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Buy Local時代のローカルSEOガイド――「Buy Local運動」の概念とは?【前編】

ローカルビジネスのSEOで競争優位に立つための施策のひとつとして「Buy Localプログラム」について解説する。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

この記事は、ローカルSEOで競争優位をもたらすための施策やコンテンツについて実例を交えてお届けする。今回はそのキーとなる「Buy Local運動」の概念とその効果について解説する。

小規模なローカルビジネスのクライアントと1度会話を交わすだけで、それを機に売上が前年同期比で7%超増加する動きにつながるとしたらどうだろう? これに対し、会話を交わさない場合の売上増加率はわずか4%だ。そうした会話によって、人々が支出する金額が3倍になり、それが町外に流出することもなく、地域社会の環境汚染が緩和され、近隣住民の健康が改善し、民主主義が強化されるとしたら?

コンテンツの開発やリンクの機会、消費者マインド、リアルタイムのローカル在庫における成功が、私たちが話題にもしていない状況で、私たちがまだ試したことのない方法によって可能になるとしたら?

今回は違う道を行ってみよう。この道は、サイテーション(引用)やレビュー、マークアップ、Googleマイビジネスについて、この業界で通常聞かれる話題と決して交わることのない道だ。

ローカルSEOの業界を15年にわたって歩んできた人間として、私はこれらのトピックを愛しているが、みんなと同様、オンラインでの目標とオフラインでの現実の融合を経験しているし、ローカルビジネスの成功は店内でこそ生まれ育つものであり、それを経た上でウェブ上に反映されるという意識が高まっているのを感じる。

MozのSaaSツールは、デジタル、実店舗、非店舗型ビジネス(SAB: Service Area Business)、エンタープライズ企業、中規模市場のエージェンシー、大手ブランド、Bootstrap(ブートストラップ)利用者など、あらゆる種類のビジネスに対応している。

しかし、今回の記事では、できる限り小規模な範囲にとどめ、Buy LocalShop LocalGo Local運動や、そうした運動が広範にわたって意義のある成功をもたらす可能性に関して私が学んできたことについて、独立系のローカルビジネスのマーケターに直接話をしたい。正直に言うと、みんなも私と同じくらい驚くと思う。

少なくとも、この記事を読むことで、この広がりつつある現象がローカルビジネスのクライアント自身、そして周囲の地域社会にとって何をもたらし得るかについて、クライアントと話をする気になってもらえることを願っている。結局のところ、成功するクライアントこそ最高のクライアントと言えるのだ。

Photo credit:Michelle Shirley

Buy Local運動とはどういうものか

Buy Localの大まかな概念

ビジネスのコンセプトにおいて「数がモノを言う」という考え方をすることに皆さんもなじみがあるだろう。しかし、ビジネスを単独で立ち上げた場合、ローカルの意思決定や方針を決定する際に影響を及ぼすリソースや影響力はない。小さい町にウォルマートやTARGETなどの大手スーパーへ参入してもらうよう頼むべきだろうか? 街の大通りにある崩れそうな建物を改修や取り壊しをするべきなのだろうか?

小さな町を形成する治安や文化に関するサービスの中で、資金を投じて支援するべきなのはどれか? 小さな食料雑貨店を営む家族経営の店舗に大きな発言権はないが、パン屋や地域の信用組合、動物保護施設、書店などを経営する人々が集まれば、より大きな声になるということも考えてみてほしい。

Buy Localの担い手

Buy Localのプログラムとは、独立系のビジネスが集まって、その地域に暮らすほぼすべての人へ恩恵をもたらし、地域を繁栄させるためのコミュニティを形成するプロセスを明確な形にするものだ。

こうした取り組みは、店舗経営者、商工会議所、草の根の市民グループなどが始めてもいい。米国では、支持者や支援者としてAmerican Independent Business Alliance(AMIBA)やInstitute for Local Self-Reliance(ILSR)などの非営利団体が挙げられる。

Buy Localの目標とは?

ほとんどのBuy Localキャンペーンでは、サイネージ、教育関連イベント、メディアプロモーション、その他の形式のマーケティングを通じて、以下の目標の一部またはすべてを共有している。

  • 地域の富を拡大し、地域社会の中で再循環させる
  • 地域の特性を維持する
  • コミュニティを構築する
  • 良い仕事を創出する
  • 方針の策定で自分の意見を言う
  • 環境への影響を減らす
  • 起業家精神を支える
  • 多種性や多様性を高める
  • 大企業と競争する

Buy Localキャンペーンは実際に効果があるか?

Buy Localキャンペーンの効果は実際にあるものだ。正しく管理すれば、これらのプログラムは店主と住民の両方にさまざまなメリットをもたらすことが調査で示されている。以下7つの項目で、調査結果を見ていこう。

※調査結果については編集部の見解や推奨している内容と異なる場合があり、正確性を保証できかねます。

1. 前年比売上高で優位に立てる

ILSRは、前年比の売上パターンを測るため、独立系ビジネスの全米調査を実施した。2016年の調査対象者は、全体として売上は好調な伸びを示したと回答したが、なかには著しい差もあり、AMIBAはこれを次のように要約している

「草の根で『Buy Independent/Buy Local』キャンペーンを継続している地域社会のビジネスは、売上が7.4%も増加したと報告した。これは、そうした事業提携がない地域のビジネスの増加率4.2%の2倍近い数字だ」

