使いこなし高難度「直帰率」「PV/セッション」「滞在時間」3大指標の正しい使い方(後編)
「直帰率」「PPV」「サイト滞在時間」といった指標の扱いについて解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。
前回は、これらの指標が役に立たない場合について取り上げた。では、どのような場合にこれらの指標が役に立つのだろうか。
これらの指標が有益である場合
○1 コンバージョンファネルの診断に用いる場合
「直帰率」「訪問あたりの閲覧ページ数(Pages per Visit:PPV)」「サイト滞在時間」――これらの指標が複雑さを秘めているのは確かだ。
こうした指標を何に利用すべきかと言えば、それらが真に有益なのは、コンバージョン分析などの診断に使う場合だ。
たとえばコンバージョンファネルを見てみよう。僕たちのコンバージョンファネルは次の画像のようにものだ。人々はトップページを通じて、または僕たちのブログやニュースセクションを通じて訪れ、それから(願わくは)製品ページ、価格情報にアクセスし、コンバージョンに至る。
これらすべてのページで、「直帰率」「PPV」「サイト滞在時間」などの指標を確認できる。そしてその指標は、これらのページの一部を変更する場合に役立つ。
それが大きな変更であろうと小さな変更であろうと、その結果「コンバージョンが変わったか」を見るだけではなく、
サイト滞在時間が短くなったか
訪問1回あたりの閲覧ページ数が少なくなったか
セクションからの直帰率が高くなったか
なども見るのだ。
たとえば価格情報ページを変更したときには、
- 価格ページの滞在時間が短くなり
- 訪問1回あたりの閲覧ページ数はほぼ変わらず
- 価格ページからの直帰率もほぼ変化しなかった
という状況の一方で、
- コンバージョンはやや低下した
とする。では、ここから「価格ページの変更がコンバージョン率にマイナスの影響を及ぼした」と直感的に考えるべきだろうか?
いや、おそらくそうすべきではない。おそらく、他に変更したところがないか調べるか、トラフィックのソースに原因がないかどうかを調べるべきだろう。
というのも、直帰率が上昇しておらず、訪問1回あたりの閲覧ページ数もほとんど変わらず、サイト滞在時間はやや短くなっているからだ。こうしたことを考えると、人々は問題なく価格ページにアクセスしているように見えるからだ。価格ページからコンバージョンページに問題なく到達しているのだから、他の原因を探してみよう。
この種の診断こそ、「直帰率」「PPV」「サイト滞在時間」といった類の指標があるからできることだ。コンバージョンが減少または増加した場合、まさにこのようにデータを深く掘り下げることこそ、賢明で分別のあるデジタルマーケターがやるべきことであり、やれることでもある。それに、実際に起こったことに基づいて仮説を立てられるなんて、強力で便利なツールだと思う。
また別の例として、製品ページを変更したら、次のようなことを確認するべきだ。
- 訪問1回あたりの閲覧ページ数が減少したか?
- サイト滞在時間が短くなったか?
- コンバージョン率に影響したか?
たとえば、調査した結果が次のとおりだったとする:
こうした影響はなかったが、それでもエンゲージする訪問者は減少しており、そのためリターゲティングはあまりできなくなり、メール登録も減少していた。
これは確かにマイナスの影響を与えており、この場合にはコンバージョン率そのものが特定の打撃を受けたようには見えなくても、製品ページに立ち戻る必要がある。
○2 内部の変更や外部の要因によって行動に変化があったかを、長期にわたって比較する場合
これらの指標を適用する第2の有益な方法は、内部の変更や外部の要因によって行動に変化があったかを、長期にわたって比較する場合だ。
たとえば、ブログのエンゲージメント率に目を向けることができる。
ブログは、コンバージョンポイントを適切に設定するのが難しいものだ。購読登録といった行動をコンバージョンとみなすこともできるかもしれないが、一般にブログに適した指標として考えられるものに、訪問1回あたりの閲覧ページ数がある。この指標で分かるのは、次のようなことだ:
人々が最初にアクセスしたページ以外にも、さらに深いセクションにまでアクセスし、サイト中を見て回って、僕たちの取り組みをチェックしているかどうか
たとえば次の図を見てほしい。
ここでは、訪問あたりのPVが4月に大きく落ち込んでいる。それがちょうど新しいライターを迎えた時期に当たるのならば、次のように考えるだろう:
ここで介入するべきだ。割って入って、何が問題であれ解決を試みなければならない
しかし、その後に回復基調にあるのならば、次のように考えるかもしれない:
なるほど、そういうことか。新しいブロガーが軌道に乗るには少し時間がかかるものなのだ。もう少し様子を見よう
○3 関連業界の競合他社と比較する場合
最後に、第3の有益なケースは、真に関連性のある業界の競合他社と比較する場合だ。
直接的な競合相手がいる場合、重点を置く場所がよく似ているだろう。たとえば製品中心のサイトで、「トップページがあり、いくつかコンテンツのセクションがあり、それから大きな重点を置いた製品購入ページがある」というように似た構造ならば、競合相手のトップページと自分のトップページを比較して見ることができる。
SimilarWebやJumpshotなどのソースからデータを入手できてクリックストリーム(軌跡)レベルのデータが十分にある場合や、こういった情報を収集する優れた業界調査があるのならば、もっと有用だ。競合相手がやっていて自分たちがやっていないことは何かを調べてみるといいかもしれない。それをユーザー調査のときに持ち出して、次のように聞くべきかもしれない。
このサイトにはないかもしれないこの点について、あなたにとって魅力的なのはどういうところですか?
あるいは、多くの場合、人々は直接的な競合相手を挙げて、次のように言うだろう。
向こうがやっていることを調べて、それをベストプラクティスにしよう
しかし、それは本当にベストプラクティスなのだろうか?
相手のパフォーマンスに目を向けたことがない
ユーザーがどう動いているかを見たことがない
エンゲージしているのか、そのサイトにとどまっているのか、別のページにもアクセスしているのか調べてみたことがない
といった状況ならば、それが本当にベストプラクティスなのかも分からないし、お粗末な例を手本にして自分が痛い目に遭うかも分からない。
「直帰率」「訪問1回あたりの閲覧ページ数」「サイト滞在時間」は、間違いなく複雑なトピックだ。これらの指標の使用には実にさまざまなことが絡んでおり、良い使い方もあれば、悪い使い方もある。
シャリフ氏とレイノルド氏には同意するが、いくつか素晴らしい使い方もあると思う。具体的な例があるという人は、ぜひ下のコメント欄で教えてほしい。では、またお会いできるのを楽しみにしているよ。ごきげんよう。
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