってネットを通して引っ張ると、簡単に水切りできる」というのが動画で説明されている。文字で説明するとわかりづらいが、動画なら一目瞭然でわかる。

ウェブでの申し込み手続きがわかりにくくて離脱するという課題があるなら、方法を動画で説明すれば解決する可能性がある(小林氏)

墨田区すみだ清掃事務所の事例

 

次に紹介された名古屋市東山動植物園の事例は、位置情報を返す例だ。東山動植物園は、敷地が広い。見たい動物がどこにいるか、園内のガイドマップや手元のパンフレットを見るのが難しかったり面倒だったりするので、チャットボットに「ライオンはどこ?」と聞くというイメージだ。

チャットボットが返してくる位置情報をタップすると、Googleマップが起動して場所を教えてくれる。園内なら自分の位置情報も表示されるので、どちらに向かって歩けばいいかすぐにわかる。

この機能は、自社の施設が広い敷地を持っている場合や店舗がたくさんある場合の案内にも有効だ。また、動画や位置情報以外にも、申請フォーマットや案内の書類が見つけてもらいにくいという課題があれば、チャットボットがダウンロードURLを返すという形で解決できる。

名古屋市東山動植物園の事例

 

活用パターン③ 質問も返答も写真・動画・位置情報などで行うパターン

質問がテキストでないというパターンもある。もはやチャットとは言えないかもしれないが、たとえば海外からの観光客で日本語の入力が難しいという場合など、画像で質問するのが有効だ。

観光ガイドとスタンプラリーを組み合わせた石巻市後援の事例も紹介された。観光スポットの写真を送ると、AIが画像を認識して、スタンプラリーの要領でカードにスタンプを押してくれるという。これはまったくテキストを使っていない。

街づくりまんぼうの事例

 

次に、近鉄奈良駅で提供された「奈良ガイドボット」は、チラシやガイドブック、ポスターなどに掲載された観光スポットの画像を撮影し、チャットボットに送るとルートや目的地に近い出口、観光地の情報などを返してくれる。

近畿日本鉄道/NTT西日本/NTTの事例

 

また、本格リリースはされていないが、自分の位置情報を送ることで、近くのコンビニやATM、駐車場やコインロッカーを教えてくれるというサービスが利用可能になることもあるし、実際にそんなサービスがあったら便利だろう。

質問のログは貴重なネタ帳

ここまでの事例で、チャットボットには以下のような価値があることがわかる。

① 時間外の対応

人が対応できない時間に、代わりに対応してくれる。

② 視認性の高さ

聞かれたことに関する情報のみ表示するため、ユーザー側で取捨選択しなくていい。たとえば、ゴミの出し方の場合、ホームページには50音順の表になっていて、そこから目当ての物を見つけるのは面倒だが、チャットボットなら聞きたい物についてだけ答えてくれる。

逆に言えば、チャットボットを作る際には、たくさんの情報を載せないようにする方がいい。「チャットウィンドウは狭いので、収まる程度に情報を絞り、コンテンツ提供するのがポイント」だと小林氏は言う。

③ ユーザーの声を拾う

ログを見ると、ユーザーが何を聞きたがっているかがわかる。ユーザーが見つけられない情報は何か知ることができ、追加すべき項目を見つけるなど、改善の目安にもなる。さらに、気軽に聞けるということで、遊びのような質問をするユーザーもいるという。

他にも、ユーザーが遊んでいるようなワードがたくさんあるが、このような質問が来たときに気の利いた返しをすると、ユーザーはおもしろがってTwitterでリツイートしてくれたり、もっといろいろと聞いてきたりする。

いい印象が残り、チャットボットを使うことの定着率にも寄与するので、ふざけたログだとバカにせず、おもしろいネタを仕込むきっかけと捉えてほしい(小林氏)

もちろん、真面目なものもあり、事業者目線では思いつかないような、ユーザーが普段聞くことを躊躇したり遠慮したりしていることがログに現れるので、非常に参考になるデータが拾える。

また、ログを見るとユーザーは文章ではなく、キーワードで聞いてくることが多いとわかる。チャットボットの導入を検討している段階で、質問がいくつもつながった難しい文でもきちんと認識できるのかといった心配をするケースがあるが、「チャットウィンドウが小さいので、ユーザーはたいていキーワードで聞いてくる。難しく考えずに、とりあえず始めてみるのがお勧め」だと小林氏は言う。

GUIでチャットボットを作れる「Repl-AI」

最後に、NTTドコモが開発するRepl-AIの機能について紹介する。Repl-AIは、GUI(Graphical User Interface)上でチャットボットを構築・実行可能なプラットフォームである。特長は大きく3つある。

Repl-AIの特長

 

  1. プログラミング不要。会話の流れを画面上で表示するGUIで作成・編集可能
  2. Excelに記載されたFAQデータから自動生成可能
  3. 1,000 コール/月までなら無料で利用可能なプランを用意

主な機能は以下のとおり。

  • SNS連携/API
    LINE@やFacebook Messengerにプログラミングなしでリリース可能。Web API経由でチャットボットを呼び出せるため、インターネットにつながるあらゆる機器から呼び出し可能。
  • ダッシュボード
    作成したプロジェクトやボットの利用状況を閲覧可能。
  • 対話履歴ダウンロード
    作成したボットごとに、ユーザーとの会話履歴をダウンロード可能。
  • CSVダウンロード・アップロード機能
    作成したシナリオをCSVファイルでダウンロードしたり、ダウンロードしたCSVファイルを編集したり、アップロードしたりできる。たとえば、製品案内のチャットボットがあるが製品名が変わったという場合、一つひとつ直すのは大変なので、ダウンロードして製品名を一括置換後にアップロードすると、チャットボットがアップデートできる。
  • チャットウィジェット
    Repl-AIで作成したチャットボットと、Webプラウザ上で会話が可能となる機能。Webページに数行のコードを埋め込むだけでチャットウィンドウを配置できる。PCサイトの場合は右下に小さくチャットウィンドウが立ち上がる。スマートフォンの場合は、右下に出たアイコンをタップすると、全画面のチャットウィンドウが立ち上がる。アイコンはカスタマイズ可能なので、自社のキャラクターに変えることもできる。
  • 外部API連携
    外部のシステム(Web API)と連携する機能。在庫情報や天候情報など、リアルタイムに変化する情報を会話させることができる。

さまざまな事例で見たとおり、テキスト対テキストだけでなく、さまざまな技術を組み合わせたチャットボットが使われ始めている。最後に小林氏は、「こういう使い方ができないか、チャットボットって便利そう、と思うところがあれば、ぜひご相談いただきたい」と締めくくった。

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