2. 支出を地域内に保持できる

Civic Economicsのアナリストらは、独立系の小売業者とチェーン店の小売業者が地域に及ぼす財務的影響を測るため、10都市で調査を実施し、次のような一連のグラフィックにまとめた。以下のグラフはノースカロライナ州のローリーでの調査結果である。

統計は地域社会によって異なるが、全体的なパターンとして、独立環境が地域にもたらす富の再循環率は、チェーン環境より著しく高い。こうしたパターンは、富の拡大によって地域社会を持続可能にするためのBuy Localキャンペーンで有効活用できる。

3. 地域社会の雇用と治安を維持できる

Civic Economicsが2番目の調査で報告しているように、雇用と税収の減少に耐えられる地域社会はほとんどない。この調査では、米国人の「アマゾン依存症」の影響について全米各州のデータを詳述している。

近年、最高裁判所による裁定で、各州はEコマースモデルに課税できるようになったため、これらの悲惨な数字の一部は改善される可能性があるが、この数字を見れば、Buy Localの事業提携を行う街や都市は、率直に「税収の減少は、消防署などの緊急サービスの資金不足につながるものであり、安全でないし、持続可能でもない」と声を上げられる。

数年前に行われた調査によると、米国におけるボランティア消防隊員の3分の2は、所属する消防署が資金不足に陥っていると報告しており、これらの勇敢な隊員の86%は、消防署を存続させるために自らのポケットマネーで備品を購入せざるを得ないという。

一方、Inc.comは次のように指摘している。

「米労働統計局によると、グレートリセッション以降、小規模企業が民間部門で生み出した新規雇用数は純増数全体の62%だ。そのうち66%は既存の企業によって、残りの34%は起業を通じて生み出されたものだ(廃業数と失業数に合わせて調整済み)」

ビジネスがGo Local型の連携に取り組んでいる地域社会は、雇用創出、売上増加、税収拡大を実現する能力を活用しているため、地域の失業率改善だけでなく、地域の安全にも大きな効果をもたらす可能性がある。

4. 政策に影響を及ぼす

政策に影響を及ぼす力を地域社会に与えたという観点で見ると、紹介できる逸話はたくさんあるが、特によく知られているのは、Austin Independent Business Alliance(AIBA)が実施した画期的な調査に関するものだ。

AIBAはこの調査で、地域の書店やCDショップで買い物をすることが地域社会に及ぼす影響を、当時進出が提案されていた書店チェーンのBorders(2011年に経営破たん)で買い物をする場合と比較して文書にまとめた。この調査結果は十分に説得力があったため、市はBordersに210万ドルの補助金を出すことを中止した。

5. 地域の環境改善

これについては驚くべき統計が1つある。米運輸省によると、買い物に関連する車の運転は1969年~2009年の間に1世帯あたり3倍以上増えたという。

路上で過ごす時間がこのように大幅に増えたことに都市計画がどう関連しているかを想像するには、街の大通りに集中して立地している店舗と、郊外に位置する大規模小売店を比較して思い描いてみるだけでいい。住民が徒歩や自転車で行ける範囲内で日々の買い物ができれば、環境にプラスの影響をもたらすのは間違いない。

6. 住民の身体環境を改善したという調査結果も

Cignaが2万人の米国人を対象に実施した調査によると、他者と顔を合わせて交流する機会が著しく少ないことから、常に、または時に孤独を感じている人が半数近くにのぼったという。

また、米心理学会による調査では、質の高い社会的交流がある人は早死にするリスクが約50%低いと発表した。

作家ジャン・カロンがノースカロライナ州の小さな町での暮らしについて書いた『ミットフォード』シリーズがニューヨークタイムズのベストセラーランキングの常連であることには理由がある。

読者や書評家は決まって、「Mitford takes care of its own」(ミットフォードは、自分のことは自分でする)をスローガンとするこの架空のコミュニティのような場所に住んでみたいとの願望を口にする。小説では、住民と独立経営の店主、そして「よそ者」の暮らしが絡み合い、いいときも悪いときも、多くの米国人が羨ましがる支え合いの人間関係を生み出している。

そうした社会的環境こそ、ベストセラーの条件であるだけでなく、勝者の条件でもあるに違いない。というのも、Cambridge Journal of Regionsは、発表した論文の中で、特定の地域社会において小規模事業主が集中していることと公衆衛生の水準は関連している可能性があると指摘しているからだ。

地元の新鮮な食材を採ることが体に良いという考えにとどまらず、農産物の生産者、銀行の資産管理者、食料雑貨店の店主をよく知っていることが、長生きする助けになるかもしれない。

7. 「地域発展」としての全体的な目標を実現する

記憶に残る話について言えば、ILSRが制作した以下の動画は、独立系ビジネス間の事業提携が地域社会の未来形成に及ぼし得る重大な影響について1つの見方を詳しく描いた好例だ。

私は、独立系ビジネスが提携した場合に生じ得るメリットについて、動画の制作者でAMIBAの共同設立者であるジェフ・ミルチェン氏にインタビューした。同氏は次のように結論づけている。

「文化の転換という観点から、地域での事業提携に公教育がどのような影響を及ぼしてきたかを見ると、結果がすべてを物語っている。独立系ビジネスが他の独立系ビジネスと提携して、単独ではできないことをやるのは素晴らしい投資となる。こうした提携関係を結ぶことは、独立系ビジネスがオンライン大手と競争するのに役立つ」

この記事は、前中後編の3回に分けてお届けする。Buy Local運動という概念とその効果について述べた今回に続き、中編となる次回は、Buy Localキャンペーンの始動と成功のポイントについて説明する。

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